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テイム

 仰向け、つまりは服従のポーズでゆらゆらと尻尾を揺らすその姿は、ゲーム時代に見た圧倒的な力の欠片も見られないただの犬っころと化していた。


「何がしたい?」

『もう殺すのはやめくれ! 服従するからやめてくれ! 久々に人間が来たと思ったらまさかのお主だった。勘弁してくれ! いや本当に!』


 よく喋る犬っころだこと。


「もう、お前を狩る意味もないから安心しろ」

『・・・本当か?』

「ああ、あの時が最後だ」

『よかった』


 そう言いながらオリジンウォルフは起き上がり、俺の前でお座りする。

 見上げるくらいデカい。


『それで、お主は何をしに来たのだ?』

「森の魔物の活性化の原因を突き止めにな」

『それ私が原因だ』

「そうか。お前が原因か」


 ならば仕方がない。

 俺は装備プリセットから死神シリーズを選んで装備する。


『やめろ! もう死にたくない! 死にたくないのだぁぁぁぁぁぁぁぁ!!』


 なんか面白いな。


「では聞こう。なぜ、お前が原因なんだ?」

『わ、私の魔力に当てられたのが原因だと思う。私の魔力は魔物には良い質だ。それを吸収したことが原因だろう』

「解決方法は?」

『私を殺すか──』

「わかった」

『待て待て!! もう一つあるのだ! 方法が!』


 なんだ、もう一つあるのか。


『もう一つは私をテイムすることだ』

「そうするとどうなる?」

『私から漏れていた魔力が契約を通して契約主の方に行くようになる。つまり私から魔力が漏れず活性化が収まると言うことだ』

「なるほど。ならば俺にテイムされろ」


 テイムとは魔物を仲間にする事ができるシステムだ。

 魔物を屈服させるか、なつかせることによってテイムが可能になる。


【オリジンウォルフが契約を承諾しました】


 と、UIが現れ、オリジンウォルフのステータスが表示された。

 一通り確認したあとUIを閉じてオリジンウォルフを見る。


『よろしく頼む』

「餌代がかかりそうな犬だな」

『餌言うな。狩りくらい自分でやる』

「まぁいいや。名前は?」

『お主が決めれば良い』

「サンシャイン伊藤」

『殺すぞ!』

「あ?」

『申し訳ない。だが、その名前はやめてくれ』

「冗談だ。ギルターでいいか?」

『ふむ、意味は?』

「煌めきという意味だ。本来はグリッターだが、捩ってギルターにしたって感じだな」


 俺にしては中々のネーミングセンスだと思う。


『うむ、気に入った。これから私はギルターだ。主と共に歩もう』

「お前、移動時の乗り物な」

『なんと!?』


 驚くギルター。略してギル。

 こんなフワフワで乗り心地が良さそうなのだから、移動時の乗り物としては最高だと思う。

 もふもふだ。

 未だにお座りしているギルの胸辺りの毛をもふもふする。

 本当に野生なのか怪しいほど毛並みがよく、柔らかくて暖かい。

 いい乗り物を手にいれたものだ。


 だが、疑問に残る点が一つ。

 全てたおされたはずのオリジンがリポップしているのかだ。

 オリジンが倒され解放されたはずのこの世界。

 だが、こうして今オリジンが目の前にいる。

 まぁ、本人に聞けばいいか。


「聞きたいことがある」

『何を聞きたいかはわかるぞ。なぜ、私達が復活しているかだな?』


 ()()───つまり、ギル以外のオリジン達もリポップしているのか。


「ああ」

『申し訳ないが、私にもわからん。あの日あの時、お主に倒され私達は完全に消滅したはずだった。だが、気がついたらここにいて、こうして自由に喋れ、自由に動ける。私は思ったよ。解放されたとな』


 オリジン達もゲームと言う縛りから解放されたと言うことか?

 解放とは()()()からの解放と言う意味なのかもしれない。

 作られた世界から解放され、本物の世界となったと言うことか?

 よくわからないな。

 謎だ。

 とりあえず依頼達成と見ていいだろう。

 とっとと帰って報酬をもらいに行こうか。


「行くぞギル」

『うむ!』



遅れてすんまそ

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