日常
目を覚ましうずめる顔を少し上げると車窓から海が見えた
力強く穏やかな波をたて朝日に輝いている
まだ冷たい空気を鼻先で感じ呆然と外を眺る
そしてまた目を閉じゆっくりと眠りにつく
高校は夏休みに入り天間 尊は転校を余儀なくされ、
地元を離れて海沿いの街の個人経営のカフェに向かっていた
ミコには海沿いにカフェを出す夢があった
カフェの経営者はミコの親戚の叔母さん、もし何かあった時にはミコに是非継いで欲しいと言ってくれたその時はとても嬉しかった
「セラさん、今日からお願いします」
元気よく挨拶して入った
「久しぶりねミコちゃん」
久しぶりに会った叔母のセラは嬉しそうにミコを迎えてくれた
「お久しぶりです」
「今日はお店お休みなのよね」
「そうなんですか、じゃあ普段の仕事を教えてください」
ミコの目は輝いて見え、やる気に満ち溢れていた
そんなミコを見て怪しく微笑むセラはとある提案をした
「今日はまずこの場所の魅力を知って欲しいの」
「はぁ…」
どうするのかと考えていると
「アレ持って来た?」
「あっ、はい持って来ましたけど」
「最高の眺めだわ」
水着を着て照りつける太陽で輝く海ではしゃぐミコを見てついそんな事を言うセラ
「セラさんどうかしました?」
黒い真珠の様な瞳で上目遣いをし心踊るのを抑えきれない口元から溢れる眩い笑みを魅せる
何より黒髪に色白な肌そしてセラの用意した黒い水着、その水着の隙間から見える立派な胸の谷間がズルい
ミコの持ってきた水着はセラに却下された
目が離せないではないか
「反則級ね、写真に収めさせてもらうわ」
「写真ですか、良いですけど」
少し恥じらいながらも笑顔を絶やさない
「連写やめてください」
「さっきのポーズもお願い」
「下心とか隠さないんですか」
セラはあたふたとサングラスを付ける
「ミコこそわざと誘惑してるわね、お見通しよ」
何言ってるんだこの人は
その苦笑いする少し呆れた顔もいいわ
「そんな訳無いじゃないですか
私泳いできますけど知らない女の子について行かないでくださいよ」
海に入りに行ってしまうミコ
「私はミコちゃん一筋よ」
「セラさんと離れたところまで来ちゃったみたい
でもこの辺は向こうより人多いなぁ」
ミコは泳いでいる間にセラと離れていた
セラが連れて来たこの場所は観光客が少なく地元の人に愛される場所で、そのため人が少ない
ミコがセラの元へ帰ろうとした時ふと音楽が流れた、その方を見ると一人の少女がマイクを持ち歌いだす
少女はミコと年は近く見え、綺麗な長い黒髪におっとりした目元、海の様に深みのある藍色の瞳は泳いで見える
通りかかる人が少し振り返って行く、一人のおばあちゃんだけがそばでずっと聞いている
終始抑揚は少なく表情も真面目なのか固い、ミコは初めて目の前で歌う自分と同じような年の子を見た
気づくとその少女の方に歩いていた、それは決して上手い歌では無く踊りや愛嬌もまるで素人だったがミコにはそれが輝いて見えた
ミコは新たな可能性を見出し、希望はどんどんと広がり心が弾む、
そしておばあちゃんの隣で自然と笑みを浮かべて聞いていた
一曲歌い終わり早速さと帰ろとする少女にミコは思わず話しかけた
「もう帰っちゃうの?あの歌凄く良いもっと歌ってよ
まだ一曲しか聞いてないよ」
少女は恥ずかしそうに顔を赤くしてる
「ありがとう、でも今日はもう終わりなの」
そう言って去ろうとする少女の肩に誰が手を置いて止める
「んーだよー、ユカちゃん
せっかくまだ聞きたい言う人がおるんやから歌ってあげな、そんじゃ優勝出来ひんで」
その子もまたミコと年は近いであろう少女
小柄で大晦日の月を思わせるような瞳がニヤニヤと覗いている
「カレンちゃんやっぱ私は無理だよ
それに優勝とか狙ってないし」
「まあまあしゃあないやろ、自分で言うたやから
ミサキは一度言ったら変えへん、ユウがやるしか無いんやで、そろそろ覚悟きめ」
優しく頭を撫でながらなだめてる
ミサキ...
すると歌っていた少女ユカはミコの前に来て
「あ、あのもし良ければあなたやってみない?」
えっ、突然過ぎる
「私じゃ無理ですよ」
カレンはにっこりと笑う
「そんな事ない、それじゃまずミコトちゃんにはコレ歌ってもらおうか」
ニヤニヤして言ってくる
「な、何で私の名前を、、それにこの曲、私の好きな曲だ
運命かもしれない」
固唾を飲んだ
「んーや、これは運命や
信じて飛び込んだらええ」
「そんな訳ないだろ!ミコなに乗せられてんの」
セラの声だ
「帰ってこないから来てみれば
カレンうちのミコにこんな早く手を出すなんてね」
セラが意外にもカレンと親しげに話している
どんな繋がりがあんだろ
「あの、どうしてカレンはあなたの事知っているですか?」
ユウカがミコにたずねるが
「さぁ、こっちが知りたいくらいだよ
セラ、その子がどうして私を知っているの」
「そうだったな、この子は宵宮 華恋そっちの子が狛犬 優花ちゃんだ
桐生 美咲を憶えてるだろ、その同級生だよ」
ミサキとは小学生の頃、この町にある父さんの実家に来た時に遊んでいた子
正直あまり憶えていないが明るくて真っ直ぐな子だったけ
「じゃあミサキが私の事を?」
「ちゃうで、セラが熱弁しとったからや
だから一度会いたくて期待してまっとたけど想像以上や
ミコはええ尻しとる」
「いや尻って」
なんだろうかセラと仲が良い事に説得力を感じる
「いや胸だ」
「んにぁ?」
セラとカレンは相入れないようだが
「もういいって」
「そ、そうですよ、失礼です」
ユカだけはミコの味方
「ありがとうユカ」
ミコはユカに近づいて行くがユカはカレンの後ろに隠れていく、相当な人見知りの様だ」
「せやったなあ、ユカ
気付かされた、ミコはどっちもええ」
「たしかに」
「たしかにじゃ無いです、セラさんちゃんとしてください」
ミコ達が騒がしくしていると懐かしさを感じる声がした
「なにしてんの?」
「ミサキ!あんたも来たの」
セラは嬉しそうにこっちに来るように手をこまねいている
「セラもいるし…ミコトか?」
少し驚いたが憶えててくれた事は嬉しかった
「そうだよミサキ覚えててくれたんだ」
私はちょっと忘れてたけど




