遺跡調査
ギルの案内により、未探索エリアへと足を運んだ俺達。
このエリアには魔物の反応がないので、戦闘はなさそうだ。
「まさか、ギルがいた最奥の部屋の更に奥にも部屋があるとはな」
そう、未探索エリアがあったのはギルがいた部屋の奥。
隠し扉を開いた先にあったのは一つの広い部屋だった。
その部屋は白を基調とした、どこか神聖な雰囲気を醸し出す神殿のような場所だった。──否、ここは神殿で間違いないだろう。
部屋の奥には祭壇のようなものがあり、さらにその奥の壁には美しい女性の像が佇んでいた。
俺達は祭壇の前まで移動する。
「・・・本?」
祭壇の上には一冊の本が置いてあったので、警戒しながら手に取る。
【この世界について】と背表紙に書かれていた。
危険性は無さそうなので、本を開いて読むことにした。
【この本を見つけた貴方はプレイヤーですか?】
一ページ目に書かれていたのはこの一文。
【いえ、愚問ですね。オリジンを退け、この部屋に来れるのはプレイヤー位ですからね】
次のページの一文。
【この本が読まれていると言うことは、このユグドラシル・オンラインの世界が本物になったと言うことでしょうね】
三ページ目の一文。
一ページにつき一文しか書かれていないのかこの本は。
【では、なぜ貴方達プレイヤーが#終わったはず__・__#の世界に呼び戻されているのか?】
【そんな疑問を持ったがため、貴方はこの場にいるのでしょうね】
【私はそんな貴方の疑問にお答えするため、このような形でお話しすることにしました】
【一ページに一文しか書かれてないから読みにくいとか思わないでください】
【書く方も書きにくいんですから】
なら普通に書けよ。
【さて、お話ししましょう。貴方達プレイヤーの皆さんが呼び戻された理由を】
やっと本題か。
【ゲームだった時代が終わり、現実となったユグドラシルは──あ、すみません。時間切れです。続きは他のオリジンの遺跡でお話ししますね】
は?
【この本は5秒後に燃えてなくなります】
最後のページにそう書かれており、ジャスト5秒で燃え上がって灰になった。
「・・・」
キレそう。
「何が時間切れじゃ! ふざけんな! 本に書いてんだから時間切れもクソもないだろうが! やっとモヤモヤが晴れるかと思ったらまさかの引き延ばしッ! 誰かに八つ当たりしてぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!」
『八つ当たりするなよ?』
「次のオリジンに八つ当たりするから安心しろ!!」
『(南無三)』
俺はモヤモヤとイライラに襲われながら遺跡を後にした。
途中で出会った魔物たちには悪いが、イライラの発散に付き合ってもらうとしようか。