次の目的へ
ワールドチャットにより、全世界のプレイヤーに理由が知れ渡った一週間後。
俺は登城していた。
理由は旅立つため。
カプリス達には、旅用の物資の調達を頼んでおいた。
特に飯とかだ。
今回は謁見の間に案内され、現在王と元気になった王妃の前で跪いている。
「顔をあげよ」
「失礼します」
命令通り顔をあげる。
「此度はどの様な用件で参った?」
人の目がある場所なため、王が王をやっている。
素を知っていると、どこか面白さも感じるものだな。
「はっ、今日、王都を発つため報告に参りました」
「・・・そうか。・・・そうだな。お主は自由を求める冒険者。故に私が止めるようなことはしない。存分に世界を見てきてくれ。そして、たまにでいいから帰ってこい。その時は歓迎し、旅の話をつまみに酒でも飲みあかそう」
「はい」
こう言う場の喋り方って知らないから、迂闊に応対できないな。
「それと、餞別をやろう。モーガン」
「ノア様、こちらを」
モーガンさんがお盆のようなものを手にこちらへ来た。
その上には袋がのっているのでお金だろう。
「中に三十万シルバーが入っている。旅の資金にでもしてくれ」
「ありがとうございます」
受けとり、その場で仕舞うのは不敬に値するので横に置く。
「ノア様」
「はっ」
そろそろ終わるかと思ったとき、王妃からお声がかかった。
「私の命をお救いいただき感謝いたします。場所が場所故、この様な上からの言葉になってしまうことお許しください。貴方のお陰で、私はこうして再び愛しい人の隣を歩けるようになりました。いつでも城へいらしてください。私達は貴方の事を歓迎いたしますので」
「はい、ありがとうございます」
「さて、長話で彼を留めておくのはよそう。モーガン、彼を外まで」
「畏まりました。ではノア様」
「はい。陛下、殿下、失礼します」
「達者でな」
「お気を付けて」
俺は胸に手をあてて一礼し、モーガンと共に謁見の間を後にした。
「モーガンさん、ありがとうございました」
「いえいえ、お気を付けていってらっしゃいませ」
「ええ、モーガンさんもお元気で」
モーガンさんと一言交わして、城を後にした。
時間的に、そろそろ買い出しも終わってる頃合いなので、待ち合わせの組合に向かうとしよう。
組合に行くと、組合長であるレグルスが座って待っていた。
そのテーブルにはカプリス達の姿も。
「帰ってきたか」
「あ、マスター! 指示通り食料系の買い出しを中心に買ってきたよ!」
「おう、ありがとな」
「いひひ~、どいたまどいま~!」
にこにこ笑うカプリスに、未だに残る謁見の間での緊張を癒される。
「んじゃ、行くぞ」
「うーい」
「ああ、お前の事だから危険はないだろうが、気を付けてな」
「おうよ。お前もアバターはじじいなんだから身体には気を付けろよ?」
「何年じじいをやっていると思っている。自分の身体の扱いには自信がある」
「そうかい。なら安心だ。また暫くしたら顔を出しに来る」
「その時にはまた一匹増えてそうだな」
「・・・否定できないのが怖いところだ」
「カプリス、ノアも男だ。気を付けろ」
「なっ! てめっ・・・」
「うん、気を付けるよー」
「くくく! じゃあ達者でやれよ? ノア」
「ああ、行ってくるぞ。レグルス」
拳と拳をぶつけ、組合を後にした。
ぶらぶらっと歩いて門を通り抜け、人目の付かないところまでやって来た。
「さて、今回はちょいと急ぎだ。フィズ」
『はい、お任せください』
巨大化するフィズリールの背に跨がる。
「北北東の──っと、その前にエルフの里へ行こうか」
「え、急ぎなのに?」
「急がば回れだ」
「綺麗な物が見たいだけでしょ?」
「そうとも言うな」
ピコン
caprice:そうとしか言わねーだろwwwwwwwww
「ってことだフィズ」
『はい、飛びます』
しばらくの揺れのあと、俺達は大空へと飛び立った。
王都編~fin~
王都編終わりです




