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異世界戦争、界渡り〜渡る世界は馬鹿ばかり?〜  作者: 鯉狐
2章 異世界・代理戦争編(仮)
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第47話 選択そして拡大


霧に覆われた森の奥深く。光り輝く大樹の根元に広がる自然に紛れた都市。

その一角で、会議が行われていた。


「里長、厄災の二体が倒されたと」

「更に、天照王国の四傑に吸血鬼、天使、小人が就任したと」

「異界人...ですか」


丸い卓を囲む五人のエルフ。


「リリアナ、お主の意見を聞かせてくれ」

「...私個人としては、あの国と友好関係にあるべきかと。かの種族は恐ろしくもありますが、味方であるなら頼もしい存在です。そして、もし害あるようなら...」

「それもそうか...」

「しかし里長、どうやってあの国と接触するのですか。我々は今まで、あの国...いや、人族全体と争っていたのですよ?」

「その辺はどうとでもなる。我等の秘薬を分けてやれば食いつくだろう。その後に、あの三人を洗脳し我等の物とすれば、後は用済みだ」

「そうですね」

「では、そのように」


彼等は忘れている。レオンという男の力を。

彼等は知らない。レオンの本質を、本当の力を。

故に、これから先エルフに待ち受けるのは、引き返すことも、避けることも、止まることも出来ない地獄への一本道。



『世界に吸血鬼、天使、小人、竜人、龍、精霊の存在を確認』

『凍結プログラム停止、解凍プログラム開始』

『完了まで48時間』

『意識覚醒まで24時間』

『必要情報インプット用意...完了』

『神樹アリナ・ユグドラシル、神鉄カイン・オルハルコン、始祖獣ビースト・ゼロの神格返上』

『我等の創造主よ...我等も貴方の元へ間も無く...』


真っ暗闇の中、無機質な音声が響く。しかし、その声は多くの想いが込められていた。




「そういえば、最近『神出鬼没』の目撃情報聞かなくなったな」

「そういえばそうだな」

「単純に目撃されてないだけだろ」


そう話すのは、暗殺クラン『ジャック』の構成員。

『神出鬼没』とは、先日レオンを襲撃しようとし、返り討ちに合ったプレイヤーの一人。


「ファースト、セカンド、サード、いるか?」


声がする方を向けば、そこには


「クラマス」


暗殺クラン『ジャック』のマスター、リック・ザラ。


「お前らには報告しとく。神出鬼没が引退した」

「はい?」

「...それは、PKをか?それとも」

「ゲームを、だ」


沈黙...


「理由は?」


それに応えるようにリックが取り出したのは、課金アイテムの録画水晶。


「ここに、全てが写ってる。これを見れば知ることが出来るが...逃げることが出来なくなる」

「それは?」

「どうゆう事だ」

「マスター?」


リックは悩んでいた。この映像を仲間と共有することを。

レオン、おやっさん、風音と契約する際、レオンの力に関する情報は秘匿する契約を結んでいる。

レオン自身が公開して問題無いと判断するまで広めては行けない力。

その力がこの映像には...


「マスター、再生方法は?」

「...いいのか」

「何年の付き合いだと思ってんの?」

「全くだな。中学の時からいつもこんなだろ」

「...あぁ、ありがとう」


そして、映像を再生する。


そこには、『神出鬼没』が血の狼に囲まれ、何も出来ずに血刀に滅多刺しにされ、地獄のような拷問の光景が。


「...本当にレオン...なのか?」

「...嬉々として新技の実験体に...」

「色んなゲームをやってきたが、ここまで酷いのは初めて見た」


身体の震えを抑えるように肩を抱き、水晶から視線を逸らす。


彼等は暗殺クラン所属だ。それも、複数のゲームで。

過去複数のゲームで、拷問に尋問も行ってきた。しかし、今の映像はそれを超える。


「あれではただの」

「八つ当たりってか?」


完全な意識の外。この場所に辿り着けるはずがないと油断していた。


「...レオン」

「よぉ。ちょっと不穏な気配を察知してよ」


いつもの着流しから装備が変わっている。

肩から指先を覆う金属鎧。両脚にも金属鎧。

いや、鎧とは言えないな。


「その映像は、正しく俺だ。今ここにいる俺と同じ。二重人格とかじゃないぞ?」


二重人格と言われた方が良かった。


「ここに来た用件は」

「その映像は、ここだけの秘密にしろ。そして、同盟『解放者』に参加しろ」

「何?」

「簡単なことだろ?」


...この映像でレオンが知られたくない力...

月影の変形機構、レオンオリジナルの強化魔法、血操術の新しいアーツ、レオンが所持する大罪スキルか?


「そろそろ周りが煩いんだよ。その対処を任せたい。報酬はそうだな...」


レオンが顔を横に逸らす。それに釣られてリック達も横を見て、ハッとして視線を戻すがレオンの姿が消えている。


「ちょっとした誘導のテクニックとオリジナル強化魔法の伝授でどうだ?」


後ろからの声に咄嗟に振り向く。

四人の影の上に立つ、四人のレオンの姿。


「どうする?」


...答えは一択に等しい。


「断ったら?」

「さぁ?」


視線を下げれば、レオンの手首には切り傷...いつでもスキルを発動できる用意が整っている。


「わかったよ。同盟に参加する。強化魔法教えてくれるんだろ?」

「おう。頼むな。強化魔法は今いる四人だけか?」

「待て、もう二人呼ぶ」


リックが連絡を取ってる間に、術式の写しを用意する。



「待たせたか?」


数分で二人がやってきた。


「フォスとファブだ」

「おっけー。まず、全員にこれを渡す」

「これは...術式?」

「強化魔法じゃないのか?」


フォスとファブはキョトンとしてるが他の四人は混乱している。


「正確には術式を併用した魔法だ」


術式の名前は、気配偽装術式。

術式の効果によって、自身の気配を偽装し、別の何かに自分の魔力を乗せ、相手の意識を誘導する。

そして、闇魔法がLv25を超えると覚える影分身と影転移を併用する。

すると、相手の影の上に自身本体か分身を転移させる。


これをいつでも発動できる状態にしたのがレオンのオリジナル強化魔法『影の仕掛人』。


ちなみに、一定以上の魔力を放出することで、魔法を一時的に打ち消すことが出来る


必要なことだけ教え、レオンはログアウトしていった。



「これも有用だが、アレを知ってるとな」

「言うな。フォスとファブがいるんだぞ」

「ん?」

「気にするな。それよりどうだ?習得できそうか?」

「別々で使用する分にはいける。だが、同時使用は難しいな。まぁ、あと2時間あればいけるな」

「ならコレをお前達に渡す」


リックが取り出したのは黒の短剣。


「レオンが造った、術式刻印短剣だ。刻印されてる術式は、刀身拡張術式。盾や鎧を貫通して刀身を伸ばす術式だ」


短剣が盾や鎧に防がれたとしても、この術式を起動することで盾や鎧の裏から刀身が生成される術式だ。


「これの使用は慎重に。消耗品らしく、一回の使用で一本無くなる」


諸々の注意事項を聞きつつ魔法の練習を進め、ちゃんと2時間後には習得した。



翌日、同盟『解放者』に『ハロウィン』と『ジャック』が加わったことが公表された。

更に、正式に同盟入りしていなかった『万事屋』も加入。


『解放者』のクランホームが増築されることとなり、どこかの国の宰相と姫は頭を抱えていたとか。



「巫女姫様、大丈夫ですかな?」

「大丈夫...でしょう。率いているのがレオンですし、アーメイア様もいらっしゃいますから」

「そのレオン...が心配なのですが...何やら裏でやらかしてる噂も流れておりますし...」


手馴れた手つきで引き出しから薬瓶を取りだし、流れる様な動作で一粒飲む。


「ミオとカクラとマイに報告させましょう。宰相、あのクランと連絡をお願いします」

「それが最前ですか...直ぐに手配します」


宰相も胸ポケットから自然な動作で薬瓶を取りだし、薬を飲み込む。


ある時から胃薬が手放せない二人であった...

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