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美しい森を越えて

 直接ダンジョンの入り口に向かってもよかったのだが、俺の絶景レーダーが反応を示しているので、わざわざ端っこに降り立った。

 振り返ると、そこには眼下に広がる大地があった。

 今まで自分達が足をつけていた地面が遥か下にある。

 浮遊でなんども見た光景ではあるが、こうして()に足をつけて、()()()()()()()、そこに価値があるのだ。


「ひぇー! 話しには聞いてたけど、こんなに高いんだね。スッゴいなぁ!」


 崖から身を乗り出して下を眺めるカプリス。

 落ちても知らんぞー。


『初めてこの高さまで来たが素晴らしい眺めだな』


 オリジンウォルフであるギルターもご満悦だ。


「よし、行くか」


 スパッとスクショしたあと、そう言って絶景に背を向ける。


「了解」

『うむ』


 二人も、満足したのか、文句も言わず俺についてくる。

 豊かな森へと足を踏み入れ、奥へ奥へと進んでいく。

 因みに、この森には魔物はいない。

 代わりに通常の動物が生息している不思議な場所だ。

 この世界に置いて、通常の動物が生息している場所は多々あるのだが、()()()()()が生息しているのはこの場所だけなのだ。


「平和な森だね」

「まぁな。動物は魔物と違って、無闇矢鱈に攻撃はしてこないからな」

「地球と同じか」

「ああ、人間は動物を怖がるが、反対に動物も人間を怖がるからな」


 好奇心旺盛な動物もいるが、その辺は知らん。


「あ、鹿だ」

「鹿でした」

「ん?」

「いや、なんでもない」


 カプリスの指差す方向を見ると、立派な角を持った雄鹿がいた。


「立派な角だな」

「カッコいい!」


 雄鹿はこちらを一瞥すると去っていった。


「あ、スクショし忘れた」

「どんまいマスター」

「ちくせう」

『あれ、美味そうだったな』

「美味いぞ」

『!? 行って──』

「──来なくていいから」


 飛び出そうとするギルをひっ捕まえて先へ進む。


『にくううううううううっ!!!!』


 木霊するギルの声に鳥達が一斉に飛びだってしまったので、しばらくは野性動物に会うことはないだろうなぁ。

 残念だ。

 ちょっぴり気分が滅入ってしまったが、ある程度進んだところでその気分も回復する。


「滝だー!」


 そう、滝である。

 水の音が聞こえたのでそちらの方向に歩いていったら見つけた。

 確か、この辺りはゲーム時代にはエリア外に指定されていたので、入ることはできなかった所だ。

 広く作られているのに立ち入り禁止区域があるとか謎でしかなかったが、こうして来られたのでまぁいいとしよう。

 浮遊島の、それもおそらくダンジョンである廃城から流れ出ているのだろう水は、大きな音を立てながら流れ落ちる。

 結構な勢いがあるので、滝壺も相当の深さがあるだろうな。

 あまりの勢いに、滝から離れたこの水辺まで飛沫が飛んできている。


「ねぇマスター! これは絶景ポイントじゃないかな!?」

「そうだな」


 スクショ、スクショっと。

 いいポイントを見つけてスクショしといた。


「少し休むか」

「賛成!」

『ちょっと狩りしてくる』

「おう、気を付けてな」


 狩りをしに行ったギルを見送ったあと、俺は足の装備を解除し、水辺に座って足を水につける。

 冷てー。


「ふぅ」


 この冷たさで足の疲労がとれるわ。

 まぁ疲れてないのだけれども。


「ねぇマスター! 水着ない!? 水着!!」

「あるぞー」

「あるの!? 変態っ!」

「なんでや。サブキャラのだよ」


 キャラごとだったアイテムボックスを、課金によって全キャラ統制にしたので、サブキャラ達のアイテムも入っている。

 と言っても、サブキャラは女性キャラ一人しか作ってないので、サブキャラのアイテムは武器と防具、衣装位しかないけどな。

 一応、サブキャラとごっちゃにならないように別ページにしてあるので、二ページ目を表示する。


「ん?」

「どしたの?」

「いや、なんでもない」


 サブキャラのページにある衣装が一種類一式無くなっており、そして何故か、最後に着せていた衣装がアイテムボックス内に存在していた。

 ・・・覚えてないだけで、どっかで着せ替えたのかな。

 まぁそれは置いておこう。

 衣装の一つである紺色のビキニを取り出してカプリスに渡す。


「ありがとう! プリセットにセットしてー。変身っ!」


 謎ポーズしたカプリスは、全ジョブ共通で使える基本魔術の一つであるフラッシュを使い、一瞬光ったあと水着姿になったカプリスがそこにはいた。

 白く綺麗な肌に紺色の水着がよく映える。

 いつもの服装だとわかりにくいが、彼女はスタイルがいい。

 程よい大きさの胸に、綺麗なくびれ、少し大きめな張りの良いヒップ、そして綺麗なおみ足。

 うむ、眼福眼福。

 ヒップから太ももにかけたラインなど最高じゃないか。


「似合ってるな」

「ありがとマスター! でも見すぎだよ。特に太もも」

「すまんな」


 一言謝ってカプリスから目を離す。

 太もも最高ですね。うむ。


「きゃっほーい!」


  ステータスにより強化された脚力で飛び込むカプリス。

 楽しそうで何よりだ。




『げふっ』


 水遊びを楽しむ彼女を眺めながら休憩していると、後ろから汚い音と生臭い空気が降りかかった。


「おかえりギル」

『うむ、鹿美味かったぞ』

「それは何より。カプリス! ギルも帰ってきたし、そろそろ行くぞー」

「はーい!」


 ぱしゃぱしゃと水を弾きながら小走りで来るカプリス。

 揺れるお胸に目が行ってしまったが、直ぐ様目をそらしてアイテムボックスからタオルとか言う、ゲーム時代には謎アイテムだったそれを投げ渡す。


「風邪引く前に着替えろよー」

「ありがとー!」


 因みに課金ガチャのハズレアイテムだ。

 アイテムボックス、倉庫の肥やしにしかならなかったアイテムが漸く本来の使い方にありつけたようだ。


「おっけー、行けるよマスター」

「おう」


 行けるとのことなので、ダンジョンへ向けて歩みを進める。

 余談だが、先程のカプリスの水着姿はちゃんとスクショしました。ちゃんとフォルダにロックも掛けてあります。


 滝壺から更に奥へと進むこと30分。

 ここまで来て漸く人工的な道へと出れた。

 石畳の道は隙間から草や苔が生え出て来てしまっていて、放棄されてからの年月が窺える。

 それでも、まだ石畳が石畳と認識できるだけマシだな。

 ここまで来ればもう着いたも同然だ。

 あとはこの道を真っ直ぐ進むだけだからな。


「よしギルター。ダンジョンまで競争しようぜ。ハンデで俺はカプリスを持つ」

「人を荷物みたいに言うなー!」

『いいだろう。戦闘では敵わないが、足の速さには自信がある』

「おーけー。ほれカプリス背中に乗れ」

「もー」


 不満げだがちゃんと従ってくれた。

 うむ、やっこい。


「さて、このコインが落ちたらスタートだ」

『了解した』


 コインを指で弾く。

 すると、コインはパスンと言う音ともに上空へ消え去った。


「『あ』」

「にゃはははははは! 私がやるよ」


 今度はカプリスがコインを弾くが、またもやパスンと言う音ともに上空へ消え去った。


「「『・・・』」」

『スタートっ!』

「あ、ずりーぞクソ犬ッ!」


 勝手にスタートしたギルター。

 ズルくせぇ。


「ちゃんと掴まっとけよ」

「うん!」


 しっかりと掴まったが確認できたので、足に力を込めて地を蹴る。

 ドンっと言う音を後ろへ残して走り出す。

 流れる景色の中に犬っぽいのも混ざっていたが自信満々な犬なんだからそんな筈はないだろう。きっと野性動物だ。

 五秒くらいでダンジョン入り口に着いた。


「え? はっや! きっも!」


 キモいとは失礼だな。

 先に出たギルはいないので、あの流れた犬のような景色がギルターだったのだろう。

 それから数秒やっとギルターが来た。


「遅い」

『化け物め』


 これは言われても仕様がないか。


「さて、降りろカプリス」

「あいさー」


 カプリスを降ろしダンジョンに目を向ける。

 元は立派な城だったであろう建物。

 今でも立派ではあるが、蔦や苔が生え、巨大化した木々にも侵食され、少し見ただけでは城だとは気づかないだろう。

 幻想的で、この廃れた感。それにプラスして自然の浸食。ロマンたっぷりだ。


「こいつはこの構図がいいんだよな」


 ゲーム時代、ここだけはレベリングの時でも感動したのでスクショしてたんだよな。

 あとで比較してみんべ。


「スクショ撮れた?」

「ああ。あとで見せるよ」

「やったね!」

『おい、エンゲルバードはまだか』

「あいよ。んじゃ、攻略と行きますか」


 うん百回目の攻略スタートです。

お読みいただきありがとうございます。

レビューとか感想、コメントとか書いてくれてもええんやで?

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