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異世界戦争、界渡り〜渡る世界は馬鹿ばかり?〜  作者: 鯉狐
2章 異世界・代理戦争編(仮)
34/111

第33話 集中そして失敗

「気合い入れてけ!術士!攻撃用意!」

「最初は派手に行け!開戦の狼煙を上げてやれ!」


全体指揮官のシェンとベルリンの声が届く。


この戦いに参加したプレイヤーは全員、同じレギオンに参加している。これは、クランやパーティー関係なく参加でき、レギオン内チャットが使用可能になる。その他にもちょっとした恩恵もある。


「エクス!」「ダイヤモンド!」「ロック!」「エア!」


敵軍密集地帯に、確認されている限り最大規模の魔法攻撃が炸裂する。


「プロージョン!」「ダスト!」「ダウン!」「バースト!」


どれもが範囲最上位魔法。火魔法エクスプロージョン。水魔法ダイヤモンドダスト。風魔法エアバースト。

そして、派生魔法で土魔法ロックダウン。基本五属性のスキルレベルを十以上で取得する、派生魔法の一つ。


エクスプロージョンの爆発によって打ち上げられた石や岩が、ロックダウンの影響でかなりの速度で落下。ダイヤモンドダストで動けなくなった敵に命中し、砕けた氷や石がエアバーストの風圧で飛ばされ被害を拡大する。


意図せず生み出されたコンボに、プレイヤー陣は大興奮。興奮冷めやらぬまま、近接組が駆けていく!


「俺に続け!システムリロード!」


先頭を駆けるシェンが、開幕で武器の力を解放する。


「インパクト!」


駆ける勢いそのままに大剣を振りかざす。


「ソード!」


それを地面に叩き付ける。延長された刀身の影響で、周囲十メートルに魔力の波を生み出し、敵を吹き飛ばす。


「おっしゃァ!いくぜぇ?システムリロード!トリプルスタンプ!」


運悪くプレイヤー側に吹っ飛んできた敵を見て、一人のプレイヤーが続く。

飛んできた三体を、一撃ずつハンマーで殴り、弾き返す。


弾き返された敵は、その時点で大きくHPを減らし、敵同士でぶつかり消滅する。


「進めぇ!」

「「「オォォォ!」」」


城壁前に陣取っていた敵と衝突した。


「術士隊!弓隊!城壁上の敵と上空の敵へ牽制!余裕があれば、シェンの部隊の援護を!」

「アミュー!レオンの部隊が動いた!」

「了解!風音の部隊は連絡の繋ぎを!」


シェンとベルリンは前線にでる。後方の隊長を任されているのはアミュー、副隊長に風音だ。


「ミオ!お願いね!」

「任せて。レオンからも言われてるしね!」


ミオはレオンの部隊に所属しながら、今は弓隊に混じって中間地点に陣取る。


「おいで、煌双弓レナリス。一矢・鏖殺!」


現実でも多用する技。

放たれた矢が、空中で留まり、その数を増やしていく。魔力でできたソレは、異なる属性を宿しながら、敵の急所へと命中する。


「弱点は人と変わらないよ!獣型は四足が足と首、二足は首、足、肩!」


ミオにより敵の弱点が共有され、一体にかける時間が短くなる。


「風音!アルファ部隊とベータ部隊を!」

「...伝達した!!接敵まで後二十!」


ミオの攻撃により、敵陣に出来た隙を逃さず、シェン部隊が先行する。その後詰めとして、後方に控えていた二部隊を投入する。




「レオン狼煙が」


本隊より少し離れた位置、レオン率いる精鋭隊。


本隊による開戦の狼煙を確認。先陣を駆けるシェンが接敵するのを待つ。


「...接敵!行くぞ!」


レオン、カクラ、玲奈を筆頭とした『先導者』のメンバーによる少数精鋭隊。役割は、城壁内部へと先行し撹乱と陽動を行う。


「入り口はないんだろ?どうする」

「ないなら作る!」


レオンが抜くのは、「霧雨」ではなくリロード武器。


「行くぞ、赤椿・紅蕾」


おやっさんが新しく打った刀。刀身が鮮やかな赤、鍔は黒く淵を薄い緑が彩る。柄は薄い黒に。


二代目赤椿を手に、レオンは城壁目指し駆ける。


「居合抜刀魔刃斬!」


高速で抜刀、納刀の繰り返しによるゴリ押し。

魔力によってコーティングされた刃が欠けることは無く、壁を紙の様に裂いていく。


「...抜けた!」


八回繰り返すと、城壁の向こう側に抜ける。


「レオン!左!」


カクラの声に左を振り返る。その方向には、唯一の入り口である城門を囲うようにして、配置された数え切れないほどの魔族。


「あれはまずい!」

「急ぐべ!」

「各自、自己判断に任せる!死ぬなよ!」

「おう!」「はい!」


レオンが一人先行する。後ろに部隊は続くが、言葉の通り、ここからは各自別行動。もちろん連携することはあるが、なにか作戦がある訳では無い。


「システムリロード・四!」


敵陣へと突撃しながら能力を解放、二刀流に切り替える。


「抜刀・炎装!」


両の刀身が炎を纏う。


「火舞!大蛇!」


レオンもまた、現実でも使用している技をコチラの技で再現している。


火魔法に血操術を合わせることで可能とした『大蛇』は、現実と同じ効果を齎す。


「煉獄!」


二刀の刀身に炎が凝縮され、それを左右目掛けて放出する。倒しきることが出来ずとも、敵の混乱を招き、延焼を起こし、味方の突入をしやすくする。


「まだ入り口付近に残ってやがる!炎獅子!」


『大蛇』と同じように血操術の合わせで可能とした『炎獅子』。『大蛇』と違い、効果が長続きしないが、火力と突破力は上を行く。


「入り口付近を荒らせ!」


レオンの元から一直線で城門付近へ駆け抜ける。

周囲に撒かれる炎が身体に触れれば、そこから着火し、周囲へ延焼していく。

『炎獅子』の進路城門にいる魔族は、踏まれたり突進されたり、噛み付かれ、投げ捨てられる。更に炎に焼かれ、消滅していく。


「シェン!ベルリン!門を破っても油断するな!」


風魔法で声を城壁の向こうへと届かせる。


まだ向こうで戦っている気配はあるものの、もうじき終わるだろう。


「俺の部隊員に告ぐ!もうすぐ本隊が来る!死んでねぇよなぁ!?」


シェン達に声を届けた時と同じ要領で、部隊員に声を届ける。返事は聞こえないが、返事をするように、色々なところで派手に魔族が打ち上がる。


「問題なさそうだ。本隊と合流後、俺の部隊は少し下がって回復だな」


身体は熱くなっていても頭は常に冷静。

状況を素早く把握し、次手を考慮する。作戦立案が苦手と言いながら、レオンはそれなりに出来る。


「それにしても、上空の敵が大人しい。何故攻撃してこない?何かあるのか?」


何か違和感を感じる。


軍と言いながら、そこまでの数がいるわけでもない。レベルもそこそこで、苦戦するほどではない。これで七日?厄災の姿も無い。巫女姫は?情報にあった門は?


嫌な予感がレオンの視野を狭める。


「天道・茜」


頭上から聞こえた声に、瞬時に反応。

刀で上手く受け、衝撃を流すことで、距離を置くことに成功する。


「暴虐天童!」

「久しいなレオン!」


目の前に厄災が現れる。味方の生存と戦況を確認する為、意識を周囲に向ける。それと同時に、狭まっていた視野と思考が広がる。そして、違和感の正体に気付く。


「ッ!?カクラ!玲奈!部隊を連れて城壁の外に!本隊の戦闘音が聞こえない!」


先程まであった多数の気配が、何一つ感じれない。さらに言えば、自分の部隊以外の交戦音が聞こえない。


そういえば、城壁の向こうから確認した時、門は開いていて、反対側が見えていなかったか?

なのにこちらからは閉まって見える。


「クソッタレ!」


索敵スキルを全て用いて味方の気配を探る。


感知できたのは、今居る位置より更に奥。入り口だと思っていた門の反対側にある門の方向。


「侵入した穴から外へ!その後、城門を通って本隊と合流!急げ!」

「させると思うか?」

「そうするんだよ!邪魔すんな!」


素早く指示をだす。暴虐天童が邪魔をしようと動き、魔族達も動くが、レオンがそれをさせない。


「鳳仙禍!百花繚乱!千蓮万華!」


腕に傷を付け、流れ出る血が、数え切れないほどの刀を生み出し、ソレが魔族と天童へと襲いかかる。


「行け!」


無理やり作った道。レオンの部隊員は、振り返ること無くその道を行く。


「『朧月夜』『王の晩餐』」


部隊が抜けたのを確認しながら、即座に戦闘用意を整える。


魔族は眷属に任せ、レオンは一人、暴虐天童と対峙する。


「改めて名乗ろう!七つの厄災が一柱、暴虐天童、サムライプライド!」

「異界人、レオン!」

「「参る!」」


レオンと暴虐天童の一騎打ち。レオンのリベンジマッチがスタートする。




時は少し戻り、城門前を突破しようとする本隊。



「レオン隊、城壁内侵入」

「今のところ作戦通り。死者は?」

「各隊死者無しです」

「ガンマ部隊を投入。制圧して」

「伝達します」


風音を経由して、シェン部隊、アルファ部隊、ベータ部隊に伝達。ガンマを投入、制圧を急げ。


数分後には城門前を制圧する。


「よし!聞こえてたと思うが、油断するなよ!」


二、三分で回復を済ませ、部隊を再編する。


レオンの声が届いているので、油断はせず門を潜る。


彼等は気付かなかった。レオン部隊が城壁内、それも城門付近で戦っているのに、城門前から見える範囲の敵が全く動揺していないことに。

門に流れ弾が当たっているはずなのに、傷一つ付いていないことに。



「は?」


門を潜ったプレイヤーは、一人残らず、一度思考が停止する。


門の先の光景。

空を埋め尽くすと錯覚するほどの、飛行型魔族に魔獣。

何処を見ても魔獣と魔族しか見えない地上。

その奥には


「キヒヒッ!来ましたね!私は厄災・破天大蛇と言います。ようこそ地獄へ!」


巨大な蛇の上に座る人影。厄災・破天大蛇の姿。


「どうなっている...」

「キヒヒッ!貴方達が入ってきた門は、元々ココと繋がっていたのです。つまり!城壁内は全てブラフ!貴方達の行動を予測し、罠を張ったのです!」


城壁内に入る方法は、壁に穴を開けて入るだけ。

城門は、城壁内ではなく、別の場所に繋がっている。


「ッ!総員戦闘態勢!勝利を掴め!」


シェンの頭に浮かんだのは、撤退ではなく正面突破。

これが敵の罠なのであれば、出ようとして簡単に出れるわけが無い。何かあるに決まっている。


「キヒッ!いいですね!そのまま向かってくるといいでしょう!」


プレイヤー対魔族。二つの本隊がぶつかり合い、戦闘は激化していく。



「ミオ!弓隊の指揮は任せる!マイちゃんは後方部隊の護衛に!風音!凛も護衛に回して」

「了解。弓隊、上空の敵に注意しつつ、本隊の援護!出し惜しみしないで!」

「わかった。結界付与、簡易反射結界。アミュー、気を付けて」

「凛に伝達はした。私はアミューの護衛に残ればいいのね?」

「うん。お願い」


シェン部隊、アルファ、ベータ含む八部隊が敵軍と正面衝突したのを確認。素早くアミューが指示を出し、これからの展開に備える。


「私が全体を指揮できるのはここまで。後は各隊の隊長に任せるしかない。風音、レオンの部隊と連絡はつく?」

「...つかない。多分だけど、連絡してる余裕がないんだと思う。厄災が一体いないから」

「...そう。わかった」


レオンの部隊と連絡がつかない。完全に分断された状態。幸いなことに、本隊とたった一部隊が分断されただけ。こちらにも戦力は残っているため、大きな問題は無い。


戦場は敵味方入り乱れた乱戦状態。弓隊は上空の敵に釘付けになっており、本隊の援護が出来ない。術士隊も上空の敵を狙う。本隊の援護をしようにも、入り乱れすぎていて、誤爆を恐れて攻撃できない。


「完全にやられた」


今、拮抗状態なのはミオとマイちゃんが力を惜しみなく使っているから。いくら自動回復があっても、消費が多ければ間に合わない。どうにかして、突破口を見つけないと。


アミューは全体指揮を任された身として、この先の展開を読み続ける。


ダメだ。殲滅力の高いシェンもカイドウも、FFを警戒して効率が悪くなってる。澪ちゃんは上空で手一杯。舞ちゃんに攻撃手段はほとんど無いし、神楽ちゃんも玲音君もいない...どうする?何か...何か!


アミューの思考の中、レオン達の呼び方が現実の者に変わっていく。


「アミュー!」


思考に陥るアミューに声が掛かり、咄嗟に顔を上げて、目の前に迫る敵の魔法。


視界の端には、こちらへ向かう風音の姿。舞ちゃんが何かを発動しようとしている。けど、それよりも攻撃が当たるのが先。もしかすると一回目?ペナルティかかるかもしれない。一時とは言え、指揮官がいなくなるのは...。いや、そんなことより回避を


ボォン!


爆ぜるような音を響かせて、魔法がアミューに命中する。


「アミュー!」


風音が呼び掛けるがアミューから反応が無い。

反応は少し後ろから、別の人物の声で聞こえた。


「間一髪!」


声の正体は


「カクラ!どうしてここに!?」

「詳しいことは後。今は全軍に後退指示。広範囲を滅する」


ロープらしきものでアミューを捕え、抱えるカクラ。

反対の手に持つ武器からは、風の魔力が溢れ出る。


「風音!伝達!」

「了解!」


具体的な事は分からない。分からないけど、ヤバそう!


すぐに指示を伝達。後退させる。状況を察したミオが追撃を妨害、敵と味方の間に距離を作る。


「風よ唸れ。風よ吠えろ。猛々しく荒々しく、標的を刻む牙と成れ!テンペストウルフ」


溢れる魔力は、頭上にて集い、いつかの狼を形取る。


「ウルフレイド!」


風の魔力で出来た狼は、上空の敵も倒しながら、地上へと襲い掛かる。

風は鋭い刃となり敵を刻み、突風は敵を吹き飛ばし、遠くの敵と衝突させる。

強烈な風は地面を捲りあげ、石や岩を吹き飛ばす。そして、狼は近付く敵をその顎で敵を砕く。


「道を切り開け!」


狼は勢いを衰える事無く破天大蛇へ駆ける。


「ミオ!」

「わかった!」


厄災までが遠い。そう感じると、頼りになる仲間を呼ぶ。その声に応えるのは勿論、ミオ。


足を肩幅より少し大きく開き、狙いをウルフの進む先に定める。


「魔力収束、属性複合。レナリス、力を貸して!」


番えているのとは別に、ミオの周りに同じ魔力を宿した矢が現れる。


「立ち塞がる全てを吹っ飛ばせ!!」


放たれた矢は上空へ向かい停止。それぞれを頂点として六芒星を浮かび上がらせる。更に、頂点を結ぶ円と一回り大きい円が浮かび、円の間に幾何学模様が現れる。


「神器レナリスを霊媒に、外から呼び込む。魔力の塊をぶつけるなんて紛い物とは違う。本物の隕石。()()()()()()()()()()()メテオレイン発動」


ミオの残りMP全てを消費し、魔法陣が発動する。

魔法陣が光り、巨大な岩がその質量をもって敵を押し潰す。


外から持ち込まれた神器は、外の世界に干渉する権限を与えられた。外、つまり現実。現実の宇宙に揺蕩う岩、それを魔法陣に引き込む際に加速させ、ただ落とすより威力を上げる。

広域殲滅加速転送魔法陣。魔法創造で生み出せる現状最大火力。ミオの切り札。


魔法陣は六芒星の全ての頂点の魔力が無くなるまで続き、その間隕石は絶え間なく降り注ぐ。


陸空関係無く敵を押し潰し、余波ですら敵を消滅させていく。


「キヒヒッ!これは予想外!油断して直撃を喰らうとは」


更には、破天大蛇に直撃。全体の1.5割のHPを削った。


カクラの放った魔法は、ミオの余波で掻き消された。


「ミオ!」

「ごめん!ここまでとは思ってなかったの!」

「まぁいい。数はしっかり減らせたからな」


自分の魔法の活躍の場が奪われて、多少不貞腐れたものの、すぐ立ち直る。そもそもそこまで気にしていない。


「あぁ、そういえば我らが主が言っていましたね。四人程異界の力が混じってるとか」


破天の視線が、ミオとカクラに向く。


「あなた達ですか。とすると、もう一人は彼ですか。キヒヒッ!これは面白い!早々に計画を早めましょう!」


今まで人の姿を保っていた破天大蛇が、その真の姿を現す。


「「キヒヒッ!さぁ、これからですよ!」」


五つの首に五つの頭、声が重なって聞こえる。

そして、破天大蛇の姿が現れるのに呼応するようにして、破天の背後の景色が歪む。


「「魔の軍勢よ!蹂躙するのです!」」


景色が歪み、現れたのは黒く、暗く淀んだ闇を纏う門。

門より現れるのは、先程よりも巨大な魔族と魔獣。数は先の倍以上。


「嘘...でしょ」

「これを倒せって?」

「無理...だろ...」


呆然とするプレイヤー達に、魔族と魔獣は待ったりしない。破天の言ったように蹂躙していく。


力に任せて叩き切る。踏み潰す。爪で引き裂き、顎で喰らい、尾で薙ぎ払う。


プレイヤーの軍勢は一気に崩壊する。


「ッ!指揮系統の破棄!各自の判断に任せます!バトルヒーリング!オートヒーリング!」


アミューがいち早く立ち直り、交戦するプレイヤーへと自動回復魔法を付与する。

バトルヒーリングは戦闘状態にあるプレイヤーに継続回復を付与。10秒2%

オートヒーリングはHPが減っているプレイヤーに自動回復を付与。15秒5%


「対象選択...カイドウ、シェン、ベルリン、アミュー、風音、凛、カクラ、ミオ、玲奈...選択完了...反射結界、斬撃強化、打撃強化、対物理強化、対魔法強化、結界付与!」


次いで、マイが主要メンバーへ重ね掛けできる最大数の結界を付与する。

反射結界...物理攻撃を元の威力の半分で反射。

斬撃・打撃強化...斬撃と打撃攻撃を1.5倍に

対物理・魔法...物理耐性、魔法耐性を強化。+50


「テンペストウルフ!暴れろ!アルジェントリーパー行くぞ!」


カクラは再び風の狼を敵にぶつける。


「一矢・鏖殺!二矢・雨矢鳥!四矢・破砕!サリス、繋いで癒して!ヒーリングコネクト」


ミオは交戦するプレイヤーの援護。更に、全プレイヤーに自身の自動回復を共有させる。

ヒーリングコネクト...自身の自動回復効果の半分の効果で、範囲内のプレイヤーに共有。

効果は落ちるが、アミューの自動回復と重なることでプラマイゼロ。



「玲奈、凛、撹乱と孤立してる人の救助。お願いしていい?」

「任された」

「HPが危険域に達した者はこちらへ!」

「ベルリン!抜かせるなよ!」

「わかってます!」

「カクラ!出過ぎ!」

「カイドウ!タイミング合わせろ!」


動けるプレイヤーは、一箇所に集まり即席の陣を組む。専守防衛。

『守人』を筆頭に、タンクが壁となり敵の攻撃を受け止める。

『戦人』、カクラを筆頭としたアタッカーが攻撃後の隙を見せた敵を攻撃。AGIの高いプレイヤーは、敵陣を駆け回り遊撃を担当する。

ミオを筆頭としたアーチャーは、上空の敵への牽制と遊撃組の援護。

術士、メイジ達はアーチャーと同じ。アーチャーの攻撃の隙間を埋めるように行動する。

『白良企業』筆頭としたヒーラーは、ローテーションを組みながら、戦線維持の中枢を担う。

『風を識る』を筆頭としたスカウトは、回復の追い付かない箇所へポーションを届けたり、要所要所のサポートに回る。

そしてマイは、禁忌の扉を再び開く。


「HAZARD、禁忌の一つが限定解放されます」

「HAZARD、禁呪解放申請者、特定、プレイヤー名マイ」

「解放条件・・・クリア、代償・・・クリア」

「動力源指定・・・プレイヤー名マイ」

「動力の選択を」


以前の解放時、デスペナの影響を考慮せずに使った。しかし、今回はそうはいかない。HPの全損は、今回の失敗条件上許されない。なら、


「MP全部。継続回復させる分も」

「・・・解放に足りません、動力の選択を」

「わかった。MP全部、継続回復分、更にこの武器の魔力全部」


マイが動力に指定したのは、マイに与えられたリロード武器。確かに、この戦いが始まってからマイは一度もこの武器を使っていない。


「・・・動力確認・・・禁忌解放・・・禁忌稼働」


それは認められた。リロード武器の全魔力、MPを代償に、禁忌の枷が解かれる。


「禁忌・機械龍ヨルムンガンド」

「ギシャァァァァ!」


咆哮、機械の駆動音とも取れる音を響かせ、それは動き出す。



「キヒヒッ!あれの相手は任せましょうかね。天童、そろそろ時間ですよ」


破天はヨルムンガンドを見据えながら、虚空へと話しかける。


「わかった。では、コイツは任せる」


呼び掛けた相手からの返事。再び空間が歪み、景色が変わる。


「「ここからは、私が貴方の相手をしましょう」」


破天大蛇は、十の瞳でレオンを見下ろす。

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