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異世界戦争、界渡り〜渡る世界は馬鹿ばかり?〜  作者: 鯉狐
2章 異世界・代理戦争編(仮)
33/111

第32話 晩餐そして目前

「明日から攻略が始まるぞ!鍛治組!リロード武器はどうだ!?」

「レオン、ミオ、カクラ、マイ、シェン、カイドウ、ベルリン、風音、凛を筆頭に、各クランのリーダー陣は出来てます!」

「最終チェックも終わって、今は当人達に使用感を確かめてもらってます!」

「よし!下に回す分はどうだ?」

「リロードを一つだけにする方向でやってるので、『解放者』全員に配る分は」

「それを除けば二千が限界です!」

「アミューのとこは武器はいらねぇ!それを他に回せ!風音のとこも無くていい!できるならもう少し数を増やせ!」


「錬金組どうだ?」

「できた!安定して蘇生薬を作れる!今から調薬レシピを確立させる。少し待ってくれ」

「了解!暇してるプレイヤーに依頼回せ!素材をありったけ持ってこさせろ!」

「上級と中級ポーション用も頼む!」

「ポーションってHPとMPどっち優先だ!?」

「知らねぇよ!とりあえずMP多めにしとけ!」

「おう!なんかあったらお前の責任な!」

「あ!?いいぜ受けてやる!」


「そこの赤髪大剣の男!突出しすぎるな!敵も大軍引き連れてるんだぞ!一人になったら死ぬぞ!!」

「タンク動き遅い!もう一歩判断を早く!それが無理なら、体勢を早く立て直せるように体幹鍛えろ!」

「スキルに頼り過ぎ!自分の技量で戦えるようにしなさい!MP切れたらお荷物になるわよ!」

「魔法は大規模なものは多用しない!小規模でも中規模でも、大軍相手なら効果はある。命中させなきゃって気負わないで!」


プレイヤー達で定めた準備期間最終日。

『天照王国』の北門付近は、プレイヤーの熱気に包まれていた。


「おやっさん!俺のコレ、上限何リロードだ」

「お前さんのは5だ。一は刀身延長、二つで刀身の反対方向に向けて魔力刃の形成。両刃剣形態。三つで刀身拡張、蛇腹剣形態。四つで魔力刃を形成、分離させ二刀流形態。五つで魔力そのものを撃ち出す、魔力砲形態だ」

「...使う時の注意点は」

「魔力砲形態は連続して使えない。冷却に十分、出来れば十五分だな。両刃剣形態は、後から魔力で弦を張れば弓としても使える。蛇腹剣形態は最大射程一キロ。一から四に共通で、持続時間は十分だ。効果時間の持ち越しは出来ないから、下手に重ねるな」


一から順に使って、四にあげても効果時間は十分のまま。連続して使うと武器の耐久が減りまくる訳か。


「わかった。それにしても、俺のだけ扱い難いな」

「お前さんはそれでも使えるだろ」

「まぁそうだけど」


おやっさん、俺が扱えるかどうかの確認をせず、この武器形態を組み込んできた。


ミオの武器は通常が弓、一つで両刃剣、二つで薙刀、三つで魔力拡張の魔弓形態。

カクラの武器は通常が鎌、一つで薙刀、二つでハルバード、三つで刀身延長の魔大剣形態。

マイの武器は通常が鉄扇、一つで双剣、二つで円月輪、三つで魔力小銃形態。


シェンやカイドウ、ベルリン達は非常にシンプルで大剣や盾といった扱いやすい物。


だいたいなんでも扱えると言ったのが悪かったのだろう。男のロマンとやらを詰め込んできた。内心では俺も大喜びした。


「魔力カートリッジの予備は一人二つ。インベントリに入るから、忘れないように注意しろよ」

「了解。他の皆にも伝えてくれ」


レオンはおやっさんと別れ、一人森へと入る。


「霧雨」


呼び掛け、手に持つは愛刀『霧雨』


「集中しろ...イメージするんだ」


瞳を閉じてイメージするのは、自信を中心とした円形の領域。


「抜刀術奥義」


抜刀。


「心月」


目標にした木は、傷を付くものの倒れることはなく。


「...まだ足りないのか」


玲音の父、アーノルドに教わった抜刀術の奥義の一つ『心月』。射程、攻撃範囲に制限は無く、使用者の思うがまま。斬撃が飛ぶのではなく、指定した場所に発生する。未来予知が出来ない限り回避不能。自動回避というものがあれば、直撃は避けられる。らしい。


故郷の世界でも、この世界でも玲音は成功した試しが無い。出来るのは精々が今のように傷を付けること。


「...スキルとして新しく出ないってことは、まだ技として見られてないってことか。仕方ない、次だ」


先程標的にしたのとは別の木の前に構える。


「奥義」


体を捻り、刀を引き、力を溜める。


「一点集中桜華八突」


視認困難な速度で突き出された刀は、木に八つの傷を付ける。そのどれもがほぼ中心を捉える。


「ッ!?身体が重い!」


抜刀術スキルに新アーツ登録

『一点集中桜華八突』・・・現HPの六割消費。MP消費無し。極めれば、全ての突きが一点に。

使用後プレイヤーに特殊状態異常、過負荷。

※過負荷・・・効果時間六時間。動きが鈍くなる。


「なんてこった」


ログに表示された情報を見て、レオンは膝を着く。


「いやまぁ、リアルで使ったらもっと酷いからマシな方か」


リアルで使おうものなら、一日一回の大技。二日連続で使うと後日に支障が出る程。使うなら、一日開けてからが望ましい。


「全身の筋肉、骨、神経を連動させ、本来では不可能な肉体運動を可能にする。よくこんなの完成させたな父さんは」


父から教わった奥義の二つ。現状使えるのは『桜華八突』だけ。『心月』はまだ先だろう。


「出来ることなら心月も完成させたかったな」


刀を納刀し、森の更に深くへと進んでいく。

これから確認するのは、まだ見られたくないものだから。


「この辺りなら...よし、大丈夫」


索敵系スキルをフル活用して、周囲にプレイヤーが居ないことを確認する。


「八咫鏡、八尺瓊勾玉、天叢雲剣」


霧雨が使えるようになった後、ムーから渡された鏡と勾玉、最初から持っていた剣を確認する。


「...転移は問題無い。勾玉は...確認のしようが無いな。これは明日。剣は...神器換装、都牟刈太刀」


『天照王国』付近の森から『転国ホープス』の東の森、最初にグラトニースライムと戦った付近に転移。そのまま、そこで剣の神器換装を試す。


「換装は問題無し。こいつは破天の切り札に成るな」


確認を済ませると、再び鏡の転移で『天照王国』付近の森に戻り、北門へ向かう。


レオン自身の準備は整ったと言っても差し支えない。欲を言えば、先の心月を完成させたかったところだが。


「ミオ、姉さん、マイ、準備の方は?」

「私は大丈夫。アレのおかげで礼装も使える」

「私の方は礼装は無いが、魔法にオリジナルが追加された」

「結界霊衣の付与もできるようになった」


三人とも、リアルで出来ていた技にコチラが追い付いたようだ。


「マイ、暗器の類は持ったか?何かあった場合の対処用に持っておけよ」

「お兄に言われなくても」

「姉さんのオリジナルは、破天と拮抗すると思う。そっちの対処は任せる」

「任せろ」

「ミオ、簡易じゃなくてちゃんとした礼装なら、お前の敵は居ない。消費は気にせず射て」

「大丈夫。ちゃんと儀式礼装だから、後ろは任せて」


三人も準備完了。あとは、決戦開始時間と仲間の準備完了を待つだけ。


「カイドウ!俺達は先に落ちるが、大丈夫か?」

「おう!こっちも後はポーション類の確認だけだ!問題ねぇよ」

「そうか。それじゃあ、お先に」


近くを通りかかったカイドウに確認を取り、四人でログアウトする。


「長時間使用アラームは切っといた方が良いな」


恐らく戦闘が始まれば、ログアウトする暇なく戦い続けることになる。


「出来ればリアル一日で終わらせたいな」


リアルで言えば、既に金曜の夕方以降と土曜日丸々使っている。一応、日月と二日あるが、ぶっ通しはきついだろう。


「日付が変わるまで後七時間。まずは飯だな」


時間を確認し、部屋を出てキッチンへ向かう。

丁度、澪達も部屋から出てきたので、四人で準備をする。


「ムーの分も用意してくれ。もうそろそろ戻ってくる」

「お皿はこれか?」

「澪姉、これで盛り付けいいですか?」

「うん、大丈夫。流石、舞ちゃん」

「ただいま戻りました〜」

「お、丁度だ。ムー、手洗いうがいして来い。もうすぐ飯だ」

「わかりました〜」


ムーが戻ってくると、食卓に並べて、全員で揃って食べ始める。会話の内容は、主にムー経由の尚也達関連。


「向こうも面倒な状況らしいです」

「なんだっけ、世界に着いた途端、分断されたんだっけ?」

「はい。強制転移で、バラバラになったそうです。妹は尚也お兄ちゃんと一緒です」

「それなら大丈夫だろ。それに、向こうも連絡手段は持っていってるしな」

「父さん作製の遠距離通信機、サテライトでしたか?」

「それ。登録した魔力反応があれば、距離に関係なく通信可能。ただし、遠い世界同士は無理。出来たらムーに頼む必要ないんだがな」


ムーが家やゲーム内に居ない時は、この世界の神々の監視をしているか、尚也達の世界まで行き、情報収集をしているかのどちらかだ。


「まぁ今は、向こうの心配をしてる暇は無いな。六時間後には、俺達の方が大変な場面だ。今のうちにしっかり休めよ」


玲音は一足先に食事を終え、庭へ出て木刀を握る。何かをするのではなく、ただ正眼に構え続けるだけ。


澪は部屋に戻り、床に正座で座り意識を鎮める。頭の中では矢を番え、弦を引き、的へ中てる。その動作を繰り返し反芻させる。


神楽は部屋に戻り、運動用の服に着替え、家の周りをジョギングする。歩幅は一定に、歩く速度も一定に保つ。それを意識しなくても出来るまで続ける。


舞は、部屋に戻ると服を着替え、両手に扇子を持ち、自身が知る最も速い攻撃を思い返し、それを避ける様に舞を踊る。扇で時には刀を弾き、逸らす。二時間、舞い続ける。


ムーは縁側に腰掛け、玲音を見つめたり、星空を見たり。何を想い、考えているのか。



「0時になったら、攻略開始でしょ?集まってお酒飲んでて大丈夫?」

「大丈夫だろ。量は一人一缶だし、全員ここからログインするんだし」


海堂や万丈、亜美、風音は海堂の家に集まり、お酒を飲みながら時間を潰す。


「ベルリンは寝てるって言うのに、なんで貴方達は...」

「あいつなりの落ち着き方だろ。俺達はこれなんだよ。玲音なんかコレだぞ?」


そう言って海堂がスマホに映した写真は、誰が撮ったのか、木刀を正眼に構えて微動だにしない姿の写真だ。


「...かっこいい」

「あぁ...なんつーか、様になってる」

「軸のブレもなく、ちゃんと木刀が正面に来てる。間違いなく振れるな」

「そういえば、玲音君のご家族の情報全く出て来なかったの」

「なにしてんの?」

「え?気になったから?」

「お前は昔から...」


カイドウ、シェン、アミュー、風音達もそれぞれの方法で休み時間を待っている。


それ以外のプレイヤーも、方法は違えど英気を養って、決戦に備える。


土曜日の23時丁度。参加する多くのプレイヤーがログインし、北門へ集まっていた。


「なぁ、この告知マジかな?」

「まじだろ。ほらこのサイト」

「うゎぁ、マジだ」

「48時間生放送は、運営頭おかしくなってるw」

「誰が全部ぶっ通しで見るのかw」

「いや、一万既にいるから」


集まっているプレイヤーの話題は、三十分程前に告知された、運営による今回の決戦、イベントの生放送。合計十の視点を用意して、様々な場面を映せるようにしたらしい。ちなみに、配信開始前の待機所には、一万人の視聴者が集まっている。


「向こうから攻めてきてくれるのが楽だが、暴虐天童が待っているって言ってたからな。こっちから攻めることになるんだろう」

「巫女姫様助けるんだから、こっちから行くのが普通じゃない?」

「分からないぞ?向こうが連れながら攻め込んでくるかもしれない」

「馬鹿なのかな?」

「まぁいい。風音達によれば、城壁はあるけどそこまで厚くないらしい。開戦の合図はアレに決まりだな」


レオン達もリーダー陣で固まりながら、残りの時間を待つ。


「お兄、三十分前」

「よし。移動開始」


日付が変わる三十分前、全員が北の魔の平原に向かう。


向かう先に見える城壁。城は見えないが、巨大な門が見える。それに...


「飛行戦力...あれは狡だろ」


宙に浮く、羽ばたくモンスター。見た目的に魔族か。


「遠距離持ちの役割固定されたね」

「あんなん現状対処方無いもん」

「当たって砕けろ」

「砕けたらお終いなんだよなぁ」


失敗は許されない。一人二回の死が、プレイヤーに許された挑戦権。


まもなく決戦の火蓋が切って落とされる。


巫女姫の処刑まで残り96時間

世界の終わりまで残り---

玲音の覚醒までまもなく

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