会合が始まります
タイムリミットはあと5日。焦る私のことなんてお構いなしに時は流れていく。そんな今日は月に一度の会合だ。本家である稲月組に大勢の強面のおじさん達が集まり、いたる所にに黒スーツの群れができる。月に一回、この日になると直接関係がないが胃が痛くなる。この屋敷に生まれ変わって26年たつがこの世界に到底馴れそうにない。最初の5年間は私が組を継ぐような流れで毎日どう逃げようかとビクビクしながら過ごしていたが、嬉しい事に弟ができた。弟ができたその時から、組を継ぐ権利が弟に移ったことを昨日のことのように覚えている。
あの時は泣いて喜んだわねぇ……。
しかし、あの可愛い弟に全てを押し付けてしまった気がして何とも後ろめたい。
本当は組を継ぐのが嫌なのではないだろうか。弟が継ぐことに関して意見を発したことはない。いや、意見を言うことができなかったのでは?もし、そうであったら、きっとこれも嫌われている原因の1つなのだろう。だからといって、私が組を継げるわけがない。前世では普通の専業主婦であり、その記憶はしっかり残っている。そのため、感覚は一般人に限りなく近い。もともと組を継げるような器ではないのだ。
……何で、こんな所に生まれ変わってしまったのかしら……。
私は1人、その場から離れるのであった。




