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戦いの後

プロトアウトに所属して、初任務を済ませた俺は満身創痍に近かった——夜通し寝ないで、色々対応に追われていたからだ。


それに加えて今まで相手にしていたバイクもどきとは全く違う、装甲車を相手にしたからだ。


初のタイプのウイルスに権堂達も手を焼いて、結局は俺が一体を一対一で相手にする羽目になった。


住処にもどり休みたい気持ちを抑え、俺は基地へと顔を出していた。


「うん!さすがにバイクに損傷はないね!」


ついて早々、バイクに飛びついてあれこれチェックしているのはメカニックマン—―武市春香だ。


150センチほどの身長に、作業着を着て三つ編みの童顔の少女だ。


油臭いのが好きと、昭和エリアでメカニック件プログラマーとして活動しているところを権堂がスカウトしたらしい。


「相当な激戦だったようだな」

「権堂のおっさん、あれと一対一なんだ——激戦どころじゃねえよ」


春香が機体とモッドをチェックしていると、権堂が下りてきた。


権堂が俺をみると、手を上げに当てながらそういったもんだ。


「正直、時間を稼いでくれれば御の字と思っていたが制圧しようとは——」

「だったら、そう命じてくれ」


こっちは死ぬ寸前のリスクを犯してまで、敵を行動不能にしたのだ。


「おっと——歩けるか?こっちへ」

「?」

「横になれ」


権堂に連れられて、おれはベッドに案内された。


「骨折や負傷はないようだな……」


権堂がモニターをみながら、俺の身体状態をチェックする。


「医者という医者が今はいないからな――」

「なんとも時代設定に似つかわしくないものだ」


とりあえず、骨折の類は無いと安心して俺は立ち上がる。


「やあ、お待たせ」

「バイクも大丈夫だろ」


さっきまでバイクにかじりついていた春香がのぞき込むように俺をみた。


「そっちは問題ないけど、ヘルメットがまったくの無対策はいただけないね」

「――予定になかったからな」


小難しい顔をしながら彼女は俺にそういう——『予定にない』確かに間違ってはいない。


だが情勢や積み込んでいるモッドを考えると、ヘルメットに対策をしていないのはいささか軽率というか無謀だった。


「そのヘルメットじゃ、拡張性がないから——こっちで用意するけど、問題は?」

「ついでにライダースーツのモッドも見直してくれ、自動照準器の一発は本当にヤバかった」


太ももだから打撲程度で済んだかもしれないが、これが手首や足首なら折れるか下手したらちぎれていた可能性もある。


「わかった、拘りがなければこっちで用意するから——いいね?」

「頼む」


春香が頷いて、持ち場へと戻った。




*自宅




権堂に許可をもらい、後始末は任せて俺は自宅へと戻っていた。


昭和の高度経済成長期に多くの住民が住んだとされる、団地――。


しかし、度重なるウイルス襲撃やインフラ・エンジニアの不足により管理を切り捨てたエリアがある。


俺はそんな廃墟となっている団地の一つをリペアして、暮らしていた。


見晴らしはいいし、隠れ家のようで気に入っていた。


結局、基地での対応も済ませると時刻は夕方になり西日が部屋に差し込んでいた。


「はーーーーー!」


大きく息を吐いて、俺はベッドに飛び込んだ。


色々な事がありすぎたし、人生で一番かもしれない危機にあった。


緊張が解けたのか足の痛みもさっきより増している気がする。


「シャワーあびないとな——!」


せめて寝る前に軽く浴びてしまおうと、起ち上るとドアが開く音がした。


「隼人、ここにいたんだ」

「な、成美――今日はシフトはないはずじゃ」


突然の来客に俺は上半身裸のまま彼女を見た。


成美は幼馴染だ、俺の裸は小さいころから見ている。

今更――上半身半裸で取り乱すような奴ではない。


「……その額」

「!」


成美が真剣な顔で俺の額の傷を見る。


「何か危ないこと、やってるの……?」

「そんな事――」


やってないと言おうとしたが、なぜか彼女に見つめられると口から出まかせがでない。


「それより、お前はどうしたんだ今日はシフトは休みだったと思うが——」


そういうと視線を下ろすと、彼女の手にはビニール袋があった。


「いくら電子空間といっても、ハンバーガーばかりじゃ体に悪いから」


成美がそういう。


『そういえばたまにこうやって、休みの時は何かを作りに来てくれていたな』


思い出したように俺は頭を軽くかく——。


「いつも悪いな、シャワーをまだ浴びれてないんだ——台所は好きにしてていいから、先に用事すまさせてくれ」

「ええ、わかったわ」


そういって、成美は台所で炊事を始める。


俺は浴室へ向かい、タオルや着替えを置いて服を脱いだ。


『足のケガに気付かれなくてよかった——』


なぜかホットしながら、俺はそのままシャワーを浴びた。

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