第14話 分岐
このお話は読まなくてもいいやつです。
閑話や外伝という手もありますが、一応メインのお話として掲載します。
「ただいま。父さん、母さん」
『ノア』に乗り、自国へと戻ってきてすぐに、玲音は両親の元へと向かう。
その場にいるのは、玲音の他に、神楽、舞、颯それとシェグナ。
白いベットに寝かされる二人は、颯によって綺麗にされており、傷一つ見当たらない。
「ごめん。俺が油断したばっかりに、二人を巻き込んで」
並べられた二つのベットの間で、玲音は涙を流す。
家族を、大切なものを守るために願った力。それでも守れなかった。悔しくて、自分が情けなくて、玲音は涙を流し続ける。
「父さん、母さん、ごめん。守れなくてごめん。二人は気にするなって、言うかもしれない。だけど、俺は気にしちゃうから」
流れる涙を強引に拭い、玲音は振り返る。
「だから、また会ったら、その時は」
いっぱい叱って、褒めてくれ。
その言葉は口にしない。口にしたら、前に向かって歩けなくなりそうだから。
「ありがとう。お義父さん、お義母さん」
「また…ね」
「お世話になりました」
「さらばだ。強き心の持ち主よ」
玲音に続いて、言葉を残し退出する。
二人の墓は、二人の出会いの場所に建てられた。二人の仕事仲間の社員達は皆、その地に戻り残りの余生を過ごした。
その村は、地図にも記されず、他の村や国と関わりを持つことなく、ひっそりと静かにその役目を終えた。
昔、昔、ある村に、悪い鬼がやって来ました。
その鬼は、村人を襲おうとしましたが、その村には吸血鬼という、優しい女性の鬼がいました。
その吸血鬼のおかげで、鬼は退治されました。
その村に、とある退魔師の男がやってきます。
その男は、鬼を追って来たと言います。しかし、辿り着いた先で見たものは、死んだ鬼と村人を守っていた吸血鬼の姿。
彼は戸惑いましたが、村人達を信じることにしました。そして何を思ったのか、吸血鬼の彼女を含めて、全員を雇うと言ったのです。
何とか説得し帰ってきた男は、会社を立ち上げました。そうして暮らしていくうちに、男は吸血鬼の女性と付き合い始めました。
子も産まれ、仕事も繁盛。順風満帆の生活。
ですが、人生とは何が起こるか分からないのです。
退魔師と吸血鬼は事件に巻き込まれ、息子を守る為に亡くなってしまいました。
二人のお墓は、二人の出会いの地に立てられ、共に仕事をこなした仲間達はその地に戻り、墓と村を守り続けた。
その地は、守る者が居なくなった今も、魔獣や害虫等が近づかない聖域となっている。
魔の森の伝承より 穢れなき村
「父上、この森はこの国にあるのですか?」
「この森は、俺達の故郷にあるんだ。遠く遠くの」
「そうなのですか!?僕もいつか行ってみたいです!それでおじうえ?おばうえ?に挨拶するんです!」
「そう…だな。いつか、お前が大きくなったらな」
「約束ですよ!」
透き通るような青さが広がる空に浮く島。
鳥のさえずりと、水の流れる音、木の葉が風に揺られる音。その中に、親子の会話する声が交じる。
「そろそろ戻るぞ。母さんがご飯を作って待ってる」
「そうでした!ご飯に遅れると母上が怖いですから、急がないと」
これはいつかの未来。あったかもしれない可能性。彼らが辿ることのなかった、一つの人生。
これで第1章というか、始まりの物語は終わりになります。
記憶の欠落云々の話は、次回より詳しくしていこうと思います。 それにあたり、神の設定なりなんなりを纏めて行こうと思います。
しばらくは間があきますが、また次回




