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死神さんの作業

複数話同時に投稿しております故、話数に気を付けてくだちい。

 ノアの一凪ぎから始まったヘル種とノアの一方的な戦い。

 空中浮遊で浮いているその姿は死神そのもの。

 襲い来るヘル種達を、武器である大きな鎌を器用に回しながら刈り取っていく。


「はは! 身体を動かすって楽しいなぁ! っと」


 前線にいたヘル種のほとんどを倒した彼は、空中浮遊を解除して地へと降り立った。


「さぁ次行こうか」


 前線が倒されても、まだ後ろにうじゃうしゃと群れをなしているヘル種。

 インプから果てはサイクロプスまで、人型のヘル種達は虐殺の限りを尽くすノアに対し、恐怖も抱かず、彼らの目的である王都を目指して駆ける。

 ノアは近くまでやって来た彼らは、大鎌の間合いに入ったとたん身体を引き裂かれていく。

 ただでさえリーチの長い大鎌に、防具の効果である範囲拡大で驚異的な攻撃範囲になった斬撃。

 ノアを避けて通った魔物達もいたが、ノアによって投げられた大鎌によって切り刻ませれ、その場に伏していく。

 ブーメランのように戻ってきた大鎌をキャッチしたノアは、その勢いを使って跳び掛かってきた魔物を斬り払う。


「切りがねーな」


 いくら狩ろうとも数が減るような気配を見せないヘル種。


「自然が壊れるのは嫌だがしょうがない」


 そう呟いたノアは、拳に魔力を溜めると地面へと叩きつけた。


「"クエイク"」


 地属性魔術であるクエイクを発動させる。

 クエイクは地震を発生させ、足元を砕き崩れた地面で押し潰す広範囲魔術だ。

 ゲームでは一定時間の環境破壊効果があり、ノアが使うのを自粛していたのは本物であるこの世界で行使した時に環境破壊効果が今まで通り一定時間なのか、それとも半永久的なのかわからないため。

 景観好きの彼だからこその変な配慮である。


 クエイクによって地割れが起きた草原は、魔物達を次々と飲み込んでいった。

 因みに、クエイクは地属性魔術の中で上位に入る威力を持つ魔術だ。

 それが、ノアの持つステータスにより強化され恐ろしい程の威力を発揮しているため食らった魔物達はなす術もなく崩れ落ちていく。

 効果が消える頃には範囲にいた魔物は皆屍と化していた。


「大分減ったな」


 ふぅ、と一息ついた彼は再び大鎌を構え直し最前線へと飛び出した。


『・・・恐ろしい光景だな』

「あ、ギルちゃん。おかえり」

『うむ。あれを見ると昔を思い出すな』


 ノアが最前線へと飛び出したところで、オリジンウォルフであるギルターは倉科風夏の元へと戻ってきた。


「ゲーム時代のこと?」

『ああ、奴は作業的に私を狩りに来ていたからな。あのような一方的な戦いにしかならなかった』

「確かに、あれは狩られる側は怖いだろうね」


 遠くを見るようなその目に、風夏は苦笑いを浮かべながらそう言った。


『怖いなんてものじゃない、戦闘時のあれと正面で出会ったら死しか感じられなくなる。あれは本当に人なのか疑いたくなる程だ』

「あ、あはは・・・」


 何とも言えないその台詞に風夏は乾いた笑いしか出なかった。

 まさかマスターであるノアが人であるか等と疑われるとは思わなかったのだろう。


「まぁでも、確かに、ゲームならまだしも現実で、しかもこの目で見ると人か疑いたくなるよね」


 改めてノアの戦闘を見てそう言葉を紡ぐ彼女。

 ギルドメンバーにも疑われる始末である。


『・・・お主も大概だと思うがな』

「何か、おっしゃいましたか?」

『いや』


 黒い笑顔を向けられ顔をそらすギルター。


『む?』


 そんな彼だが、何かを感じて戦闘をしているノアの方を見た。


『竜種まで出てきたか』


 視線の先にいたのは無数の竜種。

 竜とは言え、()の下位互換である彼らの戦闘能力はレベル3000後半から6000と幅が広く、4500を越えてくると並みの冒険者ではレイドでもなければ勝てる可能性はほぼゼロである。


「竜種ですか。あ、マスターが飛んだ」

『斬り、刻んだな』

「一瞬ですね~」


 空の王者ともいえる竜種たちを斬り刻んでいくノアを、近くの岩に座りながら傍観する一人と一匹。


『あれだけいて取りこぼしもないとは・・・』

「マスタはレベリングであー言う戦いばっかしてましたからね。経験値の取りこぼしは我慢ならないそうです」


 どこまでもレベリング厨なノアであった。

 そんなノアは全ての魔物に竜種を狩り終え、くるくると大鎌を回して、石突きを地面へと突き立てた。


「さて、ラストバトルと行こうか」


 ドスンッ! と、ノアの呟きに答えるように山のような#龍__ドラゴン__#が降り立った。


『オブシディアンドラゴン』

「あー、馬鹿みたいに硬いドラゴンですね」


 オブシディアンドラゴン。

 黒曜石の鱗を全身に纏う黒龍で、ダイアモンドドラゴンの次に防御力があるされる龍種である。


「Giaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaa!!!!」


 ノアを敵とみなしたオブシディアンドラゴンは咆哮し、翼を羽ばたかせると同時に自身の刃のような黒曜石の鱗を飛ばす。


「"アースウォール"」


 対し、ノアは石突きで地面を小突き、地属性魔術の防御魔術を行使して鱗を防ぐ。

 そして、鱗が止むと土の壁を足場にしてオブシディアンドラゴンの右翼を目掛けて跳ぶ。

 オブシディアンドラゴンは宙にいるノアに黒い火球を飛ばすも、ノアの鎌によって分散され、そのまま右翼を根本かから切り取られてしまった。


「GYAOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOO!!??」


 レベル6535であるオブシディアンドラゴンは、今までに感じたことのない痛みに叫ぶ。

 そんな彼の右足をノアは容赦なく斬る。

 バランスを崩し倒れたオブシディアンドラゴン。


「"メテオ"」


 魔術を行使しながら後退したノアは、オブシディアンドラゴンに背を向けて着地すると、またもくるっと大鎌を回して石突きを地面に立てた。

 それと同時に、激しい爆発音と共に隕石がオブシディアンドラゴンを押し潰す。

 オブシディアンドラゴンは断末魔も上げることなく消滅した。


「いっちょあがり」


 ふぅ、と一息ついたノアは大鎌を肩に担いで、のんきにお喋りしてる一人と一匹の元へと戻った。


「あ、おかえりなさいマスター」

『化け物め』

「ああ、ただいま。ギル、お前は飯抜きな」

『!?』

「まさか黒曜龍まで出てくるとはなぁ」

「レベル6500台とかブレイスト地方に行かないとお目にかかれませんしね」


 ブレイスト地方とは、高レベル帯の魔物が徘徊する魔境のことだ。

 一応人は住んでいるのだが、如何せん魔物が強すぎて商人なども訪れない閉鎖的な国となっている。


「ブレイスト地方か。彼処手付かずの場所多いから自然が綺麗なんだよな」

「ブレイスト地方も後で行きます?」

「ああ、その為のこのレベルだからな。さて、そろそろ街へ戻ろう。予想以上の仕事だからな。レグルスに文句言ってやらんと」

「あはは! 程ほどにしてくださいね?」

「俺は自重しない」

「さすがマスター! 略してさすマス!」

「やめろ」

『飯ぃ・・・』


 ノアは冒険者装備に着替えると、一人と一匹を連れて魔物の死骸で覆われた大地を談笑しながら街へと戻って行った。


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