第27話 幕間 厄災そして禁呪
見なくても平気な回です。
ちょっとした本編に繋がる話もありますが、本編の方でちゃんと解説等入ります。
「巫女姫様、予言通りホープスに異界人達が現れました」
「そうですか。何か変わった情報は?」
「確認できている情報では、天使族と小人族の存在、それと厄災の一つグリードトータスを倒したということしか」
「そう。彼等がこの国に来るのはまもなくね」
「巫女姫様、一つ不確かな情報ではありますが、始まりの街付近で吸血鬼出現の噂を耳にしました」
「詳しく話しなさい」
「確かな事は言えませんが、異常な量の血溜まりと血を用いた武器を使う男を見たと。ただし、領主からの報告はないようで、噂程度に」
「ありがとう。下がって休みなさい」
「失礼致します」
部屋から出ていく男を視界の端に、巫女姫と呼ばれた彼女は外を観る。
「現れたのですね。この星を世界を救える存在が。どんな人なのでしょう。願わくば生きて会えることを」
外の景色は暗く、雲に覆われて、今にも嵐がやって来そうな程。
「厄災・破天大蛇。私の手では封じることも限界。早く辿り着いて異界人様」
「破天、何の用だ」
「キヒッ」
「巫女を落とすのを手伝えと?この封印を破る方法や勝算は」
「キヒヒッ」
「いいだろう。厄災・暴虐天童が参る」
破天に施された封印は二種。一つは天候干渉の封印、もう一つは身体能力の封印。これにより、破天は実質活動不能状態になっている。
暴虐天童にも封印は施されている。それは純粋に天童自体を1箇所に封じる物。
「あまりにも早すぎます。厄災が二体同時なんて・・・。これも加速度的に厄災が消えているからなの?」
厄災・暴食雑食グラトニースライム、厄災・強欲玄魔グリードトータスが倒され、厄災・憤怒焔環ラースヒューマが消失。
厄災・破天大蛇エンヴィーヒドラと厄災・暴虐天童サムライプライドが巫女姫を喰らう為に動き出した。残りの厄災、全知色欲ラストデーモン、怠惰蔓延スロースラット。この二つが活動を始めたら、人類、いやどの種族も滅びるだろう。
「里長に伝えなくては!禁呪ヨルムンガンドが動いた今、我等の里の禁呪も動かす可能性を!」
女は疾走する。金の髪を靡かせ、風を纏い、森を疾走する。
この世界に存在する禁呪の数は五つ。
小人族の禁呪ヨルムンガンド、天使族の禁呪天槍、吸血鬼の禁呪朧月夜、獣人族の禁呪獣心解放、エルフの禁呪ユグドラシル。
最も危険とされる禁呪は朧月夜。際限なく湧き出る軍勢は、疲弊も無く全てを蹂躙する。そして、死んだ者から湧き出た血がそのものを強くする。
そして、最も代償が大きいものがユグドラシル。ユグドラシル周囲百キロの生命を吸い付くし、術式を展開。厄災を封印する。
封印することしか出来ないのに、やたらと代償が大きい。そもそもユグドラシルの本来の権能とは関係の無い力だから。
本来の禁呪ユグドラシルは、対象者に永遠の命と終わる事の無い地獄を齎す。発動代償は、使用者の命。ただし、同時に二人以上に効果を発揮できない。
「ムーの奴があの世界に来たのか!ハハハハ!これは朗報だ!奴の使徒諸共あの世界で破壊してやろう!」
玉座で笑う一柱の神、簒奪と破壊を司るグレーゴル。周囲に浮かぶ球体は彼が支配した星。
「あの世界に干渉しろ。我が軍の一部を送り込め」
その指示により、グレーゴルの軍がゲームの敵として参戦することになる。
魔族の軍隊。ゲーム内のバランスを何も考えない、ただ滅ぼす為だけの軍。航空戦力というバランスブレイカー。圧倒的な物量。
これらがプレイヤーに襲い掛かるのも時間の問題。
「なぁ玲音、今日の数学の宿題やった?」
「そりゃな」
「みせ」
「駄目。教えるから自分でやれ」
「あ、はい」
教室、朝のHR前の時間、玲音とクラスメイト達が楽しそうに談笑している。
「ねぇ澪ちゃん。この間見たあのアイテム店」
「あの服屋の?」
「そう!新作出すらしくてね?試着してくれないかって」
「いいね!行こ!」
「神楽も行くよね?」
「私もか?まぁいいが」
「舞ちゃんも誘わないとね」
「椚、放課後ラーメン行こうぜ」
「またか?」
「いいじゃねぇか。松風と池谷は確定、尾田とクルスは部活次第。あと玲音もこの後誘うぞ」
「・・・行く」
「よっし決まりな!おーい玲音!」
「風音、また来たの?」
「まぁ一応、非常勤講師だし?頼まれた資料持ってきてあげたの」
「お、風音さん!調子はどうです?」
「万丈さん、どうも。順調ですよ。こっちもあっちも」
「アミュー、そろそろ教室行くぞ」
「海堂先生!その呼び方やめてください!中学の時からずっと言ってますよね!?」
「・・・仲良いよなあの二人」
「中学時代の同級生ですし、一応付き合ってますしね」
「そういえばそうだったな」
職員室でも、教師達が休日の話や今日の授業の話をしたり、今日の一日が始まる。




