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その日のお母さん
お母さんはその日だけは上機嫌だった。
いつもはしないのに化粧をして、真っ赤なワンピースに白のカーディガンをきて、とびっきりのハイヒールを履いてた。
まるで、そんなお母さんの姿は青春を夢見てる女子高生みたいで少し、そう少しだけ恐怖じみたものを感じた。
何か見てはいけないような。
私が知ってはいけないようなこと。
そう、まるで「あの人」の元に行くときみたいな。
浮き足立って、ドキドキして居ても立っても居られない様な。
そんな、危ない感情をその日のお母さんは惜しげも無く私に見せていた。