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異世界戦争、界渡り〜渡る世界は馬鹿ばかり?〜  作者: 鯉狐
2章 異世界・代理戦争編(仮)
35/111

第34話 覚醒そして討伐

「天道・(ひいらぎ)

「魔刃」


天童の袈裟懸けで振り下ろされる刀を、逆袈裟で真っ向から迎え撃つ。

問題無く弾き返すが、レオンのHPが僅かに削れる。


「柊...棘...武器で受けても固定ダメージか」

「察しがいいな」


天童の呟いた技名から、ダメージを受けた理由を考察、看破する。


どちらの攻撃も、必ず対処され有効打は一向に入らない。


天童がレオンの首を狙って振るった刀を、見切ったレオンは最小限の動きで回避。薄皮一枚斬られるが、止まることなく空いた胴体へと刀を振るう。

それを、天童が引き戻した刀の柄で強引に弾く。体勢は崩れないが、対処困難な状況に。危うく有効打が入る直前、レオンの刀が天童の刀を弾く。


間に合うと思っていなかった天童。一瞬出来た隙を、今のレオンは見逃さない。


「雷、電」


レオンの得意戦法、自身の周囲に特殊な磁場を発生させ、刀を加速させる。


雷魔法、とプレイヤーから呼称されているが、ゲーム内判定は風の上位魔法。

最初の有効打はレオン。天童に計十二の傷跡を刻む。


「変わった使い方を!それにその刀!神器だな!」


酷く楽しそうな声で話しかける。


「そうだ。神器霧雨、俺の相棒だ」

「やはりか。なら俺の刀がこうなるのも必然か」


天童の持つ刀は、既に刃毀れが酷く、いつ折れてもおかしくない。


「前会った時に刀をボロボロにされたんでな。お返しだ」

「ハハハ!ここからは俺も神器を持ち出そう!」


天童の手が虚空を掴み、胸を叩く。


「滅殺・天刃七星(てんじんしちせい)


そうして現れたのは、刀身は深い黒、鍔は薄い黒、柄も深い黒と黒一色の大太刀。


「かつて俺が、厄災を殺した時に使った神器だ」


厄災を倒した英雄と共にあった太刀は、その英雄と共に厄災へと転じた。


「構えろ、レオン」

「ッ!」


全身を襲う気配に、レオンは全力で受けの姿勢を取る。


「特殊抜刀術/守勢・大樹!」


嵐の中でもビクともしない大樹のように、完全な受けの構え。


集中しろ!あの時の技が来る!感覚を研ぎ澄ませ!防いで見せろ!


「死突絶閃」


天童とレオンが初めて出会った時、レオンが防げなかった一撃。神器と言う武器を得て、更に強力になった一撃がレオンを襲う。


「......」


前回は、索敵範囲内に侵入した敵を迎撃をしようとした。けど、あの攻撃の速度は今の自分の全力よりも速い。だから刀を振るっても間に合わない。回避も間に合わず、防御も意味を成さない。


命の危機、絶体絶命と言う状況がレオンの覚醒を促し、レオンは()()へ踏み込む。


「抜刀術奥義・心月」


鋒がレオンの防具に触れた瞬間、天童の身体に突如衝撃が襲い、身体が弾かれる。


「何が!?」


左半身に深く刻まれた刀傷。右手を当てながら、レオンを睨む。


視線の先、睨まれるレオンは肩が大きく上下するほど呼吸を繰り返す。

鋒がほんの少し触れただけにも関わらず、レオンのHPは2割まで削られている。自動回復の効果でジワジワと回復してはいるが、ポーションで回復の方が今は早いだろう。しかし、レオンは戦闘中と言うのも忘れて、成功した『心月』の余韻に浸っている。


「チッ!時間切れか」


突然、天童が警戒態勢を解いて虚空へと話しかける。突然の声に、レオンの意識は引き戻される。


「わかった。コイツは任せる」


レオンに背中を向け、最後に言葉を捨て行く。


「生きていればまた会おう。その時こそ、お前を殺す!」


景色が歪み、天童の姿が消え、別の何かの姿が現れる。


「「ここからは、私が貴方の相手をしましょう!」」


五つ首の大蛇。


「破天、大蛇ッ!」

「いいですね!瀕死じゃないですか!これは有難い。主が喜びますね!」


重なって聞こえる声が煩い。


「あぁでも、完全に殺さない方が良さそうですね。天童が授かった主の権能の為に」

「主の権能...グレーゴルの権能?まさか!」

「そうですよ異界人!簒奪です!」


最悪だ!プレイヤーの力を奪われたら、どうすることも出来ない。


「あちらが終わるのを、貴方を嬲りながら待ちましょう」


五つの口が開き、何かが飛んでくる。


息を整えながら、それ等を全て回避する。


「毒、いや、酸か」


吐き出された何かの着弾地からは、何やら異臭がする。蒸気の様な何かも立ち上り、危険だという事を明確に伝えてくる。


「さぁ!もっと行きますよ!」


酸に混ざりながら、魔法まで飛んでくる。


直撃は避けているのと自動回復のおかげで、HPが尽きるなんてことにはならない。

しかし、最悪な事に周囲の魔族と魔獣の数が眷属を上回っている。


眷属より敵の方がレベルが高く、能力も高い。その為、レオンが眷属を増やすより敵に殺られるのが早い。


「炎獅子!大蛇!鳳仙禍!」


何とか隙をみつけ、破天にでは無く周囲の魔族魔獣に向けて技を放つ。


これで周囲に向けている意識を破天に集中させる。


殺すことが目的になっていないからこそ、レオンは周囲に意識を向ける余裕があり、呼吸をおちつけることが出来た。


レオンが落ち着いたのを、まるで見計らった様に破天が衝撃発言をする。


「あぁそういえば、私の封印、実は完全に解けてないんですよ。最後の封印の鍵は巫女姫でしてね?あの女が生きている限り、私は天候を操ることが出来ないんです。しかも、殺そうとしてもあの女は死なないんです。というか()()()()。だからこう考えました。生物の胃の中なら殺せるのでは?って」


話の意味が分からなかったが、段々と頭が追いつく。つまり、


「私の中に巫女姫がいるんですよ。もうじき溶けきりますかね?」


レオンの動きが止まる。魔法が直撃して、吹き飛ばされる。吹き飛ばされながら、レオンの研ぎ澄まされた感覚が、破天から感じる違和感を感じ取り、それが何かを理解する。


「ムー居るな」


受身を取らず、仰向けに倒れながらレオンは虚空へと話しかける。そこに居るであろう者へと。


「はい」

「巫女姫は助けた方がいいか」

「...できるなら」

「なんでだ」

「彼女は使命に縛られてきました。せめて、これからの人生だけでも幸せを」


どれだけ長い間この世界で封印されていたのか。この世界のゲームという封印世界。歴史を創り育てるのにどれだけの時間を掛けたか。


「それは良くない。命があるなら、人生は楽しむべきだ。彼女が使命から解放されて人生を謳歌する。それを可能に出来る力があるのなら」


レオンは立ち上がる。


「ムー、巫女姫の名前は」

「...花憐...花のように、可憐で美しい子に、そう名付けられた普通の女の子の名前です」


瞳を閉じて、破天の中の気配を明確に捉える。


「八咫鏡」


開かれたレオンの左眼は、破天の中の花蓮を映し出す。


「彼女をここに」


次の瞬間には、レオンの腕に花憐が抱かれていた。


「は?」


破天の間抜けな声が聞こえる。何か喚いてる気もするが今はスルーする。


「ムー、花憐の状態は?」

「気を失ってるだけです」

「そうか。これで心置き無く殺れる」


トニーを召喚し、その上に寝かせる。


「我が神器は二刀一対。我が神が授け、我が神が与えた名は霧雨。此処に封印を解き、その真名を」

「守護の神格を授かり、守護神を宿す、護神刀早霧」

「妖を封じ、その妖気に当てられ変質した、破魔の神格、妖刀村雨」


早霧をトニーの前に突き立てる。


「百鬼。ヴェルウェナ、この子を頼む」

「任せな」


突き立てた早霧を一体の鬼が抜き、レオンに応える。


血操術・百鬼によって生み出された鬼の一体に、ヴェルウェナの意識を憑依させた。


「血を吸え村雨」


村雨がレオンの血を吸い紅く染まる。


「なぁ破天、この城壁、結界か何かだろ?」

「私の質問に答えろ!何をした!?」

「お前の中から巫女姫を助けた。それだけだ。答えたんだからそっちも答えろ」

「ふざけるな!」


魔法と酸、更には魔獣が襲いかかってくる。


「始祖化」


新たなスキルを使用する。レオンの黒髪が変色し銀髪へ。そして、空には紅い月が二つ。


「血刀」


血刀が瞬時に生成、魔法や酸を相殺する。


「まぁ、結界にしろそうでないにしろ、破壊すればいいだけか」


レオンは城壁の全てを意識の内に収める。


「界断」


チィン


戦場全体に響く納刀の音。その次に何かが崩れるような音が響く。

対・七つの厄災スキル『界断』。()()()()()()()()()()()()


「予想通り。これで全部捉えた」


城壁の全てが崩れていく。そして城壁の向こう、入れ替わった天童やミオ達の気配を捉える。




暴虐天童は破天大蛇と入れ替わると同時に、プレイヤーの力を簒奪するために前線に立つ。百程力を奪った頃、何かの気配を感じる。

その気配のする方に視線を向けると、城壁が崩れていくのを目撃する。


「まさか...」


その予感は的中した。先程より濃密な気配を纏ったレオンの姿。


「貴様は面白いな!レオン!」


その姿を認識するなり、一足でレオンへ襲いかかる。

レオンは天童を一瞥するとリジとシドを召喚、足止めをさせる。


「破天、まずはお前からだ」


戦場を威圧するレオンの気配に、プレイヤーも魔族も魔獣も動きを止める。


「ヒキシャァァァァ」


雄叫びを上げ、破天の首が分かれていく。


「力はそのままに五つに分かれる。私の力を舐めるなぁ!」


襲い来る五人を捌きながら、レオンは周りへ指示を出す。


「トニー、花憐をマイに預けて。その後は()()()。ヴェルウェナは引き続き彼女の護衛な。プレイヤー共!ぼさっとすんな!」


ヴェルウェナはトニーと巫女姫を抱え、素早くマイの元へ移動する。


「レオンからだ。巫女姫を頼むって」

「任された」

「ほら、スライム。お前は暴れるんだろ?主の役に立ってこい」


敵陣向けて投げ込まれたトニー。その姿が巨大化する。


ワールドアナウンス

WARNING、WARNING

厄災、暴食、グラトニースライムが復活します。


全プレイヤーに流れる不穏なログ。


自らの復活に歓喜するように、グラトニースライムは魔族魔獣を飲み込む。


「天童様!何故厄災がこちらを襲うのですか!?」

「攻撃が効かない!」

「吸収されてる!?吸収できない程の攻撃を集中させろ!」

「馬鹿!周りには他の敵も居るんだぞ!」


先程まで優位に立っていた魔族魔獣は、グラトニースライムの復活に、そしてグラトニースライムが自分達を襲ってくることへの混乱で、戦線が崩れ始める。


「魔族喋れるんだね」

「そうみたい」

「え、二人共驚くとこそこなの?」


厄災の復活で驚いていたアミューは、魔族が喋ったことに驚いているミオとマイに驚いた。



「主の軍勢とはいえこの程度か!」


それを視界の隅に捉えながら、天童は二匹の獣を相手する。


「しつこい!格下だと言うのに、何故殺せない!」


レオンのブラッドウルフとヴァンパイアキャット。使役獣はプレイヤーの様にステータスが存在しない変わり、彼等の強さは主人と自身の経験が反映される。つまり、種族進化しレベルが低い状態でも、戦闘経験をそれなりに積んでいれば、問題がないのだ。



「敵陣が崩れ始めた!アミュー。再度指揮を!」

「ッ!シェン、カイドウ、カクラを筆頭に敵陣を食い破りなさい!」

「おう!」

「任せろ!」

「暴れる」


アミューの指揮で三人が先陣を切る。


「ミオ、彼等の援護を!弓、術士隊も!あのスライムは攻撃しないように!」

「了解!一矢・鏖殺!」

「アローレイン!」

「フレイムアロー!」「ウォーターアロー」


先陣を切る三人を援護するように、弓、術士隊が援護を開始。味方を巻き込まないように、極力範囲の狭いアーツや魔法を使う。


「前衛部隊は解散!全プレイヤーに告ぐ!先陣の三人を援護!敵軍を殲滅せよ!」

「オラァ!」

「行くぜェ!」

「反撃だァ!」

「さっきの恨みィ!」


死に戻りしたプレイヤーもそうでないプレイヤーも、全員が一斉に敵陣へ攻め入る。


「弓、術士隊、上空警戒!急降下来ます!」

「撃ち落とします!エアースナイプ!」

「ロックブレイク!」


落下する敵を風の魔力の塊で撃ち落としたり、落下する敵の真下の地面、そこから岩を撃ち出す。

全部を仕留めれる訳では無い。だが、前衛達への被害は抑えられる。


「カイドウ!切り開くぞ!」

「おう!」


二人は背を合わせ、大剣を振りかざす。


「「システムリロード!」」


刀身を魔力で拡張。


「「チャージ!」」


大剣アーツ、チャージ。攻撃系アーツの前ならいつでも発動可能。次に発動する攻撃系アーツの威力を二倍にする。


「「反転!」」


反転...二人が前回のイベントで得た特殊スキル。

MPを使用して発動する、全てのアーツ、魔法の属性、効果、対象のうち任意で一つ反転させる。


今回反転させるのは属性。無属性攻撃のインパクトソード。無属性を反転すると?


「「インパクトソード!!」」


火、水、風、光、闇の基本五属性を得たその攻撃は、なんか凄いことになった。


システムリロードからのインパクトソードの威力は今回、開幕で使いある程度判明した。

周囲十メートルに魔力の波を生み出して敵を吹き飛ばす。その生み出される波に全属性が付与された。とにかく凄いことになった。

この波を受けた敵は、火で燃えるわけでも、水に溺れるわけでもなく、風に刻まれたり、光で浄化されたり、闇に侵食される訳でもない。ただ消えるのだ。

属性相性で対消滅させ合うのか、その場にあるものが巻き込まれ消えて無くなる。


「術士隊!広域魔法用意!展開場所は、脳筋二人が作った溝!」


シェンとカイドウが作った溝を中心に、術士隊が広域魔法を展開する。


「「落水!」」


数人が同じ魔法を使い、溝を水で満たす。


「「広域魔法・アクアスパイダー!」」


溝を満たす水が、薄く戦場の地を覆い始める。


アクアスパイダーの効果自体は、水魔法の発動と威力を増加させるだけのもの。だが、知識あるものなら知っている。不純物の混ざった水が齎す脅威を。


「「サンダーボルト!」」


雷鳴が轟く。雷は水を伝播し、戦場を駆け巡る。

敵は感電、硬直する。


「システムリロード!ガトリングスタンプ!」

「システムリロード!」「システムリロード」「システムリロード!」


プレイヤー達はその硬直を逃さない。武器の力を解放。


「スローイングランス!だけど、ゲイボルグ!なんてな!」

「インパクトソード!ならエクスカリバーか!?」

「チャージ!インパクトアックス!」


楽しそうである。さっきまでの危険な状況を脱したからなのか、強力な味方が現れたからなのか、プレイヤー達は活き活きとしている。


「これならいくら来ても問題ない」

「ヨルムンガンド...」

「空のお願いしていい?数はまだいるから」

「わかった」


レオンとグラトニースライムに活躍の場を奪われてしまったヨルムンガンドは、上空の敵を一方的に蹂躙する。


「後はレオン待ちかな」


ミオの視線の先には、五人に分かれた破天大蛇と戦うレオン。



「何故当たらない!こちらは五人だぞ!」

「...」

「キシャァァァァァ!!」


攻撃をただ避けるだけ。刀は納刀し、完全な逃げに徹しているとはいえ、五人同時の攻撃をものともせず、レオンはひたすら避け続ける。


「...よし。もういいな」


呟くと、距離を取り、武器を「村雨」から「赤椿・紅蕾」に。


「システムリロード・三」


城壁内に侵入した後に一度使っているので、残りの魔力をリロード。空になったカートリッジが排出され、新たなカートリッジをレオンがセットする。


「蛇腹剣...」


拡張された刀身は最低の二十メートル。最大射程である一キロは今は必要ない。


「懐に潜り込めば、その長さでは対応しきれないでしょう!」


勝手な思い込みで破天が突っ込む。


「それくらいの対応ができないなら、この形態にする意味がないだろう。するからには対応できるんだよ」


左手で刃と刃の間を持ち、自身を独楽の様に回転。引き戻された刃が、破天の背後を強襲する。


「クソっ!」


サイドステップで避けたのを確認すると、左手を離し刃を戻す。

リーチを伸ばすのも縮めるのも使い手次第。直剣に戻し、身体を回転させた勢いそのままに破天に攻撃する。


「ガッ」


蛇、鱗が影響しているのか、生身にも関わらず小さな傷をつけることしかできなかった。


「鱗?いや、魔力障壁の可能性...」

「貴様ァ!!!」


狂乱したように魔法を乱れ撃つ。周囲の魔族や魔獣、レオンの眷属が被害を受けるが、レオンも破天も気にしていない。そのどちらも補充が効くから。


「問題無いとは思うが数が多い。アレを呼べれば...」

「あの門を使えば呼べますよ?」

「マジか。よしやろう」


魔法を避けながら、現状を更にこちらに有利に出来る策を実行する。


「リジ!シド!トニーの方に向かってくれ!」


レオンの指示に素早く反応。天童の攻撃を軽やかに回避し、離れていく。


「疾風!迅雷!」


これまたレオンの得意技。天童を強襲し、血刀で破天を抑える。


「ふざけるなァ!人間如きが!一人で厄災を二人も相手に出来ると思うな!」


言葉にしたのは破天だが、天童も内心では同じように憤慨している。


レオンは攻撃を受け、流し、避け、反撃に繋げる。不要な動きをしないため、受けてもいい攻撃はそのまま受ける。無視できない威力の攻撃は全て流すか避ける。

六対一。数で見れば圧倒的不利な状況だが、レオンは直撃を貰うことなく立ち回る。少しずつ目的の場所まで。


「天童・秋茜(あきあかね)!」


身体を回転させ、遠心力の乗った一撃を受け、その勢いを殺さないように後ろへ飛び退く。そしてそのまま、目的の物へ手を付ける。


「呼ぶには何かしらの対価が必要だよな!触媒とも言うが!来いよ、エルニエルト!」


手を触れたのは、魔族達が湧き続ける門。レオンのMPが半分程持っていかれる。


門はヒビ割れ空間が歪み、一隻の巨大戦艦が姿を見せる。


「蹂躙せよ!」


現れた戦艦は宙に浮かび、その兵装を持って上空の敵を撃ち落とす。


「そろそろいい頃合い!ブラッドレイン!」


レオンの腕から流れる血が上空へと昇り、雲のように広がる。そこから降るのは赤い雨、血の雨。


「門が!?」

「これ以上の援軍は無しか!」

「キヒッ!構いません!殺せばいいのです!」

「「キヒッキヒッ!」」


門の崩壊は敵味方にとって衝撃的であった。だが、それに驚いていられない。魔族、魔獣を蹂躙する鋼鉄の空飛ぶ船。突然の出現とその猛威に、幾ら魔族であろうとも対応しきれない。


対応する為の時間をレオンは与えない。敵の戦意を削ぐために、まず一つ決着をつける。


「いい加減蛇は死ね!ブラドツェペシ!」


血の雨が付着した魔族達は、その身体を血の槍に串刺しにされる。


「こ、れは!?」

「チッ!この雨か!」


雑魚の魔族や魔獣は、全身に浴びた為、複数の槍に刺されている。破天も五体の身体はHPを共有しているため、数は少なくともダメージが大きい。

天童も数も少なく、多少のダメージは受けているが、それを無視してレオンに攻撃を仕掛ける。


「特殊抜刀術/攻勢・咆閃(ほうせん)。心月」


咆閃・・・次の物理攻撃の威力増加。


また左半身を衝撃が走り、天童は弾かれる。


「またか!?」


原理の分からない攻撃。対処出来ないことに苛立ちを覚える。


「血操術・血染め」


『血染め』・・・他人の血を体内に取り込んだモノを、その血を用いて撃ち破る。


今回の場合は、レオンの血をモンスターが取り込んだ。このスキルの発動により、モンスターの体内から無数の血の槍が飛び出し、血濡れた死体になる。


「キヒッ?」


身体から飛び出る無数の槍。破天が紅く染まっていく。


「血刀抜刀」


動きの止まった破天をレオンは逃さない。

八咫鏡、村雨の力を使い、五体同時に首を落とす。


散華血(さんかけつ)五剣(ごけん)


八咫鏡の霊体分身に、村雨が内包する妖刀を持たせ、一瞬の内に対象の首を落とす。



ワールドアナウンス


厄災・破天大蛇エンヴィーヒドラの討伐を確認。イベントが進行します。



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