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異世界戦争、界渡り〜渡る世界は馬鹿ばかり?〜  作者: 鯉狐
2章 異世界・代理戦争編(仮)
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第35話 変化そして猛攻

「...封印が完全に解けていないのが仇になったか」


破天の死骸を抱えながら、天童はプレイヤー達から距離を取る。


「次はお前だ。暴虐天童」


鋒を天童に向けて、レオンは睨みつける。


周囲では、プレイヤー達が上手く連携し、魔族魔獣を圧倒し始めている。


レオンは自動回復で既にHPは完全回復。プレイヤー達も連携が取れている為、HPが危険域に入ることも無い。

暴虐天童もHPを8割程残っているが、状況的に不利なのは天童の方。


「...簒奪の権能よ、破天の力を奪え」


天刃七星を破天の死骸に突き刺し、預かった権能を発動させる。

破天の死骸から水分が抜き取られ、乾涸びていく。やがて死骸は消滅し、暴虐天童の力が増していく。


「破天・雷雨(らいう)


天童の確かめるような呟き。それによって引き起こされたのは、雨のように絶え間無く降り注ぐ雷。


「ぎゃぁぁぁぁぁあ」

「なんじゃこりゃァァァァァ」

「防御!防御!回復!」

「待って待って!?ダメージ痛くないけど、数が辛い!」

「あ、待って!死...」


雷一つ一つのダメージは微々たるものだが、雨のように降り注ぐ雷は、容赦なくプレイヤー達のHPを削っていく。


「破天天童・雷嵐(らいらん)


一際大きな雷が、天刃七星に落ち、刀身が唐突に暴風を纏う。

横一閃、力も入れず、ただ振るっただけの一振は、「雷雨」によってHPを削られていたプレイヤーを、一人残さず殺しきる。


しかし、その攻撃は味方である魔族魔獣も巻き込んでいく。


「ヒーラーが殺られた!」

「ポーションは!?」

「タンク!耐えろよ!」

「アタッカー無理すんな!」


敵の数は減ったが、こちらも戦線を崩された。


このまま天童の攻撃が周りを巻き込むと、プレイヤーが全滅しかねない。


レオンは天童を引きつけるため接近する。


「瞬攻、疾風迅雷、紫電」


ノーモーションで最高速へ。天童へ突きを放つ。


「破天・風域」


天童を囲うようにして、強力な風が殴り付ける領域が展開され、レオンの攻撃が大きく逸らされる。


「反応が早い。それに、破天の力が厄介すぎる」


逸れた先で体勢を立て直し、もう一度攻める。


「瞬攻、深太刀(ふかだち)


風域を斬り裂くイメージで刀を振るう。切り裂かれた一瞬の隙間をレオンは駆け抜ける。


「疾風迅雷!瞬攻、紫電」


風域を抜け天童に肉薄、突きの勢いを殺さないように攻撃を繋げる。


「雷、電」


特殊磁場による、加速と引き戻し。

天童はそれを難なく対処する。


「破天・雷速」


レオンの間合いから一瞬で抜け出し、背後へ回り込む。


「破天・茜」


刀身を赤く染めながら振り下ろされる。

背後からの攻撃を刀で逸らしながら、距離を取ろうとする。


「破天・延雷」


距離を取ろうとするレオンの周囲に雷が降り注ぎ、退路を断つ。


「破天・嵐断(らんだん)

「大樹!風鳴!」


渾身の振り下ろしを、咄嗟に受けの姿勢を取り対処する。


防御には成功するが、レオンHPは三割削られてしまう。


「疾風迅雷」


すぐさま距離をあけてポーションを使って回復する。


「...天童、パワーアップしすぎじゃね?」

「そうだな。いい気分だよ」


天童が強化されたのに対して、レオンは「始祖化」のスキルが切れて、ステータスが元に戻っている。


しかし、レオンが時間を少し稼いだおかげで、他のプレイヤーは体勢を立て直す事に成功する。


天童とプレイヤーの攻撃、門の破壊によって魔族魔獣の数はほとんど残っていないのが不幸中の幸いだった。


「レオン援護する」


レオンの周りに、カクラとシェン、ベルリンを筆頭とした前衛のプレイヤーが並び、その後ろに術師隊のメンバー、さらに後ろにアミューとマイ、ミオを筆頭とした後衛プレイヤーが並ぶ。


ここに並んでいるのは、殆どが一陣プレイヤー。更にその上位陣。つまり、『先導者』『戦人』『守人』『白良企業』『風を識る』の所属プレイヤー。自他ともに認める現最強メンバーだ。


「纏めて始末してやろう」

「やれるもんならやってみな」


ワールドスキル発動

全プレイヤーの「厄災」に対する特攻。


ワールドスキルの発動を合図に、同盟クラン『解放者』が動き出す。


「破天・雲か」

「四矢・破砕」


天童の技の起点を潰すように放たれたミオの攻撃は、天童の刀を弾き、発動を無効にする。


「チャージアックス!」

「インパクトスイング!」


刀が弾かれ、隙のできた胴体にプレイヤーの攻撃が直撃する。


「破天・雷速」

「迅雷、瞬攻、破断」


一瞬で振り下ろされる刀に、自身の刀を一瞬で合わせ、攻撃後の無防備な仲間をレオンが守る。


「「チャージ!インパクトソード!」」


鍔迫り合いになっている天童に、シェンとカイドウの攻撃が飛んでいく。


「結界魔術式・黒天」


咄嗟に飛び退こうとした天童を、マイがMPを五割消費して放った魔術式によって足止めされ、また直撃する。


結界魔術式・黒天...ミオの発見した魔術式の発展型。マイの結界内の重力を増加させる。


「小賢しい!破童・強化、破天・雲海!」


天童が新たな技を使う。


「瞬攻、疾風迅雷、紫電」


どんなの技が分からないため、レオンが突っ込み確かめる。レオンなら死ぬことは無いから。


刀を数回打ち合い、レオンは距離を取る。


「前者が強化で後者は軽減か」


僅かなHPの変動や刀越しに伝わる感覚だけで理解する。


「あると厄介?」

「まぁ、無い方がいいわな」

「なら、補助反転」


アミューが護衛に囲まれながら、レオンの近くまで来て、以前手に入れたスキルを発動させる。すると、天童の動きがほんの少し悪くなり、ダメージが少しだけ多くなる。


「強化の反転は弱体、軽減の反転は増加ね。覚えておくわ」


そう言いながら、アミューは即座に後ろに下がる。自身が標的にされないように。


「まぁそれも長くはないだろうな」


他のプレイヤーが攻撃を続けているのを見ながら、天童を観察するレオン。


百刃(ひゃくじん)、システムリロード・5」


左手に持つ紅蕾に魔力が集まり、凝縮されていく。更に、レオンの後ろに百の血刀が浮かぶ。


「魔力砲〜百の刀を添えて〜」


キィィィィィィン!!


機械の様な音を響かせながら放たれた魔力砲。

天童も流石に無視出来ず回避を試みるが、先に飛来する百の刀にそれを邪魔され、更に多方向から飛んでくるプレイヤーの魔法や矢のせいで回避できない。結果、防御することになる。


「天童・鋭迅(えいじん)


最小限の動きで上段に構え、間合いに入る瞬間に振り下ろす。


「グッォォォォォオオオオオ」


魔力砲を正面から受け、斬り裂く。


「まじかよ」


流石にこれにはレオンも驚愕していた。


「死突絶閃」


驚愕で硬直しているプレイヤーに、死が降りかかる。


隔つ壁は堅牢なる城壁(ベルリン)!!」


一瞬で反応出来たベルリンによる、ワールドスキル発動。


おかげで他のプレイヤーは、死亡を免れる。しかし、ベルリンのHPは全損、一度目の死に戻りとなる。


「ベルリンが戻るまで耐えろよ!タンク!」


カイドウの声に答えるように、タンク達がローテーションを組み換え、ベルリンが抜けた隙を埋める。


「死突絶」

「一矢・鏖殺」「百花繚乱」


先程の技を使おうとするのを、ミオとレオンが妨害する。


「ミオ!タイミング任せる!」

「了解!」


レオンはミオに、今と同じ技の発動のタイミングで妨害するように短く伝える。

素早く応え、行動の幅を広げる為に気配を薄くする。


二回、技の発動を完璧なタイミングで邪魔された。それを成した相手を、天童はレオンの次に警戒していた。


「気配が!?クソっ、捉えられないことは無いが、邪魔が多い!排除しようにも、その行動を阻害される!忌々しい弓使いが!」


ミオの攻撃が、一般プレイヤーのように威力が高くなければ、天童は無視して攻撃を続けることが出来る。しかし、ミオの攻撃は一般プレイヤーより威力が高く、受ける範囲が広い。


高威力の技が広範囲で飛んでくる、その驚異は計り知れない。

100の力で放たれた攻撃が一点集中の場合、その一点を守れば問題は無い。回避も容易だろう。

100の力で放たれた攻撃が分散した場合、分散した数だけ威力は落ちる。ダメージを無視して動くことも可能だ。回避は難しくなるかもしれないが。

では、100の力で放たれた攻撃が分散し、その全てが100の力そのままだとしたら?回避困難、当たれば大ダメージ。厄介の何物でもない。

一矢・鏖殺がコレ。二矢・雨矢鳥は分散。四矢・破砕は一点集中。


それがわかっているからこそ、ミオは自身が優位に立てるよう場を整える。

気配を薄くし周囲に溶け込み囮を使う。レオンとの稽古でマイが教わった技術。

一度攻撃したら、即移動。攻撃、移動、攻撃、移動の繰り返し。


「小癪なァ!破天・天動!」


天童が堪えきれなくなった。自身のHPを大きく削る変わり、天候をノーモーションで操る。


560500/1000000


雷雲(らいうん)雷槍(らいそう)剣雷(けんらい)、延雷、雷鳴」


空を灰雲が覆い尽くし、雷鳴が轟く。


槍や剣の形の雷が降り注ぎ、プレイヤーの退路を断つように雷が延びて囲む。轟く雷鳴は、プレイヤーの聴覚を狂わせ、視覚を奪う。


「抜刀雷公(らいこう)、鳴神、雷、電」


天童の攻撃を、レオンは自身が対応出来る範囲の全てを相殺する。


「アミュー!継続回復を頼む!避雷針!」


後衛を守るように、復帰してきたベルリンがタンク専用対雷アーツを使用する。


雷系統の攻撃を一手に引き付けることが出来るが、ダメージは倍になり継続ダメージの受けるダメージが増える。デメリットの方が大きいアーツだ。


「オートヒーリング、バトルヒーリング、ダメージカット、プロテクトサンダー」


アーツ発動と同時に、自動回復二種、被ダメ軽減、雷属性耐性を付与する。


それでも、ベルリンのHPは削られる。回復が追いついていない。しかし、アミューは他のプレイヤーに手助けを求めない。ベルリンも焦った様子を見せない。


「ここ!ダメージ・カウントヒール」


上位ヒーラーが使用可能な、現状最大回復魔法。


一戦闘につき一回の使用可能。この魔法発動直前までに受けているダメージ分をHPの上限を超えて回復させる。

一度死亡し、蘇生薬で復活した場合、ダメージカウントはゼロになり最初から。


上位陣がこの魔法を取得してから1度も使用されなかった理由は、最後の一文に集約されている。


「助かった!」

「こちらこそ助かりました!」


雷を完全に防ぎ、ベルリンが前線に戻る。


「レオン!戻った」

「よし!タンク組、素早く動けよ!」


ベルリンが戻ったことにより、ローテーションが元に戻る。ベルリンが少し長く出番を受け持つことで、他のプレイヤーの回復の時間を稼ぐ。


「疾風迅雷、炎舞・火舞(かぐら)、煉獄」


ローテーションを組み直す一瞬の隙をレオンが稼ぐ。

レオンの攻撃を受けながら、天童はレオンを倒すために技を使う。


「破天童・噴火」


それは自身も巻き込むように展開される。

地面に亀裂がはいり、そこから圧倒的な熱が吹き出し、この後に何が出てくるのかを理解させる。


「ッ!?疾風迅雷、瞬攻、紫電」


咄嗟に距離を取るが、溢れ出るのはマグマだ。

地面を伝うのは問題ない。しかし、吹き上がり空から降ってくるのを防ぐのは面倒だ。


「魔法をぶつけて相殺しろ!あと、俺に近づくなよ!」


味方へ声を掛けると同時に、左手首に深い傷を付け、血を大量に出す。それはレオンを中心に広がる。


血泉(けっせん)・血刀」


広がった血、血泉から血刀が途切れることなく打ち出され、降り注ぐマグマを打ち消す。


「破天・寒冷、雪崩」


降り注ぐマグマの対応をしていると、急激に周囲の温度が下がり、更に上空から雪が纏まって落ちてくる。


「なんでもありか!?」


急激な温度変化は、人体に影響を及ぼす。

マグマが吹き出し気温の上がった戦場の温度が、逆に一気に下がる。

温度変化で影響を受けなかった者も、寒さで身体の動きが鈍くなる。


「血槍、成功してくれるといいんだがな」


落ちてくる雪を見上げながら、レオンは血で槍を創り出し、ある人物の使っていた技を思い出す。


「一幕・(くれない)一幕開焔(いちまくかいえん)・獅子王」


レオンが焔を鎧の様に纏い、その焔がレオンから離れ獅子を形取る。


レオンが出現させた焔のおかげで、周囲の温度は徐々に上がる。


「駆けろ焔獅子!」


レオンの指示を受け、焔の獅子王は上空へ駆けていく。


「爆ぜろ!」


雪との接触の寸前、獅子は爆発。圧倒的な熱量を至近距離で受け、雪は一瞬で溶けだし、一部は蒸発するまでに至る。


「焔装」


レオンは、その焔を刀に纏わせ、天童目掛け駆け出す。


「我抜き放つは煉獄の焔」

「焚べる想いは怒りと闘志」

「我此処に番人となりて、守護者としての力を見せる」


焔を纏わせたまま納刀。走りながら抜刀の構えを取る。


「システムリロード・1」


カートリッジを交換、抜刀の瞬間に合わせ発動させる。


「炎帝抜刀ソウエンノタチ」


天童の間合いの外から振り抜かれた一刀は、天童の不意をつき、逆袈裟に斬り裂く。


「グォォォォ」


斬られた痛みと、傷口を焦がす熱に天童は堪らず膝を着き、発動していた技を全て維持できなくなる。


「異界人...レオン!外の世界、表の世界とは別の世界、いや、他の星より来る神の使徒!それが貴様の正体か!?」


この世界の理から外れた技。その力の使い方の違いに天童はこの考えに至った。

膝を着きながらレオンを睨み、レオンの秘密を暴露し始める。


「おい、関係ない事を話すなよ」

「関係なくは無い!おかしいと思ったのだ!主からのいきなりの助力に、厄災の突然の討伐。それに、貴様の成長速度が異常すぎる!」

「面倒なことをばらしやがって」


天童を警戒はしているが、レオンの意識の一部は後方に控える仲間達に向いている。


天童の声はそこそこ大きかったようで、共に戦っている『解放者』のメンバーには聞こえていたようだ。


「異星より来る神の使徒よ、真の名を名乗れ」


立ち上がり、鋭い目付きでレオンを睨む。


「はぁー」


溜息を吐き、困ったように頭を掻きながら、レオンは天童の視線を真っ向から睨み返す。


「玲音・B・ヴァンデル、お前の言う通り、この星とは違う星から来た」

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