表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界戦争、界渡り〜渡る世界は馬鹿ばかり?〜  作者: 鯉狐
2章 異世界・代理戦争編(仮)
41/111

第40話 ダンジョンそして頂

「運動祭が今月末に迫っています。練習するのはいいですが、怪我等気をつけてくださいね。ここはゲームの世界じゃないんですから」

「はーい」

「次の連絡事項は...えーと、そうだ」


亜美先生が何か大きな紙を黒板に貼る。


「第二回イベントが明後日に迫っていることから、残りの授業全てがゲームになりました。プレイするゲームは自由です。そこの玲音君に目に物見せてやりましょう」

「おう!」

「よっしゃぁ!」

「やったるでぇ!」


残りの授業全てがゲームって...

イベントが明後日、日曜日だから...ほぼ丸二日ゲームやることになるのか。


「そういうわけで、全員分のVRセットはもうあります。すぐに始めます!玲音君はどっか別の場所で狩りしてて!」


早口で告げるだけ告げて、先生はゲームにログイン。クラスメイト達も既に全員がログインしている。


「...レベル上げどこでやろうかな...」


恐らく、全員が魔の森に来るだろう。あそこの敵はレベルが高いと50になる。群れもいるが、PTで行けば死ぬことは無い。


「そうだ、ホープスの南、アースに行こう」


玲音もログイン。それを追うようにミオとカクラもログインする。


ログインすると、早速レオンは南の街アースへ向かう。


ミオとカクラは追おうとして止めた。マイと合流して、レベルは少し落ちるが東の森で狩りを始めた。



「アトラルカ、水中運動エネルギーって何とかできない?」

「とりあえず潜って動いてみろ」


装備はそのまま、海へ潜る。


「海底に足を着けば、陸と同じように動けるぞ。酸素の方も安心しろ。こちらで変換し続ける」

「助かる」


アトラルカによって、MPを消費して水中運動による抵抗を無効。更に水中のマナを酸素とMPに変換している。


「さてさて、敵はどこかなぁ?」


海底を歩きながら散策する。

水深は大体40m。水圧は特に気にならない。


「お?これってワカメ?」


気になって取った海藻は、正しくワカメだった。

時々、魚や貝、海藻を採取しながら散策は続く。

暫くして、プレイヤーなら見つけたいモノを見つける。


アナウンス

海底ダンジョンが発見されました


「海底ダンジョン...行くか」


なんの準備もなく、コンビニに寄るような感覚でレオンは中に入っていく。


海底ダンジョン

推奨レベル150


ここは、序盤で見つかっていい場所では無い。

このダンジョンはプレイヤーの平均レベルが150になってから発見されるのを前提とした難易度だ。



「は?レベル124?」


アクアパッツLv124


ダンジョンに入るなり襲ってきた魚?を倒してから鑑定。そのレベルに驚愕する。


「これならレベルが一上がるのも納得だわ」

「主よ、バランス崩れんか?」


アトラルカが言うバランスはプレイヤーバランスのことかな。


「こりゃマズイ。相当マズイ。今すぐ出たいけど、途中退出は不可能だし、わざと負けるのも嫌だ。つまり、マズイけど攻略します」

「そうか。なら、酸素と水中運動エネルギーの変換は一旦終えるぞ」

「もしかしてだけど、このダンジョン水で満ちてるわけじゃない?」

「そのようだ」

「なら、こっからは決めた通りで」


レオンの纏う気配が鋭く変化する。


「百鬼、十刃、神器略式解放、早霧・村雨」


霧雨を略式解放で二刀に。左手に紅椿、右手に村雨を持つ


「血を吸え村雨、アカバネ第一位階シャープエッジ、テンライ第二位階ライトニング」


血が村雨の刀身を赤く染め上げ、アカバネによって紅椿の刀身が鮮やかさを増し、レオンの身体の至る所から電気が迸る。


「消耗気にせず往くが良い」


アトラルカが空気中のマナをMPと血液に変換し、レオンの戦闘を補助する。


シャープダッツLv126

シャープダッツLv124

アイアンサーモンLv118

アイアンサーモンLv119

アイアンサーモントロLv130

ブリッコLv123


このダンジョンの敵全てが格上。だが、天童程の強敵ではない。


「疾風迅雷、瞬攻、鳴神」


一瞬で敵陣のど真ん中に飛び込み、抜刀、まずは一体を屠る。


待機させていた百鬼が遅れて到着。レオンへ攻撃する前に尽く潰されていく。


「やっぱ体力多いな!雷公!」


百鬼だけでは倒せないと判断すると、素早く切り替える。

体力が減っているモンスター目掛けて遠距離攻撃。連続で放つことで二体目。


「雷有効!雷!」


近付いてきたモンスターの間合いに入る前、こちらの間合いギリギリで三体目。


「ッ!疾風迅雷」


背後から迫っていた魔法を回避。

一旦距離を置いて一呼吸。息を整えて攻めなおす。


「疾風迅雷、紫電」


残る三体のうちの一体に襲い掛かる。


「テンライ第三位階チャージボルト!」


レオンの持つ刀に電気が集中していく。


「雷砲一閃」


三体に向け、二刀を横一文字で振るう。刀身から電撃が打ち出され、三体を纏めて屠る。


「...レベルが三つ上がったぞ」


入ったばかりだが、レベルは四上がった。


「41...4上がったということは37だったのか」


このダンジョンがどれくらいの階層があるか分からないが


「ひょっとするとLv60まで行くかもな」


ムーと花憐にこっそり教えて貰った、俺の種族進化。

始祖の吸血鬼から始祖の吸血鬼・第九鎖

そこから、レベルが一定値上がる毎に八、七と数字が減っていき、0となって始祖の吸血鬼という種族の真価を発揮する。


「まぁ、いい調整になるな。テンライ、ギアをあげるぞ。第五位階ギアボルト」


身体に負荷が掛かるが、最大で身体能力向上、反射神経に思考能力までも強化される。


「アトラルカ血液優先で回せ」


アトラルカに指示を出すと同時に、レオンの周囲を埋め尽くす程の血刀が生成される。


「アカバネ第三位階エンチャントエレメント・火」


紅椿の刀身を炎が包み込む。刀身付近の景色が温度の影響で揺らぐ。


「抜刀炎装」


更にその上に炎装を重ね、温度を上昇させる。


「雷刃」


村雨の刀身には電撃を纏う。


「ボスまで一直線だ!」


血刀を先行させ、それを追うように駆け抜ける。

無限に増え続ける血刀によって、ダンジョンに出現するモンスターは行動を封じられる。

レオンがすれ違いざま、一体につき三回の攻撃で仕留めていく。


ここで少し話が変わるが、属性について解説しよう。

属性相性、水は火に強く、火は風に強く、風は水に強い。光と闇は相互有利。

プレイヤーの間では、火が風に強いのは何故?という疑問はあったが、そういうものだから、と受け入れた。


基本五属性

火、水、風、光、闇。


その上位属性

陽、冷、雷、嵐、聖、暗黒、死の七属性。


更に特殊属性の毒、土がある。


上位属性になると、属性相性が変化する。特殊属性には相性は無い。

上位属性の相性は、

陽は水、冷、闇、暗黒、死に強い

冷は火、水、雷、死に強い

雷は水、闇、暗黒、死に強い

嵐は火、水、冷、死に強い

聖は闇、暗黒、死に強い

暗黒は聖、光、陽、死に強い

死は全ての属性に強い


分かりやすくするなら、属性相性の倍率は有利属性なら2倍。不利属性なら0.5倍。

と言った具合だ。おしまい



「階段...」


駆け抜けること数分。下へ続く階段に辿り着く。


「レベルは高いけどダンジョン構造はそこまで複雑じゃないのか?」


息を吸い、呼吸を整え階段を降りてゆく。


降りていくほど、肌に刺さるような冷気。レオンは気を引き締める。


「......」


階段を降りた先は一面銀世界。雪に閉ざされた巨大な空間。


「広さは...どれぐらいか判断出来ないな。寒さは...現状問題なし。一応気を付けた方がいいな。足場は...良くないな。少し工夫が必要か」


感覚を鋭敏化、感知や看破のスキルを併用し空間の広さを測ろうとして、測りきれない。

寒さは問題無いが、状態異常に凍傷、霜焼け、低音等がある為、気を配る必要がある。

足場は雪が積もっており、いつものような踏み込みが出来ない。


「一層が水、二層が上位属性の冷ってことか。なら陽属性メインで行こうかね」


上位属性は新たにスキルをとる必要はなく、基本五属性のスキルレベルが一定値を超えると使えるようになっている。親切設計だ。


「炎装、陽衣(ひごろも)、サンエッジ」


村雨の刀身も炎が包み込む。更に、レオンは身体に炎を薄く纏う。


纏っているレオンに影響は無いが、レオンの周囲の雪が、熱量によって溶けていく。しかし、溶ける傍から雪が積もり、あまり意味をなさない。


「煉獄、炎獅子」


二方向に向けて炎を撃ち出し、炎獅子には正面を駆け抜けさせる。背後は階段がある為、警戒すべきは正面と左右。



「...どうやって次の階層に行く階段見つけるんだ?」


出現するモンスターを倒したり、地面の雪を炎で溶かしたりすること6時間。リアルではもうすぐお昼である。


空間の全体図を把握できるほどに歩き回って、一層との階段付近で膝を着いていた。


煉獄と炎獅子で広範囲の雪を溶かし、積もる前にその場を探すを繰り返していたが、見つからなかった。


「モンスターにも特にこれといった奴いなかったし」


出てきたのは、スノーマン、スノーゴーレム、スノーウーマン、アイスマン、アイスゴーレム、アイスノーコーンの6種。レベルは平均で140だった。


おかげでレベルは50を超えて60が見えている。更にスキルレベルも軒並み上がっている。


「...お?...んん?」


何かドロップアイテムが無いかインベントリをもう一度確認して、違和感に気付く。


「あれ?アイテムが無い?」


モンスターをかなりの数倒したにもかかわらず、そのモンスターのドロップアイテムが何も無いのだ。


「一層の魚系のアイテムはある。だけどこの階層のモンスターのアイテムが無い。...可能性は体が雪や氷で出来ているから、ドロップアイテムにならない。もしくは、この階層だけがドロップ無しの特殊フィールドか。...そうでないなら、この階層の敵は全て幻...階層自体が幻覚を見せる結界か何かの可能性。...いや、待てよ?」


そこで、レオンは何かを思い出したように背後にある階段を振り返る。


「この階層の天井...異様に低いんだよな」


一層、最初の魚系モンスターが出てきた所の天井は、十メートル近くあった。しかし、この階層は四メートル程。


「垂直じゃないから確実ではないが、階段は四メートル以上の長さがあった。まさか天井...いや、流石にこの状況でそれはないだろ」


そう結論付け階段をのぼり、大体四メートルの高さで周囲の壁や足元を探る。


結果、階段には何も無く、二層の天井と床を改めて調べ始め、すぐに見つかった。


「...地味な嫌がらせだよな、これ」


二層、いや三層から二層に上がる階段は、一層から降りてきたすぐ。足元の雪を掘った時に出てきたスイッチを押すことで階段が出現した。

アイテムがないのも、全て雪だから。炎で溶かしたから無かった。別属性で倒したら雪が手に入った。


「雪に埋もれていて、炎で溶かした場合は一緒に消えてなくなる氷のスイッチ...」


階段を上がりながら、レオンは眉間を指で押さえる。


「このレベルのダンジョンは、こういった要素もあるのか...嫌になる。疾風迅雷」


階段を上がりきると同時に、レオンはその場を一瞬で離れる。


感知と看破によって見破った奇襲を回避するため。


「て、見えねぇ!」


気配のする方を振り向くが何も見えない。


「この階層...まさかとは思うが完全な暗闇?待って、暗視とか無いけど!?」


暗視というスキルの発見報告も無ければ、種族特性として夜目を持っているわけでもない。つまり、


「何も見えない中、敵の攻撃を感知と看破だけで見破れと?あ、魔法!」


思い出したように、刀を抜き炎を纏わせるが


「え」


炎は纏われるが、周囲が照らされることは無い。


「トーチライト」


光属性の魔法トーチライト。ただの洞窟探検用の照明代わりなのだが


「これも駄目...」


変わらず周囲は暗闇に閉ざされている。


「...仕方ない」


レオンは目を閉じる。視覚情報が得られないなら、目を開く必要はない。

視覚情報を遮断し、残る五感に神経を集中させる。


頼るのは痛覚...触覚。嗅覚、聴覚。

ここはそこまで広くない空間なのか、音が反響している。つまり、聴覚も頼りにはならない。


「まぁ、なんとでもなる。...気配は三つ。人型だな...闇刃」


刀を覆う炎を消し、代わりに周囲と似た色の闇を纏わせる。

少しでも周囲に溶け込もうと考えての行動だが、それは裏目に出る。


「ッ!」


三つの気配が同時に迫ってくるのを感じ取る。


やばい!こいつら闇属性に過剰に反応する!同属性吸収でも持ってるのか!?


一瞬の焦り、しかし次の瞬間には冷静に対処する。


「光刃、血泉(けっせん)縛鎖血刃(ばくさけつじん)


刀に光属性を纏わせ、自身から流れる血が足元に血溜まりを作り、そこから血の鎖が飛び出し、三つの気配目掛けて迫る。


一瞬の硬直があったようだが、気配は鎖を回避する。しかし、回避した先にも鎖は飛来する。


「ッ!?」


更なる動揺。完全な隙を晒した一体は、鎖に捕まり、身体中を刃に刺され絶命する。


「次」


小さく呟かれた声は、残る気配の主にとっては死刑宣告のように聞こえただろう。


視覚を封じ、聴覚すら頼りにならない状況で、夜目の効く自分達をあっさり倒した存在。


「化け物」


呟かれたのは二つの気配のうち片方。その声を僅かだが拾ったレオンは一瞬で詰め寄り


「抜刀・別断」


縛鎖血刃が掠って出来た傷、胴体にあるその傷を起点に敵を両断する。


「疾風迅雷、頭伐」


最後の気配に一瞬で接近。首と思われる位置を何となくで断ち切る。


「慣れてきたな」


重要部位の破損による即死。本来難易度の高い技術なのだが、レオンはいとも簡単に成功させてしまう。


「さて、今のモンスターの名前は?」


足元に転がるモンスターの死骸からアイテムが無いかを確認する。


「...デーモンアサシン?悪魔の暗殺者...グレーゴルの眷属か?いや違うな。あいつの眷属ならドロップアイテムは無いはずだ。とするとコイツはまた別の...」


空間に現れた階段と宝箱に気付くのは数分後




「さっきからレオンが応答しない」

「...またなにかやらかしたね」

「お兄の位置情報おかしくない?」


3人が揃って見ているのはフレンドマップ。CYANのゲーム内機能の一つ。指定したプレイヤーの位置情報を確認することができる。しかし、プレイヤー同士相互で許可した場合のみ閲覧可能。

レオンは位置情報共有可、ミオが位置情報共有不可の場合は閲覧不可となる。


「海の上?...いや、海の中?」

「どうやって移動してるの?」

「レオンは...もう、なんて言うか」


3人はレオンについて考えるのを辞めて、自身のレベル上げに集中するのだった。




「あれから六層降りてきたが...さてさて、残りは何層かな」


九層。八層から階段を降りて、少し開けた空間を挟んで直ぐに見える階段。何となく、残り何層か想像がつくが、レオンの興奮は収まる所を知らない。


レベルバランスを気にしながらも、全く自重することなく敵を倒し、レベルを上げている。

階層が下に行く毎に強く、レベルの上がる敵。

格上殺しは経験値にボーナスが入る為、レオンのレベルは60を超え、既に70後半に差し掛かっている。


「我らが主は、何時になったら最初に言っていたバランスとやらを気にするのか」


契約精霊一同の言葉は、レオンに届かずここまで来てしまった。


「...テンライ、チャージボルト、ライトニング、ギアボルト。アカバネ、シャープエッジ、チャージブレード」


アカバネの第二位階魔法チャージブレード。納刀されていた時間に比例して、斬撃によるダメージにボーナス。一分で0.5%


「アトラルカ、第一位階魔法レベルチェンジャー」


第一位階魔法レベルチェンジャー...プレイヤーのレベルを任意で捧げ、エネルギーに変換。ステータスに割り振ることが出来る。


「幾つ捧げる」

「10」

「...割り振るがいい」

「STR、AGI、INT」

「数値を3倍だ」


十層、節目の階層から感じる気配に、レオンは使用スキルに制限を掛けながら、全力を尽くす。



「異界人、それも特異なる気配の持ち主よ。汝の目的は何だ?富、名声、力、何を求む」


階段を降りてゆく途中、聞こえてきた声はレオンに質問を投げ掛ける。


「求めるのは力。守るための力」


レオンの答えは単純明快だ。力を手に入れた時から変わらない。不変の想い。


「よかろう。その扉を潜るがいい。我が汝の相手をしよう」


その言葉と同時に、レオンの目の前に扉が現れる。


気配は濃さを増し、それに伴いレオンの闘志が鋭さを増す。


「更に血を吸え村雨。三種の神器よ、俺の呼び掛けに応えてくれ」


レオンの腰、左側に紅椿と村雨、右側に早霧と天叢雲。両の瞳は全てを映し出す程透き通り、左手の甲に白の勾玉、右手に黒の勾玉の模様が浮かび上がる。


「さぁ、行こうか」



原初の一柱・海神・太古の(エンシェント)海龍(レヴィアン)Lv200

HP100000000


「疾風迅雷!瞬攻!鳴神!雷砲一閃!」


敵の姿を視認すると同時、最速で懐へ飛び込む。

一瞬の四連撃、離脱の直前に高火力砲撃。


テンライとアトラルカの魔法のおかげで、レヴィアンのHPを目に見えて削る。


「海流、渦潮、海竜」


レオンの離脱に合わせて、レヴィアンが発動したのは、フィールドを巡る水路、水路と水路の間に不規則に現れる渦潮、その至る所から顔を出し、水弾や水の息吹を繰り出す海竜。


「血刀、炎刃、雷刃、風刃、水刃」


水竜に対抗するように出現したのは、炎や雷、風、水を刀身に纏わせた血刀の数々。


「ヴェルウェナ、百鬼」


レオンの後ろに百鬼が現れ、戦闘の一体がレオンの横に並ぶ。


「大物だな」

「百鬼を任せる。好きにやれ」

「承る」


百鬼のそれぞれが血刀を手に戦列に加わる。


「シド、トニー、リジ、お前達も好きに暴れるといい」


続き現れるのは、レオンの使役獣。

トニーはリジの背に乗り、触手を生やしながら戦う。シドは小柄な身体を活かして一撃離脱戦法。リジは百鬼の間を縫うように立ち回る。


「ダイダルウェイブ」


全てを飲み込むべく展開されるのは、フィールド全体を端から中央へ押し寄せる津波。


「事象を断ち切れ!事象を宿せ!都牟刈太刀!都牟刈災収」


襲いかかる津波に飛び込む。早霧を納刀、天叢雲を瞬時に抜刀。神器換装を省略し、都牟刈太刀の力を解放。津波という事象をその刃に宿す。


「我此処に、命の輝きを示す」


天叢雲の刀身が視認できなくなる。変わるようにして、刃を覆う水がその透明度を増し、全てを映し出す水面と化す。


「我が力、未完なれど頂きに通ずる」


地に足をつけ納刀、前傾姿勢で抜刀の構えを取る。


「水帝抜刀」


水の噴射による一瞬の加速。襲い来る攻撃、その全てを置き去りにレヴィアンに迫る。


其れは全てを映し出す(タケミナカタ)


水は如何なる物でも斬り裂く鋭利な刃。


懐へ入り込むと、地を蹴りレヴィアンの首へとその刃を振るう。


「障壁」


何も無い空間から水の壁が出現する。しかしレオンの刃は、障壁を諸共せずレヴィアンへと攻撃を届かせる。


龍の息吹(ドラゴンブレス)


障壁の意味が無いと、瞬時に防御から攻撃に切り替え、空中で無防備なレオンを狙い、龍の最強の一撃を放つ。


「散華血・五剣」


レオンへ意識が集中したその瞬間を逃さず、レヴィアンの首へ追撃。更なる攻撃で、息吹の狙いがズレる。

その間にレオンは着地。周囲を見渡し、問題が無いことを確認する。


「命有りて、我、人の生を全うする」


天叢雲を納刀、村雨を抜き放ち、その刀身に赤と白の雷が迸る。


「我が力、最強成りて(最強に至り)最強為らざる(最強に至らん)


大上段に構え、その刃を振り下ろす。


「雷帝抜刀・轟くは願い(タケミカヅチ)


海流、渦潮、海竜、レヴィアンに至るまでの全てを焼き焦がし、フィールドを赤と白の輝きで埋めつくし、あっという間にレヴィアンのHPの半分を削る。


特殊魔法抜刀術、「雷帝抜刀・轟くは願い(タケミカヅチ)」「水帝抜刀・其れは全てを映し出す(タケミナカタ)


神の名を冠するレオンの対大型の切り札。


未完な技につき、自傷ダメージでHP半分とMPの全てを持っていかれる。


「...これで半分。まぁ、上出来か」


荒い息を整え、レヴィアンを見上げる。


全身を未だに蝕む雷を受けても、今の攻撃を受けても微動だにしない。


「汝が異界人の最強か?」


攻撃の余韻に浸る様に、その瞳を閉じながらレオンへ意識が集まる。


「さぁな。異界人同士の勝負はまだ無くてな。まぁでも、最強に近い自信はある」


何をもってして最強とするか。


プレイヤー達の共通認識では、レオンは最強に位置付けられているが、何かに特化した最強であれば、弓ではミオ、生産系統はまた複数人が最上位となる。

レオン自身、自分が最強だとは思っていない。この広い世界には、自分より上の存在がいることを知っているから。


「謙遜するな。我が見てきた英雄の誰よりも汝は強い」


閉じていた瞳は開かれ、その視線はその英雄達を思い出しているのか、彼方を見つめている。


「そうか、汝がこの星の救世主か。なれば、次の一撃をもって、この戦いを締めくくろう」


視線をレオンに戻し、レヴィアンは自身にマナを集める。


「アトラルカ、第十位階魔法アストラル・(星の輝き)オレオール(を此処に)。テンライ、第十位階魔法天雷(てんのいかづち)。アカバネ、第十位階魔法朱羽根(アカバネ)


構えるのは、村雨でも早霧でも天叢雲でもない、紅椿。

星の力を一刀に集め、天の雷でその全てを強化する。


「第十一位階魔法・太古の(エンシェント)海龍(レヴィアン)

「抜刀術奥義・心月」



レヴィアンに集まるマナは、形を変え、レヴィアンそっくりな姿を取る。

その身体からは、冷気が漏れだし、周囲を凍てつかせる。しかし身体は凍ることなく、水が常に流れている。

そんな龍が、レオンに襲いかかる。


全ての意識を、紅椿とエンシェントレヴィアンに集中させる。

抜刀の瞬間は、自身の間合いに入った時。

間合いも、構えも本来は要らない。しかしこの時だけは、その全てを必要としよう。


「全てを一刀の下に斬り伏せる」


キィィィィィィィン


音をフィールド一杯に響き渡らせ、フィールドには残心するレオンとHPを1残したレヴィアンが残るだけとなった。



「見事だ。異界、いや異星からの来訪者、理外に名を連ねる者よ。汝は至った。斬ることの極みへ」


本来の心月は、構えや間合い、抜刀すら不要。

しかし、今は全てを必要として、心月を放った。だが、今のは...


「全くの別物だ」

「主は至ったのです」

「剣や刀を使う者達、その者達が目指す頂に」


契約精霊達が言葉を繋ぐ。


「抜刀・極至(きわみへいたる)。全てを一刀の下に斬り伏せる、お前の意思が生み出した。おめでとうレオン。お前は正式に外なる者へと至った」


ヴェルウェナがそう締めくくる。


「抜刀・極至...」


プレイヤーアナウンス


特殊抜刀術 新アーツ登録 抜刀・極至

全てを一刀の下に斬り伏せる。全ての剣士が目指す頂の一つ。

消費MP・使用プレイヤーのMP全て


「頂の一つか。世界を救うついでに、残りの頂を目指すのも有りかな」


全てを一刀の下に斬り伏せる、斬ることの頂。

抜刀の速度が影を置き去りにする、抜刀の頂。

相手の呼吸、視線、筋肉の動き、その他全ての要素を見極める、観察眼の頂。

如何なる異常にも即座に反応、対応する、身体制御の頂。


「さぁ、異星人レオン。あの宝玉に触れるがいい。それでこのダンジョンは攻略完了だ」


レヴィアンの後ろ、壁の隙間から見える蒼の宝玉。


言われるままに、それに触れる。


ワールドアナウンス


ダンジョンが発見、攻略された為、冒険者ギルドにて情報が公開されます。

また、冒険者ギルド未確認のダンジョンも存在します。


ダンジョンの情報公開により、魔の森に変化が発生。

魔の森にギルド未確認のダンジョンが出現しました。


Extrダンジョンの一つが発見、攻略されました。

残りExtrダンジョン4/5


Extrダンジョン攻略により、海国アトランティアの位置が全プレイヤーに共有されます。


原初の一柱撃破に伴い、神国エシオンの位置が全プレイヤーに共有されます。


「あ、そういやバランス...遅いな」


ようやく思い出したが、後の祭りだ。今頃、魔の森でレベリングしてるプレイヤーは血眼になってダンジョンを探しているだろう。



「レオンだ」

「お兄だね」

「海の表示、間違ってなかったな」

「これレオンだろ」

「あいつまたか」

「なんであいつは...」

「なぁ、Extrって言うからには、敵強いんだよな?あいつのレベルどうなった...」


このアナウンスが誰によるものなのか、多くのプレイヤーは察し、呆れる。

そして、次の瞬間には魔の森にプレイヤーが殺到する。ダンジョンが発見されるのは、それから数分後の話。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ