第28話 ポータル開放そして異常事態
「舞ー!早く降りて来いよー」
「神楽ー戸締りお願いねー!」
・・・・・・
「返事無いね」
「まだ寝てるんだろ。まぁ遅刻はしないだろうからいいさ」
澪と玲音は二人で家を出て学校に向かう。
イベントも終わり次の街に到着。ゲームの方も少し落ち着いた所で、学校の方もイベントの告知がされた。
「運動祭だってね」
「夏前の過ごしやすい時期にやるのは確かに良いな。新しいクラスメイトと打ち解けるのにも丁度いい」
「体操服に指定はないらしいね。授業は指定があるのに」
「体操服貰った?」
「まだ」
「今日、体育の授業あるけど大丈夫か?」
二人の歩幅は一緒。意識していなくても、二人の間が開くことは無い。並んで他愛もない話をしながら歩く。
「おっ玲音!うわぁ、このリア充め」
「クソ!慣れねぇ!受け入れたくねぇ!」
「慣れろ受け入れろ。最初から澪は俺のだ」
「あ、澪ちゃん!彼氏と一緒なんて羨ましいね〜」
「みおっち〜手は繋がないの?」
「美玖莉だって彼氏いるでしょ?手は繋がない。人に見られるの恥ずかしいもん」
学校に近付くにつれ、クラスメイトと一緒に登校する。
「あ、そういや首都の方どんな感じ?俺まだ行ってないんだよね」
「あー首都な。ゲームの世界ならではだったよ。ベースは多分中世。食文化は和洋折衷、服なんかも割とごちゃ混ぜ。スーツとかの近代服は無かった」
「教会もあってベースは普通にキリスト。所属する修道士?の位?までは調べてないよ」
「武具は見なかったのか?」
「武具は基本北の街から卸してるってさ。鉱山あるから、そっちが主な生産地なんだろう」
人が集まれば話題は自然とゲームの話に。一部のを除いて、全方角の街に行けたメンバーはいない。一部というのは、学校や仕事が無かったり、自営業で家から出る必要が無いとか警備員だったり。数人配信者もいるらしい。
教室に入り始業時間を待つ。神楽姉さんも来て、教室が賑やかになる。
「玲音、御鏡、神楽、三人にプレゼント」
HRの時間より少し早くやって来た先生が袋に入った何かを渡してくる。
「あ、これもしかして指定の体操服?」
「正解。一限と二限使うでしょ?」
サイズはバッチリなんだろうな。提出書類にサイズ関連の項目あったらしいから。
「よし、それじゃHR始めようか。連絡事項は特にありません。あーそうだ、近頃ゲーム内と現実の方で妙な噂が流れてるらしいので気を付けてね」
「妙な噂?」
「詳しくは知らないけど、イベントの時の無能?組が誰かに復讐?しようとしてるらしいけど」
「それただの八つ当たりでは?」
「なんか色々あるらしいよ?とりあえず気を付けてねってことで、HR終わり。他のクラスも終わるだろうし、更衣室行って授業の準備しちゃいなさい」
「「はーい」」
近くの者同士で話はするものの、比較的静かな声で会話をしながら移動する。
「ねぇ玲音、今の話のプレイヤーって」
「先生も無能?組って言ってたし、多分アイツらだろ」
「獣人族の人と取り巻き、後、喧嘩ふっかけてきたあの寄生虫?」
「じゃない?活躍してなかったでしょ?しかも迷惑かけて通報されてたらしいじゃん?」
話題はもっぱら噂について。まぁただ、本当だとして誰がやっているのかは想像がつく。
それを誰に復讐するというのだ。自業自得だろうに。
「じゃまた後で」
「おう、着替えてグラウンドでな」
更衣室の前で別れ、中に入って着替えをする。
学校指定の体操服は、スポーツセンターとかで見かけるスポーツウェア。青を基調としたよくある物だ。男で青なら女は赤かな。聞けばわかる事だけど。
「よーし揃ったな。今日は定番のサッカー、女子はまずは男子の見学、その後交代して男子が見学な」
「チーム分けは?」
「二組合同だからクラス対抗でいいだろ」
「はーい」
準備運動をして、身体を解したらビブスを着て、チームを分かりやすくする。
「先生ースターティングメンバー?は何人にしますか?」
「全員参加させるから、普通に十一、交代しながらやればいいだろ」
ということでクラスのスターティングメンバー
玲音のクラス
FW 玲音・椚
MF 池谷・松風・伊羅・晴也
DF 桐生院・北条・尾田・クルス
GK 江道
ベンチ 大山・小杉・犬鳴・鬼ヶ嵜・小室・源条・城ヶ崎・猫崎
「そういや運動できるの?」
ゲーム大好きクラスの男子達、運動出来なくても不思議はないが
「全員それなりには?」
「まぁそれは向こうのクラスにも言えることなんだけどな」
「なにせ講師が万丈先生だからな」
「あの人の教え方と言うか授業が的確すぎて、運動音痴以外は普通以上の成績残せるんだよ」
プロのコーチか何か?
「椚!万丈先生が呼んでるぞ。代表者でボールかコートか決めるって」
「本格的か」
結果、ボールを選んで攻め側スタート。
「それでは、試合開始!」
合図と共に、ボールを椚から受け取り
「どっ、せい!」
その位置からロングシュート。いきなりすぎて反応ができなかったようで、ボールはゴールに吸い込まれる。
「は?」
チームメイトも相手も、見学の女子やベンチ、万丈先生までもが茫然としている。反応が出来ているのは、澪と神楽だけ。
「まぁアレくらいならね」
「敢えて左で蹴ったあたり舐めプだな」
利き足は右の癖に、敢えて左で打ってみた結果、グラウンドに静寂をもたらす。
「先生、しっかりして!ほら、次はそっちの番だろ」
声をかけるとやっと復活したのか、動き始める。未だ混乱してはいるようだが。
「おい、玲音今のはなんだ」
「普通に蹴っただけ」
「なんで入る」
「狙ったから」
「お前人間かよ」
最初こそ度肝を抜くプレイをしたが、それ以降は比較的普通のプレイを続ける。時々おかしな行動はするものの、できないことは無い動きばかりだった。特に驚いたのは某作品の〇トリック。
あれ出来るもんなんだと一同が驚いていた。やった本人も成功するとは思ってもいなかった。
メンバーも上手いこと交代し残り10分。
ここまで来ると、交代していない選手は疲れが顕著に現れる。ボールに追いつけなくなったり、トラップミスしたり。サッカーをずっと続けていない限り、45分プレイするだけでも相当だ。
相手のパスを上手くカットすることで、反撃のチャンスを作る。
「晴也!」
声を出し、ここにいることを教える。
「玲音!」
晴也からボールが回り、得点のチャンスが生まれる。
「攻めろ!」
体力的に最後の攻撃。DFを残し、全員で攻撃へ。
パスを繋ぎながら丁寧にボールを運んでいく。
「椚!逆サイド!」
少し前まで左サイドでプレイしていた玲音が右サイドに。
「最後くらい利き足で」
椚から上がったボールは玲音の元へ届き
「入れー!」
力強く蹴られたボールは、クロスバーを少しだけ触れてネットを叩く。
「よっしゃぁ!なんかいい感じに入った!」
「ナイス玲音!」
「椚もナイスパス!」
駆け寄ってきた椚とハイタッチを交わす。他のメンバーも寄ってきて、おしくらまんじゅう状態に。
「お前ら、女子と交代だぞ。暑苦しく固まってないで動けー」
先生に言われて、女子と入れ替わる。
すれ違いざまに澪と軽くハイタッチ。神楽とは軽く拳をぶつけ合う。
女子の応援をしながら、自分達の試合の反省や振り返りをして時間を潰す。
勝ったからと言って何かある訳じゃないが、勝てると嬉しいよな。女子も玲音のクラスが勝利し、体育の授業は終了。更衣室に併設されたシャワールームで汗を流し着替える。
「あー疲れた〜。この後の授業なんだっけ」
「ゲーム」
「あー三、四とゲームか」
この学校の不思議な科目、第一位ゲーム。ホント最初聞いた時は聞き間違いとか難聴を疑った。けどホントだったよ。
「今日はなんのゲーム?」
「今日はってか、ずっとCYANだが?」
「そうでした」
三限目の時間になると、VRセットをもって亜美先生がやってくる。
「それじゃ始めるよー。というか何しようか」
「え、決めてないの!?」
「だってこのクラス玲音いるよ?」
「あー」
「先生、それはつまり俺に丸投げ?」
頷いた!?いや、そこは否定して欲しい。
「まぁいいや。やることね」
少し考える。そして思いつく。
「なんかクエスト?が発生したの知ってるよな」
「なんだっけ?天照王国に行けみたいな?」
「そ。あと呼び方?だけど、あまてらす・おうのくに、だと思うぞ」
「なるほど。で、それがどうした?」
「その国だけどな、首都から行けば次の街が目的地らしいんだよ。次の街=次の国ってことな」
ムーの教えで、クエスト目標の位置は確認できた。
「道中のモンスターやエリアボスの確認も終わってるから今から進めることも出来る。どうする?」
問いかけるとすぐさま返事が返ってくる。
「失敗条件不穏だし、行くべ?」
「行くべ」
「いがべ」
「決まりだな。集合は首都の東門。首都のポータルから真右に行けば東門な」
集合場所を決めて全員がゲームへとログインしていく。
VRギアの起動を確認。
アカウント認証・・・別端末でのログインを確認・・・アカウント情報一致・・・プレイヤー情報一致。
ゲーム「CYAN」を起動します。
「さて、俺等も向かうか」
一緒の場所でログアウトしていたメンバーと先に東門へ向かう。
「そういや、ポーションとか補充大丈夫か?」
「あ、その辺は大丈夫です。各自で補充してるので」
「ならいいな。今回はスキル全開で突っ込むから、全員付いてこいよ」
東門に集まり、次の国目指して道を往く。
「我は夜の権化。闇と共に在りながら、光と在る。王たる資格は此処に在り。夜の帳を降ろせ、『朧月夜』。我が眷属よ、我が敵を喰らえ『王の晩餐』」
晴れ渡る空を薄暗い雲が覆い、雲の隙間から紅い月が顔を覗かせる。
レオンが垂らした血が広がり円を描く。その中にから血に濡れた狼が現れ、道中のモンスターを喰らっていく。
紅い血の円は、レオンの動きに合わせ移動し、際限なく眷属を生み出す。
「リジ、トニーお前達も戦ってこい。援護に数匹付ける」
使役しているシードウルフとグラトニースライムを召喚し、血濡れ狼と共に狩りに向かわせる。
「新しいの使ってみるか。血操術・百鬼」
レオンの腕に複数の切り傷が現れ、そこから血が流れ出る。血は1箇所へ集まり、鬼を形取る。その数は増えていき百体へ。
「軍勢系か。行け」
武器は金棒。それを振りかざしながら突撃する。
それほどステータスは高くないが数がそれなりのため、割と使える。
レオンが生み出した軍勢はスポーンする敵を瞬く間に駆逐していく。
「距離がどれくらいかわかんないから、今のペースでも不安っちゃ不安だな」
この世界、距離の明確化がされていない。プレイヤー達は普通に使っているが、ゲーム内の住人達には浸透していない。つまり距離の情報が無い為、どれくらいで着くのかの予想ができない。
「リアル二時間だとこっちは四時間」
「微妙なとこではある」
「行けるなら行ききった方が良い」
「そうだよなぁ」
皆の意見が一致する。
「なら速度上げるか。特殊抜刀術/攻勢・剛砲」
血刀を納刀、再度抜刀する。抜刀すると同時に辺りに音が響く。その音は止むことなく、モンスターに恐怖を植え付ける。
「死神の声を聴け!ソウル・ハーベスター 」
剛砲に闇魔法と血操術を重ねる事で可能にした広範囲即死技。
軍勢より前に出て、目視できるだけのモンスターを倒す。
前方の敵は軍勢と玲音が担当し、後方で新たにスポーンしたのはクラスメイト達が倒す。
玲音自身も参戦したことにより、攻略速度は上がり、天照王国の外壁が見えてくる。
「すげぇ違和感」
「城門が和風建築で、それ以外の壁が洋風建築だからでは?」
「それだわ」
行商人や冒険者のような人達が出入りする門が和風、江戸時代とかの城の入口の門を更に大きくした感じ。それに対し、外壁はよくある洋風。よく作品で見ることがあるだろう?石?出てきた壁。〇〇の巨〇のウォール〇〇〇がいい例か。
その合わせで出来ているため、違和感がある。和風建築でも石造りの壁だと思うんだけどなぁ。
「レオン、そろそろ授業終了の時間がくる」
「了解。突っ切ってポータル開放して終わるか」
「おー」
天照王国のポータル到達
クエスト進行「巫女の元へ」、巫女と会い話を聞け
クエスト発生「厄災・次章」
クエスト期間不明、達成条件不明、失敗条件不明、クエスト内容不明、クエスト達成報酬不明
ワールドクエスト「???」進行度10%に上昇
ワールドクエスト進行に伴い、厄災の情報が開示されます。
厄災・暴食雑食グラトニースライム、厄災・強欲玄魔グリードトータス、厄災・憤怒焔環ラースヒューマ、厄災・破天大蛇エンヴィーヒドラ、厄災・暴虐天童サムライプライド、厄災・全知色欲ラストデーモン、厄災・怠惰蔓延スロースラット
討伐済み
グラトニースライム、グリードトータス、ラースヒューマ
「授業終わり。今日は昼ご飯食べて、教室の掃除したら終わりだからしっかりね。明日から三連休、怪我や病気に気を付けて」
そう言って先生が退出すると、席を動かして昼ご飯の用意をする。
「玲音こっち来いよ〜」
「玲音君、澪ちゃんと一緒にこっちに〜」
「「ん?」」
あ、争いが始まる。止めないと
「待て待て待て。全員一緒にすればいいだろ。そん中でも話題別れるだろうし」
「はーい」
何故か円形に席が並べられ、全員が席に着く。
「じゃ、いただきまーす」
「いただきまー」
最初の数分は隣同士で会話をするが、話があっちやこっちに飛んで、結果全員で同じ話題で会話する。
「帰って夜から攻略か」
「俺達は他の方角の街見てから、天照王国付近で狩りかな」
「あ、私と神楽と舞ちゃん別行動でいい?」
「朝話してた服屋?」
「聞こえてたんだ。そう。狩りには集まれると思う」
「了解。まぁ狩りの方は別に無理しなくていいぞ。そっちの気が済むまで遊んでくるといい」
「ありがと」
「玲音、パーティー空くなら組まね?俺も使役取って召喚獣欲しいんだよね」
「お、良いぞ。澪達が来るまでな」
「おっしゃ!場所は天照王国の付近でいいよな」
「おう。その前に情報収集はしておけよ?」
「あ、そういえば美玖莉、イベント関連の情報集まった?」
「うーん、ギルマスから情報共有は無いし、こっちも見つけてない。あーでも、巫女様がどうたらって噂は聞いた」
「そのどうたらの部分よ」
「まぁなるようになるか?」
昼食の時間も終わり、掃除も手分けして直ぐに終わらせる。
学校帰りに椚達とラーメンを食べに行く。昼食を食べたばっかりだって?足りないんだよ。育ち盛りなめんなよ。
澪達は直ぐに家に帰って行った。ゲームだろうと現実だろうとお洒落に目がない。
「ラーメン誘われたけど、どこの店行くの?」
「決めてなかったな」
「玲音が始めてだろうし、あの店にしようぜ」
「あそこか。いいな」
わからないまま、椚達に連れられ学校の近くのラーメン屋に。
「なんでも麺屋?」
「そ。なんでも麺屋」
「麺類ならなんでもある」
「蕎麦とかうどんも?」
「ある」
「オススメはラーメンキングだな」
ラーメンキング?何そのラーメン大食い大会優勝者に与えられる称号みたいなの。
「普通の三倍の麺と背脂に山盛りのもやし。チャーシューはブロック肉を使って、蒸し卵を二つトロッと半熟。醤油豚骨スープが絶妙に重い」
「えぇ?」
「量食べたい時とかに丁度いいんだよ」
「まぁそれにしてみるか」
「決まりだな!大将ーキング七人分!」
「またお前か!飽きない奴だな。適当に座って待ってな!そこの兄ちゃん、初めてだな?この店は紹介制だからあんま言いふらすなよ」
「わかりました」
紹介制・・・割と知ってる人多そうだなぁ。
「うちのクラス全員、この店知ってるよ」
「男子は全員常連だし、女子の中にもいるよ」
「大将優しいから、女子受けのいいラーメン出すんだよ。豚骨なのにスープあっさりしてて、塩ラーメンと疑ったりな」
「それは味覚がおかしいのでは?」
「いやまじで」
「あれまた食べたいけど、期間限定じゃね」
一時間くらいだろうか。ラーメンが来るのを待って完食するまで。
美味かった。満足。なんか癖になる。
家に着いて、部屋に戻る。直ぐに着替えて一応消臭。VRセットを被って、ゲームスタート!
「椚と尾田達は情報収集してくるらしいから、俺は他の方角の街でも見てくるか」
ポータルを使い西の街レリアへ。
「平原に面していて、その広大な土地を使った農業と畜産が収入源か」
柵で囲われているが、かなりの範囲で放牧している。
「冒険者を月額雇用でもしてるのか?見回りもしっかりしてるな」
軽装ではあるものの、武器を携帯し有事に備えている。三人一組なのは、一人が伝令に走る可能性を考慮してるからかな?
「農業は別区画か。領主主導で、街に住む農家を雇って維持してるのか」
給料には、採れた農作物もプラスされているらしい。循環式農業も取り入れられ、季節毎の特産品になっている。
「次は南に行くか」
ポータルで南の街アースに移動。
「海が比較的近くにある為、漁村を海の傍に作って、そこで取れた魚介類が主な収入源か」
漁師達の生活を考え、それなりの規模の村を作り、アースとの街道を整備。魚介の鮮度の良いうちに、街へと届ける。他の街に届くのは燻製や冷凍保存された物。新鮮な魚介を食べるならアースに行くべき。
「そういや、キングトータスはここを通らなかったのか?」
「もう少し向こうの方通ったよ」
「被害は無かったけど、数日漁が出来なくてね」
キングトータスの気配にあてられて、魚達がいなくなったらしい。数日して元に戻ったから問題は差程なかったそうだ。
神獣であるが故の気配、その存在感に普通の魚は逃げ出したってことか。並のモンスターも逃げ出してそうだけど。
「さて、北の街に来た訳だが」
北の街ホクトに来たはいいが、なんか様子が変?見回りの騎士や冒険者達の気配が少し強い。何かを警戒してる感じだ。
「あ、ベルリン!」
偶然近くを通ったベルリンに声を掛ける。
「ん?あ、レオン!どうした?」
「今来たんだけど、なんか街の様子おかしくないか?」
「あーそれね。なんかこの先のミスリル鉱山にインゴットリザードが出たらしい」
「インゴットリザード?」
職人曰く、鉱石が豊富な鉱山に出現し、沢山の鉱石を喰う。そして、体内でインゴットに精錬。それを排出するのがインゴットリザード。
「聞く限り害のあるやつじゃ無いんだろ?なんで雰囲気が変なの?」
「あーそれは」
「ベルリン殿!」
説明しようとした所を、誰かの声に遮られる。
「あ、お話し中でしたか。申し訳ありません」
「いえ、お構いなく。この街の話を聞いていただけなので」
「それで、私に何か?」
「あぁそうでした。コチラを。領主と北の街ギルドマスター連名の指名依頼書です」
「内容はインゴットリザード?」
「はい。あのままでは鉱山全ての鉱石を喰らい尽くすでしょう。そして、耐えきれない魔力によって広範囲を消滅させるでしょう」
インゴットリザードが体内でインゴットを精錬し排出するのは、食べた鉱石の持つ魔力を消費するため。
必要以上に溜め込んだ魔力は制御出来ず暴発。魔力量によっては、北の街も被害を受けかねない。
「受けるしかなさそうか」
「椚達がログインしたな。ベルリン、参加人数は?」
「二十四」
「よし。俺とベルリン含め七人は確定。あとはそっちで人を集めてくれ」
椚達に連絡を取り、参加を決める。
ベルリンも即座にメンバーに連絡を取り、残りの枠を埋める。
ものの数分で鉱山前に集合。パーティーバランスを考えて、パーティーを分ける。
「指揮はベルリンに任せた」
「任される。じゃあレオンは、パーティー組まず単独で」
「あいよ」
「物理と魔法への耐性があるらしいが、エリアボスのゴーレム程じゃないらしい。聞いただけだからよく分からん。ただ、インゴットリザード自体は狩るのが簡単な部類だそうだ。動きは鈍いから、よく見て回避と防御。無理はするなよ」
「「了解」」
「行くぞ!」
簡単な打ち合わせをして、鉱山へと踏み込む。
「情報によれば、この先の開けた採掘スペースに居座ってるらしいけど・・・噂をすれば」
二十分程歩き、目的の場所へと到着する。そこには、身体中に水晶のような鉱石を纏った十メートル程のトカゲが。
「あれがインゴットリザード」
「インゴットっていうか鉱石トカゲとか水晶トカゲの方が合ってね?」
「その辺は気にすんな。やるぞ」
戦闘エリアに踏み込むと、インゴットリザードの体力が表示される。
「数字じゃなくてゲージ?」
「四本だな」
「あれ?グリードトータスは数字表記だったよな」
そういえば、グラトニースライムはゲージ表記だったな。他のエリアボスもゲージ表記。
「イベント関連は数字表記でそれ以外はゲージとか?」
「分ける必要あるのか?」
考察が始まったが戦闘中だ。攻撃しつつ、回避も忘れない。
「特殊抜刀術/攻勢・砲魔」
特殊抜刀術/攻勢・砲魔、剛砲と違い敵にでは無く自身に影響を及ぼす。次に行う攻撃が魔法攻撃ならば威力を増大させる。物理攻撃なら威力が半減する。一度の戦闘で一回しか使えない、という制限はあるものの非常に強力なスキルだ。
「さっさと終わらせるぞ。召喚獣探すんだから」
家系ラーメンって食べたことないんですよね。今度行ってみようか...
クラスメイトのプレイヤーネームですが、本文に出てませんが、リアルと同じです。表記がカタカナになるくらいで。ごっちゃにならないようにです。
久しぶりの投稿ですが、月末辺りからある区切りまでは一定期間で投稿出来ると思います。
ではまた次回!




