第107話 イベント告知そして想いと魔法
次のイベントの告知が発表されたのは、魔国誕生の1ヶ月後だった。
アナウンスの内容は、プレイヤーの開催したいイベントを開催するというもの。
応募フォームが添付され、1週間の応募期間を経て、投票期間が訪れる。
平和なイベントを望む声がそこそこあったが、結局戦闘系のイベントに決定した。
第5回イベント
バトルトーナメント
一般の部、トップ層挑戦の部、魔王チャレンジ
一般の部は、他のプレイヤーと対人がしてみたい。人型との戦闘を経験してみたい層向け
トップ層挑戦の部は、運営側が推薦したプレイヤー達にソロでもマルチでも挑むことができる、実力を向上させ、下克上を狙いたい層向け
挑戦される側は、登録の際にソロかマルチか選べ、事前にパーティーを組んで登録すれば、そのパーティーメンバーと挑戦者を待ち受けることになる
魔王チャレンジは、そのまま。レオンに挑戦したいプレイヤー向け。倒したとしても、魔国での挑戦で無い為、魔国の報酬は得られず、ただ与えたダメージによって経験値が上昇するだけ
特別ダンジョン・種族の間
一定確率でドロップするアイテムを集めて、種族進化権を獲得するイベント。他にも交換アイテム有り
特別ダンジョンはイベント当日から1ヶ月開催され、交換アイテムの交換期限は更にその1ヶ月後
既に多くの登録が成され、掲示板やその他SNSでも話題を呼んでいる。
「それで?イベント会場は天龍と地龍が用意すんのか?」
周りを見渡しても何も無い海上。その少し上空に複数の人影、レオンと太古の五龍だ。
「色々建設するのに、ポータルがいるでしょ?」
「それの設置を頼む。後、人員もな」
癒龍と海龍がレオンに話す横で、地龍と天龍がその権能を持って島を生み出していた。
「…土地の安定は出来たわ」
「と言っても島の形の話だから」
「そこからは儂と海龍かの」
隠龍と海龍の権能でその島を隠蔽し、周囲の海流の影響を島が受けないようにする。
そうすれば、支えも無く海に浮かぶ人工島…龍工島?の完成だ。
「ポータル設置完了。…向こうにメッセも送ったからあとは任せていいだろ」
そう話している内に、魔国に属する職人が続々とポータルを通じてやってくる。
「んじゃま俺は予定があるから先に失礼」
ポータルを通じて逆に魔国へ戻り、ログアウト。外の世界で意識を浮上させる。
幾つかの準備を整え、レオンは意識を沈めていき、数秒後には規則正しい寝息を立てている。
「私達はどうする?」
「ソロで登録でいいんじゃないか?」
「ミオ姉とお姉はいいかもだけど、私はキツイ」
「何を言ってんだ」
天照王国にあるクランホームで、天照王国の騎士団団長達が集まって、イベントについての相談をしていた。
「ベルリン、シェン、カイドウ、アミューはパーティーでしょ?」
「クヌギ、凛、白鷲のパーティー」
「私はソロにする予定だけど」
この中でミオはソロを宣言
「なら私達もソロだな」
「疲れるけどしょうがない」
そうなると自動的にマイとカクラもソロに
「マイはカクラと組まんの?」
「ミオ姉が挑戦するなら私もそうする。だってレオンの為でしょ?」
「んんっ」
「お兄の為に上を目指すなら、私も着いてく」
暴走レオン戦以降、マイは後方からの支援をやめ、前線で戦いながら敵の妨害、味方の支援を行うようになった。
今まで隠していた近接戦闘の実力を見せるようになり、ミオやカクラ以上の近接戦闘術を披露している。
小柄でパワーも足りないというハンデを賄うための高速機動による戦闘術は、凛や玲奈、暗殺系プレイヤーに好評で、解放者所属の暗殺系プレイヤーの多くがマイに師事している。
そうして解放者の面々の参加方針が決まり、魔王チャレンジにも登録し、イベント開催をレベル上げしながら待つことになった。
「ようやく創れたな」
「かなり代償はデカイけど、何とか形になったか」
「これでアイツを殺せるな!」
帝国側暗殺ギルドの合同ホームの一室で、数人のプレイヤーがその魔法効果を確かめて笑っていた。
魔法創造スキル。ミオだけが持っていたユニークスキルが、遂に他プレイヤーの手にも渡り、厄介な相手に渡ったようだった。
「ミオさんが持ってる魔法創造スキル、これの条件が纏まったか?」
・創造される魔法は創造主しか使用できない
・他者に効果を及ぼす魔法は対象と効果内容を明確にせねばならない
・通常の魔法と違い、詠唱の破棄が出来ない
・詠唱破棄はできないが、省略詠唱は可能
・魔法の効果が複雑な程、MPの消費量は多くなる
・魔法の効果をきちんとイメージするか、詠唱による補完ができない場合は創造出来ない
「…レオンからの助言があったけど、ほんとに魔法創造のスキル取れるとはな」
解放者の提携クラン・魔法連盟の長マーリン・マリリン
「レオンだけのオリジナルアーツが多いのは、レオンの想像力やその想いが影響してるから…こうやって完成したオリジナル魔法を見ると強がち嘘とは言えないか」
魔法創造を持つプレイヤーで、善人の部類のマーリン・マリリン。この人に渡ったのは、暗殺ギルドに渡ったことに比べてしまうと、行幸だと言えるだろう
魔法創造スキルや武術系スキルのアーツには隠された仕様が存在している。
恐らくレオンしか知らない最重要仕様
マーリン・マリリンが有り得る話だと認識し始めた仕様。それが想いの力によるアーツの顕現。
レオンの絶界・剣の墓守に含まれるスキル、アーツの殆どがその仕様による具現、顕現。
レオンを倒したいと言う想いから生まれた、暗殺ギルドの魔法
レオンに触発され、半信半疑ながら試して確証を得て生まれた、マーリンの魔法
想いの力
それがこの世界では成長の根幹に存在する




