青いカラスの逃走
かつて黒い翼を持っていた美しい男。
彼は今、見るも無残なくすんだ青いカラスに変えられ、森の中を必死に駆け、迫り来る集団から逃げていた。
以前なら太刀打ち出来ただろうが、今の貧弱な姿では、あの恐ろしいモノ達をどうにかすることなど出来ない。
女のように化粧を施し、ドレスを着ていてもガタイはどうみてもオス。それが、彼を見るなり「好みのタイプよぉ。食べちゃいたいわ~」と目を輝かせながら近づいてくるのだ。
ムサい男など自分の引き立て役だったはずが何故、集団で自分に迫ってくるのか。
逃げねば死ぬより恐ろしいことになるに違いない。
カラスは必死に走り、漸く見つけた少女に助けを求めた。
しかし…
「い、いや!この鳥。近寄らないで」ほうきでおい払われた。
今まで女に嫌われたことなどなかった彼は、傷つきながらもムサい男から如何に逃げ切るか、頭が一杯だった。
この現状全てが呪いのせいだとは、まだ気づいてもいなかった。