第15話 神域と目的そして訓練?
久しぶりの投稿です。一応連続投稿。
2章に以降しようとしてやめました。
1章はあと1、2話で終わります
「玲音」
「わかってる」
アーノルドとエレナの遺体を彼等の仲間に任せ、玲音はホームの会議室へと向かう。
その道中に、澪から心配する声が掛けられる。
わかってる、そう答える玲音の目は赤く、声も少し掠れて聞こえる。
1人の時間が欲しいと言っていたから、きっと隠れて泣いていたのだろう。澪はそう推測する。
「入るぞ」
そうこうしてるうちに、会議室へと到着。ノックをして入室する。
そこには既に、尚也、神楽、舞、颯、ウルス、クレハ、ルビア、アリア、シェグナ、アイヴィア、リジェル、それと、補佐としてリオンの姿が。
「待たせたな」
玲音が1番奥の席に着き、その隣に澪が座る。
そして、話し合いが始まる。
「まずは私から報告を」
最初はリオンから
「シェグナ様、アイヴィア様、リジェル様には、既に台座への登録は終わっております。それ以前の報告は、これといったことはないので以上となります」
手短に終わる。何せ、防衛は強固であり、神である3柱が参加したのだから。
「天照様は?」
「客間の方で寛いでいらっしゃいます」
足りない情報を補って終了。
次
「今回の作戦行動についてだ」
玲音からの報告
「目的である神器は入手。予想外だったが、神の加護の解放もできた。シェグナ達とも、一時休戦ということになった。しばらくの間は三人を…賓客?として接するように」
以上。こちらも短め。何せ、報告するようなことは多くない。というか、今は話せないことが多い。
「…じゃぁ本題に入っても?」
「その前に、八咫鏡」
上から誰かが落ちてくる。
「え!?」
「ちょっ!?」
「ほぅ?」
別室待機の天照、素戔嗚尊、月詠の三柱。
「呼ぶにしても、呼び方ってものがありますよね!?」
「面倒だった許して」
天照様は、姿勢を制御して着地。それと同時に文句を言ってくる。まぁ言うわな。
「アーメイア様に取り次ぐことってできます?」
「アーメイア様…うーん、私達からは無理かな」
「そうか。仕方ないやってみるか」
瞳を閉じて、意識を八咫鏡に集中させる。
探るのは概念の神ムーア・ベル・アーメイア様。
二度会った時の姿を思い描け、その姿を掴め。
時空の加護と三神器拡張により、八咫鏡ができることは更に広がった。
先の戦闘の時にやったように、対象の転移。これは、玲音の視界内なら可能だ。人数にも制限はない。
そして今やろうとしている、視界外の対象を転移させる。これには、極限の集中力と精神力、そして、対象への鮮明な記憶が必要となる。
鮮明な記憶とは、つまるところ、どれだけその対象のことを思い出せるか、だ。
いつの間にか、玲音を中心に魔力が吹き荒れる。
「この気配!まさか!?」
「まじか…」
「いやはや、これは…」
神の三柱は、その変化に気が付いたようだ。
吹き荒れる魔力が、周囲に散っていき、神が降臨する為の神域を構築していることに。
「ちっ!」
唐突な舌打ちに訝しむが、その理由は語られない。
まぁ単純な話、制御している魔力の量と吹き荒れる魔力の総量の変換に苦労している。
「統括、制御しろ。記憶を鮮明に辿れ!」
魔力の密度が増していき、神域が完成する。
「正規の手順とは言えませんが、よく私を呼べましたね」
「結構ギリギリです」
完成した神域には、アーメイア様が降臨する。
「呼び出したのは、そちらの三人に関係することですね?」
「はい。それと、もう一度、神についての説明と、敵の正体、我々が成すべきことの情報の整理を」
「わかりました。以前話した時より、少しだけ詳しく話をしましょう」
語られた内容は、以前聞いたのと相違はない。
宇宙というテリトリーを持つのが、外なる神。
外なる神が、テリトリーを維持する為に必要な事が、星の管理。つまり、俺達が住む星の運営。
そして、その星を運営する為に生まれたのが、アーメイア様を含む、外なる神。
よく知る外なる神には、支配階級が存在するが、アーメイア様曰く、支配階級というより上司と部下だそう。
アーメイア様が一人では管理しきれない為、生み出したのが、アーメイア様と一緒に居た十二柱の神。
そして、星を運営していく上で大切な生命。彼等が生きていく上で必要になったのが信仰。それを、自分達ではなく他に向けるため、そしてより細かく星を運営するために、神の父アルトメルトと母メリアが、俺達のよく知る神々を生み出した。生み出された神々が、長く存在し、成長をし続けるのに、信仰がちょうど良かった。という理由もある。
多くの神は、役割を与えられて生み出された。しかし、八百万の神は人々の信仰が、役割に合致し、信仰により発現した神々。
よく知る外なる神、ニャルラトホテプやハスター、クトゥルフやクトゥグア等を呼ぶ時だが、アーメイア様達なら外なる神だが、アルトメルト様やメリア様が生み出した神が呼ぶには、異なる神となる。
その違いの理由は、神としての発生条件。
役割を与えられて生み出されるか、生まれてから役割を与えられたかの違いだ。
役割がなくとも生まれて来れるものは、生命力が強く、神としての力も権能も強力な物となる。
逆に、役割が無いと生まれて来れない神は、力や権能も授かり物の場合が多い。
敵の正体、親玉はムーア・ベル・グレーゴル。星を管理する為に役割を与えられた神。役割は簒奪。その後、自分自身で役割を与え、簒奪と破滅の神。
この星に信仰してくる魔獣は、他の滅ぼされた星の元人間や元生物。
そしてややこしい事に、魔獣が知恵をつけ進化したのが魔族なのではなく、魔族が知恵と思考を奪われたのが魔獣になる。
つまりシェグナ、アイヴィア、リジェルの三人も近いうち、魔獣になる可能性があったのだ。
「成すべきことですが、この星にある他の神器を集めることでしょう」
「戦力の確保か」
「はい。この国にいる兵士達は、その全てが神に届き得る力を秘めています。その理由は、彼等がこの星の最初の人類だからです」
「最初の人類?」
「はい。神によって創られた器に、神によって創られた魂。神に最も近く、神に最も遠い。それが最初の人類です」
「…」
「更にいえば、聖獣や別の種族に変えることが出来たのは、神によって創られた存在だったからこそです」
「神が創ったから、弄るのも簡単と言うことか。なら神器はどうなる?」
「神器は形を変えることが出来ません。一部例外がありますが、それは複数の伝承を内包しているが故です」
「例えば?」
「エクスカリバーで例えます。あの神器は直剣です。ですが、エクスカリバーに付属する形でロンゴミニアド等も顕現できるのです」
「あの神器、中に大罪神器宿すだけじゃなく、そんなことも出来たのか」
エクスカリバーに選ばれたものがアーサー王となり、王となったことでその他の神器も使用可能。
エクスカリバーが形を変え、ロンゴミニアドになるのではなく、エクスカリバーに付随する神器…。アーサー王伝説が存在するからこそか。
「あ、後、天叢雲剣も例外の一つです」
「神器換装、都牟刈か」
「はい。あれも伝承による変化です」
「一つの神器に複数の伝承…なるほどな。神器換装の原理はそこか」
「それと、一部の神器は神の性質に引っ張られるので、表と裏を持った物もあります。ウルス様のラヴェリナが例ですね」
そういえば、あれも変わってたな。実際に見たことは無いけど。
「神を卸した神器と、神の領域に至った神器、後者には変化の可能性は低く、前者は神が複数の顔を持つほど可能性が増します」
エクスカリバーは、後者の数少ない実例か。
「この中で、神を卸した神器を持っているのは誰だ?」
当然疑問に思うことだろう。
玲音、尚也、ウルスは前者なのは分かる。他が分からない。
「前者、神を卸した神器に当てはまるのは、澪様、神楽様、舞様、アイヴィア様。後者は、颯様アリア様、ルビア様、クレハ様、シェグナ様、リジェル様ですね」
「以外と後者の実例多いのな」
「そんなわけありませんよ。寧ろ、この場にそれだけ揃っているのが異常です」
「さて、話を戻します。神器収集と同時に、残りの大罪を集めてください」
「大罪を司る器とそれに付随するスキル?」
「それもありますが、敵に回すと厄介なのです」
「どれほど?」
「ウルス様、以前、神戟と言う名の人想器と出会ったことがありますね?」
「あぁ。それがなにか?」
「あれは、人想器でありながら神器の領域に達していました。その理由はお分かりになりますか?」
「……いや、分からない」
「では玲音は?」
「…武器の強化…大罪か」
「正解です。呂布奉先の意思が宿り、その男に共鳴した大罪、傲慢」
「使い手に関係なく真価を発揮するのか」
「はい。現所有者が認識せずとも、武器の意思で発動する。それが傲慢です」
俺が上だと、全てを下に見る傲慢さか。
「ちなみに、傲慢の称号は現在誰のものでもありません。器である神器は、跡形もなく消えましたので」
ウルスに視線が集中する。
「知らなかったからしょうがない」
視線を合わせようとしない。
「まぁいい。リオン、捜索隊を指揮しろ。シェグナ、アイヴィア、リジェルはどうするのかを考えてくれ。澪、尚也達は今から訓練だ。全員でかかってこい」
「かしこまりました」
「わかった」
「玲音、待ちなさい。貴方の身体検査をしないと」
「そんなのは訓練しながらで良い。眼のことを考えているなら心配いらない。見えないのは変わらないし、見えるのは八咫鏡の力を使ってる時だけだ」
「それもありますが、先の戦闘でのダメージが」
「気にしなくていい。それくらいハンデがあった方がいい」
「む?」
「お兄、それは挑発?」
「玲音とは言え、それは無茶じゃない?」
途端その場の空気が鋭さを増す。
「そう思うなら、実践すればいい。なんなら、シェグナ達もそっちに付けるか?」
「ちょっと待て」
「なんだ?」
「何故決めていないのに、訓練に同行することになっている」
「成り行き」
「…おい」
「参加したくないなら、しなくていいぞ」
「…参加しよう」
「移動するぞ」
シェグナ達に考えろと言ったのに、半ば強引に連れていく。
「アリア、罠を設置する時間をやる。殺すつもりで設置しろ」
「え」
「他も、準備があるなら先にやるといい」
「玲音、後悔しないでね?」
「泣いても許さない」
「男に二言はないな?」
「玲音って時々アホになるよね」
「死ぬギリギリまで、貴方には回復かけてあげないから」
「ここまで余裕ぶっこいてると、イライラするな」
「玲音様が強いと言っても、私達を過小評価し過ぎでは?」
「は、はじめて、挑発されま、した」
「では、全力で殺しに行きますね」
「この人数に、お前は対応できるのか?」
「初めて会った時から思ってた、調子乗りすぎ」
「リジェルに同意するわ。増長するのも程々に」
澪、舞、神楽、尚也、颯、ウルス、ルビア、アリア、クレハ、シェグナ、リジェル、アイヴィアの順で怒りを言葉にする。
「簡易礼装・弓道衣」
澪の纏う服が、弓道衣に瞬時に上書きされる。
「結界霊衣付与」
舞によって、全員を個々に結界が覆う。それは、行動を阻害しない高度な物。
「テンペストウルフ!」
神楽に並び立つように、狼を形どった暴風が現れる。
「擬似神格四神!白虎」
尚也の全身から、僅かに電撃が発生する。
「神器展開、術式付与」
颯の神器から複数の強化術式が浮かび上がり、個々に付与されていく。
「反転、制限解放神器再顕現、死神斧ラヴェリナ」
ウルスの持つ神器が、その様相を変えていく。
「聖艘ノア、マスター権限、武装顕現」
ルビアの周りに、縮小されたノアの武装が複数展開される。
「即死罠遠隔設置、遅延罠遠隔設置、顕現・里の森」
周囲一帯を満遍なく罠が設置される。更に、簡易結界により、味方は罠の影響を受けず、逆に恩恵を得る。
「開演、一幕・紅」
クレハの服が巫女服へと変わり、その上から焔が覆い鎧とかす。
「神器顕現、刻征アレス」
シェグナの神器顕現。両手から両肩までを覆う、赤い鎧。肩のあたりの景色が歪んでいるように見える。
「神器顕現、マインドギア。ギアセレクト1」
リジェルの神器顕現。リジェルの身体を模様が覆い尽くす。瞳が朱と蒼のオッドアイに変化する。
「神鞭冷姫、礼装顕現・冰姫」
神器に付属し展開された礼装は、周囲の温度を局所的に奪い、絶対零度へと誘う。
「これは面白そうだな。さぁ来い」
自身の神器を顕現し、抜き放ち構える。
一番手は
「一矢・鏖殺、二矢・雨矢鳥」
「リロード、ディバイドバレット、ファイア」
「貫くモノに紅き祝福を!スカーレット・フルマニア!」
玲音を覆うように紅い結界が展開、それを突き破った澪とルビアの攻撃が強化される。
「八咫鏡」
しかし、それは玲音に届かない。八咫鏡の力で転移する。転移先は、
「鳴神」
澪の背後。遠距離攻撃持ち、しかもこの中で最強の遠距離攻撃持ちだ。先にやった方が楽になる。
しかしその斬撃は、舞の結界に阻まれる。
「硬いな」
即座に八咫鏡で距離を取る。読まれていたのか、ウルスとクレハが強襲する。
ウルスの強烈な叩き付けを、回転するようにして鞘をたたきつけ、クレハの攻撃線上に流す。
クレハが一瞬躊躇った瞬間、攻勢に出る。
「抜刀炎舞、煉獄」
凝縮された炎を撃ち出す。どちらも炎への耐性と舞の結界があるので、後方に押し返されるだけで済んだ。
「行くよ」
「合わせよう」
次に飛び込んできたのは、尚也とシェグナ。
相手の間合いに入る前に、玲音から攻撃を仕掛ける。
「抜刀紫電」
強襲するのは初見の尚也。踏み込む玲音を見て、警戒したシェグナと違って、尚也は少しだけ余裕を持っていた。だから狙う。
しかし、反応したシェグナによって、尚也はかすり傷で済む。
二人は即座に反撃に移る。玲音も今度は転移することなく、その場で応じる。
「電光石火」
二人の攻撃を、加速させた神器で防ぐ。時には柄や鞘での防御。防ぐ攻撃と防がなくていい攻撃を見極め続ける。
そこで、玲音は違和感を感じる。身体の動きが少し鈍くなっていることを。
「射貫け、冰槍」
意識外、気配すら察知出来ていない相手からの不意打ち。
八咫鏡で回避するが、今のは危なかった。八咫鏡が無ければ、痛手を負っていた。僅かながらに、肩に当たっている。
先程からずっと、舞のスカーレット・フルマニアが展開され続け、玲音以外の攻撃を強化している。
颯の強化術式もかなり苦戦する要因となっている。
アイヴィアの礼装冰姫、これの能力により玲音の周囲だけ、温度が下がり身体能力に影響を及ぼす。
そして、一番厄介なのが
「リジェルのその神器、俺の思考に制限を掛けてるな?」
そう。先程から思考する度に、何かに邪魔をされているように感じていた。その結果、複数のことを同時に考えれなくなっている。アイヴィアの奇襲を察知出来なかったのは、それが原因だろう。
「そう。わかったところで対処は出来ない、はず」
最後自信を無くしたのは、玲音の持つ加護の力を警戒しているからだろう。
「いいね。力の使い方も、連携の取り方もちゃんとしてる。特にシェグナ達三人を除く九人。力を使いこなすのが早い。適応能力は抜群だな」
澪達九人には、さっき強化を施した。これは、吸血鬼となった時にあった、血を吸った従者の強化だ。今まで忘れていたが、ついさっきそれを行った。
「よし。ギアを上げるぞ。覚悟しろよ?」
訓練は始まったばかりだ。ここから第二ラウンド開始。




