第30話 出会いそして別れ 始まる
「そういえば、シードウルフの他にレアモンスター見つかったらしいね」
「ホクトでだっけ?」
「スチールスネークだっけ?」
あれから数日、狩場を変えることなくゲームを続けていた。その間に、他のプレイヤーがレアモンスターを見つけたらしい。
「掲示板に情報上がってたけど、完全サポート型だったね」
スチールスネークのスキル内容は、収奪と付与。敵のステータスやバフを奪い取り、それを主に還元、付与する。それ以外に、どんな武器にも鋼鉄状態を付与、攻撃力と耐久力を上昇させる。
「シードウルフは他に見つかってないし、スチールスネークもまだ一体だけ。他の方面も探してるらしいけど、ギルドにも情報がないから進んでないみたい」
冒険者ギルドですら確認できていないモンスター、故にレアモンスターなのだ。冒険者ギルドに所属しているのは、PKプレイヤー含む全プレイヤー、そしてこの世界に生きる冒険者。総数は把握していないが、かなりの数がいるのは確かだ。それだけの数がいてなお、情報が無い。スチールスネークもシードウルフも最近になって情報が追加されたくらいだ。
「まぁ、シードウルフは六体確認できたからな」
レオンの後ろを付いて歩く二匹。
ミオの後ろにも二匹。
カクラとマイに一匹。
最近になって発見した、新しいシードウルフ。何故かレオンとミオしか使役出来なかった。
そしてそのウルフ達が進化した。
レオンのは、先に使役したリジはシードウルフからブラッドウルフ。後に使役したシドはヴァンパイアキャットに。
リジ(ブラッドウルフ)Lv2 進化の芽Lv11・吸血Lv2・噛み付きLv14・引っ掻くLv15・迅速Lv18・空歩Lv11・血魔法Lv1・???Lv?
シド(ヴァンパイアキャット)Lv2 進化の芽Lv10・吸血Lv6・噛み付きLv4・引っ掻くLv5・迅速 Lv10・空歩Lv9・血魔法Lv1・特殊魔法Lv1・???Lv?
どちらも特殊な種族へと進化した。これにはレオンの種族が影響していると思われる。
ミオの二匹は
テンカ(ホワイトウルフ)Lv2 進化の芽Lv11・噛み付きLv13・引っ掻くLv13・迅速Lv11・空歩Lv10・治癒魔法Lv1・???Lv?
レンカ(クロックウルフ)Lv2 進化の芽Lv10・噛み付きLv10・引っ掻くLv10・迅速Lv9・空歩Lv10・時間魔法Lv1・???Lv?
カクラのウルフは
シェル(エンジェルウルフ)Lv2 進化の芽Lv11・噛み付きLv13・引っ掻くLv12・迅速Lv16・空歩Lv13・天魔法Lv1・飛翔Lv1
マイのウルフが
アーラ(ソードウルフ)Lv2 進化の芽Lv11・噛み付きLv13・引っ掻くLv12・迅速Lv16・空歩Lv13・剣魔法Lv1・???Lv1
正直、マイのウルフが一番普通だった。進化先の情報を各召喚主だけが知れたのだが、どれも不思議な種族になりそうだ。現状一番普通なアーラですら、辿り着く先は神獣の領域。
「でだ」
レオンが思考を切り替えるようにして言葉を発する。
「この状況何?」
レオン達四人を囲む大勢の騎士?侍?
何故こんなことになってるのかと言うと、遡ることゲーム内一日。
「お兄、あれ」
マイが突然レオンの腕を掴み、明後日の方を指さす。そちらを見ると
「イジメか?」
複数人に囲まれた女子が。
「見たところ、全員貴族令嬢っぽいな」
「そうだね。正直、国と合わない」
まぁ和名だからね国名。
「とりあえず止める」
「首突っ込むの?」
「普通なら見て見ぬふり。偽善は時に人を傷付ける。だけどな、さっきから聞こえてる内容に腹が立つ」
ゲーム内ステータスに関係なく、玲音は耳がいい。その影響か、こちらでもスキルとか関係なくよく聞こえている。
「形見を粗末に扱い、加えてその親を馬鹿にする。何処の人間も醜い所はあるんだな」
レオンは滅多に使わない威圧スキルを使いながら、令嬢達に近付く。
「その口を閉ざせ」
発する言葉は強く、否応にレオンの事を認識させる。
「なんですの貴方は」
「平民風情が話しかけないでもらえます?」
「わたくし達忙しいの。見て分からない?」
「あっち行きなさい」
彼女達はレオンに怯むことなく対応する。
「正直、首突っ込むのは面倒だと思ったが」
「なら早くどっか行きなさい」
「内容が内容だけに、そうはいかない」
レオンの威圧が強くなる。
「どうしてそうなったかは知らない。だけどな、子を守ろうとした親を貶し、その形見を雑に扱う。それは、死者への冒涜だ。たとえ他人であってもそれは許せない」
レオンが首を突っ込んだのは、自身の親を馬鹿にされた気がしたから。全く関係が無い、はずなのにレオンには許せなかった。
「グルルルゥ」
「ルァ!」
レオンの傍に控える二匹のウルフ。その唸りと吠えにビクついた一瞬を付いて、レオンは踏まれていた形見と倒れていた令嬢を抱え、距離をとる。
「平民の分際で!」
「わたくし達が誰かおわかり!?」
「今すぐ排除してあげますわ!」
「笛吹!」
突然、笛の音が鳴り渡る。そうすれば、周囲から複数の気配が接近してくる。
「三人はこの子の護衛を頼む。ちょっと八つ当たりするわ」
トニーを召喚し、令嬢を寝かせる為のマット役にする。三人を護衛に残し、レオンは一人、四人の令嬢を睨む。
「お嬢様!何事ですか!」
「そこの無礼者を捉えなさい!」
「そいつらは、わたくし達の邪魔をしたの」
「そいつがいなければもう少しで!」
「...承知しました。始末すれば良いのですね?」
「えぇ。そうすれば約束が果たされるわ」
「総員構えろ」
令嬢の護衛騎士か衛兵なのだろう。全員が戦闘態勢を取る。
「なるほど、爵位か」
その言葉に、令嬢達が一瞬身体を強ばらせる。
鑑定で見たところ、四人の令嬢の爵位は伯爵や子爵家。倒れていた令嬢は公爵。
騎士の家系であり、長い間この国に仕えてきた。家族構成は、現当主の父、母、兄が二人と妹一人。そこに、倒れていた令嬢。現当主は次期王国守備部隊の隊長候補と噂されていた猛者。二人の兄も、部隊を率いるだけの技量もカリスマもあった。
「今なら殺さないでやるからさ、逃げてくんね?」
武器も持たず、構えることすらしないレオンの言葉は、相手にとって挑発にしか聞こえなかった。
「舐めるなァ!」
隊長なのだろうか?そいつが剣を振りかざし、向かってくる。
「格上に上段からの振り下ろしは、殺してくださいって言ってるようなもんだろ」
自分から相手に近付き、腹を蹴り上げる。手加減せず、相手の勢いをそのまま。鎧は凹み、騎士は悶絶する。
「どうした。かかってこい」
レオンは明確に挑発し、向かってくる敵を排除する。
「囲め!人数差を活かせ!」
「手首を切った!時間を掛けていけ!」
「武器も持たず、調子に乗るからこうなるのだ!」
等など、勝手なことを喚く。
最初の方から野次馬は居たが、今ではその数を増やしている。
「もういいか」
血が流れ出ている左手を大きく払い、騎士達の鎧に血を付ける。
「血操術・圧縮」
たった一滴の血。それは、鎧全体に広がり、騎士を締め付ける。
「潰れろ」
グシャッ。
音を響かせ、数人の騎士の身体が潰れる。
「ッ!?」
野次馬も他の騎士も令嬢達も、例外なく動けなくなる。
彼等は恐怖に支配された。理解出来ない現象に、頭が追いつかない。
「血刀」
静まり返ったその場に、レオンの淡々とした声が響く。
「まだお前らの方が数では有利だろ?どうした。突っ立って無いで来いよ」
彼等は理解する。自分達が敵対した者の強さを。そして正体を。
人と変わらぬ容姿を持ち、人を凌駕する身体能力を持ち、自身の血を自在に操る。吸血鬼。
「陽の光を克服した、吸血鬼だと...」
隊長らしき人物の呟きは、不思議と全員の耳に届いた。
「名乗ってなかったな。お前らの言う所の異界人で吸血鬼レオンだ。冥土ノ土産に覚えとけ」
そこからは一方的な虐殺。
そこまでする必要はあったのか。
何故レオンがそうするのか。
何故レオンは止まらなかったのか。
一方的な虐殺は、騎士を全員殺すまで続いた。
シークレットアナウンス
プレイヤー名レオン、七つの厄災・憤怒に認定。
プレイヤー名レオン、七つの厄災・暴食に認定。
プレイヤー名レオン、七つの厄災・強欲に認定。
プレイヤー名レオンに称号付与「禁忌に至る者」
「さて、令嬢共。なんで、あの子を虐めてたのか。聞かせてくれるよな?」
怒りも悲しみも、殺意すらも感じない。淡々とした声が、彼女達を恐怖で支配する。
「わたくし達は...お、おやに言われて」
「そう、です。お父様に」
そこから語られたのは、彼女達の親からハルモニア公爵家の一人娘を虐めろ、と言われたということ。
ハルモニア公爵ってのは、倒れてたこの子の家な。
何故親がそんなことを言うのか分からなかったが、爵位が上がる、お金が沢山手に入ると聞いて行動した。
どの令嬢も、親が見慣れない人物と話しているのを目撃した。話してた内容は、断片的に聞こえていた。
「ハルモニア公爵家」「まもなくな」「計画は」「あとは巫女を」「我が公」「あんたい」
「なるほどな。他の公爵家が何かを企んでんだろ」
一通り聞き終えると、レオンは威圧を解除し、声にも感情が戻る。
「ミオ、俺と一緒にハルモニア公爵家に行くぞ。カクラとマイは、ココ最近の貴族関連の情報収集。風音に連絡取って、力を借りて。それと、同盟クラン全体にアトゥル伯爵家、レーベル伯爵家、トリテ子爵家、ライム子爵家とは関わらないよう通達。行動開始!」
すぐに次の行動をまとめ、通達事項は同盟クランへと連絡する。街に残る野次馬や令嬢、騎士の死体等を放置したまま。
ハルモニア公爵家に令嬢を届けると、感謝され謝礼を貰った。
カクラやマイ、風音達の集めた情報によると、ハルモニア公爵家の当主や兄二人は、最近のモンスター討伐の際に部下を庇い戦死。更に、違法奴隷を扱ったとかで、爵位剥奪が決まったそう。
で翌日、騎士?侍?に、また囲まれる事態となった。
「現実逃避はこれくらいにして、何の用だ」
若干威圧を掛けながら、レオンが前に出る。
後ろはミオ達がしっかりと守り、何が起きても良いように備える。
周りを囲む集団の後ろから、何やら籠のような何かが向かってくるのが見えた。
「そこになおれ異界人。巫女姫様の御前だ」
集団の中から一人の男が前に出て、レオン達へ命令する。
今日も今日とて居る野次馬は、既に地に膝を着き、頭を下げている。
「巫女姫様ね...」
クエストに関わる人物に、こうして会えるとは思っていなかった。
「レオン、もしかして」
「間違いない」
囁くように聞いてくるミオに、短く答える。
騎士による道ができ、巫女姫が歩いてやってくる。
「初めまして異界人の方々。厄災を倒した者達。最初に出会うのが、吸血鬼と天使、小人族とは思いませんでした」
ザワッ
巫女姫の言葉に、その場にいる全員が驚愕する。
「なんで知ってんだ、って聞いても?」
「それは、私が先読みの巫女だから。そして、貴方達を知る唯一の人物だから」
微笑む巫女姫。しかし、その目には別の何かが宿っている。
「ムー、居るか」
「はい、此処に」
「彼女は?」
「言った通りです。先読みの巫女、ヤツの影響を逃れる為に封印された、向こう側の人間です」
ムーの言う向こう側とは、ゲームではなく現実。
ヤツとは恐らくグレーゴル。
レオンの傍に現れたムーを見て、巫女姫は一歩前に出る。
「貴女様がアーメイア様でいらっしゃいますね?私の主より聞いております。彼にある物を授けたいので、同行をお願いしても?」
ムーは警戒していない。どころか、こうなることをわかっていたような反応だ。
周囲の騎士や野次馬も、巫女姫の発言にまた驚いている。
「ムー、信用していいんだな?」
「はい。授けたい物とは、恐らくスキルや武具の類。ないと困ると思います」
「わかった。その誘いを受けようと思う。今から向かうでいいのか?」
レオンの言葉使いに、騎士達が反応するがレオンも巫女姫も気にしないで続ける。
「えぇ、あまり聞かれたくないので、彼等以外は着いてこなくて大丈夫です。私の身を心配しているのであれば、尚更引いてください」
巫女姫にそこまで言われては、騎士達も引かざるを得ない。
「では、アーメイア様、レオン様こちらへ」
騎士達が向かう先と反対
「神殿?」
「はい。貴方の力に縁のありそうな場所でしょう?」
無意識の内に零れた言葉だったが、巫女姫はそれに反応する。
案内に従い神殿の中へ。そして更に隠し通路を通り、地下へと進んでいく。
「私の主、ルナティアは最後の抵抗にある力をこの世界に残しました。レオン様達が来たとしても、この世界では力の全てを発揮することは難しいでしょう。故にスキル、武具として隠し、それを託す役目を私に与えました。さぁレオン様、コチラを」
辿り着いた地下の聖堂。そこに眠るのは
「スキル『神代』『天断』『界断』神器『エルニエルト』」
プレイヤー秘匿アナウンス
このアナウンスは、プレイヤー名レオン以外のプレイヤーには秘匿されます。
吸血鬼が始祖の血を得て進化します。
吸血鬼→始祖の吸血鬼
種族スキル『始祖化』獲得
このスキル獲得にSPは必要ありません。
スキルレベルやプレイヤーレベルに変動はありません。
スキル『界断』・・・自身が認識した界を断ち斬る。対七つの厄災スキル
『天断』・・・またの名を『抜刀・極至』。全ての因果を捻じ曲げ、斬った、という事実を刻み込む。対世界を滅ぼす者スキル※現在使用不可
『神代』・・・在るべき姿へと正す力。神の代行。
神器『エルニエルト』・・・現在使用不可、使用条件不明、神器能力不明
始祖の吸血鬼へと至った為、装備が変化します。
・始祖の耳飾り
特殊スロット1.消費MP5%カット スロット2.始祖状態の間、受けるダメージを軽減
・始祖のマフラー
特殊スロット.確率で敵の物理攻撃を防ぐ
・始祖の戦装束
始祖状態の間、全ステータス二倍
「どうですか?」
巫女姫に返事が出来ない。スキルやら防具やらの確認で頭が一杯になっている。
「ふふっ。ミオ様、カグラ様、マイ様にもコチラを」
そう言って渡されたのは
「まさか、煌双弓レナリス?」
「アルジェントリーパー...」
「私のはルドリアです。最初から解放状態っていいんですか?」
言葉の代わりに、微笑みながら頷く。
三人も武器の確認を行う。
レナリス・・・距離減衰を無くし、弱点を知っていれば弱点必中。矢をMPで生成する時、味方に当てると回復する矢と敵に当たれば自動回復系効果を阻害する矢を生成出来るようになる。
所持者のレベルを1支払い制限解放。煌滅弓妃レーヴェアルサス※一度使用すると再使用までゲーム内二日
アルジェントリーパー・・・特定ワードを詠唱することで、敵を喰らう捕食形態に移行する。水と風との相性が良く、属性付与する場合の消費が軽減。敵を喰らうとHPMPを少し回復する。
所持者のレベルを1支払い制限解放。煌迅鎌妃アリュディスリーパー※一度使用すると再使用までゲーム内二日
ルドリア・・・結界魔法のMP消費大幅軽減。魔法の展開速度上昇。結界の効果時間、破壊耐性上昇。
所持者のレベルを1支払い制限解放。煌鉄扇双リドルアスタ※一度使用すると再使用までゲーム内二日
「防具の方は私がどうこうすることは出来ません。ですが、ミオ様はエルフの里、カグラ様は天空城、マイ様は地下神殿に訪れれば」
その装備の真価が発揮されるでしょう。
言葉にせずとも、言いたいことはわかった。
三人はそれぞれが心に刻む。訪れるべき場所の名を。
三人が確認をしているうちに、レオンの方も落ち着いたようだ。
ムーと三人の目的地の大まかな位置を話していた。
「さぁ皆様、地上へ戻りましょう」
再び巫女姫の案内に従う。
ワールドクエスト
「巫女の元へ」達成
クリア報酬として、全プレイヤーに蘇生薬×5と十万円が贈られます。
クエスト達成のログ。クエスト内容は巫女に会い話を聞くこと。しかし、今の内容がクエスト達成条件とするなら、レオン以外のプレイヤーでは達成にならないはず。だとすると
そう考察するレオンを他所に、巫女姫は独り言をこぼす。
「封印が完全に解かれましたね。破天と天童が本格的に動くでしょう。...役目は果たしましたからね、ここで居なくなっても問題は無いでしょう」
聞こえるそれは、暗く悲しみを帯びていて、不穏な空気がその場を包む。
「あぁ来ました。私の死がそこまで」
神殿の外は、空は荒れ狂い、闇に覆われ、雷が絶え間なく轟く。
そして、レオン達の目の前に二体の厄災が現れる。
「巫女姫の命貰い受けに来た」
「喰らえば美味い!キヒヒッ」
「破天大蛇、暴虐天童」
鉱山でレオンを襲った厄災と再び対峙する。
「暴虐天童!」
「?おぉ!あの時の!レオンか!」
「キヒ?鉱山で殺したと言っていた刀使い?」
レオンの声を聞き、嬉しそうな声で返す暴虐天童。
出会った時の話を聞いていたのだろう。破天大蛇も少し興味を示す。
「こうしてまた会えた事嬉しく思う。しかし、今回の目的はお前ではない」
「キヒッ!えぇそうですとも。巫女姫は頂いていきます。返して欲しくば、北の魔の平原に」
「七日待ってやる。レオン、待っているぞ」
レオン達が手を出せないまま、破天大蛇と暴虐天童は巫女姫を連れ去り、北へと消えていった。
ワールドアナウンス
クエスト進行
「厄災・次章」
クエスト達成条件
巫女姫の生還
厄災・破天大蛇の討伐
厄災・暴虐天童の討伐
クエスト失敗条件
巫女姫の死亡
プレイヤーの全滅
制限時間 残り168時間
このクエスト中、死亡したプレイヤーは二回しか復活出来ません。イベントがクリアできない場合、そこでこのゲームは終わりです。
「嘘...だろ」
「これ、まずいんじゃ」
「ムー、どうにかならないのか?」
「お兄、同盟クランから連絡が」
このゲームの終わり。
多くのプレイヤーはクソイベントだと思っている。1回のゲームオーバーがそのままサービス終了に繋がる。つい先日二陣と称して、新たに二万のプレイヤーが参加したこのゲーム。
だが、レオン達にしてみると意味合いが変わってくる。この世界の終わり=このゲームの終わり。
つまり、このクエストに失敗すると、封印されているグレーゴルの眷獣が解かれるということだ。
「ありえないだろ。それはクソゲーだ...」
このゲームの世界、プレイヤーを除いて厄災を倒せるのは片手で数えられるほど。その数人が今、存在するとは限らない。
「全プレイヤーに通達。ゲーム内30時間で、やれるだけレベリング。生産職は武具のメンテを可及的速やかに」
掲示板を通し、レオンが指示する。
一定数の、参加しないコメントが見受けられるが、多くは参加するようだ。
「俺達も行くぞ。武器とスキルの実践確認だ」
グリードトータスを倒してから、それほど間は空いていない。
そう、動き始めた歯車は、誰にも止めることはできない。
「始まるんですね。この世界での本格的な奴との戦争が」
「あぁ始まるぞ。あの世界諸共、ムーアの使徒を殺す戦争が」




