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組合長の苦労

ストックはあるぞ

 王との対話があったあと、組合に残してきた倉科さん達を拾いに向かった。

 組合の扉を開くと、未だにドンチャン騒ぎしていた。


「おかえりなさい。マスター」

「ただいま。例の件だが、明日の朝出発だ」

「了解です。依頼内容は?」

「それは後で話す」

「うい、了解しました」

「うい? なぁ、砕けた話し方でもいいんだぞ?」

「え、いいんですか?」

「チャットであんだけはっちゃけてるのに今更何を」

「あー、じゃあ遠慮なく」


 正味、年下に砕けた話し方されても嫌な気持ちはしないし、ギルドメンバーに敬語で接されてもちょいと気持ち悪いしな。


「ねぇマスター」

「ん?」

「明日って言うけど、今日はどこに泊まるの?」

「あー、それか。実はここに宿屋への紹介状があるのだよ」

「そこに泊まるんだね」

「そゆこと。俺はレグルスに依頼のこと伝えたあと宿に向かうが倉科さんはどうする?」


 と聞くと、何故か不機嫌そうな顔をする倉科さん。


「どうした?」

「風夏」

「あ?」


 あ、ああ。

 名前で呼べと?


「風夏」

「はい!」

「うーむ。しっくりこないな。カプリス」

「なにー?」


 お、しっくり来た。


「カプリスはどうするよ。このあと」

「うちも堪能したからもう休みたいかなー」

「あいよ。ギルター!」

『なんふぁ?』


 呼ぶと口をモゴモゴしながら歩いてきたギル。


「そろそろ切り上げて宿へ向かうぞ」

『んぐ。そうか、私もほぼほぼ満足したからいいぞ』

「満足したようで何よりだ。報告してくる───ってレグルスの野郎潰れてんじゃねーか。ちょっと待っててくれ」

「あいさー」

『もう少し食べてくる』


 二人を置いて潰れているレグルスのところへ。


「おい、しっかりしろよ」

「ああ? ああ、ノアか。久々に飲みすぎたようだ。うぐっ」

「ガチ酔いじゃねーか。ほら、肩貸すから部屋行くぞ」

「すまないな」


 レグルスに肩を貸してレグルスの部屋へと向かった。

 ソファーに座らせるまで、レグルスはひたすら「すまない」「ありがとう」を繰り返していた。


「──やっと、知ってる顔に会えて安心したのだろうな」

「そうか」


 レグルスは話し出した。


「最初は心から信頼できる者もいなかった」

「ああ」


 一人・・・だもんな。


「正直、死のうとも思ったさ」

「そうか」

「だが、いつか。いつか仲間達も来るのではないかと考え出してな。彼らがいつ来ても良いようにしておこうと色々やったのだ」

「ああ、お前は頑張ったさ」

「100年経っても知り合いが現れることはなかった。あの時は本気で死のうと思った」

「・・・ああ」

「一人で生きるのは辛かった。寂しかった」

「・・・そうだな」

「やっと。やっとだ。やっと知り合いに会えた。心の底からホッとした。だが同時に来てしまったのかと思った」

「ああ」

「来て欲しい反面、来て欲しくない感情もあったのだろうな」

「そうか」

「だが、そうだな。また、よろしく頼むぞ。・・・ノア」

「ああ、こちらこそよろしく頼む。レグルス」


 レグルスはソファーに倒れこみそのまま寝てしまったので、俺は近くに置いてある毛布をレグルスにかけてその場をあとにした。

 こんな弱々しいレグルス、初めて見たな。

 色々溜まっていんだろう。

 その捌け口が今回の酒だったのだろうか。


「待たせた。宿にいこうか」

「レグルスさん大丈夫だった?」

「ああ、久々に飲んで飲みすぎただけだ」

「そっか。ならよかった」

『ねむい』

「お前は気ままでいいな」

『やっと手に入れた自由だ。楽しませてくれ』

「勝手にしろ」


 そんなこと話ながら俺達は組合を出て宿へと向かった。


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