神聖の森
王都を出て一時間の所にある森。神聖の森へやって来た。
ここは光の魔力の溜まり場で木から光の粒子が舞う不思議な森で、光属性の魔物が多くレベルも高いことで有名だ。
まぁ、もらえる経験値が割りに合わないので俺はあまり来なかったけどな。
一応名所のひとつだ。
森の入り口をスクショ。
キラキラと舞う粒子がとても幻想的で美しい。
が、それだけ。
ロマンはない。
フォルダに保存されたのを確認して、ズイズイ奥へと進んでいく。
今回は調査なので、魔物はガン無視して行く。
噛まれようが魔術を放たれようが無視する。
噛んできた奴の歯が折れたが、それも無視だ。
「Bumooooooooo!!」
「邪魔だ」
シャインカウが突っ込んできたが、角を掴んで投げ飛ばして前へと進んでいく。
ゲーム時代でもそうだが、なんでこの世界の魔物はレベル差無視で攻撃してくるのだろうか?
通常のMMOだったら、レベル差が開いているプレイヤーに対しては攻撃してこないと思うのだが・・・。
まぁ、暇よりはマシか。
魔物の攻撃をガン無視しながら、防具の耐久がゴリゴリ減っていくのを横目にどんどん奥へと進むこと、約20分。
「やっと着いた」
着いた場所は森の中にある遺跡。
人工物であったそれは、木々の侵食により自然と一体化しつつある。
ここは神聖の森最奥にあるダンジョンだ。
このダンジョンの推奨レベルは5250。
かなり高めに設定されたダンジョンだ。
オリジンの一体であるオリジンウォルフがいたのもこのダンジョンの最下層だったな。
おそらく、活性化の原因はここにあるのだろう。
ここまで来るのに少しばかり調べたが、特にそれらしいのがなかったので、もはやここしかない。
とりあえずスクショ。
自然に侵食された建物なんてわかってるねぇ。ロマンが溢れてるじゃないか。
「さて、行こう」
ダンジョンに足を踏み入れる。
中は石材のみで作られていて、壁面にはオリジンウォルフに関する壁画が残されていた。
オリジンウォルフ───と言うより【オリジン】の設定は、神に初めて作られた5つの生き物のことで、原龍、原狼、原鯨、原鳥、原人のことを指す。
原狼は陸上の支配者、原鯨は海の支配者、原鳥は空の支配者、原人は種族の支配者、そして原龍は世界の支配者と言われている。
支配者と言われるだけあって、圧倒的なレベルを誇る。
今まで全オリジン種を倒せたのは俺ただ一人。
確か、原鯨と原狼はレギオンレイドで倒されたことがあるとなんとか。
そんなことをギルメンが言ってたな。
正直、オリジン種はレベルが高いだけであって、動きがわかってしまえば勝てない相手ではない。
俺も初見はかなり手こずったもんだ。
まぁ、慣れてからはレベル9000台のレベリング相手にしてたけどな。
また経験値が美味いんだなぁこれが。
いかに速く狩って経験値稼ぎをするかが最後の方の楽しみだったな。
脱線してしまったな。
オリジンが支配者と言う名であることから、今いるこの世界が解放されたと言う話は、オリジン達の支配から解放されたと見ていいのだろう。
オリジン達はリポップするまで30分かかるので、倒してリポップする前にサービスが終了したので、そう言う話になっていたのだろう。
っと、色々仮説を立てていると遺跡の最奥に辿り着いた。
「・・・あ?」
そこで見た光景に俺は眉間にシワを寄せてそう声に出した。
理由は──
「 なんで腹向けてんだ・・・こいつ」
広間の真ん中に仰向けで寝転んで尻尾を振るデカい狼──オリジンウォルフがいたからである。
(´・ω・`)