第66話 情報そして古本屋
「レベル上限解放、獣人国到着、魔法都市到着を祝して!カンパーーイ」
「かんぱーーーーい」
レオン達がダンジョン攻略から戻ってゲーム内2日。
提携ギルドやクランとの協力もあり、無事に獣人国と魔法都市のポータルが開放された。
それを祝って、今は宴の最中だ
「神獣人に至る方法は見つからなかったけど、新しい進化ルートは見つかったぜ」
「魔法都市の方も、新型の魔法開発が盛んで、見たことの無い魔法や魔導具が沢山あったわ」
「魔法都市って言うと、ミオ姐さんの魔術式が研究対象になったんだって?」
「そ。魔術式又は刻印術式って呼ぶ事になるって」
「そこから更に細分化するみたいな話もあるからね」
「獣人の方も結構細かいんだろ?」
「獣よりか人よりかで違いも出るし、進化先もやっぱ変わるらしいからな」
「すごいよな。完全獣型で人の言葉喋ってんだぜ?動物との意思疎通もできるようになるみたいだし」
「ただ、進化した獣の習性が色濃くなるらしくて……」
「どゆこと?」
「例えば、猫系に進化すると、人型ならまだ緩いんだけど、完全獣型になるとお猫様見たく気分屋になるらしくて」
「……若干デメリット抱えんのか」
「あとね、食べる物も獣型は引っ張られるんだって」
「美味い料理じゃなくて、肉とか野菜そのまま?」
「そう」
こんな話がそこかしこで行われている。そりゃお互いの情報は知りたいもんね。
「そういえばさ、魔法都市に珍しい古本屋があったんだよ」
「珍しい古本屋ってなに」
「んとね、店主がエルフだった」
「そりゃ珍しいわな」
エルフが珍しいと言われる理由は、エルフの国が帝国並に嫌われているからである。
理由は、回復薬や蘇生薬といった貴重な薬を、高額な値段で売り続けていたからだ。
製法を秘匿し、自国でのみ生産。敢えて普通の瓶に詰めることによって、薬を劣化するようにし、その期限もバラバラ。
効果も、漫画やアニメの世界で見る初級と呼ばれるものばかり。
そんなものを1本5万で売っていたら、それは嫌われて当然だろう。
「その店に誰か行った?」
「あ、そういえば」
「キクー」
「ん?」
「古本屋行ってたよね?」
「うん。いい本あるかなって気になって」
キク、レオンのクラスメイトの菊音。文学少女の見た目をしているが、実はかなりのゲーマー。読書も好きだが、それ以上にゲームが好き。
趣味はゲームと古本屋巡り。
「なんか気になった本あった?」
「ん〜〜あったけど、あれ売り物じゃなさそうだったし」
「キク、風音と凛とレーナ、ミオでその店行ってくれないか?」
「なんで?」
「なんでって言われるとあれだな。まぁ、なんか情報ありそう的な?」
古本屋、古い情報を調べるなら、王立の図書館や禁書庫の次になにかありそうではないか。
個人的主観に基づいた理由だが。
「あー気持ちは分からないでもないから、この後行ってみるよ。他のメンバーには私から声掛けとくね」
「頼む」
ゲーム内といっても、一応未成年である学生達はアルコールを飲んでいな……いや、ノンアルは飲んでいるな。周囲の大人もこれなら良いだろ。ゲーム内だしな。と静観する方向だ。リアルにフィードバックがある訳でもないし、何も問題は無い。リアルでは飲むなよ?
途中で抜けたキク、レーナ、ミオ、風音、凛の5人を見送ったレオンは、宴会会場に戻らずにそのまま外をふらつく。
「……少し近付いたか?」
歩きながら、とあるスキルを使い、確認をとる。
「最初はレイド…暁光の白狼か」
まだ遠すぎて、正確な方向は分からないが、確かに感じる気配。それが昨日より少し近付いているのを感じる。
「戦うとなれば、恐らくこのゲーム開始以来最強の敵…しかもその後に、更に強力なのが二体」
手を口にあて、口元を隠す。
「あーだめだ。緊張や恐怖どころじゃない。楽しみすぎて、口元がにやける」
レオンの経験してきた中で、完全に格上と思える相手と戦った数は少ない。
颯の護衛だった時期に出会った襲撃者
稽古をつけてくれた父親と母親
化身とはいえ神のグレーゴル
ゲーム内の身体という制限の中で暴虐天童
死力を尽くして戦った経験はこの4回。その他は、確かに強敵ではあったが、どこか物足りなさを感じていた
「イベントもあるからな…どんな敵と会えるのか楽しみだ」




