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ルシフェル  作者: 空里
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話し合いの末

「私情だからどうかと思ってたんだけどタイラル王国跡に行かないかい?」

やることが定まらなかったときリアムがそう提案した。

「反対はしない。だが、辛いと思うぞ」

ルシルがリアムのことを考えて進言するが、

「良いんだ。これは僕の犯した罪への償いの一歩だから・・・・・・」

ルシルは大体察しはついていたがその他の者達はそれがどういう意味なのか理解することが出来なかった。


「んじゃあ、目的地はタイラル王国跡に決定な」

アレンは早く話し合いを終わらせたいのかそう発言する。

「待て、勝手に決めるんじゃない」

「私は行く手段があるなら反対しないわよ。いくら隣国だとはいえ徒歩は御免よ」

「その点は大丈夫です。私たちのために馬車が用意されてますので」

徒歩はお断りと言うカイラにリサが答える。

リサはもうこのメンツになれたのか普通に話せている。

「御者はいるんでしょうね?御者がいない馬車なんてお荷物でしかないわよ」

「その役目は俺が引き受けよう」

そのルシルの言葉にリサ以外の全員が驚く。

「ルシルさんは養子として引き取られて以来様々な経験をしておられるのです」

自分のことのように誇るリサにルシル以外の疑いが確信に変わった。

何とは言わないが。

「リサ王女は賛成ですか?」

ルシルの問いにリサは迷わずはい、と言う。

「では各自準備を済ませて明日の朝この部屋に集合だ。王城にそれぞれ部屋が用意されているから今日はそこで寝てくれ。連絡は以上だ。なにか質問は?」

アレンが待ち構えていたかのように手を挙げる。

「質問じゃねえけど、手合わせしようぜ、ルシ」

「質問以外受け付けていない、却下だ」

「ちぇっ」

「他に質問はないようなので今日はこれで解散とする」

ルシルのこの声で話し合いは終わった。



「リサ王女、部屋に帰りましょう」

「はい」

ルシルはリサを部屋に連れていった後、その足で王の自室へと向かった。


扉の前で立ち止まりノックをする。

「入って良いぞ」

その言葉を聞き扉を開ける。

「失礼します」

ルシルが入ると国王に椅子に座るように言われる。

その指示に従いルシルが座ると国王は話し始めた。

「まずは念願のルシファル結成、おめでとう。まさか、休みの日を全てその仲間探しに使うとは思いもしなかったものだ。しかし、本当にリサにその力があるのかそこだけが疑問だ」

「私の思い違いでなければ力に目覚めればあの中で一番強くなる可能性を秘めています。それまでは私が命に変えてもお守りします」

「軍の者が誰も勝てなかったお主の言葉だ。信じよう」

「ありがとうございます」

「して、チームは大丈夫そうか?」

「はい。それぞれ問題を抱えているようですが私の使命を果たすためにもまとめて見せましょう」

「うむ、頼んだぞ」

この時、国王はルシルの使命というところに違和感を覚えたがリサを守ることであると考えた。



翌朝。皆が集合場所に集まり馬車の旅を始めるのだった。

御者の役目を引き受けたルシルは御者台、それ以外の者が馬車の中だ。

昨日が初対面だっただけあって会話はない。

「あ~、だりぃな。おい、ルシ俺を降ろしてくれ」

「何を言ってるんだい?まさかもう抜けるのかい?」

気だるげにルシルに降ろしてくれと言うアレンにルシフェルを抜けるのかと問うリアム。

「あん?そういう考えになるってことはお前は抜けようと思ってんのか?」

「そういうわけでは・・・・・・」

リアムがそう小さく答えるのを、

「走っていくと言うんだろう?却下だ」

という御者台からだからか少し声を張ったルシルの声が遮った。

「ちぇっ・・・・・・なら模擬戦で勝った方が好きなようにするでどうだ?」

「却下だ」

こうアレンが言うことを見越していたかのような即答だった。

「おい、つまんねえぞ、ルシ」

「はあ、わかった。近くで馬車を止めるから準備しておいてくれ」

「よっしゃ!話がわかるようになったじゃねえか」



近くに馬車を止め平原にて二人が向かい合っていた。

アレンはなにも持たず拳を、ルシルは模擬戦用の刃がない剣を構えている。

そんな模擬専用の剣を持っていたのはアレンが模擬戦をしたいと言うのを完全に予測していたためだ。


「始め」

開始の合図をしたのはリアムだ。

その合図と共に動き出すアレン。

「本気で行くぜ!よっと」

言葉と共に右の拳をルシルに向かって突き出す。

しかし、その攻撃は単調なためルシルに当たることはなく平然と避けられている。

「おらっよ!」

今までより少し大振りな拳をルシルが見逃すわけもなく、軌道を見切り向かってきている拳の上から剣の腹で下に押し体制が崩れたところに一撃を入れようとする。

素人が見ても完全に回避不能だといえる攻撃。

しかし、その攻撃はアレンに避けられる。

一撃を入れられそうになったときアレンの体は人では不可能なのではないかという動きをし、その一撃を避けたのだ。その動きはまるで体の柔らかい猫のようだった。

「もらった!」

アレンは避けた動きをそのまま攻撃の助走にし決めにかかるが、

「残念」

それは、最小限の動きで避けられ、しかも剣を首筋に当てられた。

こうなれば先程のように避けられるわけもなく、

「降参だ」

そのままアレンが負けを認めアレンも馬車で行くことが決定した。


「お怪我はありませんか?」

ルシルにそう問うリサの目を見ながら少し懐かしさを感じるルシル。

「大丈夫ですよ、リサ王女」

誰も気づかなかったが彼のこの声は少し寂しげであった。

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