第五話 ゴツいおっさんとゴリゴリテンプレ
「ちょっと待ってくれを俺はレアな素材なんかじゃないぞ。宝箱の中身は知らないけど、これはあげるから。俺は売らないでくれよ」
「別に売るわけではありませんよ。多分ブノスレストの王はあなたみたいな変なものがお好きです。悪いようにはされないと思います。まぁ私達の攻撃を避けるくらいですから騎士としてそこで働けるかもしれません。ブノスレスト共和国は、富国強兵で、騎士になるのもそう簡単ではありません。なれたら大出世ではないですか」
うーんと確かに俺は身体強化されていてテーゼ達ぐらいに強いのかもしれない。異世界に来て身元も戸籍もないものが騎士に慣れるのは安定している。けれど俺の異世界ライフはこんなところじゃ止まらない。
「テーゼ、凪俺を二人のパーティに加えて欲しい。俺と戦って実力はわかったはずだ。何でもするからついて行かせてくれ」
テーゼと凪と出会ったということは何か意味があるはずだ。この二人とともに行動すれば俺が何をすればいいかわかるはずだ。
あとやっと手にした異世界ライフを失うわけにはいかないからな。テーゼと凪は可愛いんだぞ。これは異世界ハーレムを期待してもいいかもしれない。
「あまり調子に乗るな。まぁ凪達くらい強ければ使い道はあるけど、どうするテーゼちゃん?」
「一度ブノスレストに行ってからご主人様を私達のパーティに入れるか考えましょう」
俺たちはその後、モンスターがいないか確認しながら、ブノスレスト共和国に向かった。途中の森で野宿することになったのだが、俺は、一晩中、夜営を任されることになった。
徹夜は現実世界で何回もやってるし、別にいいんだが、この娘たち安心して眠りすぎでしょ。
野生のモンスターは出なくても俺というモンスターは出るんだぞ。二人にはいろいろ教えてやらないとな。
凪はよくも俺の頭を蹴ってくれたな、テーゼは俺を不審者扱いして、でも二人とも俺の強さを評価してくれた。俺を眼中に見てないかもしれないが、少しは信用してくれてるのか。これからのこともあるし邪なことはしないでおこう。てかする度胸もないのだが。
それから俺たちは次の村に着いた。最初の村は廃村して人の姿を見ることができなかったがここは村として機能していた。
村は小さくて旅人も滅多に来ないので、親切なお婆さんの家に泊めてもらうことにした。
明日には、ブノスレストに着くことができるだろうとテーゼは言った。お婆さんにタダで止めてもらうので田んぼの手伝いや村の手伝いをした。
そういえば、野宿の時とか村についてからテーゼと凪とあまり話していないな。それなのに借りられた部屋は一つでまだあまりお互いのことを知らない男女がいいのか。
二人は黙々と布団を引いてすぐに布団に入った。俺はもしかしたら空気なのかもしれない。
「えっと凪達は何歳なんだ、俺は今年でというかあっちの世界では21になる」
「急に何なのですか、私達は16ですけど、明日は早いのでもう寝てください」
テーゼはそう答えたが声は少し震えていた。幼いとは思ってたけど16歳って現実だったらこんなの犯罪だよ。というかテーゼ達はこういうの慣れているのか?凪はさっきから黙っているし少しからかってみるか
「凪達は男女でパーティすることに慣れてるんだな。俺は凪とテーゼが可愛いすぎてドキドキしっぱなしだよ」
「凪達は男とはパーティを組んだことはない。凪達強いから別に組む必要もないし....だから慣れてないというか初めてまぁ魁斗交渉材料だから気にしてないけど」
凪とテーゼは恥ずかしかったのかそれか怖いのかもしれない。その後凪はそのまま寝てしまったみたいだ。俺は寝れないだって、心臓バクバクなんだもの。
朝起きたら何事もなかったように凪は話かけてきた。
「魁斗、昨日はちゃんと寝た、今日はブノスレストに着くからしっかりしてよ」
いやー昨日の凪は照れてて可愛かったな。もしかして俺に想いをよせてたりしてへへへ。
「ご主人様、気持ち悪いです。顔を洗ったほうがいいんじゃないですか、皮膚まで」
そんなこと言うんじゃねぇ。まぁおふざけはここまでにしてまじめに進めていきますか。
ブノスレスト共和国に着いた俺たちは、入国の手続きをするのだが俺はもちろん入れない。うん知ってたけれども....
「私達はブノスレスト王に会いに来たテーゼと凪です。そしてこの者は、その道中で出会った魁斗いう者なのですがこの者も入れてもらえないでしょうか」
「テーゼ様と凪様は聞いていますが、そちらの男は入国を許可することはできません」
「魁斗は私達くらい強いんだよ〜私達の付き添いとして入れてよ〜」
「凪様くらいに強いのですか!ただ規則でしてどうしようも」
「ならば俺様と勝負をして勝てたら入れてやろう小僧よ」
よーしテンプレ来たぞ!ここで買ってしまえば入れるってことだろ。
「騎士団長ギャスター様!?あっあなたがどうしてここに!」
「今日はテーゼちゃんと凪ちゃんが来る日だから出迎えにと思ったんだが何だか騒がしくてなきてみたんだ」
騎士団長って多分王国とかで一番強い人だろ。なんかもっと酔っ払いでそこそこ強いおっさんくらいのやつが出てくると思ってた。
ブノスレストは富国強兵で軍事的にも強い。いくら俺がテーゼ達と同じくらい強かったとしても騎士団長クラスに勝てんのか。
「小僧、剣と拳どっちがいい?選ばせてやるぞ」
いやどっちを選んでも負けますよね。ギャスターさん図体デカくてゴツいしどちらにしてもボコボコだ。
だかしかし俺も男だ。戦わずして負けるなど現実世界に見せる顔がない。元からない。
「拳で!」
「よしわかった俺の顔面に打撃を入れたらお前の勝ちにしてやろう、いつでもかかってくるが良い」
正面突破じゃ厳しいきがするが、考えていても始まらない。とりあえず一発行っとくか。
「どりゃあぁあー」
ドス、一発殴ったはずなんだが、相手はびくともしていない。
「ほどほどにいい拳だったぞ、それじゃあこちらの番だ。」
男はそういうと思いっきり拳をふるった。だが俺はそれを避ける。攻撃は効かなくとも俺は無限に避け続けてやる。
「魁斗ーがんばれー」
「頑張ってください。ご主人様」
いや応援してくれるのは嬉しいけどこれ何とかなるの?
ギャスターは殴り続ける。俺はそれを避け続ける。戦うこと一時間、勝負は俺の勝利で終わった。
その後俺は騎士団長に勝ったとは讃えられた。もちろん入国は許可されて王への謁見まで許された。
「魁斗すごいよ、あのギャスター様に勝つなんて。魁斗は私達より強いかもしれないね」
「ご主人様よくあんなの考えましたね。あの頑丈な騎士団長様にはご主人様の打撃はびくともしなかった。けれど騎士団長様の打撃もご主人様には当たらない。勝利するには知恵を絞らなければなりません」
「そう、それで俺は、騎士団長の攻撃を避けながら地面を削って穴を開け、騎士団長を足を取って顔面に拳を当てて勝利したってわけよ」
勝利条件は奴をボコボコにするか顔面に打撃を当てることだった。ギャスター君は騎士団長で強さは規格外だったが、脳筋のようだった。
それから俺たちは王の謁見の前に冒険者登録をしてからとギルドに連れられた。そこでも俺が騎士団長に勝ったことは広まっていてギルドでも大騒ぎだ。
やれやれテンプレが欲しいとは言ったがここまで盛大にしなくてもよかったのにな。この後の能力検査でも俺に秘められた潜在能力が発揮されてしまうのかもしれない。
「魁斗様少々よろしいでしょうか。」
受付嬢に呼ばれ俺たちは、別室に案内された。
もしかして俺の能力ってそんなにすごいんすか。
「魁斗様ははじめての冒険者登録そして能力検査と伺ったのですが、魁斗様は既に冒険者登録されていますよね」
...........なんていった?
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