表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
29/43

閃き

前田を見送った帰り道、俺はまた犯人について考えていた。盗撮、窃盗犯をどう捕まえるか……


「ねえ、こうやって恋人みたいに手を繋ぎながら帰ったら盗撮犯が出てきたりしないかな? おびき寄せてみようよ」


前田の言葉を思い返す。おびき寄せるという考え方は何かに使えそうだ……。そもそも犯人はなぜ掲示板に投稿する? 写真を独り占めしない理由は? そこで俺は一つ閃いた。忘れないように電車から降りるとすぐに伊藤に電話する。

「なあ、ちょっと思いついたことがあるんだが……」

 俺は伊藤にあるアイデアを話す。

「いいね、それは使えるかも。私の方で注文しておくね」

「ありがとう。届いたら教えてくれ」


 2日後の夜、伊藤から「届いたよ」とLINEが届く。後はいくつかの仕込みを行うだけだ。俺は伊藤と詳細を調整しながら犯人確保に向けた準備を進める。

「これで盗撮犯は釣れるかもね」

「だといいな。金もかかってるし、なんとか確保したいところだ」

「そうね…… まあ、お金に関しては気にしなくていいよ。うちお小遣い余裕あるし」

「助かるよ、ほんと。なかなか高額だったからな」

「まあこれからも何かに使えそうだしね。とりあえず、明日は少し早めに登校して準備をしましょう。それでいい?」

「ああ、そうだな」


 それから2日後の夜、掲示板に新しい前田の写真が投稿された。俺がそれを知ったのは前田から電話がかかってきたからである。

「ねえ、掲示板見た? 写真上がってるよ」

「…… 本当だ。予定通りうまくいったな」

「ね! この感じだと、撮影されたのは今日だね。これで解決できそう?」

「わからないが、まずは分析してみるよ」

「ありがとう、よろしくね。さすが今井くん、読み通りだね。恥ずかしい思いをしただけあったよ」

「すまないな。だがおかげで事件は解決できそうだ。助かったよ」

「ううん、それはこっちのセリフだよ。ありがとうね」


 俺がしたことは単純だ。掲示板に「教室で佇む野口と前田の2ショットが欲しい」とリクエストを送り、前田と野口と、2ショットを撮影可能なタイミングと、その際に取るポーズを調整した。これにより、犯人が撮影するタイミングをコントロールし、後から判別可能にしたわけである。


 また、前田にはお願いしてスカートに戻してもらった。その方が犯人に犯行を促す効果がある可能性を考えたからだ。更にいつもより少し短いスカートにしてもらった。「恥ずかしいんだけど……」と前田からは少し文句を言われたが、犯人を捕まえるためだと説得した。野口にも同じことをお願いしたらすげなく断られたが。前田はなんだかんだ従ってくれたのでいい奴だ。


 後は、そのタイミングで教室に仕掛けた隠しカメラを作動させる。隠しカメラで撮影するのは動画にしてある。怪しい動きをしている人を捉えるためだ。3方向から教室全体を撮影するために、かなりカメラにお金がかかったが…… 伊藤の財力でなんとかなったから可能になった技だな。最後にそれを分析して怪しい動きをしている生徒がいないかを確認するだけだ。


 ちょうど運よく次の日の水泳部は休みである。俺は放課後、伊藤と一緒に討論部の部室で、討論部保有のPCと向き合っていた。隠しカメラを回収し、録画したデータを再生するためである。


「2人が昨日接触したタイミングは、4時間目の休み時間という理解であってる?」

「ああ、そう調整した。10分しかないからすぐに見れるだろう」

 俺たちは無言で動画を確認する。動画には何気ない休み時間の教室の風景が写っていた。

「怪しい動きってどういう動きだと思う?」

「そうだな、まず間違いなく何かに触れる動作だろう。カメラを起動する動きをしているはずだ」

「そうね。その目線で探しましょう。スマホやボールペンなどに限らず、幅広い目線で見た方がいいでしょうね」

 1台目のカメラには、怪しげな生徒は映っていない。おしゃべりをしている生徒と、黒板をノートに写している生徒、スマホを操作している生徒が映っているだけだ。2台目のカメラも同様である。スマホを操作する生徒も、前田の方に向けて操作している生徒はいない。ペンの動きや足先の動きなども確認したが、前田を狙っている様子は見受けられなかった。


 3台目のカメラには…… いた。1人、明らかに「あるもの」を触っている生徒がいる。そしてそれは前田の方向を向いている。

「なあ、このシーンだが、伊藤はどう思う?」

「そうね…… 自然な動作にも見えるけど……」

「しかし、こいつ以外に怪しい動作をしている人はいないな」

「そうね。でも「これ」って撮影できるものなのかしら……?」

「…… 検索してみたが、そういう撮影器具はヒットした。同じ形状と色に見えるぞ」

 俺はそう言って検索結果を伊藤に見せた。

「ビンゴね。犯人は確定ということでいいでしょう」

「だな。後は明日、犯人に証拠を突きつけるか」

「そうね」


「明日の昼、「あいつ」をここに呼んでくれるか? 俺が呼んだら怪しいだろうから伊藤に任せたいんだが」

「わかった。後はその間に前田さんと野口さんには教室で証拠探しに動いてもらいましょうか」

「そうだな、それがいい」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ