あれから150年らしいです
週一投稿にするつもりですよー
受付嬢の話によると、サービスが終了したあの日。
俺が全てのオリジンを倒したあの日だ。
あの日から150年経ってるそうだ。
全てのオリジンを倒したことにより、世界は解放され、真の平穏が訪れたとのこと。
そして、驚かれた理由は世界が解放されたあの日。
世界中で活躍してきた冒険者達が一斉に消え、世界は大混乱した。
それから150年経った今、フラりと俺が戻ってきたという事でたいへん驚いたとのこと。
そして、なぜ受付嬢である彼女や冒険者達が俺のことを知っているかと言うと、あの日消えなかった冒険者がいたのだ。
彼は、また仲間が帰ってくることを願い、その街を拠点にしていた冒険者達のことを伝承やお伽噺として残すことにしたらしい。
この街では、俺達【白】や【生死の境】等といったギルドの事が残ってるらしい。
で、まさか帰ってくるとは思わなかったのでこんなにも驚かれているわけだ。
「なるほど。その消えなかった冒険者は何処に?」
「王都の冒険者組合の長をやっています。あと、最近消えた冒険者達が少しですが戻ってきてるそうですよ。うちの国、レインアース王国ではノアさんが初めてですが」
これは良い情報だな。
この国以外では冒険者達が帰ってきてる。
つまりは、そのうち【白】のメンバーも戻ってくるのでは・・・。
いや、ダメだな。
あんな奴等でも家庭持ちもいる。
俺みたいなボッチじゃないし、戻ってこない方がいいかもな。
「情報ありがとう。俺は組合長に会いに王都へ向かおうと思う」
「依頼、受けていかないんですか?」
「またここに戻ってくる。その時に受けさせて頂くよ」
「是非ともお願いします!」
「ああ」
受付から離れ、組合から出ようとしたところで四人の男に道を塞がれた。
これは柄の悪い連中に絡まれるあれか?
「はは! やっぱりそうだ!」
「こいつの装備、駆け出し初心者用装備だぜ!」
「何がノアだ! あんなのお伽噺に過ぎんだろ」
「ノアの名を語るんなら俺達四人と戦ってもらうぜ?」
絡まれるあれだな。
「お前らランクは?」
ユグドラシルでの冒険者はランクがあり、下から鉄、銅、銀、白銀、金、白金、水晶の8ランクある。
俺は世界に五人しかいない水晶級だ。
多分組合長は水晶級の誰かだろう。
「俺達は全員銀級だ!」
「そうか。訓練場に来い。戦ってやるよ」
「へへ! そうでなくっちゃなぁ!」
俺達は訓練場に移動した。
なんか酒場にいた連中も「おもしろそうだ」とか言って見物人として俺達を囲っている。
暇なら依頼行けよ。
「このコインが落ちたら開始だ」
相手の一人がコインを弾く。
コインは放物線を描き、ちょうど俺達の中間地点に落ちた。
瞬間、相手の魔術師がバフかけして、他三人が高速で急速接近してくる。
一人はロングソード、一人は槍、一人はダガーだ。
さすがは銀級なだけはあり、速度はまぁまぁだな。
一歩も動かない俺に対し、何を思ったかニヤリと笑う彼らの攻撃を棒立ちで受け止める。
だが、ロングソードは俺を切り裂かないし、槍は刺さらない、ダガーなんて刃が折れる始末だ。
「「「なッ!?」」」
「これだけか? ならば今度はこちらから行かせて貰おうか」
目の前にいる槍の男を前蹴りでぶっ飛ばし、左側にいるダガーの男を左腕で凪ぎ払い、右前にいるロングソードの男の顔面を右腕で鷲掴み宙に浮かせる。
「"ファイヤースピア"」
魔術を放って来たが、俺の魔防の前では意味をなさず、俺に当たった瞬間ファイヤースピアは消え失せた。
「くそっ!! "ファイヤースピア""ファイヤートルネード"」
おっとこれはアカン。
急いで掴んでいた男を範囲外に投げ飛ばして、魔術を受ける。
「はは! やったぜっ!」
それはフラグだぞ。
「お前は仲間をなんだと思ってる?」
「なっ!?」
ファイヤートルネードの中から聞こえる俺の声に驚く魔術師。
「俺は貴様の仲間を持っていたのだぞ? そこに向けて範囲が方の魔術を使用するなどもっての他だ。貴様は仲間を殺す気か? 仲間を殺すのは愚か者のすることだ」
そう言いながら風の魔術でファイヤートルネードを吹き消す。
「む、無傷・・・!?」
この程度の魔術で傷つくほどレベル低くないわ。
「雑魚めが! 鉄級からやり直してこい!」
そう言いながらファイヤースピアを顕現させ、魔術師にかするように投げつける。
「ひっ!?」
魔術師の左頬に一線の焼け跡が残り、彼は恐怖のあまり膝をついた。
「満足したか? では俺は行かせて貰う」
返事がないのを肯定とみなして俺は組合を去った。
王都へ向かおう。