第39話 準備そして胃痛
「第二回」攻略掲示板「イベント」Part1
1:名無し
第2回イベント・PVPイベント
イベント名『レオンの要塞を崩せ』
イベント報酬・上位100名にイベント限定人工神器、機甲武装・人鎧を贈与。
100位以下のプレイヤー全員に機甲兵装・篭手を贈与。
イベント内容
レオンが守護する要塞をプレイヤーの力を合わせ攻略しよう。
守護者への攻撃hitで10point
クリティカルhitで100point
要塞の門を開門、もしくは破壊したプレイヤーに500point
守護者撃破で1000point
支援一律50point
リスポーン、-10point
初期所持100point
2:名無し
スレ立て乙
3:名無し
スレ立て乙です。
12:名無し
まぁ立つよな。というかイベント名よ
13:名無し
確認取ったらマジらしいよ
14:名無し
レオン一人なんだろ?これ楽勝じゃね?
15:名無し
防衛一人に対して攻撃側参加者全員ってアホじゃね?運営馬鹿かよ
16:名無し
...第三陣もしくはスタートの遅れた二陣だな。
17:名無し
言うほど簡単じゃねぇよ。あの戦闘狂にどうやって攻撃当てるの?
18:名無し
やっぱりあったな。知らない奴は無視しとけ。どうせイベントで嫌という程思い知るんだ。どうせチートだなんだと騒ぐだろうけど。それと、本気も本気でやるから覚悟しとけ?
「解放」のワールドスキルは使えないから安心しろよ。それと、ミオ、カクラ、マイの三人は参加不可だから!
19:名無し
>>18 あぁ、イベント頑張れ
と思ったけど無し!本気のお前をどうしろと!?
20:名無し
落ち着け、倒す必要はないんだ。死なないようにポイントを取れば.........逝ける!
21:名無し
逝ってんぞ
22:名無し
しゃーないと思います
「と、言うわけで三人は参加不可な」
「「えぇ〜?」」
「仕方ないだろ!お前ら三人も相手にしながら他のプレイヤーとか無理だから!特にミオ!」
力強く睨む。
「あの天童すら翻弄する弓術、無理に決まってんだろ」
「...と申していますが、実際のところは?」
「......多分、三人を相手にしても、何とかできる自信はある」
「ならいいじゃん」
「ダメに決まってんだろ!人工とは言え、神器をプレイヤーに与える機会だぞ。戦力増強の為に!例え三枠だろうと!」
「本音を言いなさい」
「マジで面倒なんで参加しないでください」
ミオのジト目に、思わず土下座する。
「はぁ。で、私達には何か補填は無いの?」
「それは私の方で用意しています」
ミオの問に答えたのはこの部屋の主、巫女姫花憐。
「三人には、こちらのスキルリストから一つ選んで頂きます。それを補填の一つとし、更に私から精霊魔法のスキルと契約精霊を」
「精霊魔法?」
「はい。ご存知かと思いますが、この世界には現在4つの魔法があります」
プレイヤーやこの世界の住人が主に使用する、魔法又は魔術。言い方が違うだけで、モノは同じです。
儀式というか用意が必要になる魔法陣。
ミオ様が創造した刻印術式。そして、精霊魔法です。
精霊魔法は普通の魔法と違い、契約精霊を介して大気中のマナ、言わばMPですね。それを使用して魔法を使います。
精霊魔法は、第一位階~第十一位階まで存在します。それ以外に、契約精霊によってはオリジナルを持つ者もいます。
精霊の位は初級、中級、上級、王級、超級の五つ。
初級精霊は一~三、中級精霊は一~六、上級精霊は一~九、王級精霊は一~十、超級精霊は一~十一の魔法が使えます。
精霊の位をあげるには、使役獣と同じように戦わせ、自身と関係を深めることが重要になります。
ここで注意なのですが、大気中のマナを使うとはいえ、マナの変換ロスは発生します。つまり、精霊魔法も若干MPを消費します。上位の精霊が低位階の魔法を使うのであれば、ロスは発生しません。
「なるほど。その精霊は選べるの?」
「選べません。しかし、精霊石の純度がかなり高いので、いい精霊と出会えると思います」
「精霊石の純度ね...」
精霊石...上級、王級、超級の野良精霊の遺物。
一説には、不要なマナを凝縮した物や精霊自身等が唱えられている。
「レオンの精霊は?」
「俺は......」
ミオの質問に目を逸らす。
「契約出来なかった訳じゃなさそう」
「多分予想外におかしなことになったんだろう」
「超級精霊の複数契約かな」
「逆に初級精霊の複数契約で」
マイ、カクラ、ミオ、ムーの反応である。
「レオン様が契約したのは4体。それぞれ超級、王級2、上級ですね」
「あれ?」
「意外と普通?」
「確かに。もっとおかしなことになってると」
「まぁ、上級精霊は存在数が少ない種ですから、超級より珍しいですよ」
レオンが契約した精霊は超級・星幽龍精霊、王級・無名精霊、雷精霊イドラ、上級・武具精霊真
超級の星幽龍精霊は、現在三体しか確認されていない、惑星の外、宇宙を領域とし、最強の名を冠する。
王級の無名精霊は、未だなんの精霊か判明していないにも関わらず、既に力は王級の上位に位置する規格外。
イドラは神話が思わぬ形で伝わった結果、分霊を生み出すことになった神の半身。帝釈天の名を冠し、インドラと同一視された存在。
上級、武具精霊・真はレオンの武具、紅椿赤蕾に宿り、武具と共に成長する。使い手と鍛治職人の腕によっては、超級に迫るポテンシャルを秘めた、これまた規格外。
「レオン...」
「お兄...これは」
「レオン、ズルはダメだぞ?」
「ズルはしてねぇ。俺だって予想外だわ」
ミオ達が来る前に先に契約した時、レオン自身が頭を抱えた程だ。これには、精霊石を渡した巫女姫も苦笑いしかできなかった。
「それより、三人も契約しとけよ。俺はこれから森の奥深くで精霊と狩りしてくるから」
手を軽く振り、部屋を出ていく。レオンの気配が魔の森に向かったのを確認すると、三人も契約を始める。
「まぁ、私達も規格外を引くだろうしね」
「そうだな。特にミオは」
「うん。ミオ姉はお兄に次ぐ規格外」
精霊石と精霊魔法を受け取り、詠唱を開始する。
「「「我望む」」」
それぞれを中心とした魔法陣が浮かび上がり、光を放ちながら回転する。
魔法陣が一際強く光を放ち、部屋を眩い光が埋め尽くす。
光が収まるとそこには6体の精霊がいた。
「「我らが主、ミオ。我らの力を貴女に」」
「「我らが主、カクラ。我らの命は貴女と共に」」
「「主、マイ。我らは貴女と共に」」
一人の前に二体。人型もいれば、人外もいる。
「予想通りですが、全員王級以上。ミオ様は超級二体ですか」
ミオの契約精霊は超級・アルテミア、超級・ハイドバード。
狩猟の神の神話に付随する形で生まれた、弓術を司る武具精霊。
光を操り、周囲の光を屈折させることで姿を消す。精霊狩りの天敵。
カクラの契約精霊は超級・グリム、王級・ナイトバード。
死神によって魂を固定された死者の軍勢、その代表。
死者の軍勢、その家族や縁のある者が集う冥界の統治者の一柱。
マイの契約精霊は超級と王級と位の差はあるが姉妹精霊・アネモネとマリー
希望と絶望、数多の出会いと別れを識る、華に宿り人を見守る。
「存在すると言われていたけど、確認できなかったが為、名前だけが残っている精霊達...」
過去に超級、王級精霊と契約した者達から、聞いただけの存在。
アネモネとマリーは、契約はしないが何度か目撃情報はある。
しかし、冥界の統治者や死者の軍勢等は先ずお目にかかれない。
それに...
「ハイドバード様、精霊の森を離れてもよろしいのですか?」
「ん?懐かしい気配がすると思えば巫女姫か。精霊の森は平気だ。ハイドバード、我らは群体だ。一欠片落ちようとも、森の守護など造作もない」
「そうですか。そういう意味では、グリム様やナイトバード様も平気なのですか?」
「我は統治者の一柱に過ぎん。他がいるのだから好きにしてもいいだろう」
「軍の責任者は別だ。俺は代表として表に来ているだけだ。無理矢理だったが、神の御使いとはな」
精霊達が巫女姫と話し始めたのと同時に、ミオ達も固まって話を始める。
「自分達の得意分野を伸ばす精霊だね」
「マイのはどうかわからんが」
「希望と絶望...ん、結界の意味合いが変わるかも」
お互い話が終わり、精霊達が契約者との繋がりを求める。
「名前...」
「我らの名前...今あるのは精霊種の名だ」
「精霊は契約をする時に、個としての名を貰う」
「オリジナルの精霊魔法が必要なら、名付けは必須だぞ」
ということで、名前を考えることになった。
「アルテミアとハイドバード...安直だけどアテミアとハイバー?」
「私は構いませんよ。アテミア、いいじゃないですか」
「我もハイバーで良い」
「グリム...軍勢の代表...王では無い...アスタロト...アシュタロス...アシュト」
「ふむ。悪くない名だ」
「ナイトバードは王...王鳥...王朝?ワウテウ」
「...王という意味か?良いだろう」
「アネモネとマリーはそもそも個体名に近い」
「そうね」
「でも名前が欲しい?」
「えぇ」
「なら、ネアとリーネ」
「ネアですって」
「お姉様から少し貰ってリーネなのね」
「そう言えば、レオンの精霊は名前どうしたんだろ?」
「龍精霊がアトラルカ、無名精霊はまだ無く、王級雷精霊イドラはテンライ、武具精霊がアカバネですね」
ミオに巫女姫が答えると、その場の精霊達が一斉に振り返る。
「巫女姫、龍精霊とはアノ龍精霊か?」
「はい。アノ、龍精霊です」
「...そこにイドラも?」
「はい」
「武具精霊は...」
「真でした」
全員が一斉に頭を抱える。
「何が起きたら一人の元に奴らが集うのだ」
「...我らも大概だが、奴らは別格だぞ」
「仲間ならいい...のか?」
「えっと...レオンの契約した精霊、そんなにやばいの?」
「...やばいと言うかなんと言うか」
ポツリポツリと語られた話は、ミオ達全員がイベントに参加するプレイヤーに同情する程だった。
「アトラルカ、能力の詳細を頼む」
「先も言ったが、儂の能力は循環と制御。どんなエネルギーもお主が必要なエネルギーに変換。変換ロス無く活用させよう」
「エネルギー効率100%の永久機関ってことか」
「平たく言えばそうなるの」
「了解した。基本的には周囲のマナを常にMPに。戦闘時は、必要に応じて血液に変換出来るか?」
「問題無い」
「よし、次。テンライ、どこまで操れる?」
アトラルカとのやり取りを終え、次に確認するのはテンライこと雷精霊のイドラ。
「雷なら全て。この世界では風の上位とされているから、下位の風もだな」
「今見せた俺の戦闘スタイルだが、合わせられるか?」
「問題無い。更に強化してやる」
「それは楽しみだ」
テンライと悪い顔をしながら握手する。
「アカバネはどうだ?紅椿の居心地」
「最高」
「なら良かった。と言っても、先の戦いで使いすぎてるから、この後調整に出すけどな」
「楽しみ」
「そうだな。おやっさんの腕次第でお前も変わるからな」
刀に話し掛ける姿は傍から見れば変人だ。ヤベェ奴だ。
「無名精霊は...まぁ今は無理か」
刀を納刀し、踵を返す。
向かう先はクランホーム。紅椿のメンテナンスをおやっさんに頼む為に。
「この惨状を見られると、また変な噂が広がりそうだな」
チラリと振り返った先、木々はなぎ倒されたり、根元から斬られたり。地面や無事な木々には大量の鮮血。所々高温で焼かれたような焦げ。
同盟クラン『解放者』クランホーム2階、『戦人』クランホール
「今回のイベントだが」
円卓を囲うように座るクランメンバー。
同盟クランの各マスターと副マスター。更には『先導者』の副マスターもいる。
「どうしよう?」
「どうしようもないでしょうに」
「種族は始祖に至ったらしく、ここからはレベルをあげるだけらしいですよ」
「アイツ現状最高レベルだろ。幾つだ」
「ミニイベントの時で確か36か38」
「...俺達は平均34だったな」
「レベル差はあんまり無いですね」
「レベル差よりあの戦闘技能よ?」
「偵察に行ってる玲奈と凛から連絡よ。なんか更に酷いことになってるみたい。ミオちゃんやカクラさん、マイちゃんからもやばいって言われたらしいわ」
「......」
風音の報告で、室内に沈黙が訪れる。
「もう諦めて普通に行こう?厄災だと思えば行けるだろ」
「そう...だな!逝けるな!」
「よし!逝こう!」
作戦会議なのかよく分からない集まりは、結局精神論で何とかする方針に決まった。
コンコン
「入れ」
「失礼致します。天照王国より王宛の招待状が届いています」
「天照王国からだと?」
「はい」
「内容は確認したのか?」
「いえ。巫女姫様の魔力印がされていましたので、我々は確認をしておりません」
「巫女姫様直々の魔力印...招待状を」
「こちらでございます」
.........
「始まりの街のハイゼン伯爵家へ、大至急招集状を!内容は異界人についてだ」
「かしこまりました」
「空席だった四傑に異界人が就任するのは聞いていた。しかし、そのお披露目に招待だと?それに何やら、異界人達の祭りも同日に開催するという。何を考えている?いや、逆に何も考えていない?」
天照王国の隣国、転国ホープスの国王は、招待状に指定された日付まで、胃痛と頭痛と共に過ごすことになる。
そして、それは招待状を送られた神国と海国の王も同様であった。




