第25話 異常そして全力
「貫く矢は光となり雷へ」
放たれた矢は一条の閃光となり、その光は敵を射貫く雷光とかす。
ここまでの戦闘と余っていたSPを使い、ミオの魔法創造のスキルレベルは10になっている。そして、10になって解放されたスキル「属性変化」と「創造の前に破壊あり」
前者は、「魔法創造」によって創られる魔法の属性を変化させる。後者は、「魔法創造」によって創られる魔法を破壊し、全く別の魔法に創り変える。
今回破壊した魔法は対アンデット用魔法「ライトスナイプ」。ただの光を撃ち出すだけの魔法。それが今では、神に連なる名を冠する魔法になった。
雷光はキングの眼を貫き、目に見えたダメージを与える。
HP1092524/1200000
「攻撃開始!」
「突撃ィ!」
ミオの魔法が直撃するのと同時、ダメージ量を確認することなく攻撃が開始される。
狙いのいいプレイヤーは、脚や頭などの甲羅に覆われていない場所を狙い、狙いがそこまで良くないプレイヤーは兎に角数を増やす。
レオン率いる突撃隊は、素早い者を先頭に駆け出す。他のプレイヤー達の一斉攻撃にタイミングを合わせたのは、念の為注意を逸らすため。
もし、ボスが攻撃してきたとしたら?対処法も対策も何も情報がない。だから用心する。
そして、懐に潜り込んだ突撃隊は攻撃を開始する。
「わかってたが、高ぇ!」
「タイミング合わせろよ!」
「こいやぁ!」
「スローイングハンマー!」
「おっ、しゃぁ!行くぜ、チャージスラッシュ!」
攻撃が届かないプレイヤーを、吹っ飛ばしアーツを持つプレイヤーが上空へ打ち上げ、攻撃を届かせる。
「タンク!」
とあるプレイヤーの呼び声に、1人のタンクが反応。意図を察し、咄嗟に盾を頭の上に構え姿勢を低くする。
「助かる!」
飛び乗った瞬間、タンクのプレイヤーが立ち上がり、盾でプレイヤーを押し上げる。
「ダブルスラッシュ!」
キングの進行に合わせながら攻撃を繰り返す。
今のところキングからの攻撃は無く、やはり懐は柔らかいのか、攻撃の通りは良く、順調にHPは減らせていた。
「マスター!なんか変だ!」
「なんかってなんだ!」
「なんかはなんかだ!」
「情報は正確に!って動きが止まってる?」
ゆっくりと着実に進んでいたキングの進行が止まった。
「各隊警戒!何が起きるかわからんぞ!」
シェンの言葉が伝わると同時に、キングに異変が起こる。
キングが脚を曲げ、その場に伏せようとしていた。
「突撃隊総員撤退!」
レオンが咄嗟に気付いたおかげで被害はなかったものの、少し遅れていたら全員が死に戻りしていたところだろう。
そして、動きのないキングに再度攻撃を仕掛けようとした瞬間、全プレイヤーに不穏なログが流れる。
キングトータスの行動停止を確認。異常事態発生。キングトータスに異常発生、強制進化を開始・・・成功します。
キングトータス改め、グリードトータスが誕生しました。
これにより、クエストが変更されます。
イベント勝利条件
グリードトータスの討伐
イベント敗北条件
グリードトータス討伐失敗
???クエスト『???』の進行により情報開示。
ワールドクエスト『???』。進行度が5%に上昇。
これに伴い、クエスト中プレイヤーにワールドスキルが付与されます。
ワールドスキル使用条件は不明。発現条件不明。
グリードトータスの情報が開示されます。
HP50000/50000
状態・強欲、状態異常・強制進化の反動「疲弊」
※「疲弊」・・・一定時間行動不可
「くそ!また訳わかんねぇ!」
「なんだよこれ!クソゲーじゃねぇか!」
「んな事より攻撃しろ!」
戸惑いはするが、誰も攻撃の手は止めない。先程より攻撃の通りが良くなっている為、ダメージは稼ぎやすい。
「キングの時のが大変だった?」
「グリードがまだ行動を起こしてないからそう感じるだけだ。大罪の名を冠するモンスターだ。油断せず行こう」
そして、一分程時間が経ち、グリードトータスが起き上がる。と同時に、全プレイヤーの視界が真っ白に染まり、気が付くとそこは、南の森防衛拠点だった。
「何が起きた」
「死んだのか?」
「っ!?」
突然の出来事に、誰一人として追い付けない。
「・・・初見殺しもいいとこ」
「強欲のカウンターか?」
「暴食は吸収、強欲はダメージを蓄積し反射か?」
いち早く状況を整理し始めたのはレオン、ミオ、カクラ、マイ。そして、各クランのマスター達。
「風音!クランメンバー纏めて全員で偵察に」
「了解。すぐ出るわ」
「アミュー、デスペナが付いてないか確認と着いてた場合、解除できるか調べてくれ」
「セオリー通りなら無理でしょうけど、わかったわ」
「ベルリンは森を開拓しながら防衛陣を」
「攻めないのか?」
「風音からの連絡次第だ」
「わかった。生産組を借りる」
「シェンとカイドウはクラン纏めて森の開拓の補助」
「おう」
「他のクラン所属や無所属プレイヤーは、好きに動いてもいい。俺に命令権はないからな」
「レオン、私達は?」
「ミオは風音達の追従を。距離を取って別の視点から情報を。姉さんとマイは一度街に戻ってグリードに関する情報を集めて来て。クランから何人か連れて行っていいから」
再び慌ただしく動き始める。
レオンと残りの『先導者』メンバーは残って先の情報を整理する。
「マスター、俺らには強欲の情報が見れないんだが」
「それは多分、俺の持ってるスキルが影響してるな。暴食」
「七つの大罪か・・・。暴食の能力は?強欲も」
「暴食はHP・MPの貯蔵。ATMみたいなもんか?HPMP全開時、自動的に貯蔵。必要な時は必要な量好きなように引き出せる。強欲はダメージの蓄積、そしてその量に応じてダメージに加算」
「ダメージに加算か」
「STRやINTに影響じゃなくて直接加算してくるの?」
「加算方式も割合も不明。グリードの攻撃手段も分からない」
「さては無理ゲーか?」
「そんなことはないと思うが・・・ムー情報の開示を要求する」
「マスター、何に話しかけてんだ?」
レオンがムーに声をかける。普段は姿を隠しているため、傍から見ると虚空に話しかけてるやべぇ奴である。ムーが姿を見せる。
「一応勝ち筋はあります。それがワールドスキルです」
「なんかでた?!」
「可愛い!」
「何この子!?」
「俺のナビゲートピクシー?みたいなもんだ」
「ムーと言います。よろしくです」
「んでワールドスキルってなんだ。ログでもインフォにも説明がない。使用条件も発現条件も不明。どうしたらいい」
「答えは教えられません。ですが、ヒントは想いです」
ワールドスキルについての議論も始まり、この場の収まりがつかなくなり始めた頃、外が騒がしくなる。
「なんかさっきより騒がしくないか?」
「それになんか響いてね?」
「嫌な予感」
外に意識を向け、確認しようと動く直前、その場に風音が飛び込んでくる。
「レオンまずい!グリードがすぐそこまで迫ってる!」
打ち出された砲弾のようにその場から飛び出し、櫓へと登る。その途中で見えてしまった。もう目と鼻の先、ベルリン率いる『守人』、シェン率いる『戦人』、その他のプレイヤーと戦闘を開始しているグリードトータスの姿を。
「進行速度が異常だろ!あれ亀だろ!?」
「マスター!」
「わかってる!先導者全メンバーに告ぐ、今すぐ前線の援護に!敵を討つ!」
一方、カクラとマイ一行
「グリードトータスどころか、七つの大罪に関する記述が何も無い?」
「あんたら何の話をしてんだい?」
「あ、司書の」
「さっきから七つの大罪って。七つの厄災じゃないのかい?」
「七つの厄災?」
「そうさ。この世界を滅ぼしかねない七つのモンスター。それらの総称を七つの厄災って言うのさ」
「それに関する本はどこに!」
「ちょいと待ちな」
司書は来た道を戻り、別の本棚へ。
「七つの厄災・・・確かにイベント名は厄災って」
「でも、キングトータスの時から厄災ってイベント名だよ?」
「あんた達キングトータスを知ってるのかい?」
司書が戻ってくるなり、気になる発言をする。
「まぁ」
「キングトータスはね、神獣玄武の幼体なのさ。キングトータスが歳を重ね、神性を得た姿が玄武。その反対に、魔性を得た姿が厄災グリードトータス。この国は過去、グリードトータスに滅ぼされかけてるからね。その辺の話は詳しく残ってる。この資料を読めば分かるよ」
そう言って1冊のノートを置いて、司書は受付へと戻っていった。
司書の情報は衝撃的だった。残されたノートに書いてあることも。
「グリードトータスを倒す条件が」
大事な情報を見つけ、急いで駆け出そうとするが
カンカァンカァン!!
街に連続した鐘の音が鳴り響く。
「あんた達!今すぐ避難しな!」
先程の司書が慌てて駆けてくる。
「何があったんです!?」
「すぐそこにグリードトータスが現れたんだよ!異界人が応戦してるらしいけど、今はまだ倒せないよ」
「っ!ミオ、レオン」
「っそうかい、あんた達も異界人だったね。なら一つアドバイスだ。グリードには人以外の攻撃がよく通る」
「えっ?」
司書はそれだけ告げて避難して行った。
避難先を見れば、街の警備を行っている騎士や冒険者が避難誘導を行っていた。
「滅ぼされかけたこの国は、地下に堅牢な要塞を建築し、いざと言う時の備えとした」
「グリードトータスは何故か、地上しか攻撃できない」
「推測は地下という空間は別の厄災の担当なのかも、ってあったけど」
「今は関係ない、急いで戻ろう。伝えなきゃ行けない情報が沢山ある」
戦闘は混乱を極める。
グリードトータスの背にある山が崩れたと思ったら、そこからゴーレムが無数に現れ、グリードトータスの影からは無数のスケルトンが現れる。グリードトータスから流れ出る血からは、どういう理屈か蛇が産まれる。
「くそっ!これ全部、各方面のボスモンスターの取り巻きじゃねぇか!」
「しかも、能力に差がない感じだぞ!」
取り巻きの対処に追われ、肝心のグリードトータスへの対処ができていない。
HPもようやく40000まで減ったところだ。
「レオン!そろそろあの二人の援護が無いと!」
「わかってる!連絡があって、もうすぐだそうだ!」
「レオン、森に火をつける許可を!」
「理由は!?」
「光源確保と熱ダメージの確認」
「許可する。なんか言われたらそんときはそんとき!」
すぐさま火が放たれ、森を赤く染め上げていく。
イベント開始から既に二時間半。空は暗く、月は陰る。唯一の光は森を赤く染め上げていく炎。
「レオン!」
「戻った!」
「マスター指示を!」
「マイ、姉さんは報告!それ以外は各々の役割を!」
「了解!」
ミオとカイドウ、シェン、風音、アミューを呼び戻して、情報を共有する。
「神獣玄武の幼体が魔性を得た結果がアレか」
「倒すのには神性を持つ武器もしくは人物じゃないとダメ」
「現状神器見つかってないし、姉さんの天使族でも現状誤差の範囲。地道にやるか?」
「出来ればいいけど、取り巻きの事考えると現実的じゃない」
その場で結論が出ない。
グリードトータスは、キングトータスよりサイズは小さく、攻撃方法が増えている。
亀の尾の薙ぎ払い、頭を地面に叩き付け、脚で振動を起こし、体勢が崩れたプレイヤーを押し潰す。
プレイヤー全員とグリードトータス、ダメージレートでは確実にこちらの負けである。
「レオン、アレを試していいか?」
「アレか・・・」
カクラの言うアレとは、カクラとマイが進化したことによって得たスキル。レオンの「朧月夜」と同じく禁呪指定。
「司書の言う通りなら、私たちのアレはいい火力になるはず」
「お兄、何もしないよりはいいでしょ?」
「・・・」
確かに、負けるにしても何もしないで負けるのは癪だ。
「わかった。好きにしていい」
「あとは任せる」
「・・・了解だ」
レオン、カクラ、マイの三人で完結し、三人が武器を携えグリードトータスを見る。
彼女達が行使する力は、世界に衝撃を与え、停滞していた全てを動かす起点となる。
「天使族、最後の天翼が命ず、応えよ天の宝物よ」
カクラの背に三対の翼が現れ、右手を天に掲げる。
次に響く声は、全プレイヤーと街の民にも聞こえた。
「禁呪解放申請・・・承諾。最後の天翼、カクラ・・・真名譲渡・・・真名・ルシフェル・・・禁呪・天槍・・・選択」
「サンダルフォン」
「天槍サンダルフォン・・・承諾・・・対価要求」
「私の武器と全MPとアイテムボックス内の全て」
「対価承認・・・天槍全能力解放・・・天翼ルシフェル、汝に求める・・・殲滅を」
「応じる」
「天槍顕現」
天より一筋の光がカクラの右手へ。光が収まると、そこにあるのは穂先から石突きまで、幾何学的な模様が刻まれた槍が。
「我が一族は禁忌に触れる」
マイの詠唱は、カクラに続き全てのプレイヤーと街の民にも聞こえた。
「HAZARD、禁忌の一つが限定解放されます」
「HAZARD、禁呪解放申請者、特定、名をマイ」
「解放条件・・・クリア・・・代償・・・クリア」
「動力源指定・・・マイ」
「動力の選択を」
「MPとHP全部」
「・・・禁忌解放・・・禁忌稼働」
小人族・・・この世界の小人族は、迫害され絶滅。小人族には知恵があった、技術があった。他種族の混血故の力が。絶滅に抗うように、他種族に負けないように、造ってしまった。国を世界を脅かす兵器を。その名を
「禁忌・機械龍ヨルムンガンド」
機械の身体に精霊核。魔力を用いながら、魔喰によって魔力を無効化。強力な再生術式を持ち、更に神性を僅かに帯びている。
過去に「厄災」の一つを殺したことのある兵器。
小人族が滅びた現在、動くことがなかった兵器が牙を剥く。
「ベルリン!」
「わかってます!総員全速力で後退!」
「アレに巻き込まれたらどうなるかわからんぞ!」
カイドウとシェンが慌てて前線へ走り、ベルリンと共に後退の指示を出す。風音もクランメンバー全員に伝達。『白良企業』のメンバーの後退の補助をする。
「お姉、私から行く」
「時間は?」
「三十」
「わかった」
マイのMPがゼロになる。
「ヨルムンガンド、敵を喰らえ」
「ギュァァァァァァア」
咆哮と機械音を響かせて、「禁忌・機械龍ヨルムンガンド」がグリードトータスに喰らいつく。
暴れて振りほどこうとするが、ヨルムンガンドはその身体を巻き付け、締め付ける。
「厄災を呪え、忌毒・夜」
ヨルムンガンドとグリードトータスの身体を薄紫色の何が侵食する。
「私はここまで。次はお姉の番」
最後の呟きを残して、マイのHPはゼロになった。
「解除不能の毒に厄災をも殺す兵器。当然禁忌指定される。なら、私も負けていられない」
翼はためかせ天へ。グリードトータスを見下ろし、彼女は力を振り翳す。
「時をも捕える番人よ、その力をもって全てを閉せ!幽閉・天槍サンダルフォン!」
幾何学的模様から白と黒の光が生じ、混じり合い、グリードトータス目掛けて天槍は投じられる。
ヨルムンガンドによりHPを削られ、未だ毒によって身体を侵食されているグリードトータスにコレを避ける術はなく、天槍はなんの障害もなくグリードを貫通し、大地へと刺さる。
天槍が刺さった地点から半径百メートルの地面が輝き、何かの陣が浮び上がる。そこから伸びる光は鎖となり、グリードトータスの動きを封じる。
グリードトータス
HP17800/50000
一気に2万ものHPを削った二人は、その代償として、戦闘から離脱することに。
カクラは武器とMP、更にアイテムボックス内の予備武器や素材も捧げた為、これ以上の戦闘続行は不可。
マイに至ってはHPとMPを全て。いかに自動回復を持っていたとしても、即復帰は難しい。
「まだ残るか・・・」
「最後減り方が遅かった。何かあるのかもしれない」
カクラの予想は正しい。グリードトータスは、ある条件の時に限り、攻撃によるダメージを大幅に軽減する。その状態が
「なぁ、もしかすると俺達が即死したあれが」
そう。グリードトータスになってすぐ、プレイヤー達を全滅させた、ダメージの蓄積による反撃の一撃。反撃の怒り、カウンターグリード。
半径凡そ50キロが破壊される、まさに厄災に相応しい能力。
「もし、その予想が正しいなら一分」
「今はサンダルフォンのおかげで時間が引き伸ばせてる。その効果も長くはない」
「短期決戦」
サンダルフォンの幽閉。効果時間は相手にもよるが、凡そ十分~五分。その間に倒さなければ、後ろの街が破壊される。住民は助かるだろう。地下シェルターに避難しているから。しかし、彼等の住む家は、商いを行う店は、人々の憩いの場は?残らないだろう。
「総員に告げる!最低で五分、最大で十分!その間にグリードトータスを倒す!防御も消費も気にせず殺れ!」
「オォォォォォォォ!!!!」
雄叫びと共にプレイヤーの攻撃が再開される。
レオンの声が届いたプレイヤー全てが、この後の展開を予想出来ている。自分達の行動拠点を守る、イベントクリアの為。それもある。が、彼等の戦う理由は、この街で生きている人を街を守る。
そして、その想いが引き金となる。
全プレイヤーに共通ワールドスキル解放。
発動条件、戦闘相手が「厄災」
発動効果、「厄災」に対する特攻。ダメージ上昇。
「これなら!」
ワールドスキルの発動によって、ダメージ量が上昇。グリードトータスのHPを減らしていくが・・・
ピシッ!
音を立てて鎖に罅が入る。それはあっという間に広がり、サンダルフォンの鎖を完全に破壊する。
「まずい!」
グリードトータスの残りHPは約一万。時間が足りなかった。いや、想像より早くサンダルフォンの鎖が破られた。
「私がまだ未熟だからか!」
天使族となり、イベントでレベルが10まで上がったとはいえ、相手は格上。まだ未熟でありながら、「厄災」の動きを止められただけで大したものだ。
「オォォォオォォオォォ」
グリードトータスが低い唸り声をあげる。それに呼応するように、グリードトータスを赤黒いオーラが包む。
「オォォォ!」
少しの溜めの後、空に向かって唸り声をあげ、赤黒いオーラが、森を破壊しながら街へ迫る。
プレイヤーが防ごうとするが、抵抗は許されず一瞬でHPを消し飛ばされる。
目の前に迫る赤黒いオーラ。プレイヤーも森も、障害にすらならない。抵抗する意味はないのだろう。それでも俺は、この盾を構える。俺がこの世界でタンクを選んだのは、護りたいものを護れる力が欲しかったから!
今この一瞬!護ると約束したあの街を!住民を!全部出し切って護って見せろ!
ワールドスキル解放。プレイヤー名・ベルリン
発動条件、即死級攻撃発動時
発動効果、即死級攻撃の無効。効果発動時、全プレイヤーが受けるダメージを肩代わり。ダメージを九割軽減する。(デメリット・味方からの回復を受け付けない)
効果時間、発動プレイヤーのHP全損まで。
スキル名「隔つ壁は堅牢なる城壁」
「願いは通じるな!行くぞ!」
俺の想いは届いた!ならば後は実行するのみ!
「護って見せる!ワールドスキル、隔つ壁は堅牢なる城壁!」
突如ベルリンを光の膜が覆い、赤黒いオーラがベルリンの手前で止まった。
よく分からないが、今が最後のチャンスだと言うことは分かる。
「鳳仙禍!十刃!フレイムエッジ、ウォーターエッジ、ウィンドエッジ!」
雑魚を倒しまくった経験値でレオンのレベルは、スキルも軒並み上がっている。
「魔法複合抜刀術・炎装。合わせ!抜刀術・別断!」
炎装・・・抜刀する刀身に炎を纏い、刃の通った軌跡が爆ぜる。
『別断』と合わせることで、グリードトータスの身体に目立つ傷を付ける。
「血操術・百花繚乱!」
血が百の花弁を生み出し、グリードの身体に張り付く。
「花弁を狙え!」
『百花繚乱』は花弁が付いた場所を強制的に弱点にする、対大型ボス用のスキルだ。
残ったプレイヤー、戻ってくるのが早いプレイヤーが花弁を狙い攻撃する。
残り二千。
「時間が!」
ベルリンのHPが
「合わせろカイドウ!」
「わかってる!」
無くなる直前、シェンとカイドウが飛び込む。
「「チャージ・ダブルスラッシュ!」」
溜を必要とする、大剣系アーツの二連撃。
攻撃特化クランのトップ二人の全力の一撃に、アミュー含めた神官による全力バフ。
二本の刃はグリードに届き、そのHPをゼロにする。




