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監視です!


 

 輸送部隊を見つけるとやはり夜営準備をしていた。

 

 『流石に火は焚かないか、平原だとすぐバレるし』

 

 陣地に焚き火らしき物はみえず、もう少し暗くなると完全に見えなくなることが予想できた。

 

 『どうしますか?レイテさん達呼びます?』

 

 カナルが聞く

 

 『呼ぼうか。暗くなりすぎるとお互いの位置把握すら困難になる。ガダル!現在地は?』

 

 『本隊のいる地点から東北東に25キロ、高速できたら30分くらいでこれると思うぜ』

 

 空を見るとちらほらと星が見えはじめ、藍色に染まり出している。

 

 『ギリギリかな…マリアナ、レイテに通信送って。内容は"現在地から東北東25キロ地点にて合流求む、速度は最速、5キロをきれば低速で、その際通信求む"復唱!』

 

 『え、えと"現在地から東北東25キロ地点にて合流求む、速度は最速、5キロをきれば低速で、その際通信求む"……あ、あってますか?』

 

 『あってるよ!流石だね、早速よろしく』

 

 そう言うとマリアナはすぐに無線で話しかける。

 

 よく覚えれるなぁ…なかなか長かったとおもうんだけど。

 

 マリアナはこの特務部隊で一番優秀な通信手だと思う。通信内容の暗記は文句なしに一番だ。……少し気弱な所もあるけど、可愛らしくていいと思う。

 

 『なー、ラン様、ビスケット食べても良いか?腹減っちまったよ』

 

 『あ、ガダル、食べるなら僕にもわけて』

 

 『いいよ、小休止としようか』

 

 ガダルとカナルは兄弟だ。双子らしいけどあんまり似てない。二卵性双生児なのかな?

 ガダルは操縦手で言葉づかいと裏腹にかなり頭が良い。Ⅲ号のイグニッションの入れ方、ギアの切り替え、速度計と時間を見ての距離把握、これらはガダルが部隊内で随一の精度を持っている。

 

 カナルは今は装填手だが、本来は工兵だ。一度試しにエンジンをネジまでバラして組み立て直させるという試験を行ったが部隊内唯一の合格者だ。因みに私は履帯すら直せないし、他の人も同様だ。

 

 『通信終わりました!"了解、そちらに向かいます"だそうです!』

 

 そんなことを考えている内に終わったようだ。

 

 『うん、わかった。じゃあマリアナも休んでて良いよ、お腹減ったでしょ?』

 

 『で、では…お言葉に甘えて』

 

 そう言うとビスケットの缶を開け食べ始める。味気なく感じるがこれが結構甘いのだ。

 

 『ソロモンも休みなよ?ずっと監視してるでしょ?』

 

 ソロモンはずっと砲の照準機越しに敵陣地を見ている。 

 

 『…気遣い感謝する。だがまだ大丈夫だ、隊長こそ先に休んでくれ』

 

 『じゃあ食べ終わったら監視代わるよ、それでいい?』

 

 『……わかった』

 

 そうと決まれば早く食べ終わろうか。ビスケットと水を持ち、ハッチから頭を外にだす。

 

 『この世界の星はやっぱり綺麗だな』

 

 満天のと言う言葉さえ足りない程の星が空に浮かんでいる。排気ガスも町の灯りもないとここまで綺麗になるのか。

 

 『そう言えばこっちにも星座はあるの?』

 

 『ありますよ?星座自体余り知られていませんが"神官ユーストス座"とか"勇者グリオン座"とかでしょうか、伝承など詳しい話は覚えてませんけど……すみません』

 

 マリアナが答える。やっぱりあるんだね。でも余り知られていないと言うのは本当みたいだ。ソロモン以外皆驚いた顔をしている。

 

 『十分だよ、私も元の世界の星座の伝承なんて覚えて無いしね。そんなもんだよ』

 

 『ああ、言えるだけ大したものだ。俺は知らなかった。驚いたよ』

 

 ……ソロモン、驚いてたんだ。

 

 そのあと監視を交代して雑談に興じていると

 

 『───こちら二号車レイテ、応答願います』

 

 通信が来た、着いたのだろうか?

 

 『はい、こちら一号車マリアナです。何かありましたか?』

 

 『全車20キロ地点に到達、低速に切り替えそちらに向かいます。こちらが見えますか?』

 

 『隊長、後方に本隊が見えるか、確認願います』

 

 『わかった』

 

 望遠鏡をつかい後ろを見る………居た。

 

 『発見!進路そのまま、現在速度を維持!』

 

 『こちらからは視認ができたようです。進路はそのまま、速度は現在速度を維持してください。そちらからは見えますか?』

 

 『こちらも発見した。了解、音に注意しつつ向かいます』

 

 『了解しました、通信終了。こちらを見つけたようです。音に注意しながら向かうそうです』

 

 『よし、休憩は終わりだね。夜襲の準備をしないと』

 

 『そう言えば具体的にどう夜襲を仕掛けるんですか?』

 

 『もちろん突撃!…と言いたいところだけど今回は見送るよ』

 

 『なんでだ?別に銃は脅威じゃないだろ?』

  

 『んー、あくまで感だからそこまで当てにはならないんだけどね。後装式のライフルを造って手榴弾を造って無いわけがないと思うんだよ。あれは技術力関係なく当たれば行動不能になりかねないからね』

 

 『……確かに横にくらえばホイールが割れるかもしれない、後ろに食らえばエンジンも動かなくなるだろう』

 

 お、珍しくソロモンが長文を話した。今日は運がいいかも知れない。

 

 『え"…流石に爆弾で壊れたエンジンは直せませんよ……』

 

 カナルは若干引きつった顔をしている。

 

 ……まぁ、壊れたら直すのカナルだからね。

 

 『というわけで今回は遠距離からの狙撃だね、優先的に馬車を狙って、余裕があるなら馬と人って感じ』

 

 おずおずとマリアナが手をあげ

 

 『通信で伝えておきますか?』

 

 と聴いた。

 

 『そうだね。じゃあまた頼むよ』

 

 『わ、わかりました』

 

 忘れないうちに…… 

 

 そんなことを呟いているがまぁ、大丈夫だろう。少なくとも話してるのを聞く限り別段問題は無さそうだ。

 

 『全車より了解とのことです。あと、10分程で到着するとも』

 

 『じゃあ、詳しい作戦内容は揃ったら話しますか、それまで各自覚悟でも決めてて』

 

 冗談を込めてそう言って目を瞑り策を練る。

 

 ……さて、どう殺してやろうかな?

 

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