第51話 今後の行動そして魔物の発生源?
平日、何時ものように学校へ行き、授業を受ける。
休み時間にも他のパーティーの進行状況を聞く。
「クラマス組は今日中に着きそうってさ」
「他はちょっとエリアボスに苦戦してる」
「2パーティーじゃ無理そ?」
「最大3パーティーまでOKらしいから、それでなんとかってとこ」
いくらトップ層と言えど、対空戦闘はまだ経験が少なく、相手が相手の為苦戦を強いられている。
あっさり倒せてたレオン達やクラマス組が異常なのだ。
「今検証班連れたパーティーが、攻略法確立の為に試行錯誤してるらしい」
「検証班…どこのクラン?」
「…提携のライブラリだな」
情報収集クラン『ライブラリ』
『解放者』に正式加入はしていないが、他のクランに比べて1番関わりの深いクランである。
「あそこなら平気だな。何故か知らんがトップ層のプレイヤーが数人所属してるし」
情報を効率的に集める為だろうか?レベルやスキルを比べても『戦人』『守人』のクラマス達と遜色無い所まで来ているのだ。
現状、プレイヤーをある程度の区分けすると
1番上にレオン。次に『戦人』『守人』のクラマス、副クラマス、ミオ、カクラ、マイ。1部の上位プレイヤー達。
その次に風音、アミュー、玲奈を筆頭とした『解放者』に参加している各クランメンバー。
最近加入した『ジャック』のメンバーはこの下辺りだろうか。
おやっさん達『万事屋』は生産職であるため、区分出来ないがレベルだけを見るなら、『ジャック』のメンバーと同じかやや下となる。
「玲音は今日どうすんの?」
「向こうの王次第だろ。話せないなら、情報集めに行くだけだし、話せたなら聞いてから動く。どちらにしても風音のとこには早速動いてもらってるが」
今のところ集まっている情報は、ここ数日からやけに希少鉱石の出が良いこと。魔物の出現数の増加や謎の気配を感じるというもの。
「ゲームの話をするのはいいけど、もう少し後にしてくれる?一応授業中だからね?」
椚達と話をしていると、横から亜美先生に注意される。
「え?良くないですか?一応今日やる内容終わりましたよね?」
「…終わったけど」
「休み時間まであと少しですし、声小さくしてるからいいですよね?」
「………私も混ぜなさい」
一瞬で陥落した担任である。
ちなみに、この後は帰りのHRをやって帰るだけだ。
「亜美先生の方はなにか情報あります?」
「神楽さんと舞ちゃん居るのに聞いてないの?」
「まぁ」
「神楽さん、手伝って」
亜美先生に呼ばれて神楽姉さんが寄ってくる。
「物価は特に地上と変わり無し。希少鉱石関連の値段が少し下がったくらい?」
「というか、鉱石全体の値段の低下」
「その原因は?」
「不明ね。希少鉱石が出やすくなったのに関係してそうだけど」
「そっちが未だ不明だから」
希少鉱石の出が良くなると同時に普段から出る鉱石も採掘量が上がったらしい。
「他は?」
「食糧関係が若干高い」
「それは土地の関係?」
「そう見たいね。地上都市で色々やってるらしいけど、性にあわないこともあって輸入がメインで、若干高くなるそうよ」
「鍛冶場にいるのが落ち着くとか言ってたしな」
話してるうちに授業終了の時間。
そのままHRを始め、必要な連絡事項を伝え、他を省略。手短に挨拶を済ませ帰宅。
帰宅したら夕飯の準備を済ませ、ゲームにログイン。
ドワーフの地下都市に向かい、この後話ができるか確認を取る。
「鍛冶場に籠ってる?」
「はい。おやっさんという方と」
「わかった。王に伝えといてくれ。話はもういい。連絡事項があるなら、おやっさんか天照王国に頼むって」
「かしこまりました」
1つのことに熱中できるのはいいが、他が疎かになり過ぎである。
リアル休日2日…ゲーム内で4日も籠ってる。いや、正確には2日と半日か。
こうなればこちらはこちらで、早く動いた方がいいだろう。
「風音は…連絡来てるな。なになに?魔物の発生源を複数発見、また強力な上位個体も確認か。ルツとワルドワには話を通しておくか」
手紙を2枚用意し、王城の門番に渡しておく。
次に、同盟クランに情報を共有。各員警戒を怠らないように指示を出す。
「俺は巫女姫に話してから飯だな」
天照王国に戻り、巫女姫の元を訪ねる。
「念の為食糧の用意を頼む」
「…わかりました。転国、海国、神国と連携し援助の用意を進めます。それと同時に、各国周辺に同じような異常が無いかも確認させましょう。宰相、急いで連絡を」
「かしこまりました。レオン、貴様にこれを渡す。緊急時はこの城の王の間に転移できるようにした。今回のような場合はそれを使え」
「有難く頂戴します」
流石巫女姫と宰相。話を聞いてすぐさま行動に移ってくれる。
「ところで、ドワーフの王とは話」
「できてない。もういい面倒」
言葉を遮って答える。
「あの、依頼」
「わかってる。今回のことが終わったら恩を売って優位な立場になってからにする」
「あの、怒ってます?」
「怒っては無い。ちょっとイラッとしてるくらい。王の下に付く者達がちゃんと対応してるのに、上があれとかもう、ね?」
数は少ないが、今まで出会った偉い人達は皆優秀な人であった。
その人達と比べると、落胆せざるを得なかった。
その後少しの雑談と近隣諸国の情勢を聞き、ログアウト。
夕飯と入浴を済ませ、自身のステータスやスキルを確認。この後の予定を立ててからログインする。
「風音にチャット送って…魔物の発生源を教えてくれっと」
数十秒で返ってきた。自分のマップと風音のマップを統合。位置を確認する。
「なるほど。地上にも発生源あるのか。まぁ、潰すなら地下よな」
レベル的に。
「ん?追加?」
1番遠い場所をマークし、向かおうとしたレオンにもう一通のチャットが届く。
「凛、玲奈、リックを連れて行って欲しい?」
役割的には近い三人だが、接点あるのだろうか?
「まぁいいか。集合するなら…ここだな。えっと位置情報共有して…よし向かうか」
地下都市に来る時、ドワーフ達と出会ったあの採掘場に向かう。
インベントリを確認。
緊急回復用の上級HPポーションが10個
飲料水が5L(インベントリ1枠)
空腹度を回復する食料3食
採掘用ピッケル
月影
魔力拳銃二丁
霧雨と赤椿を帯刀。
装備アクセサリーとして、ネックレスに天叢雲剣、手の甲に刻印という形で八尺瓊勾玉、メガネアクセサリー枠として八咫鏡。
周囲を見れば、ドワーフ達が護衛を連れて採掘に来ているようだ。そこにプレイヤーも混じっている。
「到達が早いな。いや、うちのクランにも居たな。自宅警備員」
夜勤組や自営業、自宅警備員等のクランメンバーが上手い具合に生産職を連れてきたのだろう。しかも地下都市の方に。
「地上都市の話してないもんな。そりゃこっちになるわ」
数分で凛と玲奈が到着。少し遅れてリックも
やってくる。
「んじゃ行こうか」
全員の準備が整っているのを確認し、魔物の発生源へ向かう。
最初はあまり接敵しないで進むことが出来る。
「数も少ないし、レベルもそこそこ。レベリングには丁度良さそうだ」
「そう言えるのはレオンだけだと思う」
「せやなぁ。お前一人居るだけで楽や」
「間近で見るのは始めてかもしれませんね。イベントの時は混戦すぎてよく分かりませんでしたから」
あまりの楽さに軽口を言い合う余裕もある。
「ちょっと数が多くなってきたか?」
「レオン、追加で五体来るよ」
「まだ来るんか!?」
「発生源が近い証拠ですね」
しかし、少し進んだら急に魔物の数が増える。
「俺は平気だが三人は?」
刀術のみで魔物を捌きながら三人を伺う。
「私は平気。レオンにちょっと教わったおかげ」
「私も平気です。イベント戦や厄災戦に比べれば楽です」
「そう言われたら俺も平気って言わないとやん!」
「正直に」
「ちょっときついです」
凛と玲奈はレオンと戦線を共にしたことがある。複数の魔物の相手を何度もしたことがある。その経験がいきている。
リックはまぁ。元々表に出て戦うようなスタイルではないから。
「わかった。ペースをあげる」
レオンの身体から紅い雷が迸り、余剰魔力が瞳から放出され紅い魔力の軌跡を描く。
精霊アトラルカの能力を使用する。
パーティーで行動する以上、ある程度の能力制限は必要になる。レオンがスキルを制限せずに使えば、パーティーを組む必要が無くなる。組む以上は、そういう配慮が不可欠なのだ。
そして、状況に応じて能力の制限を解除していく。
「血操術じゃないんか!?」
「そっちだと殲滅しちまうだろ。お前らも戦えよ」
車に構え、魔物の群れに突っ込む。
「韋駄天」
魔物の隙間を縫うように駆け抜ける。
韋駄天は、一瞬の溜めを必要とする。理由は、どういったルートを通り攻撃するかを決めるため。
今回レオンが選んだのは、半分程の敵の首を切り落とし、挟撃出来るよう反対に回るルート。
しかし、精度がまだ甘いのか数体倒し切れない。
「うーん鍛錬不足!雷公」
現実でもこっちでも鍛錬はしっかり行おうと決めながら、取りこぼした魔物にとどめを刺す。
「数減ったぞ!次来る前に終わらせる!」
再びレオンが群れに突っ込むと同時に、三体の首が落ちる。
「やっぱワイらはこうでなきゃ」
「確かに」
「真正面よりは楽ですよね」
敵の意識がレオンに逸れた一瞬で気配を消し、魔物に接近。同じタイミングで敵の首を刎ねた。
「アサシンプライド」
「ブレイドダンス」
「サイレントアサシン」
アサシンプライド、サイレントアサシンは共に闇魔法の一種。
アサシンプライドは、認識外からの殺害によるSTR5%の常時バフ
サイレントアサシンは、音を出さないで動き続ける間、全ステータス1.5倍
ブレイドダンスは玲奈も取得できるようになった二刀流アーツ。予め決めた連撃を行うか、状況に応じてマニュアルで攻撃する2パターンがある。
上位陣だけあってステータスもしっかりと振ってある為、攻撃をしっかり当てれさえすれば倒せないなんてことは無い。
5分そこらで集まっていた魔物を倒しきる。
「ま、休みなんかないわな」
しかし、次の瞬間には次の魔物の反応を感知する。
「そらきついわ」
「私もちょっと疲れたかも」
「そうですね。もう少し休憩が欲しいところです」
レオン以外の三人それなりに疲れ始めている。
「ちゃんと後ろついて来いよ」
もう一度車の構えをとる。
「疾風迅雷、疾風怒濤、電光石火、千断改め断罪」
踏み込んだ瞬間、後ろに退く程の強風と目を焼くような雷光が発生。
魔物達が唯一捉えることが出来たのは、構えるレオンとなにかに備える三人のプレイヤーの姿だった。
嫌な予感がした三人は、距離を取ろうとしたが、それより圧倒的に早い発動であった為、数十秒視界が真っ白に染まった。
「ま、辿り着いたから問題なしだわな」
「大ありや」
「レオン?手加減って知ってる?」
「本当に規格外ですね。常識って知ってますか?」
三人から詰められているのを無視して、レオンは魔物の発生源に目を向ける。
「見た事のある形だな」
視線の先にあるのは、暴虐天童と破天大蛇と戦った時に見た門。異界の悪魔を呼び出す門だ。
「へぇ。そうなってんのか」
門の周りにいる悪魔がその形を歪め変化していく。
変化した姿は先程まで倒していた魔物と同じ。
つまり、異常な魔物の発生はこの門が原因。
希少鉱石が出るようになったのは、恐らくだが、異界から流れ込む魔力によって鉱脈が活性化させられたから…かな。
「すっげえ魔力量だな。何時までもつと思う?」
「相当長いことはわかる」
「せやな。一日二日で消えるようなもんやないやろ」
「コレ何気に厳しいですよね」
破壊するには魔力量を減らすしかないだろう。
それで正解かは定かでは無いが。
「ま、試せばいいことか」
立ち上がり、歩を進める。
「アトラルカ、周囲の魔力を俺が使えるようにしてくれ」
「了解した。余剰魔力はいつものようにするぞ」
「あぁ」
両目から溢れる魔力。カッコイイと思ったレオンがアトラルカに頼んだ結果である。
「何体でも掛かってこいよ。鏖殺だ」




