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異世界戦争、界渡り〜渡る世界は馬鹿ばかり?〜  作者: 鯉狐
2章 異世界・代理戦争編(仮)
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第94話 古龍の試練と新たな力

「さてと、俺がやるべきことは…」


地龍からの依頼を確認する。


「残るは三魔龍の調査か…。一体は殺したから残り二体。確かディアボロスとヴリトラ」


風音から送られてきた情報やイータとシータからの情報にも詳しく乗っていない二体の魔龍。ベヒモスより前から存在していたとされ、その能力は未知数。

とある記録によれば、二体共に全長が400メートル、四肢と巨大な翼を持ち、鋭利な尾は山を切り裂いた、らしいのだが


「実際、この記録が正しいのかがわからん。姫さんに聞いてみたが、魔龍の名を知ったのは最近らしいからな」


魔龍が確認されたのは、初代の巫女姫が活躍していた頃。しかし、当時の記録の多くは消失しており、残った情報と統合できたのは隠龍とプレイヤーが接触した後だ。


更に言えば、四天魔の存在。残りの敵の名前もステータス等の情報すらない。


「必要な情報を探るのだるいな」


直属の部下を使っても情報が集まるのに時間が掛かるだろう。

それに、風音、セレス、ジャック、ジルは既に手一杯だろう。


「森人国との戦争も控えてるのになぁ」


何人か吸血鬼の配下は引き連れているが、情報収集が得意な奴はセレスにつけた。ジャックやジルの護衛にも…


「まぁ…いい」


スッと目を細め、刀に手を添える。


「七人」


飛んできた魔法を斬り、その場から飛び退く。


太めの枝に掴まり、回転の勢いを利用して更に遠くへ飛んでいく。


「へー、こんな辺鄙なとこまでプレイヤー来てんのか?いや、エルフか」


追尾するように飛んできた矢と魔法。そこから予想できる相手を考察。すぐさま敵の可能性に至る。


「手の内は見せたくないな…試してみるか」


インベントリからとある宝石を取り出し、それを解放する。


それは、神狼との戦闘報酬。神獣の契石。オンリーワンアイテムであり、入手方法は神狼の解放のみ。そして、契約できる神獣に制限は無い。しかし、ランダムという性質も持つ。


「面白いのが来たな」


すぐさま流れたログに、契約出来た神獣の名が記される。それを見て、レオンはその子を秘匿することを決める。


「スゥ、後ろの七人を」


小さな蛇のような姿で現れたその子を森へ放つ。


それから逃走を続け3分。敵の気配が完全に消えるのを確認した。


「便利な能力だな、スゥ」


腕に巻き付くその子の頭を軽く撫でる。


「隠龍に会いに行くか。リズ、頼む」

「任せて」


契約している龍王のリズを呼び、隠龍が住む領域へと向かう。



隠龍は現在、元吸血鬼の国があった廃墟に住んでいる。

そこに地龍と癒龍、天龍も住まいを移しており、海が近いこともあって海龍もよく揃っている。


「…まぁ教えても良いが」


隠龍が人型のリズを膝に乗せて、茶を啜っている。

他の太古の龍達も人型になり、炬燵を囲んでいる。


その龍達の視線がレオンに固定される。


「試練を達成してからにしよう」


レオンのログに表記されたクエスト。

以前にも表示されていたそのクエスト。

太古への挑戦


「クエスト報酬渋くね?」

「何を言う。貴様の質問に答えるのと、スキル書と莫大な金、更にベースレベル、スキルレベル全て30上昇、使役獣や精霊の強化、人工神器の製造方法の開示でどうだ?」

「悪くない」


中々悪くない。刀に手をかけて、獰猛に笑う。


クエストの受注、開始を確認

対象を特殊フィールドに転送します


アナウンスと共にレオンと古龍の姿が消える。


一面真っ白の広いだけのフィールド。


「まずは第一段階」


人型の古龍達がレオンに襲い掛かる。


最初に襲い掛かるのは海龍。ガントレットを装備して格闘戦に持ち込もうとする。


しかし、意識を海龍にだけ向ける訳にはいかない。距離を置いて天龍と地龍がマナを集めている。恐らく太古の魔法だろう。

癒龍は、隠龍と共に姿を隠して味方の補助に回っているようだし、隠龍もこちらの隙を伺うように身を潜めている。


「夜天朧月、万象」


禁呪と詠唱圧縮された強化魔法を唱え、最低限の備えで迎え撃つ。


赤椿を柄から振り抜き、敵の拳の軌道を僅かに逸らす。

そのまま海龍に向けて刃を振りつつ、半歩身を引いて魔法を一つ回避する。


雑に刀を振るったからだろう、海龍に跳ね上げられる。

バンザイをするような形で右手が上がり、一瞬胴に隙ができる。

即座に刀を逆手に持ち替え、そのまま振り下ろす。途中何か堅いものを弾いた感触。

迅雷を発動させて距離を取る。

手首に傷を付けて血を流す。血刀を生み出し、無数の魔法にぶつけて相殺させる。


「迅雷、瞬攻、鳴神、兎月」


位置を把握した隠龍に向けて強襲。最速の4連撃を弾かれたのを認識するより先に、隠龍を思い切り蹴り後退する。同時に飛ぶ斬撃を放って、追撃のタイミングを遅らせる。


「アクセルブラッド」


血の生成量、流れを加速させ、その能力を強化する。始祖に許された強化術。


「ブラッドウェポン・フルオート」


夜天朧月効果中のみ使用可能な新技。ブラッドウェポン・フルオート。

様々な血の武器がレオンの意思に関係なく敵を攻撃したり、防御したりするようになる。

マナの動きに反応して行動する為、単純な物理攻撃には弱い。


「シャドウウェポン・ディフェンスコード」


レオンの定めた範囲を影の武器が自動で攻撃を防ぐ。物理も魔法も関係なく防御するが、一つ一つの耐久が低く、かなりの頻度で補充しなければ即座に無くなる。


天龍と地龍の魔法を一旦無視して、海龍へ詰める。


赤椿を納刀し、血で作り出したショートソードを二本手にする。


徒手空拳の回転率に追い付こうとするなら、自分も徒手空拳にするか、回転率の良い武器に変える。


持ち手を順手、逆手と器用に持ち替えながら、海龍の攻撃を打ち払い、時には剣を手放し殴りに。


天龍、地龍、隠龍の攻撃はシャドウ・ブラッドウェポンの自動防御に任せている。まずは海龍に集中し、その体力を削り切る。


「双剣炎雷・神威!」


レオンの持つ剣が炎と雷を纏い、更に炎と雷で形成された剣がその横に並ぶ。

それは、レオンの持つ双剣に連動して、海龍に襲い掛かる。


同時に4つ対応しなければいけない状況に追い込まれ、海龍の手数が減り被弾が増える。

癒龍から回復魔法が何度か来ているが、それを上回る速度でHPが削れていく。


何度目かの癒龍からの回復魔法、発動と同時にレオンは炎剣を海龍に投擲、雷剣を位置を捉えた癒龍に投擲。

視界を遮るように燃え盛る炎剣によって海龍は一瞬脚が止まる。

雷剣は周囲に電撃を放ち、癒龍に軽い電気ショックを与え、動きをほんの少し止める。


その隙でレオンには十分だった。


迅雷、瞬攻、抜刀・神前舞踏、抜刀・極至のコンボで癒龍のHPゲージを削り切る。


太古への挑戦その第一段階、人型の古龍達との戦闘。龍形態よりHPは大幅に減少しており、回復魔法系統に特化しているとはいえ、数値にすれば100万近くある。


「その抜刀術、完成していたのか」


海龍はその技を受けた事がある。あの時はまだ未完成で、反動ダメージが洒落にならない数値だったはず。

なのに、今のレオンからはソレを感じない。


「あぁ。神狼との戦いで完成したよ」


莫大なHPとMPを消費することで発動していた、神の名を冠する抜刀術。レオンの切り札とも言える技。

それは、神狼との戦いにおいて、極至、心月、一点集中桜華八突と同等かそれ以上に必要となった。


極至は一瞬の溜めが必要。心月は神狼へは決定打にならなかった。桜華八突はデメリットがどうしようもできなかった。

神名抜刀術は、HPとMPの消費が必要とは言え、代償がかなり優しい部類だ。当然、神狼との戦いで主軸になった。

何度も使えば練度も上がり、技の改良も進む。

詠唱を行えば威力は増大し、詠唱無しなら発動速度は無詠唱魔法と同速、或はそれ以上。

魔法との複合抜刀術であることに変わりは無いので、MPの消費は残っているが、それも僅かだ。アトラルカの力を使わない状態でも12連続までなら使用可能になるほど。


「さぁ、回復役が落ちたぞ?」


龍達は頬が引き攣るのを自覚する。


「血円武器庫・レヴァンティン、真名解放レーヴァテイン」


使用者諸共焼き尽くす煉獄の焔。それが龍達を襲う。

レオンはアトラルカの力でHPを回復してはいるが、焼け石に水。時間経過で増えるダメージに龍達は心を少し落ち着ける。


「活性、優勢劣勢、剣群」


神狼との報酬で手に入れた3つの新スキル。

活性は、自動回復値を増加させるスキル。

優勢劣勢は、敵とのHP差に応じてステータスボーナス。発動条件は、ソロでボスに対峙していること。

剣群は、自身が所有する剣を手に持つことなく扱えるスキル。


そして、これは偶然発見された仕様。敵からしてみれば最悪の組み合わせ。

レーヴァテインを手に持っていることで自傷ダメージを受ける。つまり、剣群で持たずに操作する場合、レオンはレーヴァテインのフィールドダメージだけを受けることになる。


瞬く間に回復していくレオンのHPに、龍達は遂に笑いが込み上げてくる。


「なんでもありだなあの男!」


ジワジワとHPを削る焔を仕方ないと思考から切り捨て、剣群とレオンに再度集中する。


レオンの方も、自動回復がフィールドダメージを上回るのを確認すると、攻勢に出る。


残りは海龍、天龍、地龍、隠龍の四体。

姿を隠していた隠龍も、レーヴァテインの焔によって位置がバレている。


次に狙うのは、遠距離型の天龍と地龍。


「アクセル・ブレイズブラッド」


アクセルブラッドの強化版。吸血鬼の力をさらに強化。

血翼が展開され、レオンの髪が伸びていく。その髪先が薄ら赤く明滅している。顔の右半分に赤い模様が浮かび上がり、その瞳を赤く染めあげる。


「血を啜り肉を喰らう。その怨嗟は今、地獄の焔と共に地上へ解き放つ。村雨・モード暴食」


グリードカスタム・インフェルノエンチャント


暴食の力によって、レーヴァテイン事フィールドの焔を喰らい尽くし、凝縮したものが村雨を覆う。


「暁の光は世界を照らし、黄昏の闇は世界を包み、白夜は世界に祝福を残した。天狼祝福・3」


三天狼の祝福、一つから効果を発揮するその祝福は、最大でステータスを3倍する。


「駆け抜けろ斬狼!」


太古の龍を相手に、新技やスキル、アーツを試していく。

不慣れな為、僅かに技の繋ぎに隙が生じるが、それを補うように影と血で出来た武器が龍達を襲う。


癒龍がHPをゼロにしてから十数分。残りの龍達も最初のHPを失い、第二段階に移行する。


「……全力の古龍五体とか最高かよ」


獰猛に笑いながら、降り注ぐ流星群、絶え間なく襲い来る荒波、足場は与えんと割れて潰そうとする大地、隠蔽され発見が困難な龍の物理攻撃、味方への治癒と同時に飛んでくるデバフ系魔法を様々な方法で受け流していく。


しかし、厄介なのは『天流』の効力が働いていることか。更に、海龍の結界だろう。結海アトラントも展開されている。

そして、定かではないが、他の龍もそれぞれ専用のフィールドを展開しているだろう。それが干渉し合わないのが不思議だが、同じ龍種だからなのか、それともこの戦闘フィールドの効果なのか。


「抜刀・心月」


自身を囲うように斬撃を刻み防壁とし、その間に自身の結界を展開する。


「影血世界・月下影天血光海域」


血光海域は、黒狼との戦闘で使用した。あの時は黒狼の姿を浮かび上がらせるのに使用したが、今回は本来の使い方をする。


「やっぱり干渉しないのか。なら、存分に行こう」


各々の結界が干渉しない。しかし、その力が混じり、敵を倒さんと襲い来る。


「血海・剣の波!」


血光海域から無数の血剣が飛び出し、敵目掛けて飛んでいく。


「海竜!」


それを海龍が水の竜で防御。


「マザーグラビティ」


地龍の攻撃は、レオンに掛かる重力を何倍にも高め、その動きを阻害した。


「グラビティプレス」


天龍がすかさず重力を増加させる魔法を使い、レオンへ更に圧をかける。


「スペルブラインド、ボディパラライズ、ロックマインド」


動きが一瞬止まったレオンに癒龍が、単体指定デバフ魔法でレオンを弱体化させる。

スペルブラインドは、魔法やアーツの発動を確率で失敗させる。

ボディパラライズは、身体行動を阻害し僅かな隙を生み出す。

ロックマインドは、対象の意識を数秒支配する。


「スラッシュレイド!」


隠龍がそのチャンスに接近し、爪と翼を使った斬撃でレオンを滅多斬りにする。


その全てをレオンは、


「アトラルカ、タキオンドライブ」


避けた。


タキオンドライブ…レオンとアトラルカの結び付きがより強固な物となり、無限のエネルギーを所持する為可能とした。

分類を神性魔法。その一つである。


「いや、わかってたけどこれ無理だろ」


回避したレオンの身体からは、血が流れていた。それだけじゃない。所々に穴が空いている。

その身を粒子に変換し回避するタキオンドライブ。粒子に変換し、元に戻る。その精度が甘い。故に欠損する。


最大HPを僅かに減らし、部位欠損によるスリップダメージを受けながら、レオンは楽しそうに笑う。


笑いながら、レオンは隠していた手札を全て使用する。


神性魔法、霊装、リズの龍王の権能、各契約精霊の第十、十一位階の魔法


神狼の時より多彩で苛烈。

相手を殺してはいけない、手加減が必要だった神狼。

そうでない相手との全力勝負。今のレオンがこのゲームの世界で出せる本当の全力。

現実では解放出来ないそのフラストレーションを、ここで代わりに発散する。


「歴代最強だろ」

「最凶ですね」

「なんで、HPを半分も削れないの」

「ゆーちゃん大丈夫?」

「ママ…」

「ママじゃないわよ」

「重症じゃねぇか」


海龍と隠龍がレオンを最強と称し、天龍がレオンの理不尽さに嘆き、のの字を書いてしょぼくれている癒龍を地龍が心配し、癒龍は地龍をママと呼ぶ。地龍は否定し、レオンは笑う。


「レオン、貴様今ので何割だ?」

「8」

「済まない。聞き方が悪かった。あちらの貴様で何割だ?」

「…はぁ、まぁ隠すことでもないか。こっちと向こうとじゃ能力の質が違うから、正確には言えないが6割。手数の多さだけなら、こっちの方が上だな。今はまだ」

「……貴様が敵でなくて心の底から安堵したぞ」


僅かに力んでいたのを息を吐いて解す海龍。

他の龍達も同じように力を抜いていた。


「……」


レオンはその様子を見ながら、少し考えていた。

こちら側で出来ることは、あちら側でも出来る。そして、アトラルカやセレス達を呼び出し、力を借りることも可能になった。ならば、神性魔法も実現可能。また一つ、人外としての格を上げたのだろう。


「さて、レオンよ。貴様はこれから、龍王達に挑戦するのだろう。だからこそ先に言っておこう。レオン、貴様に王龍と神龍への挑戦は許されない」

「理由は?」

「その龍王は、人間種へ与えられた試練。人類到達試練の二体だからだ」

「人類到達試練?人類最終試練じゃなく?」

「あぁ。厄災アンリマンユとは別。人類が最終試練に挑む為の登竜門」

「最終試練は人種のみ挑むことが出来る。それは、人間種だけと?」

「あぁ。亜人種、エルフやドワーフ、獣人、竜人も参加不能だ」

「王龍、神龍の勝利報酬は、人種全体の進化。そして、使徒魔法の獲得。それにより、最終試練と戦う準備が整う」


やはり、自分は攻略の先頭に居るのだと認識する。

こんな重大事項、一人で聞くもんじゃない。


聞きたいことも調べなければいけないこと、共有しないと駄目な事ばかり。


「人種の進化の先、それは何処だ?まさかと思うが、神の使徒、ということは」

「わかっているではないか。使徒魔法とは、貴様が使った禁呪、神性魔法の劣化版。まだ扱えるようにした魔法。そして、それを扱うことの出来る種族が使徒だ」

「補足をしよう。使徒になると言っても、仕える神が最初から決まっている訳では無い。一人一人の意思で仕える神を選ぶのだ」


海龍の説明を補足するのは隠龍。

それはつまり


「俺に仕えることもできる?」


未だ神になれていないとしても、そう遠くない未来、神になったとすれば


「レオンが神となり、仕えたとしよう。そうなれば、使徒魔法はレオンの性質に近い魔法へ変質する」

「なるほどね。俺の性質に近い魔法か…使いにくそうだな」

「ふっ。可能性は大いにあるな」

「そうだわ、貴方にお願いがあるのよレオン」


癒龍に抱きつかれて、母親のように慰めていた地龍が思い出したように会話に混ざる。


「なんだ?また依頼か?」

「依頼…でいいのかしら?私達古龍の総意でもあるし、龍王達に三天狼の同意もある。後は各国の王達次第ではあるのだけど」


出てきた名前のインパクト凄いな。


「で、結局何をすれば?」

「端的に言えば、国家を樹立させて欲しいの。貴方を王とした国を」

「…」

「それもただの国じゃ駄目。圧倒的な力を持ち、世界の秩序に貢献する最強の国。そんな国にして欲しいの」


プレイヤーアナウンス


プレイヤーレオンに太古の五龍、各龍王、三天狼から依頼です。

依頼内容

新生国家の樹立。

世界最強の国をつくれ


「タイミングはこっちで決めていいんだな?」

「あぁ。各国の王に説明が必要なら、我等の名を出して構わん」

「了解した」


そう返すと、レオンは夜闇に紛れて姿を消した。


「どこまで背負うつもりなのだろうか」

「どこまでも、ですよ」

「彼は見ていて危なっかしい。誰かが傍にいなくては」

「その役目を担える者はおるが、レオンはきっと、拒むのだろう」

「せめて、私達は彼を見続けてあげないとね」


太古の龍達はレオンの消えた空間を眺め、レオンの危うさに触れる。

レオンのこちらの世界で持つスキルは、ソロで活動する為のモノばかりだ。パーティーを組むことを考えていない。

恐らく、ミオ達とも組むつもりはないだろう。

一人で何とかする。アーツや精霊、召喚獣が対多数、広範囲殲滅に偏るのもその影響だ。


「許容量は既に限界だろうに」


レオンが一人で行動するもう一つの理由。それがその身を蝕む簒奪と破壊の因子。

厄災や大罪の敵を倒し、神代によって浄化してきた。

しかし、神の力の一端だけはあり、完全な浄化に至っていない。汚染されていた大罪スキル暴食でその因子をその身で喰らう。そうして、これ以上の影響を防ぐ。

神の使徒であるレオンだからこそギリギリ可能な対処法。それも、あと一つか二つ取り込めば、レオン自身も汚染されかねない。


「祈るしかあるまい。彼があちら側へ堕ちないことを」



「神の力をその身に受け、肉体と魂を蝕まれながら鍛え上げ、神の力に慣れさせる。下地は整っていますから、確かに可能でしょう。しかし、それで彼が堕ちるようであれば……考えたくもありませんね。

応援することしかできないのが苦しいなんて……初めてですよ」


レオンの力になれないのが悔しい。

権能の効果範囲を任意にできないことが悔しい。

最低限の補助しか出来ず、それも必要とされなくなり始めたのが悔しい。


「人と長く触れ過ぎましたかね。同類のすることに嫌悪感を覚えるなんて」


ムーは内に秘める思いを一人漏らす。

レオンへの想い、同類のレオンへの仕打ち

いざとなれば、同類を敵に回す覚悟を決める程、今のムーはレオンを気に入っている。


「絶対に見逃さない」


レオンの変化をいち早く察知して、異変を阻止する。そう強く決意する。

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