第68話 レベルそしてイベント
「クッソ!」
振り抜かれる爪。自身の何倍もある巨体から繰り出されるそれは、防御してもその上から伝わる衝撃だけでこちらの体力を削る。
「頼れと言うのなら!力を貸せ、三種の神器!」
先程から自分の存在を主張するように熱を発する、身に付けた三種の神器
「隙だらけだ」
「うるせぇ。見えてる」
死角から振るわれる凶刃を、視線を向けることなく避ける
「あぁいいなこれ。よく馴染む。全力で行こう、着いてこいよ霧雨」
「イベント開始まであと1時間…」
「ここに出てるUIからマップに転移できるらしいな」
「結局、レベル145程が限界だったな」
「でも、廃人で130らしいで?」
「……我等がマスターは一体何レベなのかね?」
「レベルだけでいいなら答えるぞ」
「んじゃ頼む」
「215」
「クソゲー」
「チートかよ」
「1人で大物狩りすぎ」
「恩恵受けてんだから、文句ばかりはよせよ」
クランホームで待機しながら会話をするのは、同盟クラン「先導者」に参加している各クランマスター
「結局、レイドでシズは倒せたんか?」
「ん〜」
「む・り」
「やっぱあの戦場か?」
「フィールドがレヴィアンより特殊すぎる」
レヴィアンの攻略を終えた組は、最大人数のレイドパーティーでシズに挑戦していた。
初戦は惨敗。あの流転という法則を強化する特殊な戦場、それに対応できなかった。
2戦目は、レオンのアドバイスにより、多少あの戦場に慣れたようだが、まだ完全ではない為敗北
3戦目、4戦目と少しずつ与えられるダメージが増え始め、慣れていることの証明にはなっているが、まだ6割以上削れていない。
昨日、イベント前、最後の挑戦ということで挑んでいたようだが、8割削った後に繰り出された魔天砲で壊滅。惜しくも勝利に届かなかった
「つかさ、ほぼ一撃決着のレオンのステータスどうなってんの?」
「もう、俺らにだけ公開しろよ〜」
「んーーまだ無理かな」
「ミオちゃん達からもなんか言ってやってよ」
「私達でもダメみたいで」
ステータスだけなら良さそうなものだが、レオンは頑なにそれを見せない。
「そんなことより、持ち物ちゃんと確認したか?」
「おう」
「問題ないです」
「そういうの普通は私達が言う側ですよね。リアルのこと考えると」
「おい、やめろよ。コッチでくらいアッチのこと忘れてレオンに従おうぜ」
「そうですよ。アミューは変なところで真面目ですね」
「話は変わるんだけどさ、みんなどこでレベル上げしてた?」
「獣人国に行ってた奴らはそっち方面だろうな」
「魔法都市側もそうでしょうね」
「私達は色々行きましたね」
クラスメイトやクラマス組、獣人国や魔法都市に急いでいく必要の無い組は、色々は場所を巡っていた
「海国、神国、転国、天照王国、ドワーフ都市の依頼こなしたね」
「うん。そうなんだけどさ、レオンいなかったよね?」
「あ」
「ん?」
「どこでレベル上げてたのかなって」
皆の視線がレオンに集中する
「おかしいよね?どれだけやりこんでも130しか辿り着けなかった廃人より上だなんて。どう考えても、経験値の何かあるよね」
「黙秘権を」
「…ミオ、あれをやるしかない」
「え、ほんとにやるの?」
「ん。お兄の口を割らせるべき」
「えっと、レオン、暫くおかわり禁止ね?」
「は?いや、え?ちょま」
「教えてくれたらいいよ?」
分かりやすく狼狽えるレオン。食べ盛り、育ち盛りのレオンにおかわり禁止は辛いだろう。
しっかり胃袋を掴まれている様子に、周りはちょっと引いている
「……ダンジョンに行ってました」
「どこの?」
「転国の南にある森を更に行った先です」
「へぇどんなとこ?」
「吸血鬼の国があった場所です。地図には表記されてませんでした」
「偶然見つけたの?」
「……レベルアップに伴った制限の解放の副産物に、吸血鬼関連の知識があって確認に行きました」
「なんで共有しなかったの?」
「挑戦権が吸血鬼だったのと、魔物のレベルが300超えてたので、無理だなと判断しました」
ミオの尋問?によって驚きの情報が出るわ出るわ
「ねぇ、レオン。数値は聞かない。でも、ステータス今どんな感じ?」
「……ポイント振り終えてないからあれだけど、合計値2万いくかな?いや、まだそこまでは行かないはず」
そう言うレオンに向けられるのは疑いの眼差し。
「ちゃんと計算してないなら信用出来ない」
「しゃーない。残りのポイントもステータスに振るか」
「どっかに偏らせるのか?」
「ん?最初はそうしようと思ってたけど、色々変わってきたから、多少満遍なくやるつもり」
SP173・BP197
SPはそのままに、レオンはステータスを割り振る
全ステータスに23ずつ振り分ける。上昇値は1ポイントにつき50なので1150になる。
つまり、振り分けるとこうなる
HP3420・MP1770・STR2900・VIT1530・INT2650・RES1350・DEX1545・AGI2890・LUCK50
LUCKだけは固定値のため変動がない。そして、23ずつ8つに振り分けても13ポイントが残るが、それは残しておく。
「あー、ギリギリ2万いかない」
計算されたステータスに苦笑いしか出てこない。
「逆に考えよう。俺達のリーダーで味方なんだと」
「そうね。それに、極振り勢は装備と合わせれば似たような数値になりそうだし」
「そうだな。レオンは装備の効果が微妙だからな!」
レオンの装備、防具は、始祖一式のまま。
しかし、多少の強化は入っている。
始祖の耳飾り
AGI+70
特殊スロット1、5分毎にMPを消費してSTRを上昇(最大25分で1.5倍)
特殊スロット2、低位物理攻撃無効(スキルレベル50以下の攻撃)
始祖のマフラー
AGI+35
特殊スロット1、低位魔法攻撃無効(スキルレベル50以下の攻撃)
始祖の戦装束
全ステータス+20
特殊スロット1、始祖状態全ステータス3倍
今のレオンを倒そうとすると、厄災や大罪、魔狼や魔龍等のボスクラスじゃないと無理かもしれない
そうして、改めて確認をしていると時間になる。
「イベント開始だ」
時間になり、改めて表示されたUIからイベント参加を押して、イベントマップへ転送されていく。




