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死神さんののんびり異世界散歩  作者: 水無うるふ
エイブレイル神聖国編
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港町フレンシア

 エルフの里で一泊した俺達は、現在街道を歩いていた。

 当初のフィズリールで飛んでいくと言う計画は、酒を飲み過ぎて二日酔いのフィズリールのせいでパーになってしまった。


『申し訳ありません主。どうぞ、どうぞこの飲んだくれにお仕置きを・・・!』


 辛そうに喋りながらも通常運行のフィズリール。


「お前は黙って休んでろ」

『はいぃ・・・』


 ちなみにフィズリールはちっさくなってギルターの背に留まっている。


「本来なら海越えまでやるつもりだったが、今回は港町で宿泊してくかぁ」

「お! 海の幸食べたいっ!」

『海の幸とな!?』

「犬が食える魚介あるかわからんけどな」

『行ってみなければわからんだろ! 急ぐぞ!!』

『いやああああ!! 揺らさないでくださあああああああああい!!!!』

「はぁ」

「行こ?」

「ああ」


 飯と聞いて走り出したギルターを追いかける。

 何台か馬車を追い抜き、三十分くらいで港町までやってこれた。

 因みに、ギルターは途中で道がわからなくなったので泣き付いてきた。

 何やってんだかなぁ。

 通行料を払って町の中へと入った。

 レンガ造りの家々が建ち並び、舗装された歩きやすい道、風に乗って漂ってくる潮の香り。

 ここ、港町フレンシアは数ある港町の中でも一番の賑わいを誇り、ゲーム時代では釣り師達が初心者熟練者問わず拠点にしていた位だ。

 酷いときは桟橋付近は船だらけで、自分の船がわからなくなるほどだった。

 俺も一時期海洋の魔物を狩るために仮拠点にしていたこともあるが、混みすぎたため、別の港町に移ったのはいい思いで。

 人が多すぎて重かったしな。

 最終的に港拠点は第4大陸にある静かな港町だ。オリジンホエールのいる海底神殿が近かったのが一番の決めてだった。

 釣りも出来て経験値も稼げる良い拠点だったなぁ。


『飯屋はどこだ!』

「どこだろうねー」

『きゅぅぅ~』


 飯屋を探している一人と一匹を眺めながら、目を回しているフィズリールを抱き抱える。

 二日酔いで高速移動はキツいよなぁ。

 フィズの頭をやさしく撫でながら飯屋を探す一人と一匹の付いていく。


「ギルちゃん! ここお刺身食べられるよ!」

『刺身! よくわからんが美味そうだ! そこにするぞ!』


 中に入るカプリスに付いていくように入ろうとするギルター。


「待てギル」

『なんだ?』


 振り返りながらコテッと首をかしげながら問いかけてかるギルター。


「食べ物屋だからな。魔物が入っても良いか聞いてからだ」

『ふむ、毛は飛ばないのだがな』

「まぁ、最悪外で食べてくれ」

『食べられるなら何でもいいぞ』


 そんなことを話していると、中からカプリスが出てきた。


「魔物も入っていいってさー」

「聞いてくれたのか」

「当たり前でしょー?」

「ありがとな」

「にひひー!」


 感謝の言葉を述べると、彼女は嬉しそうに笑う。

 可愛いなぁ。

 と、心の中で思いつつ、ギルターを連れて中に入る。


「いらっしゃい! 適当な席に座ってくれ」


 店主の気持ちの良い出迎え。

 寿司屋とかもこんな感じだよなーと、思いながら適当に空いている席へと付いた。


「あ! マスターマスター! 海鮮丼なんて物があるよ!」

「海鮮丼だと?」


 刺身が食えれば良いと思っていたが、丼物があるならそれ1択だな。でも、米って貴重だった気がしたんだが・・・。


「まぁいいか。店主、海鮮丼二つと、犬でも食べれる刺身を頼む」

「あいよー!」

『刺身って美味いのか?』

「人それぞれだろうなぁ。俺は好きだぞ」

「うちも好きー」

『うむ、二人の好きな食べ物なら美味いのだろうな』


 なんだその謎の信頼感。

 しばらく待っていると、ウェイターさんがやって来て、俺とカプリスの前に海鮮丼を置き、俺の横の床にお座りしているギルターの前に刺身盛りを置いた。


「んじゃ──」

「「『いただきます』」」


 声を揃えて言ったあと海鮮丼からフィズの分を少し取り分けたあと頬張る。


「うめぇ」


 久方ぶりに食べたが、さすが新鮮なだけあって美味い。


「はぁ~、港町に寄れてよかった~!」


 これは二日酔いのフィズリールに感謝だな。


『ん、ここは・・・?』


 俺の膝の上で寝ていたフィズリールが起きたみたいだ。


「港町にある飯屋だ。ほれ、お前も食っとけ。魚は二日酔いにもいいらしいからな」


 起きたフィズリールを隣の席に移してやり、予め取っておいた魚をフィズリールの前へ置いた。


『すみません。こんな役立たずな私なんかに・・・』

「気にすんな。誰だって失敗はする。食え食え」

『・・・ありがとうございます』


 少し微笑んだような気がしたが、鳥顔なのでわからない。

 フィズリールはまだ本調子ではないようで、ゆっくりと魚を食べていく。

 まぁ、予定は未定って言うし、こう言う良いことにも巡り会えるんだ。少し、予定と違っていても本気で怒るのは馬鹿らしいな。

 そんなことを思いながら、特製タレのかかった美味い海鮮丼を口に運んでいく。


「うめぇ~」


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