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「3月9日」

今回はレミオロメンの「3月9日」。

男女の恋とは関係ないですが、親子の「愛」のお話です。

挿絵(By みてみん)



卒業式の後は、いつも連んでいる四人組でカラオケに行った。

いきものがかりの「YELL」、YOASOBIの「ハルカ」、SGの「僕らまた」といった卒業ソングをみんなで歌った。


美摩が歌っている時、マイクを通して「亜衣、サッカー部の大西君の校章をもらいにいったけど、断られてたよ」とみんなにばらして笑っていた。

亜衣は、「だー!なんで知ってんの?」と怒った後にすぐ笑った。


結有が、「春菜のお父さん、卒業式に来てたね」と言った。「号泣してたよ」とこっちも笑っていた。

「まじぃ?気付かなかった。父兄の席はあえて見ないようにしてたし」と私。

「でも仕事休んで来てくれるってすごいよ。それにさ、毎日お弁当作ってくれてたじゃない?」

「本当は学食でも良かったし、自分で作るべきだったんだけど・・・『高校を卒業するまでは俺が作る!』って聞かなくて」

「いいお父さんだよ・・・」


いつもはカラオケを夜の8時まではするのに、卒業式というのもあり、私達は家族と夕飯を過ごすことにしていた。

「次は卒業旅行のユニバで!」

そう言って別れた。


私は6時に帰宅した。

その日、有給を取って休んでいたお父さんがエプロン姿で出迎えた。

「春菜、卒業おめでとう!」と笑顔で迎える。

「お父さん、はい」と私は卒業証書を渡した。「お父さんの卒業証書でもあるよ」

「そ、そうだな・・・。今さ唐揚げ、漬けてるからもう少し晩ご飯待ってて」

卒業証書を持ってキッチンへ戻って行った。


私は自分の部屋で部屋着に着替えた。

これから先のことを思う。

私は四月から東京の大学に行く。

「お父さん、一人で大丈夫かな」と高校三年になったばかりの頃から考えていた。


母が亡くなって小学一年の時からずっと二人で過ごしてきた。

夏休みには母の実家に帰り、春休みは父の実家で一週間ほど過ごした。

入学式にも卒業式にも必ず父は参加してくれた。

他のお母さんに交じって父兄参観も。

父の有給は、ほぼ私のために費やされていたのではないかと思う。


運動会の日は朝一番にいい場所を取り、大量のお弁当も作ってくれた。


男子にイジめられた時は、その子の家まで行ってそこの父親と言い合いになった。


3個入りのプリンの残り1個を食べた時や私の部屋に勝手に入った時は喧嘩になったけど。


高校の三者面談で私の志望校を見て先生が、

「春菜さんの今の成績ではかなり勉強しないと難しいですよ。滑り止めも考えておいてください」と話した時、

「まだ一年もあるじゃないですか?春菜は頑張るに決まってるじゃないですか」と言ってくれた。

「うわっ、めっちゃプレッシャー」と思ったが、あのお父さんの言葉で頑張って合格出来たんだと思う。


私はキッチンへ行く。

父が唐揚げを揚げていた。

私の一番の好物で、ニンニクが少しだけ入っている母の味を受け継いでいた。

運動会の日には必ずお弁当に入っていた。


「手伝うよ」と言うと「そうだな」と、「ポテトサラダ作ってよ。茹でたジャガイモとゆで卵あるから」と頼まれた。


雑談をしながら二人で晩御飯を作る。

もうあとこういうことも何回出来るだろうか。


晩御飯が出来ると、父は自分でビールを注いで「卒業おめでとう!」と乾杯した。

私は改まる。


「お父さん、今まで育ててくれて本当にありがとう」

「何言ってんだよ。結婚するわけじゃないんだから」

「そうだね(笑) 私、結婚できるかなあ?」

「してもらわなきゃ困るよ」

「うそだー」

「嘘です」

二人で笑った。


「後で卒業アルバム見せてよ」と父が言うので、「うん、一緒に見よう」と言った。


「お父さん、ありがとう」

また、心の中から伝えた。


読んでいただきありがとうございました。

恋愛小説の長編にもチャレンジしたいと思っています。

よろしくお願いします。

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