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ドラゴンとかわいい娘、旅に出る②


 光の柱だ。

 【失われし原初ロスト・ワン】から、極太の光の柱が放たれる。

 六色に輝くその光は、まっすぐに東の方向へと伸びていく。


「い、今までと違う!?」


 今まで、【失われし原初ロスト・ワン】を使って宝玉を探すときには、細い光がピーッと伸びていく感じだった。これは大変なことだ。光線で被害が出ないといいけれど。


「直撃している壁は壊れていない……純粋に、【七天秘宝ドミナント・セブン】の場所を指し示しているらしいな」

「すごい魔力でありまする……!」

「六つの宝玉が集まると、これほどの反応が……!」

「わああ、虹みたい!」


 ボクはそのきらめきに目を奪われる。


「き、き、綺麗だなぁ!」


 オリビアには薄々気付かれているかも知れないけれど、そう、ボクはキラキラしたものに目がないんだ。

 思わず、感動に震えてしまう。


「パパ殿!?」

「古代竜さん、落ち着いて……」

「はっ!」


 思わずドラゴンの姿になってしまった。

 興奮しすぎるとこうなる。

 よくないぞ、ボクはオリビアのパパなんだから。

 とりあえず、サイズをしゅるしゅると小さくする。お城の会議室が広くて助かった。椅子が潰れただけで済んだからね。

 フィリスさんがオリビアと何やら話している。


「オリビアさん、【失われし原初ロスト・ワン】をそのまま起動しておくことはできますか?」

「はい、先生」

「さすがです。すぐに光の示す先をシュトラ王国各地の星見台を使って調べさせます」

「指示は私から出そう。行くぞ、リュカ」

「はい、エスメラルダ様」

「お願いね! オリビアさん、すごいわ……こんなに安定して、大規模な魔導反応を制御できるなんて。体調が悪くなったりしたら、すぐに先生に言ってくださいね」

「はいっ!」


 フィリスさん、こういうときは頼りがいのある先生だ。普段はちょっとおっちょこちょいだけれどね。


「星見台への伝書ふくろうの手配、整いました!」

「エスメラルダ様とリュカ様に、王都防衛の指揮をお願い致したく!」

「【七天秘宝】の魔力がないのなら、人力での防衛が大事になってきますからね」


 にわかに慌ただしくなっていく。

 キラキラの虹みたいな光に興奮してドラゴンの姿になってしまったボクの足の上に、ぽふんっとオリビアは腰掛けた。

 昔からそこが好きだよね。


「オリビアさんと【失われし原初ロスト・ワン】がなければ、どうなっていたか……おかげで捜索ができますね」


 フィリスさんが大きく溜息をつく。

 なぜか、魔王さんが「えっへん!」と胸を張った。


「ふふん、さすがはオリビアじゃろー」

「マレーディア様のおっしゃるとおりです」


 うふふ、と笑い合う魔王さんとクラウリアさん。

 そこに、エスメラルダさんが割って入る。

 とても怖い顔に、魔王さんが怯んだ。


「そこの二人」

「あう!? な、なんじゃ」

「聞いているぞ……いつもリュカと仲良くしてくれてありがとう」

「む……?」

「こちらこそ、マレーディア様と仲良くしてくださって、ありがとうございます!」


 ただの挨拶だった。

 ボクは一瞬、そう思ったのだけれど違ったようだ。エスメラルダさんはすっと手をさしのべる。


「ところで、魔族のお二人……かなりの手練れなのだろう? 昔はずいぶん鳴らしたとか」

「お?」

「は?」

「魔族の使う魔法の強力さ……特に魔王マレーディア(・・・・・・・・)の力は今でも語り草だ──王都の防衛戦構築、手伝ってくれるな?」

「で、ありまする!」


 エスメラルダさんとリュカちゃんが、にんまりと笑う。

 魔王さんが「ぎっくぅ!」と飛び上がった。

 それから少し考えると。


「ま、まぁ……リュカがそう言うなら……」

「ありがとう、マレちゃん!」

「さぁ、こっちだ。騎士殿もこちらへ」


 たちまち、どこかへ連れて行かれてしまった。

 なんだか、大変なことになってきたな。



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