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目覚めたらそこは知ってる世界でした

 あまりの明るさに目を覚ますと知らない天井だった。

 身体を起こし、回りを見渡してみると必要最低限の家具と、見覚えのあるチェストしかない質素な部屋だった。

 俺はこの部屋に見覚えがある。


「ここはギルドの・・・俺の部屋?」


 そう、ここは俺達のギルド【白】のギルドハウスにある俺の部屋。

 ほぼ倉庫と化している俺の部屋だ。

 そして気づく、視界の端にあるHP&MPバーの存在に。


「いつからユグドラシル・オンラインはVR対応になったんだ?」


 と、つい声が漏れてしまう。

 だが、俺はVRなんてものは持っていないしなぁ。

 視線を下に向け手を見る。そこには死神シリーズの小手があった。

 手の感覚がある。グーパー繰り返すその仕草に違和感はない。

 脳からの信号に遅延はないその動き。握った時に感じる感触も現実と変わりない。

 最近のVRは進んでるなぁと思いつつ。今日は会議があったなとログアウトしようとメニューを表示・・・。

 ってどうやるんだか。


「ふむ。この前読んだ小説にVRのメニュー表示方法あったっけか」


 確か、こう・・・メニューのUIをイメージするだったかな。


「お、出た。すげぇ! 半透明でちょっと発光してるのか?」


 出たUI画面は見慣れたユグドラシルの物で、それは薄く水色に発光していた。

 ログアウトを探すが・・・。


「ない・・・だと!?」


 いつもの場所にログアウトボタンがなかった。

 すべてのUIを表示させたがどこにもそれらしき物はなかった。


「なんだこの展開・・・。夢か?」


 試しに自分の顔面を殴ってみた。


「ヘブッ!?」


 いってぇ・・・。

 いってぇしHP減ってるし、夢じゃない?


「となるとなんだ? まさか現実なのか?」


 もう一回UIを表示させてステータスを確認。

 今まで通りのレベルカンストのイカれたステータスだった。


「外に出てみるか」


 ギルドハウスから外に出る。

 見知った街並みだが、所々知らない建物がある。

 そして、道行く人たちにちらちら見られる。

 まあ、装備が死神シリーズのままだしな。

 一度ギルド内に戻って死神シリーズから適当な冒険者装備に変える。

 さて、探索だ。


 街をのんびり練り歩く。

 お、リンゴ。


「いらっしゃい」


 立ち寄るとおっちゃんが笑顔で対応してきた。

 どう買うんだ?

 アイテムボックスを開いて確認。

 ん? 無限財布?

 こんなアイテムあったか?

 まあいいや。


 リンゴは確か10シルバーだったな。

 財布から10シルバーを出してリンゴをもらう。

 ここで少し確認しておこう。

 NPCなら問いかけに同じことしか返してこないが、現実であるならばちゃんと返してくれるだろう。

 とりあえず、冒険者組合について聞くか。


「すみません。冒険者組合ってどこにありますか?」


 冒険者組合とは、ラノベとかで言う冒険者ギルドみたいな物だ。

 そこで依頼を受注したりできる。


「冒険者組合ならこの通りを進んで二つ目の角を曲がったところにあるよ」


 現実・・・なんだな。

 ゲーム時代ならこの人は「何を買う?」か「また来いよ」しか言わない。

 問いに答えたってことはつまりはそういうことだな。


「ありがとうございます」

「いや、冒険者にはお世話になってるからね。よろしく頼むよ」

「任せてください」


 俺はおっちゃんにお礼を言って冒険者組合に向かった。

 画面越しに見ていた世界を、まさかフィルターなしで見れる時がくるとは思わなかったので、冒険者組合まで色々見ながら回ったため、結構かかった。


 組合の建物も画面越しと現実ではやはり立体感というかなんというか、何か違う。

 建物の中に入ると、最初に目に入るのは酒を飲んでいる冒険者たち。

 ここは酒場も兼ねてるので、昼間から冒険者たちが飲んでいても不思議はない。

 その飲んだくれ達からの視線を一身に受ける。

 こっち見んな!


 飲んだくれどもは俺へ一目くれるとすぐに雑談へと戻った。

 それを確認した後、俺は受付へと向かう。

 今回来たのには目的がある。

 もしもここが現実であるならば、俺以外のプレイヤーがこちらに来てる可能性もある。そう言った情報を得るためにだ。


「いらっしゃいませ。ギルドカードを見せていただけますか?」


 今回は迷わずカードを出す。

 これはゲーム時代と変わりはない。

 ギルドで依頼を受注したりする時は、カードを提示しなければならないと言うめんどくさい仕様なのだ。

 カードもアイテムボックスに入ってるので取り出して見せる。


「え・・・」

「え?」

「えええええええええええええええええええええ!?」

「お、どうしたどうした?」


 いきなり叫ぶ受付嬢に酒場のメンツが全員こっちを向いた。


「ノア!? ノアあああああああああああああ!?」

「おう、どうしたどうした?」


 酒場のほうでも「ノア?」「あの?」などとヒソヒソ何か話している。


「あのギルド【白】のリーダーのノアさんですか!?」

「え? ああ、そうだけど」

「あの伝説の!?」


 伝説って?


「どの伝説か知らんけど、ノアは俺だな」


 名前かぶりが出ない仕様だったのでノアは俺だけのはずだ。


「なんでそんなに驚いてるんだ?」

「それは・・・」


 受付嬢が驚いた理由を話しだした。

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