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学校1の美女にはお悩みがあるようです

 7月の晴れた日。俺、今井透は水泳部の朝練を終える。朝練ではいつも筋トレをしているが気持ちいいものだ。俺はクラスメイトの阿部圭介と教室へ向かう。

「毎日暑いなあ」

「まあ泳ぐ分にはちょうどいいけどな」

「筋トレルームが暑いのがなあ。なんとかしてほしいよ。ただ女の子が夏服なのはいいけどな」

「そこかよ。まあ気持ちはわからないではないが」


 途中でクラスメイトの伊藤香織と合流する。

「お、伊藤も朝練か?」

「討論部が朝練するわけないでしょ。何をするのよ」

「それもそうだな」

 俺と伊藤は、クラスで起きた「とある事件」を共に解決した同士だ。討論部に所属し、弁もたつ上に論理的に考えることが出来る伊藤は頼りになる存在である。俺達は少しの間、事件を解決した人ということで有名になった。すぐに普通の生徒に戻ったが。


 1時間目から3時間目までの授業を終え、昼休みに入る。掃除当番ではない限り基本的には俺は討論部の部室にお邪魔している。基本的に昼休みに利用するのは伊藤しかいない。伊藤と俺は弁当をさっと食べるといつもここで取り止めもない議論を交わすのであった。


「タイムマシンって実現できるらしいな。非常に短い時間なら今でも実現可能らしい。SNSで見たんだが」

「本当に一瞬だけでしょ。過去に戻ったり未来に行ったりできるわけではないと思うのだけど」

 伊藤の目つきが厳しくなる。いつも議論モードになると眼光が鋭くなる癖があるようだ。本気モードというやつだろうか。俺はそれだけで少し怯んでしまう。

「まあな。でも行けるようになったらどうする? 俺は戦国時代に行って織田信長に会ってみたいんだが」

「私は未来ね。未来の移動手段がどうなっているのか気になるわ」

「未来派か。俺は過去を知りたいな。あの事件の前に戻って止めたいとも考えたこともあるよ」

 俺達は日々、議論という名の雑談をしている。特に意味はない。始まりもなんとなく出会ったが、すっかり恒例行事になってしまっている。


 コンコン。ドアをノックする音が聞こえる。誰か来たようだ。

「はい、どうぞ」

「失礼します」

 現れたのはクラスメイトの前田葵と野口涼子だ。どちらも女子テニス部に所属しており、いつも一緒にいる。前田は可愛いと評判で、他学年の生徒に告白されることもよくあるらしい。この学校のマドンナといえば前田だ。確かにロングヘアーがよく似合うモデル体型で、ザ美女という見た目をしている。

 野口は対照的に小柄で可愛らしい、ハムスターのような女子だ。男子からモテるというタイプではないが常にクラスの中心にいる存在である。そんな二人がなんのようだ?


「あ、いたいた。探したんだよ! 阿部君に聞いたら二人はここにいるだろうって言われてようやく辿り着いたんだからね」

「まあまあ、涼子。取り込み中ごめんね。二人に相談したいことがあって」

 なぜか野口に怒られる俺達と、宥める前田。とりあえず中に入って席に座ってもらう。


「で、どうしたんだ? なんかあったのか?」

「今井君と伊藤さんが二人で例の事件を解決したじゃん。その力を見込んで相談があるの。これを見て欲しいんだけど」

 そういう前田はスマホの画面を俺達に見せる。そこには前田が映っていた。

「この写真が学校掲示版に貼ってあってね。私には心当たりがないから盗撮されたようなの」

「葵モテるけどこういうストーカーじみたことは初めてでさ。気味が悪いって話してたんだ」

 前田の言葉を野口が引き継ぐ。


「学校掲示板……ってなんだ?」

「学校掲示板はネットにあるんだけど、色々な高校の情報が書き込まれる掲示板ね。この高校のページがあって、更に学年ごとに分かれているの。そこに先生の悪口だったり誰かの噂だったり、くだらない話を書き込んで盛り上がる奴らがいるってわけ」

 俺の疑問に伊藤が答えてくれる。

「学校掲示板は匿名だから誰が投稿したのかわからないんだよね。で、その犯人を見つけるのをお願いできないかなって……」

 手を合わせてこちらを見てくる。長いまつ毛と大きな目の迫力に俺は思わず頷いてしまう。

「あ、ああ、わかった…… ただ俺達は素人だから結果は保証できないぞ。それでもいいか?」

「ありがとう! うん、大丈夫」


「私も関わることになっているのね…… まあいいけど……」

 伊藤のぼやきは聞こえなかったことにする。マドンナにお願いされたら断ることができない。それが男の性だ。諦めてくれ。


良ければブックマークなどよろしくお願いします。筆者の励みになります。

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