宿屋②
腕試し程度ですが、オーバーラップ大賞とHJ大賞に参加することにしました。
応援よろしくです。
朝だろうか?
カーテンから漏れる光で目を覚ます。
朝方は冷えるので、ギルは俺の足の間に丸くなって眠っていた。 お前は猫か。
ふと、ギル以外の寝息が聞こえたので横を見る。
一人では少し大きいベッド。起き上がった俺の横には何故かカプリスが寝ていた。
裸ではないので俺が寝ている間に何かやらかした訳ではないようだな。
だが、何故カプリスがこの部屋にいるのだろうか?
「んぅー・・・」
横を向いて寝ていたカプリスは、寝返りを打つと仰向けになった。
「ふむ」
仰向けになった彼女の胸元ははだけており、綺麗な肌が朝方の冷気に晒されてしまっていた。
そこそこあるお山をしかと目に焼き付けたあと、俺はそっとベッドから起き上がり、俺がかけていた掛け布団をギルごと引っ張って彼女に掛けてやる。
「まったく。なんで俺の部屋にいるんだか」
と言うかどうやって入った。
昨日の夜鍵はちゃんと閉めたはずだ。
「うーむ・・・」
考えてもわからないので、とりあえず顔を洗うため部屋の扉を開けた。
「あら」
開けると、シルファが部屋の前に立っていた。
「おはようシルファ。何をしている?」
「あらあら、おはようございます。ノア」
「何をしている?」
「そろそろノアが起きると思いまして、朝御飯をお知らせにと」
「そうか。ところで、俺の部屋にカプリスがいるんだが、何か知らないか?」
「あ、それ私ですよ。トイレに起きた寝惚けた彼女を部屋まで送り届けました。間違ってノアの部屋に送り届けてしまったみたいですねー。では、お呼びしましたので私はしたに戻りますね」
ニコニコと終始笑顔の彼女。
間違ってってのは嘘だろうなきっと。
まったく何がしたいんだか。
「はぁ」
とりあえず、顔を洗いに行こう。
宿の外に出て、井戸で水を汲み上げて、冷えた水で顔を洗う。
「つめてー!」
だが、そのおかげで目が覚めた。
「さて、と」
再び宿に戻り、自分の部屋へ向かう。
「起きろ」
未だに眠る一人と一匹を起こす。
『なんだ、もう朝か』
寝起きのいいギルはぐぐーっと背中を伸ばして欠伸をしながらベッドから降りた。
「おはようギル。朝御飯が出来てるらしいから下に降りててくれ」
『飯っ!』
尻尾をぶんぶん降りながら部屋から出ていくギル。
犬だなー。
「起きろカプリス」
再度声を掛けるも起きないカプリス。
掛け布団をひっぺがす。
「・・・寒い」
朝方の冷気に晒された彼女は身体を丸める。
「起きろ」
身体を揺さぶる。
「・・・んぅ? 朝ぁ?」
「ああ、朝だ。さっさと起きろ寝坊助」
「あれぇ? なんでますたーが?」
やっと起き上がったカプリスは目を擦りながら俺を見る。
その服装は寝返りで少し乱れており、右肩が見えてしまっている。
「知らん。お前が寝惚けて入ってきたんだろ。起きたなら下に来い。飯だぞ」
「あい~」
まだ寝惚けている彼女を置いて一回に降りた。
「 はい、ご飯ですよー」
席につくと、シルファが朝御飯を持ってきてくれた。
そのタイミングでカプリスも降りてきて、俺の正面に座る。
「目は覚めたか?」
「うん、でもなんでマスターの部屋にいたんだろ?」
「詳細はシルファに聞いてくれ。彼女曰く間違ったらしいけどな」
「うん、あとで聞いてみるよ」
「はーい、カプリスの分ですよー」
シルファがカプリスの前にもご飯を置くと、空いてる席に腰かけた。
因みにギルは俺の横で肉を貪っている。
「そう言えば、先の戦いでシルファを見かけなかったけど、何してたんだ?」
「後方でヒーラーをやってましたよ。白魔術師ですからね」
当たり前でしょ? みたいな顔をするシルファ。
「その火力でよく言うわ」
「殴打って杖の耐久値がガリガリ減るんですよ? 前線に出たらすぐ壊れちゃいますよ」
「お前、ユグドラシルの杖持ってるだろうが」
ユグドラシルシリーズは魔力を消費して耐久を回復する、半永久的に使える武器シリーズだ。
「まぁ正直言うとノアが来てるのは聞いていたので丸投げしただけです」
「丸投げすんな」
「あー言うのは強い人が目立つものです。私は目立つような人間じゃないですからね」
「・・・目立てば繁盛したのにな」
「・・・あらあら。喧嘩売ってるのですか? 客が来てない宿だと言いたいんですか?」
自覚してるのか。
この店、従業員はいるのに客がいないと言う謎の宿なんだが・・・。シルファみたいな美人女将がいるのになんで客が入らないのだろうか。
「・・・やっぱり外装なんですかねー? それとも大々的に売り出してないから? でもでも──」
何やら考え事をし始めたシルファ。
「ごちそうさまでした。マスター? 今日行くんだよね?」
「ああ、早めの方がいいからな」
「何処に向かうのですか?」
俺らの会話に、考え事から帰って来たシルファが聞いてくる。
「天空ダンジョンにな。近々に近くを通ると聞いてな」
「あー、あの天空の城ですか。あ、でしたらエンゲルバードを狩ってきてください。あのお肉美味しいので」
「飯代無料にしてくれよ?」
「もちろんですよ」
やったぜ。
「準備出来たらここに戻ってきてくれ」
「あいさー」
部屋に戻っていくカプリスから目を離し、シルファに紅茶を頼んだので、ゆったりと待つとしよう。




