第44話 先制そして牽制
「あの男は危険過ぎます!」
「彼女達の何処に守護四傑としての実力があるのだ!」
「彼等のクランと提携を組ませてくれ!」
「あの女気に入ったぞ。私によこせ。拒否権は無いぞ?」
等々言いたい放題になっている王城内ホール。
どっかのタイミングで押し寄せたんだろう。豚共...を抑えようとしているのは、海国と神国の王とその妻、護衛騎士達。マイは何言われるかわからんから出てきてないな。
巫女姫の方をチラッと見れば、視線に気づいたのか、こくりと頷く。
やって良し
許可を得たレオンは、威圧のスキルを近い、全員を強制的に黙らせる。
「さて、豚共」
ゆっくりと
刀に手をかけながら進んでいく。
「何をしていたのか聞かせてくれるか?」
ゾッとする程低い声。一番最初、挨拶の時に比べれば、表情も色も残っている。
「守護四傑とはいえ、頭が高いぞ!私は帝国の王太子である。豚共という発言を取り消し、横の女を寄越すと言うなら許そう」
なんか一人よく分からんのが混じっている。いやほんと誰これ
「巫女姫」
「...自己紹介の通りです。帝国からの使者というか、なんかよくわからない一団のリーダー。王太子その人です」
名前は巫女姫も教えてくれない。言いたくないのか?
「あ?招待したの海国と神国だけだろ?いつ来たんだよ」
「つい先程です」
「ゴミか」
先程着いて、一目惚れでミオ達を求める。きっしょ。体型に見合ったクソ野郎である。
王太子の体型を説明しよう。脂ぎった豚。以上
「俺は何をしていたのか聞いてんだ。それ以外のことは喋るな」
めんどくさいと視線から外し、もう一度その場の豚共を睨みつける。
「巫女姫が言ったよな?慎重にと。俺も言った、無理に聞き出そうとするなら、覚悟しろと」
刀をゆっくりと抜き、鋒を一番手前の豚に向ける。
「その覚悟があるんだな?」
一番手前の男。確か、ミオ達の何処に守護四傑としての実力があるのだ!とか言ってた奴だ。
「なぁ、さっきの発言」
レオンが男に視線を合わせる。
「ミオ達の何処に守護四傑としての実力がどうって言ってたけど、お前にその力あんの?そう言うってことは、自分にはそれだけの力があるってことだよな?」
男は汗をダラダラと流し、体が震えている。
歯もカチカチとなっていることから、相当恐怖しているのだろう。
現在、レオンの威圧はその男一人に向いている。
「巫女姫、こいつのような馬鹿を全部黙らせる。他国にも映像繋げられるな?」
「...わかりました。宰相繋げてください」
「かしこまりました」
一瞬悩んだものの、すぐさま対応。宰相に命じて、この場を他国や自国民に向けて放送する。
「守護四傑のレオンだ。ここに、先程の俺や巫女姫からの忠告を聞かなかった馬鹿が居る。他にもいるだろうから、その全てを黙らせる」
納刀。改めての自己紹介をする。
「守護四傑、始祖の血・レオン。さっきの見たからわかってるだろ?種族は吸血鬼だ」
いつの間にできていた腕の切り傷から、血が流れ出し刀を模す。血を操れるのは吸血鬼のみ。
「そしてだ」
マイとカクラを呼び、並ばせる。
二人はレオンの意図を察し、禁呪を解放する。
「天槍」
「機械龍ヨルムンガンド」
王城の天井を壊しながら顕現するは、光の槍と機械の駆動音を響かせる龍。
「察しの良い奴はわかっただろう?この二人の種族が」
その場の貴族共の数人と周囲にいた文官、海国と神国の王達も目を見開いている。
恐らく他国や自国民の中にも気付いたものはいる。
「天の槍は天使にのみ許された種族の象徴。天使族の一翼カクラ。機械龍ヨルムンガンド、かつて迫害された小人族が創り出した厄災殺し。小人族マイ」
天槍とヨルムンガンドの姿が消え、レオンが更に1歩前に出る。
「変な真似をしてみろ。その代償は高くつくぞ」
一瞬、瞬きの間にレオンの周囲を埋め尽くすほどの血刀と鬼が現れる。
レオンを殺さない限り無限に増える血の刀。痛みを感じない血で出来た百の鬼。先の戦いを見ているのだ。その場にいるものは、無限に増える血の狼やレオンの使役獣がいるのも知っている。
「各国の王が賢明な判断をすることを願ってるぞ」
レオンの言葉で映像が途切れる。
そして、この騒動によって世界は加速する。
レオン、ミオ、カクラ、マイの力を示したことにより、全員が守護四傑として受け入れられた。ミオに関してはまだ少し疑いの声があるが、力技で黙らせた。
そして、他国から四人に対しての接触を図る手紙や招待状、他国の商人たちが来始めた。しかし、そのどれもを拒否。レオン達に接触しようとするならば、天照王国を通すか、「解放者」を通さないと行けない状態に。直接接触を試みた者は翌日、部屋の隅で青くなり震えている姿を何度も目撃された。
欲に塗れた誘いは、レオンに通ることなく弾かれたが、本当に困っていたり領地や民を思っての誘いは、ちゃんと対応していた。
天照王国、神国、海国、転国、周辺の小国家は守護四傑の実力も実績も疑っていない。
既に彼等に助けられているから。
そして、神国と海国は、天照王国との和平条約を締結。今後、今以上の貿易が盛んに。
そのお陰で、プレイヤー達も神国、海国へポータル移動が可能に。
もちろん陸路や海路で行くことも可能だ。
神国、海国では、いくつかのクランが国公認となり、国家に何かあった場合の戦力となった。
国公認になれなくとも、その国のお抱えクランになった商人や職人クランもある。
冒険者ギルド、この世界の住人達が所属するクランと提携を組み、この世界を発展させていこうとしたクランもある。
それぞれのスタイルでクランの同盟や提携システムを使い、プレイヤー達は進んでいく。
種族進化や役職進化も進み、順調にプレイヤー達の戦力は向上している。
シェンやカイドウ、この前活躍したガンツ等は、人族・○○の勇者に進化していた。
ベルリンも、「特殊役職・絶対の信頼」
風音達「風を識る」メンバーの人族全員が「特殊役職・風の調べ」に。その他の種族は、順調に進化。狼系や猫、遂には鳥系の獣人も生まれた。
ミオ、カクラ、マイのレベルは上がるが、種族進化はしていない。これは、三人がまだ各々に関係する国にたどり着けていないことが原因だと、巫女姫とムーが言っていた。
それでも、スキルやステータスを成長させ、離されることなく最前線を走っている。
ワールドクエストの進行度に変化はないが、この世界の歴史について。更には種族やモンスターについての情報が充実し始めた。
天照王国には、初代巫女姫から託された、世界の成り立ち。
海国には、太古の種族と始まりの種族。
神国には、神と種族の繋がり。歪みのモンスター。
という本が見つかった。




