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第二発明 甘くない助手カルテ登場なのじゃ

世はまさにグルメ時代。


たけきのこの国には、久しぶりの平和が訪れていた。


国民たちは、アミノ酸スコア90を超える「たけきのこの国」を食べながら、幸せをかみしめている。✨


しかし――


その穏やかな日常を、慌ただしい足音がかき消した。


「博士!大変です!今度はチョコ派とポテチ派が争っています!」


研究室の扉を勢いよく開けて飛び込んできたのは、一人の少女だった。


彼女の名は カルテ・バレンタイン。


国を平和にした伊沢博士の手助けをしつつ、

高齢となった博士の研究を受け継ぐため、国から派遣された学生である。

挿絵(By みてみん)

金色の髪を上下に揺らし、ずり落ちた眼鏡を慌てて直す。


「そいつはいかん。平和がワシを呼んでいるのじゃ。」


「ま、待ってください!はかせぇ~!!」


博士は愛用のダンベル――

ニュートンと名付けたそれを床に放り投げると、研究室を飛び出した。


広場に出ると、争いはすでに最高潮に達していた。


チョコ派が叫ぶ。


「このとろけるような甘味がわからないのか!口の中に幸せが広がるんだぞ!」


するとポテチ派が言い返す。


「甘いだけじゃすぐ飽きる!しょっぱさこそ正義だ!」


ついにはチョコが投げられ、

ポテチが手裏剣のように飛び交っていた。


そこへ現れる一人の男。


ボロボロの白衣。

丸眼鏡。

爆発したような髪。

手にはメモ帳。


そう――


伊沢博士である。


博士は争う人々を見渡し、静かに言った。


「みんながこれ以上争う姿を、ワシは見たくないのじゃ……」


拳を握る。


「ワシが……ワシがこの国を平和にしてみせるのじゃ!!」


カルテがつぶやく。


「博士……」


こうして博士とカルテは、研究に研究を重ねた。


そしてある日。


巨大な装置の前に立つと、博士は大量のチョコとポテチを投入した。


装置は唸りを上げる。


ゴゴゴゴゴ……


そして――


一つのお菓子が誕生した。


その名も、


ポテチョコ。


ポテチをチョコでコーティングし、

チョコの甘さとポテチのしょっぱさを両立させた奇跡のお菓子である。


カルテが目を輝かせる。


「博士、ついにやりましたね!」


博士は静かにうなずく。


「あぁ。やっと完成したのじゃ。これで平和を取り戻すのじゃ。」


チョコ派が言う。


「しょっぱさが甘さを引き立てる!」


ポテチ派も言う。


「甘さとしょっぱさが交互に来て、いつまでも飽きない!」


国民たちはチョコと塩にまみれた指を見て、笑い合った。


こうして世界には、

甘さとしょっぱさが交差する平和が訪れた。


――かに見えた。


その平和を乱す者が現れたのである。


それが――


酢昆布派である。


酢昆布派は偉そうに言った。


「甘いやらしょっぱいやら……子供かよ。」


「取りすぎたら体に悪いんだぜ。」


「酸っぱい味こそ大人の証だ。」


国中に酢昆布がばらまかれ、

たけきのこの国は再び大混乱に陥った。


チョコ派が怒る。


「甘さがない!」


ポテチ派も怒る。


「しょっぱさがない!」


博士は深くため息をついた。


「落ち着くのじゃ。争う必要はないのじゃ。」


博士は静かに言った。


「お菓子はみんな違って、みんな良いのじゃ。」


しかし酢昆布派は聞く耳を持たない。


「酸っぱさこそ最強!」


「酸っぱくないものは時代遅れ!」


広場は騒然となった。


沈黙が流れる。


博士はゆっくり立ち上がった。


そして――


白衣の袖をまくった。


周囲がざわつく。


カルテが戸惑う。


「博士?いったい何を……?」


博士は近くにあった酢昆布を手に取った。


ミチミチミチミチッ


それを――


力任せに引き裂いた。


「仕方がない……平和のためなのじゃ。」


次の瞬間――


博士の蹴りが炸裂した。


ドゴッ!

バキッ!

メキョッ!


博士は酢昆布派を容赦なくボコボコにした。


酢昆布のような青緑色の顔になった酢昆布派たちは、悲鳴を上げながら逃げ出した。


「酸っぱさが最高なんて嘘っす!」


「やっぱ甘さとしょっぱさしか勝たんっす!」


こうして酢昆布派は撤退し、

たけきのこの国には再び平和が戻った。


カルテはぽつりと言う。


「私、酸っぱいのも好きなんだけどな……」


戦いのあと。


カルテは、あることに気づいた。


博士の足が――


明らかに太い。


「博士……その足って……?」


博士は静かに答えた。


「やはり世界を守るには、甘じょっぱさだけでは足りないのじゃ。」


こうして博士はレシピを改良した。


それ以来、ポテチョコには

あるものが混ぜられるようになり、

名称もほんの少しだけ変えられた。


その名は――


プロテインチップス。


こうしてたけきのこの国に、二番目の


筋肉を育てるお菓子


が誕生したのであった。


めでたしめでたし。


今日も伊沢博士は研究室で、

ニュートンと名付けたダンベルを持ちながらつぶやく。


「発明は世界を救う。

だが筋肉は――

もっと手っ取り早く救う。」


カルテがぼそっと言った。


「……なんか研究してる時より、ずっとすっきりしてません?」

2話目も読んでいただき感謝、感謝です。

あと一話、あと一話だけ読んでください。

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