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異世界戦争、界渡り〜渡る世界は馬鹿ばかり?〜  作者: 鯉狐
2章 異世界・代理戦争編(仮)
26/111

第25話 異常そして全力


貫く矢は光(デェトーション)となり雷へ(・ヴァジュラ)


放たれた矢は一条の閃光となり、その光は敵を射貫く雷光とかす。


ここまでの戦闘と余っていたSPを使い、ミオの魔法創造のスキルレベルは10になっている。そして、10になって解放されたスキル「属性変化」と「創造の前に破壊あり」

前者は、「魔法創造」によって創られる魔法の属性を変化させる。後者は、「魔法創造」によって創られる魔法を破壊し、全く別の魔法に創り変える。

今回破壊した魔法は対アンデット用魔法「ライトスナイプ」。ただの光を撃ち出すだけの魔法。それが今では、神に連なる名を冠する魔法になった。


雷光はキングの眼を貫き、目に見えたダメージを与える。

HP1092524/1200000


「攻撃開始!」

「突撃ィ!」


ミオの魔法が直撃するのと同時、ダメージ量を確認することなく攻撃が開始される。

狙いのいいプレイヤーは、脚や頭などの甲羅に覆われていない場所を狙い、狙いがそこまで良くないプレイヤーは兎に角数を増やす。


レオン率いる突撃隊は、素早い者を先頭に駆け出す。他のプレイヤー達の一斉攻撃にタイミングを合わせたのは、念の為注意を逸らすため。

もし、ボスが攻撃してきたとしたら?対処法も対策も何も情報がない。だから用心する。

そして、懐に潜り込んだ突撃隊は攻撃を開始する。


「わかってたが、高ぇ!」

「タイミング合わせろよ!」

「こいやぁ!」

「スローイングハンマー!」

「おっ、しゃぁ!行くぜ、チャージスラッシュ!」


攻撃が届かないプレイヤーを、吹っ飛ばしアーツを持つプレイヤーが上空へ打ち上げ、攻撃を届かせる。


「タンク!」


とあるプレイヤーの呼び声に、1人のタンクが反応。意図を察し、咄嗟に盾を頭の上に構え姿勢を低くする。


「助かる!」


飛び乗った瞬間、タンクのプレイヤーが立ち上がり、盾でプレイヤーを押し上げる。


「ダブルスラッシュ!」


キングの進行に合わせながら攻撃を繰り返す。

今のところキングからの攻撃は無く、やはり懐は柔らかいのか、攻撃の通りは良く、順調にHPは減らせていた。



「マスター!なんか変だ!」

「なんかってなんだ!」

「なんかはなんかだ!」

「情報は正確に!って動きが止まってる?」


ゆっくりと着実に進んでいたキングの進行が止まった。


「各隊警戒!何が起きるかわからんぞ!」


シェンの言葉が伝わると同時に、キングに異変が起こる。

キングが脚を曲げ、その場に伏せようとしていた。


「突撃隊総員撤退!」


レオンが咄嗟に気付いたおかげで被害はなかったものの、少し遅れていたら全員が死に戻りしていたところだろう。


そして、動きのないキングに再度攻撃を仕掛けようとした瞬間、全プレイヤーに不穏なログが流れる。



キングトータスの行動停止を確認。異常事態発生。キングトータスに異常発生、強制進化を開始・・・成功します。

キングトータス改め、グリードトータスが誕生しました。


これにより、クエストが変更されます。


イベント勝利条件

グリードトータスの討伐

イベント敗北条件

グリードトータス討伐失敗


???クエスト『???』の進行により情報開示。

ワールドクエスト『???』。進行度が5%に上昇。

これに伴い、クエスト中プレイヤーにワールドスキルが付与されます。

ワールドスキル使用条件は不明。発現条件不明。


グリードトータスの情報が開示されます。


HP50000/50000

状態・強欲、状態異常・強制進化の反動「疲弊」

※「疲弊」・・・一定時間行動不可



「くそ!また訳わかんねぇ!」

「なんだよこれ!クソゲーじゃねぇか!」

「んな事より攻撃しろ!」


戸惑いはするが、誰も攻撃の手は止めない。先程より攻撃の通りが良くなっている為、ダメージは稼ぎやすい。


「キングの時のが大変だった?」

「グリードがまだ行動を起こしてないからそう感じるだけだ。大罪の名を冠するモンスターだ。油断せず行こう」


そして、一分程時間が経ち、グリードトータスが起き上がる。と同時に、全プレイヤーの視界が真っ白に染まり、気が付くとそこは、南の森防衛拠点だった。


「何が起きた」

「死んだのか?」

「っ!?」


突然の出来事に、誰一人として追い付けない。


「・・・初見殺しもいいとこ」

「強欲のカウンターか?」

「暴食は吸収、強欲はダメージを蓄積し反射か?」


いち早く状況を整理し始めたのはレオン、ミオ、カクラ、マイ。そして、各クランのマスター達。


「風音!クランメンバー纏めて全員で偵察に」

「了解。すぐ出るわ」

「アミュー、デスペナが付いてないか確認と着いてた場合、解除できるか調べてくれ」

「セオリー通りなら無理でしょうけど、わかったわ」

「ベルリンは森を開拓しながら防衛陣を」

「攻めないのか?」

「風音からの連絡次第だ」

「わかった。生産組を借りる」

「シェンとカイドウはクラン纏めて森の開拓の補助」

「おう」

「他のクラン所属や無所属プレイヤーは、好きに動いてもいい。俺に命令権はないからな」

「レオン、私達は?」

「ミオは風音達の追従を。距離を取って別の視点から情報を。姉さんとマイは一度街に戻ってグリードに関する情報を集めて来て。クランから何人か連れて行っていいから」


再び慌ただしく動き始める。

レオンと残りの『先導者』メンバーは残って先の情報を整理する。


「マスター、俺らには強欲の情報が見れないんだが」

「それは多分、俺の持ってるスキルが影響してるな。暴食」

「七つの大罪か・・・。暴食の能力は?強欲も」

「暴食はHP・MPの貯蔵。ATMみたいなもんか?HPMP全開時、自動的に貯蔵。必要な時は必要な量好きなように引き出せる。強欲はダメージの蓄積、そしてその量に応じてダメージに加算」

「ダメージに加算か」

「STRやINTに影響じゃなくて直接加算してくるの?」

「加算方式も割合も不明。グリードの攻撃手段も分からない」

「さては無理ゲーか?」

「そんなことはないと思うが・・・ムー情報の開示を要求する」

「マスター、何に話しかけてんだ?」


レオンがムーに声をかける。普段は姿を隠しているため、傍から見ると虚空に話しかけてるやべぇ奴である。ムーが姿を見せる。


「一応勝ち筋はあります。それがワールドスキルです」

「なんかでた?!」

「可愛い!」

「何この子!?」

「俺のナビゲートピクシー?みたいなもんだ」

「ムーと言います。よろしくです」

「んでワールドスキルってなんだ。ログでもインフォにも説明がない。使用条件も発現条件も不明。どうしたらいい」

「答えは教えられません。ですが、ヒントは想いです」


ワールドスキルについての議論も始まり、この場の収まりがつかなくなり始めた頃、外が騒がしくなる。


「なんかさっきより騒がしくないか?」

「それになんか響いてね?」

「嫌な予感」


外に意識を向け、確認しようと動く直前、その場に風音が飛び込んでくる。


「レオンまずい!グリードがすぐそこまで迫ってる!」


打ち出された砲弾のようにその場から飛び出し、櫓へと登る。その途中で見えてしまった。もう目と鼻の先、ベルリン率いる『守人』、シェン率いる『戦人』、その他のプレイヤーと戦闘を開始しているグリードトータスの姿を。


「進行速度が異常だろ!あれ亀だろ!?」

「マスター!」

「わかってる!先導者全メンバーに告ぐ、今すぐ前線の援護に!敵を討つ!」



一方、カクラとマイ一行


「グリードトータスどころか、七つの大罪に関する記述が何も無い?」

「あんたら何の話をしてんだい?」

「あ、司書の」

「さっきから七つの大罪って。七つの厄災じゃないのかい?」

「七つの厄災?」

「そうさ。この世界を滅ぼしかねない七つのモンスター。それらの総称を七つの厄災って言うのさ」

「それに関する本はどこに!」

「ちょいと待ちな」


司書は来た道を戻り、別の本棚へ。


「七つの厄災・・・確かにイベント名は厄災って」

「でも、キングトータスの時から厄災ってイベント名だよ?」

「あんた達キングトータスを知ってるのかい?」


司書が戻ってくるなり、気になる発言をする。


「まぁ」

「キングトータスはね、神獣玄武の幼体なのさ。キングトータスが歳を重ね、神性を得た姿が玄武。その反対に、魔性を得た姿が厄災グリードトータス。この国は過去、グリードトータスに滅ぼされかけてるからね。その辺の話は詳しく残ってる。この資料を読めば分かるよ」


そう言って1冊のノートを置いて、司書は受付へと戻っていった。

司書の情報は衝撃的だった。残されたノートに書いてあることも。


「グリードトータスを倒す条件が」


大事な情報を見つけ、急いで駆け出そうとするが

カンカァンカァン!!


街に連続した鐘の音が鳴り響く。


「あんた達!今すぐ避難しな!」


先程の司書が慌てて駆けてくる。


「何があったんです!?」

「すぐそこにグリードトータスが現れたんだよ!異界人が応戦してるらしいけど、今はまだ倒せないよ」

「っ!ミオ、レオン」

「っそうかい、あんた達も異界人だったね。なら一つアドバイスだ。グリードには()()()()()()()()()()()

「えっ?」


司書はそれだけ告げて避難して行った。

避難先を見れば、街の警備を行っている騎士や冒険者が避難誘導を行っていた。


「滅ぼされかけたこの国は、地下に堅牢な要塞を建築し、いざと言う時の備えとした」

「グリードトータスは何故か、地上しか攻撃できない」

「推測は()()()()()()()()()()()()()()()なのかも、ってあったけど」

「今は関係ない、急いで戻ろう。伝えなきゃ行けない情報が沢山ある」



戦闘は混乱を極める。

グリードトータスの背にある山が崩れたと思ったら、そこからゴーレムが無数に現れ、グリードトータスの影からは無数のスケルトンが現れる。グリードトータスから流れ出る血からは、どういう理屈か蛇が産まれる。


「くそっ!これ全部、各方面のボスモンスターの取り巻きじゃねぇか!」

「しかも、能力に差がない感じだぞ!」


取り巻きの対処に追われ、肝心のグリードトータスへの対処ができていない。

HPもようやく40000まで減ったところだ。


「レオン!そろそろあの二人の援護が無いと!」

「わかってる!連絡があって、もうすぐだそうだ!」

「レオン、森に火をつける許可を!」

「理由は!?」

「光源確保と熱ダメージの確認」

「許可する。なんか言われたらそんときはそんとき!」


すぐさま火が放たれ、森を赤く染め上げていく。

イベント開始から既に二時間半。空は暗く、月は陰る。唯一の光は森を赤く染め上げていく炎。


「レオン!」

「戻った!」

「マスター指示を!」

「マイ、姉さんは報告!それ以外は各々の役割を!」

「了解!」


ミオとカイドウ、シェン、風音、アミューを呼び戻して、情報を共有する。


「神獣玄武の幼体が魔性を得た結果がアレか」

「倒すのには神性を持つ武器もしくは人物じゃないとダメ」

「現状神器見つかってないし、姉さんの天使族でも現状誤差の範囲。地道にやるか?」

「出来ればいいけど、取り巻きの事考えると現実的じゃない」


その場で結論が出ない。


グリードトータスは、キングトータスよりサイズは小さく、攻撃方法が増えている。

亀の尾の薙ぎ払い、頭を地面に叩き付け、脚で振動を起こし、体勢が崩れたプレイヤーを押し潰す。


プレイヤー全員とグリードトータス、ダメージレートでは確実にこちらの負けである。


「レオン、アレを試していいか?」

「アレか・・・」


カクラの言うアレとは、カクラとマイが進化したことによって得たスキル。レオンの「朧月夜」と同じく禁呪指定。


「司書の言う通りなら、私たちのアレはいい火力になるはず」

「お兄、何もしないよりはいいでしょ?」

「・・・」


確かに、負けるにしても何もしないで負けるのは癪だ。


「わかった。好きにしていい」

「あとは任せる」

「・・・了解だ」


レオン、カクラ、マイの三人で完結し、三人が武器を携えグリードトータスを見る。


彼女達が行使する力は、世界に衝撃を与え、停滞していた全てを動かす起点となる。


「天使族、最後の天翼が命ず、応えよ天の宝物(ほうもつ)よ」


カクラの背に三対の翼が現れ、右手を天に掲げる。

次に響く声は、全プレイヤーと街の民にも聞こえた。


「禁呪解放申請・・・承諾。最後の天翼、カクラ・・・真名譲渡・・・真名・ルシフェル・・・禁呪・天槍(てんのやり)・・・選択」

「サンダルフォン」

「天槍サンダルフォン・・・承諾・・・対価要求」

「私の武器と全MPとアイテムボックス内の全て」

「対価承認・・・天槍全能力解放・・・天翼ルシフェル、汝に求める・・・殲滅を」

「応じる」

「天槍顕現」


天より一筋の光がカクラの右手へ。光が収まると、そこにあるのは穂先から石突きまで、幾何学的な模様が刻まれた槍が。



「我が一族は禁忌に触れる」


マイの詠唱は、カクラに続き全てのプレイヤーと街の民にも聞こえた。


「HAZARD、禁忌の一つが限定解放されます」

「HAZARD、禁呪解放申請者、特定、名をマイ」

「解放条件・・・クリア・・・代償・・・クリア」

「動力源指定・・・マイ」

「動力の選択を」

「MPとHP全部」

「・・・禁忌解放・・・禁忌稼働」


小人族・・・この世界の小人族は、迫害され絶滅。小人族には知恵があった、技術があった。他種族の混血故の力が。絶滅に抗うように、他種族に負けないように、造ってしまった。国を世界を脅かす兵器を。その名を


「禁忌・機械龍ヨルムンガンド」


機械の身体に精霊核。魔力を用いながら、魔喰(まぐらい)によって魔力を無効化。強力な再生術式を持ち、更に神性を僅かに帯びている。

過去に「厄災」の一つを殺したことのある兵器。

小人族が滅びた現在(いま)、動くことがなかった兵器が牙を剥く。



「ベルリン!」

「わかってます!総員全速力で後退!」

「アレに巻き込まれたらどうなるかわからんぞ!」


カイドウとシェンが慌てて前線へ走り、ベルリンと共に後退の指示を出す。風音もクランメンバー全員に伝達。『白良企業』のメンバーの後退の補助をする。



「お姉、私から行く」

「時間は?」

「三十」

「わかった」


マイのMPがゼロになる。


「ヨルムンガンド、敵を喰らえ」

「ギュァァァァァァア」


咆哮と機械音を響かせて、「禁忌・機械龍ヨルムンガンド」がグリードトータスに喰らいつく。

暴れて振りほどこうとするが、ヨルムンガンドはその身体を巻き付け、締め付ける。


「厄災を呪え、忌毒(きどく)・夜」


ヨルムンガンドとグリードトータスの身体を薄紫色の何が侵食する。


「私はここまで。次はお姉の番」


最後の呟きを残して、マイのHPはゼロになった。


「解除不能の毒に厄災をも殺す兵器。当然禁忌指定される。なら、私も負けていられない」


翼はためかせ天へ。グリードトータスを見下ろし、彼女は力を振り翳す。


「時をも捕える番人よ、その力をもって全てを閉せ!幽閉・天槍サンダルフォン!」


幾何学的模様から白と黒の光が生じ、混じり合い、グリードトータス目掛けて天槍は投じられる。


ヨルムンガンドによりHPを削られ、未だ毒によって身体を侵食されているグリードトータスにコレを避ける術はなく、天槍はなんの障害もなくグリードを貫通し、大地へと刺さる。


天槍が刺さった地点から半径百メートルの地面が輝き、何かの陣が浮び上がる。そこから伸びる光は鎖となり、グリードトータスの動きを封じる。



グリードトータス

HP17800/50000


一気に2万ものHPを削った二人は、その代償として、戦闘から離脱することに。

カクラは武器とMP、更にアイテムボックス内の予備武器や素材も捧げた為、これ以上の戦闘続行は不可。

マイに至ってはHPとMPを全て。いかに自動回復を持っていたとしても、即復帰は難しい。



「まだ残るか・・・」

「最後減り方が遅かった。何かあるのかもしれない」


カクラの予想は正しい。グリードトータスは、ある条件の時に限り、攻撃によるダメージを大幅に軽減する。その状態が


「なぁ、もしかすると俺達が即死したあれが」


そう。グリードトータスになってすぐ、プレイヤー達を全滅させた、ダメージの蓄積による反撃の一撃。反撃の怒り、カウンターグリード。

半径凡そ50キロが破壊される、まさに厄災に相応しい能力。


「もし、その予想が正しいなら一分」

「今はサンダルフォンのおかげで時間が引き伸ばせてる。その効果も長くはない」

「短期決戦」


サンダルフォンの幽閉。効果時間は相手にもよるが、凡そ十分~五分。その間に倒さなければ、後ろの街が破壊される。住民は助かるだろう。地下シェルターに避難しているから。しかし、彼等の住む家は、商いを行う店は、人々の憩いの場は?残らないだろう。


「総員に告げる!最低で五分、最大で十分!その間にグリードトータスを倒す!防御も消費も気にせず殺れ!」

「オォォォォォォォ!!!!」


雄叫びと共にプレイヤーの攻撃が再開される。

レオンの声が届いたプレイヤー全てが、この後の展開を予想出来ている。自分達の行動拠点を守る、イベントクリアの為。それもある。が、彼等の戦う理由は、この街で生きている人を街を守る。

そして、その想いが引き金となる。


全プレイヤーに共通ワールドスキル解放。

発動条件、戦闘相手が「厄災」

発動効果、「厄災」に対する特攻。ダメージ上昇。


「これなら!」


ワールドスキルの発動によって、ダメージ量が上昇。グリードトータスのHPを減らしていくが・・・


ピシッ!


音を立てて鎖に罅が入る。それはあっという間に広がり、サンダルフォンの鎖を完全に破壊する。


「まずい!」


グリードトータスの残りHPは約一万。時間が足りなかった。いや、想像より早くサンダルフォンの鎖が破られた。


「私がまだ未熟だからか!」


天使族となり、イベントでレベルが10まで上がったとはいえ、相手は格上。まだ未熟でありながら、「厄災」の動きを止められただけで大したものだ。


「オォォォオォォオォォ」


グリードトータスが低い唸り声をあげる。それに呼応するように、グリードトータスを赤黒いオーラが包む。


「オォォォ!」


少しの溜めの後、空に向かって唸り声をあげ、赤黒いオーラが、森を破壊しながら街へ迫る。


プレイヤーが防ごうとするが、抵抗は許されず一瞬でHPを消し飛ばされる。



目の前に迫る赤黒いオーラ。プレイヤーも森も、障害にすらならない。抵抗する意味はないのだろう。それでも俺は、この盾を構える。俺がこの世界でタンクを選んだのは、護りたいものを護れる力が欲しかったから!


今この一瞬!護ると約束したあの街を!住民を!全部出し切って護って見せろ!


ワールドスキル解放。プレイヤー名・ベルリン

発動条件、即死級攻撃発動時

発動効果、即死級攻撃の無効。効果発動時、全プレイヤーが受けるダメージを肩代わり。ダメージを九割軽減する。(デメリット・味方からの回復を受け付けない)

効果時間、発動プレイヤーのHP全損まで。

スキル名「隔つ壁は堅牢なる城壁(ベルリン)


「願いは通じるな!行くぞ!」


俺の想いは届いた!ならば後は実行するのみ!


「護って見せる!ワールドスキル、隔つ壁は堅牢なる城壁(ベルリン)!」



突如ベルリンを光の膜が覆い、赤黒いオーラがベルリンの手前で止まった。

よく分からないが、今が最後のチャンスだと言うことは分かる。


「鳳仙禍!十刃!フレイムエッジ、ウォーターエッジ、ウィンドエッジ!」


雑魚を倒しまくった経験値でレオンのレベルは、スキルも軒並み上がっている。


「魔法複合抜刀術・炎装。合わせ!抜刀術・別断!」


炎装・・・抜刀する刀身に炎を纏い、刃の通った軌跡が爆ぜる。


『別断』と合わせることで、グリードトータスの身体に目立つ傷を付ける。


「血操術・百花繚乱!」


血が百の花弁を生み出し、グリードの身体に張り付く。


「花弁を狙え!」


『百花繚乱』は花弁が付いた場所を強制的に弱点にする、対大型ボス用のスキルだ。


残ったプレイヤー、戻ってくるのが早いプレイヤーが花弁を狙い攻撃する。

残り二千。


「時間が!」


ベルリンのHPが


「合わせろカイドウ!」

「わかってる!」


無くなる直前、シェンとカイドウが飛び込む。


「「チャージ・ダブルスラッシュ!」」


溜を必要とする、大剣系アーツの二連撃。

攻撃特化クランのトップ二人の全力の一撃に、アミュー含めた神官による全力バフ。


二本の刃はグリードに届き、そのHPをゼロにする。

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