特殊迎撃隊の任務
特殊迎撃隊に入った俺は、特にやる事がなくバイクの点検ばかりをしていた。
このような特殊業務に当れる人間は、今のご時世かなり限られている。
とある疾患が蔓延したせいで、働き盛りの多くが後遺症に悩むこととなり、
後遺症や疾患の縛りのない電子空間に逃げ込んだことから。
リアルも電子空間も含めて、インフラ保持はかなり限界にきている。
そこに加えて、外部勢力からのテロ攻撃のため、現状は厳しいものである。
「――」
始めて見せられた、ウイルスの暴れた跡地も、修復が進んでいない。
表面上は治っているが、中が壊れている。このままならば、もしかしたらバグに巻き込まれる人がでるかもしれない。
「そういえば—―成美がバイトに来る日か」
やる事もないし、ハンバーガーでも食べに行くかと思い俺はファクトバーガーに向かった。
*ファクトバーガー
ファクトバーガーではいつものように、忙しそうに成美が接客をしていた。
「おっと」
入店しようとしたところで、俺はジャケットに気付いて上着を脱いで折りたたんで手に賭けた。
「いらっしゃいませ」
「いつもの」
短くそういうと、成美はオーダーを通してバスケットに商品を置いていく。
「今日のシフトは?」
「いつも通り」
変わらない日常、裏であんなことが起きているようにはとても思えない。
俺は今日もハンバーガーを食べたら、幼馴染をターミナルまで送ってやろうと思いながら食事を勧めた。
「――」
いつかこれが食べられない日が来るんだろうか……。