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第三発明 伊沢博士はとめられない?のじゃ

第3話


世はまさにグルメ時代。

たけきのこの国には、二つの争いを乗り越え、久しぶりの平和が訪れていた。

国民たちは、アミノ酸スコア91を超える

「ポテチョコ」――もとい

「プロテインチップス」を食べながら、幸せをかみしめている。

しかし――

その穏やかな日常を、慌ただしい足音がかき消した。

研究室の扉が勢いよく開く。


「博士!大変です!今度はそば派とうどん派が争っています!」


飛び込んできたのは、近所の親方だった。


「ええぇー、今度は麺ですか??」


白衣を着た女性が驚いた顔をする。


彼女の名は――

カルテ・バレンタイン。

伊沢博士の助手であり、研究を手伝う学生である。


カルテは親方に水を差し出した。

「一回落ち着いて。ゆっくり説明してください」

その時だった。

研究室の奥の扉が――

バタン!!

激しく開いた。

「そいつはいかん。平和がワシを呼んでいるのじゃ」

現れたのは、ボロボロの白衣をまとった男。

爆発したような白髪。

丸眼鏡。

手にはメモ帳。

そう――

伊沢博士である。

博士は愛用のダンベル――

ミケランジェロと名付けたそれを床に放り投げると、研究室を飛び出す。

「博士!まずは話を聞きましょうよ!」

カルテの声が虚しく響いた。

________________________________________


広場では、すでに争いが最高潮に達していた。


そば派が叫ぶ。

「そばのこの香り高さがわからないなんてありえない!」


すると、うどん派が言い返す。

「このもちもち食感と食べ応えがわからないのか!」


ついには――

そば派とうどん派が

お互いの麺で首を絞めあっていた。

そこへ颯爽と現れる一人の男。


博士は争う人々を見渡し、静かに言った。

「みんながこれ以上争う姿を、ワシは見たくないのじゃ……」

拳を握る。

「ワシが……ワシがこの国を平和にしてみせるのじゃ!!」


カルテがつぶやく。

「博士……今度こそ発明で解決ですよ」


こうして博士とカルテは、来る日も来る日も研究に研究を重ねた。

そしてある日。

巨大な装置の前に立つと、博士は大量のそばとうどんを投入した。

装置は唸りを上げる。


ゴゴゴゴゴ……


そして――

一つの麺が誕生した。

その名も、


そどん。

そばの香りとうどんのもちもち感を併せ持つ、奇跡の麺である。


カルテが目を輝かせる。

「博士、ついにやりましたね!」

博士は静かにうなずく。

「あぁ。やっと完成したのじゃ。これで平和を取り戻すのじゃ」


そば派が言う。

「食べた後の充足感……毎日でも食べたいぜ!」

うどん派も言う。

「香りがよくて、もちもちしている。最高だ!」

国民たちはそどんをすすり、笑い合った。

こうして世界には――

すすり切れない平和が訪れた。


――かに見えた。


その平和を乱す者が現れたのである。

それが――


パスタ派である。


パスタ派は鼻で笑った。

「フンッ、そばやうどんなんて古い古い」

「味にレパートリーがないんだよ」

「パスタは世界で愛されてるんだぜ」


国中にパスタがばらまかれ、

たけきのこの国は再び大混乱に陥った。


博士は静かに言う。

「落ち着くのじゃ。争う必要はないのじゃ」

「麺もみんな違って、みんな良いのじゃ」

しかしパスタ派は聞く耳を持たない。

「パスタこそ最強!」

「ソースが合わないものは時代遅れ!」

広場は騒然となった。


カルテがつぶやく。

「……嫌な予感がするなぁ」


沈黙が流れる。

博士はゆっくりと立ち上がった。

そして――

白衣の袖をまくった。

周囲がざわつく。

カルテが戸惑う。

「博士?……まさか?」

博士は近くにあったパスタを手に取った。

バキバキバキッ

それを――

力任せに真っ二つにした。

「仕方がない……平和のためなのじゃ」

カルテが叫ぶ。

「やめてっ!イタリアの人に怒られるわよ!!」

次の瞬間――

博士の拳がうねりを上げる。


はずだった。


その拳を――

一人の男がつかんだ。

広場が静まり返る。


男は静かに言った。

「あんた、強いんだってな」

「ここらじゃ評判だぜ」


カルテが息をのむ。

「……誰?」


男は薄く笑った。

「ただの雇われさ」

そして博士を見据え、言った。

「じいさん――」

「俺と少し遊ぼうぜ」

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