第二話 現実世界からの刺客が来たぞ
渡辺魁斗目覚めると異世界に転生したかに思えたがここを俺の知っている馴染み深い部屋で、もしかしたら同じ世界でも時間軸が違かったりするかもと思っても一日24時間、一時間60分ただの現実である。
昨日のあれは夢で終わらせたかった。あいつらからのメールが来るまでに、何か対策を立てなければ!
というか本当に異世界に行けるならいいが、行けないなら詐欺だぞ。
ここまで人の個人情報調べて脅してきて、もしかしてどこかの研究機関にぶち込まれて、人体実験でも施されるんじゃないか。
誰かに助けを求めたいが連絡アプリは全て使えない。だがしかし引きこもりを舐めるなよ。たかが携帯を塞いだだけで、外に助けを求めればいいだけのことじゃないか。
俺の部屋は常時カーテンを閉めているので真っ暗だ。そのカーテンを久しぶり開けてみて日の光を浴びてみる。
あーやっぱり日光浴って健康にいいんだな。そして俺は外着に着替えて助けを求める準備をした、
「ざまーみろ!俺の勝ちだ、クソ会社、やっぱり現実が一番だな」
靴を履き勢いよく鍵を開ける。この会社もしかして俺のような引きこもりを現実に引き戻して社会復帰させる素晴らしい会社なのかもしれない。
ガチャ、ガチャガチャ...............
開かない、鍵が開かないぞ!
まっまさかあいつら家の鍵まで閉めやがったのか。中からは鍵はかかっていなくて奴ら外側を塞ぎやがった。
その時携帯が鳴る。何となく誰が送ったのかを察した。てか奴らとしか連絡が取れない。
「お客様には言い忘れましたが、お客様の家に外側から鍵をかけさせていただきました。監禁とか閉じ込めているわけではございません。まぁ外に出るご予定はないと思うのでよろしかったですよね。
あとどこにも連絡できないのは携帯会社とかアプリケーション会社のバグだと思います、多分。もう少しで、こちらの準備が整いますので、もうしばらくお待ちください。」
おいおいどれも事後報告で済ますんじゃんねーぞ。俺の意思を尊重しろ。こいつらついに犯罪まがいなことをしてきたぞ。連絡ができないことを携帯会社のバクとか言ってやがる。
てっテレビは映るよな。恐る恐るリモコンでテレビをつけてみるが、一面に広がる砂嵐。どうやら覚悟を決めるしかないようだな。
異世界が俺を呼んでいるのかもしれない。胡散臭い会社は逆にここまでのことはしないしこれもう俺勝ち組だろ。
頭おかしい奴らに関わって俺までおかしくなったのかもしれないが前向きに考えることにする。よしまずは部屋をきれいにしてみよう。
あっちに行ったら色々言われてこっちに戻れないかもしれないからな。
引きこもりは引きこもりでもしっかり掃除をする引きこもりなのである。部屋に食べたままのカップ麺や飲んだままのペットボトルが転がっていると思っているだろうけど、そんなことはない。しっかりとゴミはゴミ箱。出しっぱなしはしないのだよ。
はっはっは、掃除というのは、断捨離なり、物の整理のことを言ったに過ぎない。俺の部屋は汚いよりもので溢れかえってしまっているのである。
どれもこれも思い出深いものであるが、俺は後世にオタク文化を引き継ぎたい。同志たちにこのお宝を共有したい。
ゲームに漫画、フィギュア、cd 、DVD、ストラップ、タペストリー、クリアファイルetcまぁこんな感じにあるわけだが、早速モルカリに出すとするか。
押し入れを漁っていると小中校の通知表や卒アルが出てきて、少しみてみる。埃っぽいがケースに入れてたため中はきれいだ。
写真を見てみるとどれもこれも無愛想でポーズすら取らないのがほとんど。そもそも俺の写真は少ない。
不登校だったわけじゃないが、あまり写真に写るのが嫌いでカメラが来ると察したら気付かれないように逃げていたからな。
通知表を見ても可もなく不可もなくと言ったところか。勉強をする意味がわからなかったのでとりあえず平均点は取って提出物は出して普通に授業を受けてきただけだもんな。
卒アルと通知表を見終えてもう一度しまおうとしたら、どっちかに挟んであった一枚の写真が落ちてきた。そこには小学生時代の自分と何人かの男女が写っていた。
この写真は小学生の時によく集まってたみんなじゃないか。懐かしいな、元気にしてるかなみんな。今何してるのかな俺は異世界に現実逃避してしまったけどみんなは立派になってるんだろな。
特に岸君なんてあの頃からクラスのヒーローで運動も勉強も得意でなんでもできたよな。
ピンポーン、ピンポーンピンポーン
家のインターホンが鳴った。メールでは訪ねるとは言ってたが唐突過ぎるだろ。もう少し思い出に浸らせてくれよ。
恐る恐る玄関に向かわず外着に着替えたその格好で、堂々と構えてやることにした。どんな奴らが待ってるんだ、どうせスーツきたゴツい危ない奴らだろ。もう覚悟は決めたんだ開くぞ開けるぞいいな!
「初めまして渡辺魁斗様、お迎えにあがりました。私は、異世界研究株式会社、総合研究部、鈴野夏鈴野夏織です。では、早速ですが我が会社にご案内します。説明はそちらでしますので、
あと、異世界に転生される前に現実を振り返って鑑みるという行い私は、素晴らしいと思いますよ。私としては合格です。まぁ残りの九人も合格なんですけどね。私的に良いと思っただけですよ」
スーツは着ている。数は、一人で、身長は俺より小さくて体は出るとこ出ていて、ごつくない。危なそうには見えなくて華奢で、かっ可愛いだと!
「いえ、俺は若輩者で、無知なだけですよ。これから宜しくお願いします、キラっ」
今できる一番の表情で挨拶をしたつもりだ。そして褒められたぞ俺は。誰かに褒められるのは久しぶり過ぎる。
「それでは、眠ってもらいますね!」
「眠るってな.......zzz」
読んでくださりありがとうございました。