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拝啓、彼の両親へ

友と友の友情に送る、1冊の鎮魂歌です。どうぞご覧下さい。

彼はとてもいい人でした。

彼は私を良き友として、迎え入れてくれました。

私と彼は、嫌なこと、嬉しいこと、辛いこと、悩み事や他愛もないこと、色んなことを共有できる人でした。


私と彼は公園の桜の木の近くのベンチで出会いました。彼が1人で泣いていた時、私が声をかけたのが始まりでした。

彼は幼い頃から空に憧れを抱き、「いつかはパイロットになる」と私にあのぎこちない笑顔で微笑んでくれたのを覚えています。

彼はとても心優しい人でした。誰と接する時も決して慈愛の精神を忘れず、誰にでも寄り添う姿勢で接していました。

そして、その気配りはあなたがた両親にも及んでいたのだと思います。彼は、愚痴などを家ではいたことはありませんでした。ただ、私と二人きりでボソッとこぼしていました。


私は彼が好きでした。彼も私を好きでいました。この事実に嘘わありません。2人は、2人を自分の良き理解者と思い、共に支え合って生きてきました。

私は、どんな逆境に立たされても負けず、何度も立ち向かっていく彼の勇猛果敢な姿勢に元気を貰い、この人を支えよう、手伝おうと決心し、彼のメンタル面でのケアをしておりました。どんな嫌なことがあっても、彼は笑顔をしていました。

そんな彼をずっと見れる、そう思っていました。


ある日、いつも通り他愛のない話に花を咲かせていると、彼は急に改まり、「折り入って相談したいことがある」と言いました。「俺、いじめられてるんよ。」嘘だと思いました。信じられませんでした。

あの彼が、私と違って人当たりの良い彼が、いじめられてるなんて。

そう唖然としていると彼はこう続けました。

「実は結構前からやったんやけど、どーせすぐ収まるやろうな、って思ってたら長引いたんよね。で、だんだんエスカレートしてきた気がする。だから、お前が『表に出る日』を増やして欲しいんよね。」

私は二つ返事で友の願いを聞き入れました。


いじめの首謀者は6人。いわゆるクラスの陽キャでした。元々、彼の友達がいじめられていたのを、彼が庇ったのが原因で、いじられるようになったとはしていました。

「お人好しも、程々にな。」そう彼に言うと、彼は

「ごめん!!笑笑」と微笑みかけてくれました。でも、

その時の彼は、どこか悲しげな空気をまとっていました。そんな彼を、私は見守り、支えることしかできませんでした。


私が『表に出る日』がしばらく続き、『彼の代役』

が務まるようになった頃、私に思いがけないことが起きたのです。恋をしたのです。

彼女はとてもいい人でした。とても優しく、とても美しい人でした。俗に言う一目惚れというやつです。

だが、悔しくも、彼もまた、彼女のことが好きでした。2人の話題は、彼女の話で持ち切りになりました。「彼女はどんな人なんだろう」とか「彼女はどんな人が好きなんだろう」など、色んなことを彼と議論しました。

そんな時、私は勇気を振り絞り、彼女に話しかけに行きました。すると、私と彼女はすぐうちとけ、友達になりました。彼はそのことを嬉しく思ってくれました。ただ、1人の時に私の事をどう思っていたのかを私は知っていました。今考えると、もっと彼に親身になってあげるべきだったと考えます。


ある日、彼は私に「ありがとうな」と告げました。そうすると彼は再び『表』に出ました。

その日は、クラスの集会がありました。いじめの加害者が、被害者に謝罪をするという集会でした。

彼は、その場で立ち、されたこと、思ったこと、全てを発表しました。私はただそんな彼を見守っていました。彼は必死に泣くのを我慢していました。


集会が終わり、ホームルームに指し掛かろうとした時に、彼は私に表に出ろと言いました。私は「もう終わった。いじめは、終わった。だから、これからは君がちゃんと『表』に出て、『自分』を出していくべきだ。この体は君の体だ。」と彼に言いました。

「黙れ!!お前に何がわかるって言うんだよ!!人の体に生まれたやつが何言ってんだよ!!!!俺のこともろくに知らねえでよ!!!!!」といいました。

そう、私は俗にいう「別人格」という存在です。彼を主人格とし、この体は生まれてきたのですが、彼の曾祖父の日をきっかけに、メンタルを安定させるために、私は産まれました。だが、私の発言をきっかけに、彼は閉じこもってしまいました。


2年の歳月がすぎ、彼は「すまなかった。」私に告げました。彼はボロボロで、今にも死にそうになっていました。最後の力を振り絞り『表』に出ました。陽の光を浴び、しばらく伸びをしていました。そして外に出ると彼はあの公園の、あのベンチに腰かけると、私に主導権を返し、何かを悟ったようにして言いました「ほんとごめんな。父ちゃん、母ちゃんによろしく言っといてくれ。あとは頼んだ。絶対100まで生きろよ!!」享年12歳でした。


私は今でも彼を彼を覚えています。そして、私の分までいきるはずだった彼の余生を、彼として、精一杯生きています。桜が儚く散っています。

解離性障害。ストレスや心的外傷を原因として、記憶が飛んだり、急にいなくなったりしてしまい、日常生活に支障をきたすような状態と言われています。今作では、二重人格として描かして頂きました。人格と人格の間の関係は親友に近しいものがあるのではないか?と考え、頭の中で想像をふくらませながら書きました。訂正・推敲等は一切行ってないので、表現が多少分かりずらいところがあったかもしれませんがそこはご了承くださいm(*_ _)m

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