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異世界戦争、界渡り〜渡る世界は馬鹿ばかり?〜  作者: 鯉狐
2章 異世界・代理戦争編(仮)
37/111

第36話 討伐そして

「この星とは違う星から来た」


レオンの応えを聞き、天童は再び刀を構える。

レオンも刀を構え、二人の剣戟が始まった。


袈裟斬りを逆袈裟で真っ向から相殺。

袈裟斬りを躱され、わざと敵の攻撃を誘い、その攻撃を返す刀で弾く。

突きを横に少しズレて躱し、遠心力を載せた一撃を胴に見舞う。

その攻撃を、引き戻した刀の柄で受け、バックステップで距離を取る。

次の瞬間には踏み込み、また間合いの内での打ち合いが始まる。


二人の剣戟を見ていた『解放者』のメンバー、主にレオンと学校が同じで、彼と一緒に住んでいる三人を知っているメンバーは、その三人に事実確認を行っていた。


「澪ちゃん、神楽ちゃん、舞ちゃん本当なの?」


質問をするのは、玲音と澪、神楽の担任の亜美。


「......」

「その沈黙は肯定と取っていいの?」


三人は返す事が出来ない。というより、返す言葉が思い付かない。


「責めているつもりはないのだろうが、少し待ってやれ」

「彼らにも事情があるのです」


三人に変わって言葉を返したのは、レオンの召喚した百鬼に守られた巫女姫とその内の一体。


「俺の名前はヴェルウェナ。主、レオンの持つ神器の中の神格の一つだ」

「私は巫女姫、名を花憐と申します」


ヴェルウェナの言葉に疑問を持つが、今はそこを気にしている場合ではない。


「俺の名前はシェンと言う。クラン戦人のリーダーをしている。事情というのはなんなのかお聞きしても?」

「私の口から説明しても良いのですが...どうしましょうか、アーメイア様如何致しますか?」

「全ては話せませんが、多少は話すべきですかね」


花憐の問に普段は姿を見せないムーが答える。


「初めまして異星の人々。玲音達をこの星に連れてきた、ムーア・ベル・アーメイアと申します。神と言えば神ですが、外なる神になります。あ、ちなみに玲音も外なる神の手前、外なる者ですよ」


挨拶と同時にまた新たな爆弾を投下する。


「外...あの、実在するんですか?」

「はい」

「澪さん達は...」

「玲音だけですよ」


それを聞いて安心したように肩から力が抜ける。


「語られている話では、異形とされているので驚きました。しっかりとした人型?も居るのですね」

「ええ、まぁ。皆様も知る名前の神は、その通り異形ですけど」


レオンと天童の剣戟をBGMに、アーメイアと花憐による、レオン達の説明が始まった。



「あまり多くは語れませんが、この星には表と裏が存在します」

「表は皆様が暮らす普通の世界。裏の世界が、今皆様のいる、このゲームの世界。そして、表と裏は繋がっている。表裏一体」

「表から裏に行けるように、裏から表に行くことも可能なのです」

「七つの厄災、それ等はこの裏の世界から表の世界へ行き、この星を滅ぼそうとしているのです」

「そして、それを阻止する為の抑止力として、玲音、澪、神楽、舞の四人を異星より連れてきたのです」

「ここまでで何か質問は?」


二人が交互に説明をしていき、少し区切りをつけ、ここまでの話に付いてこれているか確認をとる。


「あの、表と裏が繋がっているとして、裏からの侵攻?はいつから始まったんですか?ゲームとして発売されるまではなかったとしたら、発売がそもそも間違ってたんじゃ」

「中々に良い質問です」

「侵攻自体はもっと前に始まっていました。裏の世界は、そもそもがその侵攻を抑え込むための世界なのです」

「遥か昔、具体的には数千年、あっ、これでは具体的では無いですね。まぁそれくらい前に、この星に厄災が侵攻してきました」

「しかし、それをどうにかすることが出来なかった人々の為、裏の世界を創造し、その世界に厄災を封印したのです」

「そして、その裏の世界を調整しゲームの世界とすることで、人類でも対抗できるようにしたのです」

「まぁ、話せるのはこのくらいですかね」


本当の話、語れない部分は多々あるが。


レオンの正体、巫女姫の真実、この世界そのものの真実。


今の話である程度は納得して貰えたようで、深く問い詰めようとする者は現れなかった。

まだ何か聞きたいようではあったが。



「そっち話し終わったか!?終わったんなら少し交代してくれ!」


一応空気を読んだのだろう。話が終わった所にレオンから声が掛けられる。かなり切実な声音だ。


そちらを見れば、レオンのHPが自身の自動回復とアミューの継続回復の効果で回復するより、受けるダメージの方が多いのだろう。刀同士を打ち合う度にHPがジワジワ減っていく。


「天童・柊!」

「四矢・破砕!」


振り下ろされる刀を、咄嗟撃ちで弾く。


弾かれた隙にレオンは距離を取り、変わるように神楽が切り込む。


「ミオ、ダメージは?」

「受けてないよ?」

「そうか。次からあの技は血刀で弾くか」


ポーションを飲みながら短く会話。

柊の攻略法を、ミオの話から導き出す。


「マイ、打撃強化を脚に斬撃強化を刀身に集中させて結界頼めるか?」

「任せて。...一点集中だから、持続時間は長い。けど、元が結界だから強すぎる衝撃で砕ける。集中展開はこの距離じゃないと出来ないから、もう一度は無理」

「了解。ミオ、術式の写しを」

「...加速と減速、爆破、指定魔法発動術式はあるよ」

「爆破は要らない。他のを頼む」


ミオから術式の写しを受け取り取り込む。


ステータスの所持スキル一覧に魔術式が追加され、加速、減速、指定魔法発動術式が登録される。


「ヴェルウェナ!早霧を」

「あいよ」


巫女姫を囲う百鬼の集団から、ヴェルウェナが前に出て来て、その手の刀をレオンに返す。


「刀身に術式刻印、加速、減速術式」


指先に魔力を集中させ、それを刀身の反りに沿って伸ばす。


「...刻印完了。よし、行けるな」


早霧と村雨の鞘を腰に挿し、背に背負うように紅椿を装備する。


「......」


姿勢を低くし、右足を少し後ろに下げ、カクラと天童の打ち合いを観察し、代わるタイミングを覗う。


「!瞬攻、疾風迅雷、紫電」


カクラが少し押し込まれたタイミングで、天童の下半身を狙いに突っ込む。


「ふっ」


気付いた天童が反応するが、レオンとの体格差やレオンが這うように攻めてきた為、完全に防げず、体勢を整えるため距離を置く。


「レオン、遅い」

「悪い。タイミング逃すなよ」


素早くやり取りし、カクラは戦線を下げ、レオンが天童と対峙する。


「戻ってきたか」

「待たせたな。ここからは決着までノンストップだ」


何度目かの二人により剣戟が始まる。


力で勝てないレオンは、技術と速度で天童を翻弄する。


MPをゴリゴリ削るが特殊な磁場のフィールドを展開し続ける。

移動に「疾風迅雷」を必ず使用。

磁場のフィールドは残したまま、他の属性の攻撃も織り交ぜる。それでも決定打は入らない。


天童もやられてばかりではいない。レオンの動きを予測し、攻撃を仕掛ける。

しかし、「柊」は視界外からの血刀が弾き、「茜」や「秋茜」といった通常の天童の技は受け流され、有効打が入らない。



「カクラ、タイミングって?」

「暴虐天童を倒すためのタイミング」

「お兄、無理するつもり?」

「だろうな。多分相打ちになってでも」

「なら、確実にやらないとね」

「貫通強化と属性強化の結界は付与する。何か他に欲しいのある?」

「大丈夫、自前で用意してるから」


レオンが用意すると言ったのだから間違いはない。三人はタイミングを逃さないように準備を進める。


そこに、不穏な情報が舞い込む。


「おい、掲示板情報なんだが、三乙したプレイヤーの一部と連絡が取れないらしいぞ」

「ホントなのか?」

「あぁ、乙る前までは連絡が取れてたらしいから。ご家族に確認してもらってるらしいから、その内に正確な情報来るだろ」


その話が耳に届いた、ヴェルウェナとアーメイア、巫女姫は小さな声で話し合う。


「アーメイア様、今の話」

「恐らく事実でしょう。それを可能としたのは、ほぼ間違いなく簒奪の権能」

「この世界が表と裏で繋がっているからこそ起きた事件でしょう」

「アーメイア様、犠牲者の確認をお願いします。こちらは...俺を通して知ったレオンが終わらせるでしょう」

「わかりました。花憐、ヴェルウェナ、後は任せます。レオン!お好きな様に」



ワールドスキルを解放・プレイヤー、レオン


「解放」



「なにそれ?」

「そんな名前のスキルで何とかなるのか!?」


驚きの声は、『解放者』のメンバーからだけでなく、天童からも。


「ハッ!そんなスキルで何が出来る!」


だけど、そのスキルが何を示すのか、それが引き起こす変化をわかっているのは、アーメイア、巫女姫、ヴェルウェナ、ミオ、マイ、カクラの六名。


「何が出来るか?その目で、その身で確かめろ。解放!」


ワールドスキル発動条件のスキル名発声により、「解放」のスキルが発動する。


そして、その場にいる全員が目撃する。レオンを封じ込めるように抑えていた鎖が檻が、弾け飛び自由の身となったレオンの幻覚を。


プレイヤー名レオン

全ステータス測定不明

所持スキル特定不明

所持特殊スキル特定不明

所持種族スキル特定不明

特定スキル・神代、魔術式、界断、天断

所持称号・太陽克服する吸血鬼、始祖の吸血鬼、禁忌に至る者、十三星座を司る者、王


「久しぶりの全力だ。血を吸え村雨」


村雨を持つ手の傷口から血が流れ出し、柄を伝って刀身を血の色で染め上げる。


「二刀の状態でやるのは初めてだな。さぁどうなるか」


意識を内に向け、力を引き出す。


「モード・憤怒」


握る手に力を篭めると、レオンの両腕に黒の模様が浮かび上がる。



WARNING WARNING

厄災、憤怒、ラースヒューマが復活します。


ERROR ERROR

対象の異常を検知...

新厄災・憤怒にプレイヤーレオンを指定


WARNING WARNING

厄災、憤怒、ラースヒューマが新生します。


ワールドアナウンス

ワールドクエスト「???」進行度25%に上昇

ワールドクエスト進行に伴い、全プレイヤー共通ワールドスキルが強化されます。

巫女姫救出に伴い、世界創造の物語が解放されます。

ワールドクエスト進行、世界創造の物語解放に伴い、全プレイヤーに種族進化権が付与されます。

この進化権は、現在進行中クエスト完了後使用可能です。

進化権を使用しない場合は、役職進化権もしくはSP15と交換可能です。

※進化可能種族、獣人族・森人族・土人族



レオンの力の解放を期にアナウンスが流れる。


「色々情報が出てきたか。ま、確認は後だな」


アナウンスをちらりとログで確認し、レオンは力の解放を続ける。


「全てを写せ八咫鏡」

「加護解放、憎悪・慈愛・時空・封護・統括・記憶・感情・思念」

「鏡が陽を表す時、宝珠は陰を表す。夜の帳を降ろせ、八尺瓊勾玉」

「天地裂く、魔より生まれし神剣、天叢雲剣。神器換装・都牟刈太刀」


レオンの両の瞳が鏡のように透き通り、全てを写し出す。

左手の甲に勾玉の模様が浮かび、それは空へ昇り夜の闇を齎す。

虚空に現れた天叢雲剣は、その姿を直剣から刀へ変化させ、レオンの腰へ収まる。


「バランス取るか」


背中の紅椿を天叢雲剣と逆に挿し、片側二刀、系四刀を帯刀する。


「神代発動」


在るべき姿へ正す力、神の代行者としてのスキルも発動させる。


「待ってくれてありがとう。お礼に一撃貰ってけ」


レオンの準備が終わるまで動かなかった、否、動けなかった天童にレオンの声が届く。


警戒し、迎撃の構えを取るが、レオンの姿が一瞬で消えた。次の瞬間には懐からレオンの声が聞こえ、天童の身体は後方に吹き飛ばされる。


「風砕」


身体を独楽のように回転させ、刀にも自身にも風の魔力を纏わせ勢いを増し、直撃の瞬間全ての風の魔力を刀身に集中させる。


威力は斧や槌術アーツのインパクトスローを諸共せず、チャージスタンプをも凌駕する。


「グッ」


顔を上げ、レオンを捉えようとするが、またしてもレオンの声が懐から聞こえる。


「水破」


刀身を水が覆い、突き出された鋒が天童の身体に触れると、身体に数センチの穴を開けながら、天童を後ろへ吹き飛ばす。


「血操術・剣山」


吹き飛ばされる天童、その線上に無数の剣が現れ、天童の身体に突き刺さる。


「ガッ」


初めて天童の身体から出血、更には吐血する。


「これが、異界の、力か」


剣山に身体を貫かれたまま、天童はレオンを見据える。


HPはまだ残っている。レオンを掻い潜り、後方の人間を殺して力を奪うことも出来る。


「だが!正面から、貴様を殺す!」


剣山を無理矢理抜け出し、殺意と闘志を漲らせる。


「戦装束・天童」


天童が無意識の内に呟いたのは、厄災に身を堕とす前に愛用していた自身の戦装束。

あの日、厄災になった日から一度たりとも呼ばれなかった装備は、天童の呼び掛けに応えた。


「あぁ、久しいな」


殺意と闘志を漲らせながら、その顔には優しげな笑みが浮かぶ。


鎧武者の様な姿が変わっていく。


鎧は全て消えてなくなり、変わるようにして羽織袴を身に纏う。


羽織に描かれる文字は、レオン達プレイヤーには馴染みのある文字で


「あぁ、思い出したぞ。俺が何者で、何故この力に手を出したのか」


暴虐天童・天童玲音

HP499050/1000000


「俺は、そうだ。護るべき者を護れず、力を欲した。そして、俺は、取るべき力を間違えた」


何かを思い出した様に、天童の殺意が薄くなる。


「貴様と俺は正反対だな...。思い出した所で何も変わらないが」


殺意は薄まるが、闘志は更に増していく。


「暴虐天童、サムライプライド!主が為、全力を持って障害を排除する!」


力を抜いた脱力の状態から一瞬の踏み込み。


その速度は、レオンの疾風迅雷に匹敵する。


「雷速、茜」

「ッ!瞬攻、電!」


僅かに反応が遅れる。しかし、高速の抜刀をもって防ぐ。


「風域、嵐断」

「風鳴、風砕」


天童が自身を有利にさせる風域を展開し、速度を威力を増した大上段からの振り下ろし。

レオンは高速の抜刀術に更なる加速を与え、破壊力を増した一撃を天童の刀に正面からぶつける。


鍔迫り合い、拮抗したのは一瞬で、レオンの身体が徐々に沈み込む。


「クッソ!」


抜刀術行使の際、刀を握るのは必然片手となる。


両手での大上段からの勢いの乗った振り下ろしは、片手で受けれるほど軽いものでは無い。


「血を吸え!村雨!」


血を更に吸い、村雨の刀身が鮮やかな紅に染まる。


「魔を祓いし神刀、破魔の神格を此処に」

「村雨抜刀・破魔の太刀!」


破魔の神格を得た一撃は、天童の振り下ろしを弾くことに成功。

更には、天童のHPが僅かに減っている。


厄災と言う存在にも、破魔の神格は有効となり得る。


「血を吸い続けろ、村雨ェ!」


HPと言う概念が無くなりかけている今のレオンだからこそ、出血という状態異常を無視して村雨に血を供給し続ける。


「雷速、雷剣、雷槍、雷砲」


レオンとの距離を開け、天童が遠距離攻撃に切り替える。


レオン一人だけを狙い、降り注ぐ雷。


剣の雷は、レオンの頭上から、背後から、脚を狙うように地面を這って、様々な角度からレオンを狙う。

槍の雷は速度重視なのか、纏まった方向からレオンを狙う。

雷砲、巨大な雷の塊は全てを押し潰さんと頭上より落ちる。


それに対し、レオンは刀を持ち替えて。


「その刀身に事象を宿せ!都牟刈災収」


神器換装した天叢雲剣、その都牟刈太刀の力で、自身を襲う雷を尽く取り込み、


「今放たれるは絶死の一刀」

「切り裂くは我等に害するもの」

「我は此処に王として、守護者としての力を見せる!」

「雷帝抜刀!都牟刈・カザミノタチ!」


その雷を落ちてくる雷砲と相殺させる。


雷砲を迎え撃つ為に飛び上がり、そのまま上空で身を翻す。


「穿ち貫くは我が一刀」

「秘める本質は荒れ狂う怒り」

「我此処に代行者として、王としての力を見せる」

「水帝抜刀セイドオノタチ」


レオンの周りを水の刃が埋めつくし、レオンの足下には水が集中する。


水が噴き出す勢いのまま、天童目掛けて進む。


「死突絶閃」


天童も真っ向からその一撃を迎え撃ち、全ての水の刃を霧散させ、レオンを大きく吹き飛ばす。


「チッ!」


着地までに体勢を整え納刀。もう一つの抜刀術を使う。


「斬り裂く一刀は一陣の風」

「光に及ばずともその力は全てを斬る」

「我此処に刃として、一振の刀と成りて力を見せる!」

「風帝抜刀フウジンノタチ」


レオンの姿が、景色に溶け込むように見えなくなる。

強烈な風が吹き抜けると同時、天童の身体に無数の刀傷が刻まれる。


「抜刀風雲」


天童のHPを確認することすらせず、レオンは畳み掛ける。


後ろへ抜けた次の瞬間には納刀、振り返る勢いを乗せ、魔法複合抜刀術を行使する。


「噴煙」


レオンの攻撃を受け、振り返ることなく天童は周囲を包む煙に紛れる。


「噴火、粉塵、着火」


またしても噴き出すマグマ、それを広範囲に撒き散らすように、粉塵爆発が引き起こされ、レオンは飛んでくるマグマの対処をすることに。


「水深、大波」


自身を包む様に水の膜を張り、自身を起点に水が壁の様に迫り上がる。


「海水」


迫り上がった水は、噴き出すマグマより高くなり、マグマに覆いかぶさる。

それによって多少は被害を抑える。


「死突絶閃」

「心月」


マグマと水の膜を突き破るようにして飛び出てくる天童。

それを予想していたように納刀、空間把握を完了していた『心月』で迎え撃つ。


「疾風迅雷、心月、紫電」

「雲海、雷速、茜」


仕切り直す隙を与えない。しかし、元から天童も仕切り直すつもりもない。


間合いが開くことはあっても、次の瞬間にはお互いの間合い。


天童のHPがジワジワと減っていく。

そして、レオンにも変化が訪れる。


二人がその変化に気づいたのは同時。レオンは舌打ち、天童は勝利を目前に吠える。


それの意味に気付けたのは、ミオ、カクラ、マイ、ヴェルウェナ、巫女姫の五人だけ。


「雷速、茜!」


レオンの刀が弾かれ、体勢が崩れる。その瞬間、天童が最速で上段より刀を振り下ろす。


取った!

間に合わない!


天童の確信とプレイヤー達の焦りの一瞬。レオンだけは落ち着いていた。


「奥義」


呟くと同時、レオンの姿が天童の視界より消える。

刀を振り下ろした姿勢のまま、天童は一瞬動きが止まる。


「一点集中桜華八突」


天童の背後からレオンの声。

振り返ると同時、天童の胸に穴ができる。


「血刀抜刀、散華血・八剣!」


8つの刃が煌めき、天童のHPを大きく削る。

その攻撃を最後に、レオンの「解放」のスキルが切れる。


「残り一割ちょっと。このタイミングだな」


一瞬の内に繰り出されたレオンの攻撃によって、天童は膝から崩れ落ちる。


「...」


刀を握る手が震え、膝も笑っている。全身傷だらけ、胸には穴があき、自身の命が長くないことを天童自身が理解していた。


「...異界人、レオン。これで最後だ。俺の最後の一撃を受けてみろ」


残る力を振り絞り、天童が構える。

それを目にし、レオンは地を駆ける。

疾風迅雷でも紫電でもなく、ただ、自身の身体能力の範囲で駆ける。


「フッ!」


一際強く踏み込み、レオンが刀に手を掛ける。


「死突絶閃!」


天童の必殺の一撃は、レオンの身体を貫き、HPを全損させる。


何故!?防ごうとも回避しようともしなかったレオンに天童は困惑する。

その困惑を無視して、全損するまでの僅かな時間にレオンは最後の一撃を叩き込む。


「減速術式起動、システムリロード!加速術式起動、5!」


抜刀の速度を減速。鞘に引っかかるよう力を溜める。そして、残りは鋒だけになった瞬間、デコピンの容量で振り抜かれる刀を加速術式で強化。

マイから受け取っていた予備カートリッジ。その魔力全部持っていく。

ゼロ距離で放たれた魔力砲は、天童の身体を宙に持ち上げる。


天童は、打ち上げられながらレオンの顔を見る。

その顔に浮かぶのは、勝利を確信した笑み。達成感に溢れたいい笑顔だった。


「そういうことかァ!!」


レオンの狙い、この場面で自身が殺られてまで天童の気を引いた意味に。


「雷速」


姿勢や足場が悪くとも、迎え撃つつもりで構える天童。


「無駄って教えてあげる。重力結界、集中展開、武器破壊超重力」


天童のすぐ横から聞こえた声に、振り向いた天童は次の瞬間、刀が壊れた事を理解するのが遅れ、終わりを目にした。


「テンペストウルフ」

「単体指定、加速転送魔法陣」


天童の真下、地面にて、牙を剥くは風の大狼。

天童の真上、宙より来るは巨大な岩。


「ウルフエアレイド!」

「メテオブレイカー!」


荒れ狂う嵐の化身と星をも砕く巨岩は、標的の残りわずかなHPを削り切り、衝突の余波で周囲のプレイヤーと木々を吹き飛ばす。



クエスト「厄災・次章」クリアされました。


クエストに参加したプレイヤーのレベルが5上がります。


クエストに参加したプレイヤーに五百万円付与されます。


クエストに参加したプレイヤーにミスリル鉱石五つが付与されます。


クエストに参加したプレイヤーに黒曜石×5、陽光石×1、月光石×1、鉄鉱石×5、銀鉱石×5、大蛇の皮×20、大蛇の牙×5、毒蛇の皮×2、毒蛇の牙×2、毒蛇の猛毒袋×1、四つ首大蛇の骨×20、食用大蛇の肉×30を報酬として付与。


クエストに参加したプレイヤーにBPSP共に20付与されます。


一部プレイヤーに特別報酬を付与。

プレイヤー名レオン、称号・災禍を祓う者を付与。

称号・災禍を祓う者...対厄災戦にて、全ステータス1.2倍


プレイヤー名ミオ、称号・陰の立役者を付与。

称号・陰の立役者...一戦闘中、自身が敵と相対していない間、与えるダメージ1.5倍


プレイヤー名カクラ、称号・刈り取る者を付与。

称号・刈り取る者...鎌装備時、ダメージボーナス。STRの1/5


プレイヤー名マイ、アミュー、称号・支え備える者を付与。

称号・支え備える者...バフデバフの効果時間倍。


プレイヤー名ベルリン、称号・不壊の城壁を付与。

称号・不壊の城壁...敵の攻撃を受けた際、ダメージ半減。対ボスモンスター専用。


プレイヤー名シェン、カイドウ、ガンツ、称号・先を往く者を付与。

称号・先を往く者...先頭に立って戦闘していると、HPMPの自動回復5秒2%、STR、VIT1.25倍


プレイヤー名風音、凛、玲奈、称号・戦場を駆ける風を付与。

称号・戦場を駆ける風...常時AGI1.25倍、VIT0.95倍


全プレイヤーに称号・表裏一体世界の守護者候補を付与。

称号・表裏一体世界の守護者候補...対厄災戦、全ステータス1.25倍


ワールドクエスト「表裏一体世界の救済」進行度30%へ上昇

ワールドクエスト進行に伴い、周辺諸国の情報が開示。より詳細な情報を得ることが可能です。

ワールドクエスト進行に伴い、クランへの後ろ盾が可能となります。


同盟クラン「解放者」、「先導者」「戦人」「守人」「風を識る」「白良企業」「万事屋」が巫女姫によって天照王国の国家認定クランとなりました。

6つのクランの名前が、各国へ流出します。


天照王国、巫女姫によってプレイヤー名レオン、ミオ、カクラ、マイの4名が、空席だった天照王国守護四傑に任命されました。以降、4名には国からの特殊依頼が発生します。



クエストの完了やら、なんやら色んなログが流れるのを確認し、参加していた全員が勝ちを実感する。


「おっしゃァァァァァ!」

「報酬うめぇぇぇぇぇえ!」

「地獄だったァ!」

「二度目はやりたくねぇ!」

「うちのクラマス連れてこい!胴上げだ!」

「よし!シェンとカイドウ、アミュー、風音、ベルリンもだ!」

「お?どうした?」

「レオン戻ってきたぞ!纏めて上げろぉ!」

「は?おい待て!何を!?」


勝利に盛り上がるプレイヤー達。

その最前線、『解放者』の元へ戻れば、状況を理解できていないまま、胴上げされる。一緒に各クランマスターも胴上げされている。


誰も彼もが笑顔で盛り上がっている。


「あぁそうだ、夜の帳は朝日と共に」


されるがままの状態でレオンは、発動していたスキルを解除する。


「解放」のスキルが切れると共に、加護は効果を失ったが、三種の神器は未だ能力を発動したままだった。


神器の効果が切れ夜闇が消えると、一帯を朝日が照らす。


「クエスト制限時間は、まぁギリギリか」


短かったようで長かった。表と裏、世界の命運を賭けた戦いの幕が一先ず降りた。

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