鮫龍
サメは再び海の中へ潜り、船の周りを泳ぎこちらの様子をうかがっているようだ。
おそらくこのサメが例の魔物と見て間違いはないだろう。
「拘束弾放てー!」
どう攻略しようかと考えていると、号令と共に、船に装備されているバリスタからワイヤーの付いた弾が発射される。
まるで、どこかの狩ゲーのようだ。
拘束弾はまっすぐサメへと向かう。が、身体を覆う鱗により刺さることはなく、弾かれてしまった。
それを攻撃と見なしたサメは、正面をこちらに向け、加速して襲いかかってきた。
「まずいな」
俺は結界の魔術を発動させて、大口を開けて突っ込んでくるサメを止める。
「マスター! ってなにあれ!?」
騒ぎに気が付いたのか、カプリスが甲板に出てきた。
「見たこと無い魔物だ。おそらく・・・」
「あれが例の魔物なんだね」
「ああ。しかもオリジンクラスの化け物だよ」
「なんとっ!? んじゃマスター頑張ってー」
「俺に投げるのかよ」
「ほら、うち船酔いで弱ってるし?」
「の割には元気そうだけどな」
「・・・おやすみなさーい!」
「てめっ!」
さっとシーカーの素早さを生かしたその逃げ足で、カプリスは自室へと逃げた。
「ったく」
後頭部を掻きながらサメを見やる。
未だに口を開けて結界を喰い破ろうと躍起になっていた。
「ちょっと頑張るか」
足装備を死神装備に代えて浮かぶ。
そして、サメに向かって急速接近して蹴り飛ばす。
ちょいと足がミシッと鳴ったが、すぐさま回復を施して吹っ飛んだ方に向かって飛ぶ。
サメはすでに海の中に潜っていて姿は見えない。
「水中戦は苦手なんだよなぁ。っと」
潜ろうか迷っていると、海面が波打ったと思ったら水が槍の形になり俺に向かって飛んできた。
水を操れるのか。それとも魔術を使うのか。
「とりあえず、この付近にいるのは間違いないな」
どう炙り出そうか。うーむ・・・。
船から結構離したし広範囲魔術でも使うか。
「”エクスプロード”」
爆発系魔術でお馴染みのエクスプロード。
海面付近で発動するように設定したそれは凄まじい光と轟音を放ちながら破裂した。
範囲としては直径500メートルくらいだろうか?
光が収まるとその範囲が消滅しており、水面下に隠れていたサメの尾っぽをその端に見えた。
「見っけ」
消滅した部分に水が流れ込み始めたので、その尾っぽのところに急降下。
逃げようとするサメだが俺のほうが一歩速く、飛び出た尾っぽを掴み取ることに成功。
「うぉおりゃああああああああああああっ!!」
気合で宙に放り出す。
アビスオクトパスより重いなこいつ。
放り出したところで、俺も上へ飛んで消滅地点から回避する。
そして、その勢いのままサメへと追撃しようとする。
「があッ!?」
が、追撃に目が行き過ぎて後方からの攻撃をもろに食らってしまう。
両肩と腹に突き刺さった水の槍。攻撃のせいで勢いが止まってしまったのが悪かった。宙に放り投げたサメが大口を開けて落ちてきたのだ。
――――やべ、こりゃ死んだな。
やけに落ち着いた心内に、苦笑を浮かべたところで俺の視界は黒に染まった。
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