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ハイヒールを履いた女  作者: 紅山帝弼
3/5

「疲れたわぁ」

「そうですね〜」

溝端と一緒に職員室に戻ってきた平野は、溝端の大きいため息と同時に発せられたその言葉に、大きく首を縦に振って答えた。

「良いスピーチでしたよ!平野先生」

日田がいつの間にか横に立って笑顔で微笑む。

「いぇそれほどでもぉ」

疲労感がむき出しになった顔で存在していた平野だったが、日田にそう言われ自然と笑顔になった。日田が隣の自分の席に座り、平野の方に端正な顔を向けた。

「さっき言ってた特○ですけど、」

「そうです、そうです!あれなんなんですか?」

平野が真剣な顔になる。

「簡単に説明するとですね、この学校には二つの科がありましてね、さっきあなたが見たのが普通科の総勢300人の生徒達です。で、もう一つ、あそこには居なかったんですけど特A〜Cという三つのクラスがありまして、学力偏差値が異常に高い生徒の中からたった30人の選ばれた生徒が通っている科があるんです。」

日田が一息ついたその瞬間に平野が割り込む。

「待ってください、私そんなところがあるって聞かなかったんですけど…」

「まぁ僕も初めてここに来た時は驚きましたよ。慣れましたけどね」

不安な顔の平野に諭すように言う。

「ていうか何で始業式に来ないんですか?」

平野が問う。

「特別ですからねぇ〜あの科は...」

どこか遠くを見ながら日田が呟く。

「おかしいです!そんなの、生徒に特別扱いなんてないと思います!」

突如平野が熱くなる。

「僕もそう思うんですけどね、まぁ特A〜Cの先生方には言わない方がいいですよ。特に特Cなんてそんなこと言ったらなにされるかわかりませんよ。」

「特C?」

平野が問いただすと日田が顔をしかめて答えた。

「あそこの担任はちょっとおかしいのでね、まぁ確かに特A〜Cがあるからうちの学校が全国トップの学力になるのだけれども。」

「堀花織先生でしたっけ?」

「そうです。」

まぁ気をつけて下さいね、と日田が付け加える。

「どうしてですか?」と平野が続けると、

「今年度は特A〜Cの先生方が何処かのクラスの副担任に来るのよ!」

と横で日田と平野の話を聞いていた溝端が騒ぐ。

うちのクラスだったらどうしようと平野は思ったが、悪いことを考えるのは辞め、そうなんですねぇ、と話を流した。

あの荘厳なチャイムがまた鳴り響く。

「それでは先生方は教室へ行って下さい!」

丹羽が奥から出てきて、声を張り上げた。

さぁ今日から教師生活が始まるぞ、と平野は職員室を出る際、ガッツポーズを右手の拳を握りしめて作り、自身の気合を再び入れ直した。

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